なんかこのクラス全体的に因縁マシマシ過ぎねぇ? 作:見えるか、ブイッスリーが……!!
『はいスタート』
ヒーロー、プレゼントマイクの合図の声。他の参加者が呆気に取られていたり僅かに遅れながらもスタートしているのを横目に見ながら、今日の為に用意して来たカツラを被る。
突然だが俺の個性の説明をしよう。俺の個性は”なりきり”、誰かのコスプレをすればその誰かの力を扱えるという力だ。結構チートっぽく聞こえるだろ? そうなんだよね。
なんせなりきれる相手はアニメのキャラクターから実在するヒーロー、近所のおっちゃんまで制限は無い。ただ1つの条件を除いて。
「さて、やるか!」
重要なのは憧れの感情。少しでも良い、少しでも憧れがあればなりきれる。そしてその憧れの感情が強ければ強いほど力は本物へと近付くってワケ。コスプレの再現度を上げるのでも可。
幸いなことに、俺はオタクだ。実在するヒーローも架空のヒーローも大好きですぐに憧れるくらいチョロい。そしてこの現代社会、大抵のヒーローにはなりきりグッズがある。
「にしてもまさか本人が居る所で真似をすることになるとは思わなかったけども!!」
付け髭にサングラス、服装はそもそもパンクファッションで来ている。被ったカツラは逆立つような金髪。
「ふぅ……」
大きく息を吸う。試験の内容は至極単純。ヴィランロボをぶっ壊しまくればOK!! 良いね、やってやろうじゃねぇの。
「目標発見!! ブッコロス!!」
「ブッコロス!!」
『OK!! ブチかますぜェエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!』
ボイスヒーロー”プレゼントマイク”、個性はヴォイス。超デカい声でビルだって吹き飛ばしちまうプロヒーロー。雄英高校卒で今は雄英で英語を教えてるらしい。
今日この試験で俺がなりきるのはプレゼントマイク。いや、一応予備としてベルトは巻いて来たけどね。多分だけどプレゼントマイクのヴォイスだけで十分。なにせ憧れもコスプレの再現度もピカイチだぜ? 身長はちょっと違うけど。
「さっすがプレゼントマイクの力、広範囲攻撃はお手の物だなァアアアッ!!!!』
後シンプルisフィジカルがストロング。ヴォイスの爆音で遠距離を壊し、近距離は物理で殴って壊す。これだけで楽勝だな。
勉強系はてんっさい物理学者になりきったから問題は無し。実技も……まぁ、この会場で一番ロボットをぶっ壊してるのは俺だろう。つまり合格は間違い無しってコト!! 勝ったな風呂入ってくる。
『おいそこぉ!!!! 後ろにロボットが居るぜ!!!!』
「うおぉ!? アブねぇ! 助かった!! ……プレゼントマイク好きなのか?」
『ラ……ヒーローは助け合いだぜ! ほら行った行った!!』
俺はもう合格が確定してるから周囲の受験生を助ける余裕だってある。それに尊敬するヒーローが言ったようにヒーローは助け合いだと、俺は思うし。影響されやすい人間だよ俺は。
てなわけでなんか硬そうな赤髪の受験生を助ける。他にもヤバそうな受験生を出来るだけポイントを横取りしないようにして助ける。ワンチャン手助けポイント的なサムシングがあるかもしれないし、学校側からの心象も良くなるだろ。
倒したロボットの数はすでに30は越えた。ロボットごとにポイントが割り振られていた気もするが、ヴォイスで遠距離のも壊してるせいでちょっと判別がつかない。
「でもまぁ、実戦でヴィランのポイントを気にしてられるかって話だよな」
ヴィランは等しく鎮圧対象。ポイントの高い奴だけ狙うなんてみみっちいことやってやれるかって話だ。
例え倒す旨味が無かったとしても、ヴィランならばぶちのめさなきゃいけないのがヒーローだと思うんだよな。そういうのを解っているかを試される試験なんじゃないかと思う。
「だからまぁ、ああ言うのにも立ち向かわなきゃいけないんだよな」
KABOOOOOOOOOOOOOM!!!!
