ウルトラマンゼロ~絆と零の使い魔~   作:???second

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第2の光の巨人

「俺を知っている人間がこんな時代遅れの星にいるとはな」

 

ツルク星人は、まさか自分を知る人間がいたことに、感心を寄せたように驚きを口にした。

 

「し、喋った!?」

 

 サイトは驚いた。ツルク星人は確か、言葉を発しない種族だったはずだと記録されていたはずだ。

アンリエッタや青年も、この奇妙な姿の亜人が人の言葉で会話して来たことに驚愕するも、その言葉の内容にルイズが悪い意味で反応する。

 

 

「じ、時代遅れですって!?あんた、トリステインを侮辱するなんていい度胸じゃない!どこの亜人よ!」

 

「…他の星と比べ、この世界は宇宙に出る技術もなければ文明も遅れている。

それに貴様らメイジとやらも、少しは斬り甲斐のある奴がいるのかと思えば…どいつもこいつも口ほどにもない雑魚しかいなくてガッカリしたぞ」

「な…!」

 

ルイズの怒鳴り声に全く物怖じせず、そればかりか彼女に対し心底呆れたように、同時に嘲りを混じらせながらぼやいた。

あまりの返し方に、ルイズは言葉を失った。

 

ルイズには悪いが、実際こいつらにはそう見えるだろうとサイトは思った。メイジの手で異星人が倒せるなら、ウルトラマンも地球人も全く苦労しないし、侵略宇宙人たちも地球に来るだけの事態もなかっただろう。それだけに腹立たしいことだが。

 

「まぁ、ウルトラマンを除けば雑魚しかない星でも、引き受けた以上仕事は仕事だ。そこの小娘を渡してもらおうか。そうすれば見逃してやる」

 

ツルク星人は、右腕の刃を人差し指がわりにアンリエッタを指差す。拐われた際の惨劇が脳裏に甦り、アンリエッタは恐怖で身が強張る。

 

「ふざけないで!姫様を渡せるわけないでしょ!」

「…」

 

ルイズが真っ向から反発する。謎の青年もまた、ツルク星人に向けて銃口を向ける。

 

「そ、そうだ!トリステイン王家の可憐な花たる姫殿下を引き渡すなど、このグラモン家の男、ギーシュ・ド・グラモンが許さな…いだだだだだ!」

「何やってんだよ!怪我してんのに無茶すんじゃねぇ!」

 

 ギーシュも同調し薔薇の造花の杖を向けたが、傷の痛みを思い出して激痛にのたうち回った。格好がつかない彼にサイトが怒鳴る。

 

アンリエッタはギーシュの元に歩み寄って身を屈める。

 

「ルイズ、杖を貸してくださいませんか?攫われた時、杖を失ってしまって」

「え?あ、はい…喜んで」

 

 命じられ、ルイズはアンリエッタに自分の杖を貸し出す。受け取ったアンリエッタが呪文を唱えていく。

 

「イル・ウォータル・デル」

 

 水系統の魔法〈ヒーリング(癒し)〉の魔法の光が、ギーシュの傷に降り注ぐ。魔法の光を浴びていくうちに、彼の肩の傷の痛みが和らぎ、傷も塞がれていった。

 アンリエッタは若くしてトライアングルクラスに目覚めた優秀なメイジでもあった。魔法による傷の治療も得意であった。

 

「お、おおぉぉ!姫殿下自ら、僕の傷を癒してくださるなんて、このギーシュ・ド・グラモン感激の極みでございます!」

 

 ギーシュは、王女であり国の花たるアンリエッタ自らの治療を自分が受けたという事実に、幸せすぎて意識が飛びそうになっていた。ヴェルダンデもいたく喜んでいる様子だ。

そんな彼にアンリエッタが強く言い放つ。

 

「ギーシュさん、感謝の言葉は後になさって!今はあの者をなんとか退けなくては!」

「は、はい!」

 

アンリエッタの言葉で身を引き締めたギーシュは薔薇の造花の杖を構える。

 

『サイト、ぼさっとすんな!お前も構えろ!俺たちの知る異星人なら遠慮なんかいらねぇだろ』

「言われなくても!出番だぜ、デルフ!」

「おうよ!っへへ、歯ごたえありそうな奴だぜ」

 

それを見たサイトも、ゼロに促されるがままデルフリンガーを鞘から引き抜いた。

こちらに立ち向かう姿勢を見せるサイトたちに、ツルク星人はくっくと笑う。

 

「…現住生物は、脳みそも発達していないようだな。ならば、少し痛い目を見てもらおうか」

 

ツルク星人は、右手の刃を頭上に掲げる。その刀身に太陽の光がキラっと反射したと同時に、星人は刃を横一閃に振り下ろした。

直後、サイトたちの左後ろの木々が、一瞬で斬り飛ばされた。

 

「な…」

 

 30メイルほどの範囲に行き渡るほどの森の木々が、切り株の群れに様変わりした。わずか一瞬での出来事に、サイトたちは息をのんだ。

 

「今のは、わざと外した」

 

ツルク星人は、刃を見せつけるように持ち上げてほくそ笑んだ。

もしわざと外さずにこちらに直接あの攻撃を加えていたら…

 

「そこの姫以外の者を皆殺しにしちまえば俺の仕事は終わる。それまでせいぜい…俺を楽しませるんだな。

俺の刃に恐れ慄き、恐怖と苦痛に満ちた顔を俺に見せてくれ!」

「ひいいいい!!」

 

ツルク星人は真っ先にギーシュの方へ向かって刃を振りかざした。

ギーシュはすっかり恐怖し、呪文を唱えることも忘れて頭を覆った。

 

 だがここにはもう一人、異星人と呼べる者が味方にいる。それでいて、ツルク星人のような悪しき存在と戦える、選ばれし勇者が。

 

「うおおおおお!!」

 

左手の甲のガンダールヴのルーンが青く輝くと同時に、サイトは地鳴りを無視したような素早い跳躍で一気にギーシュとツルク星人の間に割って入り、デルフの刀身でツルク星人の刃を防いで見せた。

 

「サイト!」

 

それを見たルイズが声を上げる。

 

「…馬鹿な、なぜ現住生物の剣なんぞに俺の自慢の剣が防がれる」

 

 ツルク星人は、デルフリンガーの刀身に自分の刃がとらないことに驚いた。これまで彼が戦ってきたこの星…ハルケギニアの大地の人間には自分の刃を防ぐことができる者は誰もおらず、防ごうとしたものはいずれも真っ二つに叩き切って見せた。それを、こんな古臭い錆びついた剣が防いだ。

ツルク星人の身勝手なプライドに傷が入った。

 

「…いいだろう、小僧。まず貴様の剣を、貴様の体諸共切り裂いてくれる!」

「やってみろよ殺人宇宙人が!」

 

 サイトとゼロは、かつて地球に襲来した個体同様このツルク星人もまた、相手を傷つけて命を奪うことに快楽を覚えている凶悪殺人犯の思考を持っていることを察した。なら許しておくわけにいかない。ここで倒さなければ。

 

(へっ、余裕かましてられるのも今のうちだ!お前の手の内も、弱点もわかっているんだ!)

 

 サイトは、意気揚々としていた。今の自分には、伝説の使い魔とされているガンダールヴの力、そしてウルトラマンの力がダブルで備わっている。負ける気がしない。

 

それに…ツルク星人には弱点がある。ガンダールヴとウルトラマンの力で強くなったこの体でなら、あいつより早く斬りかかってそこを突いて仕舞えば…