「うわあああああああああああ!! 逃げろ! 0ポイントだ!!」
「デカすぎんだろ……ビル何階建てだよ」
「無理無理無理無理無理!!!!」
クソデカいロボットが会場を破壊しながら現れる。アイツのポイントは覚えてるぜ、なんと驚愕の0ポイント。正真正銘のクソデカお邪魔ロボットって訳だな。
だがこの会場にいる一番の脅威は間違いなくあの0ポイントのロボットだろう。
「これは”奥の手”、使うタイミングか」
サングラスと付け髭、カツラを外す。服と髪型をちょっとそれっぽく整える。
変身系のヒーローは良い。雑なコスプレでも100%見た目が同じ変身が可能だからね。そして見た目が同じ姿になった時点で、俺の個性は完璧に発動する。故にこうしてちょっと服装の系統を寄せて、指輪を嵌めてしまえば最高火力で行ける訳だ。
《ドライバーオン》
《プリーズ》
考えてみよう。自分の力では到底及ばないとすら思えてしまうような巨大なヴィラン。それを見てヒーローが絶望などするだろうか? 答えはNO。むしろ周囲の希望になる様に戦うに決まっている。
左手に赤い指輪を嵌め、指輪のパーツを正位置へと動かす。
「さて、希望の魔法使いになるとしようか!」
ベルトを操作してベルトの掌の向きを変える。
《シャバドゥビタッチヘンシン》
「変身だ!」
《シャバドゥビタッチ――フレイム》
《プリーズ》
《ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!!》
そして彼の個性”なりきり”、対象が実在非実在かを問わず対象の能力を扱う異能。対象に近い姿になるか対象への憧れが強いと本来の能力に近付く。
「いやこれ無法過ぎるだろ!! これと争わさせられた受験生リスナーがかわいそうなくらいだぜ」
「そうね……序盤のマイクの個性に終盤の
「あれ仮面ライダーだよな確か、マリオと同じくらいのレトロ特撮をよく知ってるよな」
「関係ないけど会議するにはちょっと暗くないかこの部屋」
資料を見れば”なりきり”で再現できる能力にはその対象が積み上げた技術や判断力すらも含まれると書いてある。例として挙げられているのが車の運転とレシピ無しでの本格料理、ちょっと控えめに言ってチートすぎやしないか?
「とはいえコスプレの精度と憧れの強さによって明確に力に差が出来る様ね。上限値も恐らく本物には及ばない」
「俺から見てあのコスプレは再現率80%ってとこだが、80%の俺のヴォイスにしては威力も範囲もイマイチだったからな。あれで本気だとしたら俺の4割ってところか?」
録画映像内の彼はヴォイスでロボ達を破壊する。確かに高威力だが、本人には遠く及ばない。それが意味することは2つ、なりきりでの再現上限か――
「そんなに憧れられてないんじゃないか?」
「ちょッ!? 言うなよイレイザー!! 俺も薄々考えてたんだから!!」
これまた資料によれば、コスプレの精度よりも憧れの強さの方が個性の出力に影響が出ると書いている。つまり再現度の高いコスプレをしていてもその能力の再現性が低い場合、彼にそんなに憧れられていないと言う事だ。
ヒーローとしてその事実はちょっと効く。
「にしても、コスプレさえ用意出来ちまえば劣化版とはいえ大抵のヒーローの分身になれる訳だろ? チートだぜチート!」
「サポートアイテムも形だけ再現すれば機能が再現されるそうよ、やっぱりズルじゃないかしらこれ」
ズルである。普通にズルもズルのチートである。
流れ続けていた録画映像の彼は、姿を
「筆記もほぼ満点、実技も撃破ポイントと救助ポイント両方とも高水準でトップ」
「では彼の合格は決定ということで――」
「待ってほしいのさ!」
優秀な頭脳、優秀な個性。全員文句無しの合格――となるところで、待ったの声がかかる。
「校長? 彼の合格に何か気になることでもありましたか?」
「彼の合格自体に文句は無いさ! ただ彼には少し特殊な役割を担ってもらいたいのさ!」
「特殊な役割、ですか」
「そうさ、彼には――」
前略オフクロ様
晴れて私は雄英高校へ入学出来ました――
「君ィ! 机に足をかけるのをやめたまえ! 製作者の方や先輩方に失礼だとは思わないのか!?」
一日も早く学校に慣れて健やかな学校生活を送りたいと思います
…………………………ですが
「思わねーよ、てめーどこ中だ
思ったよりも治安が終わっておりいささか戸惑っております
「日本一のヒーロー科の姿か? これが??」
本日のなりきり
・ボイスヒーロー”プレゼントマイク”
・仮面ライダー”ウィザード”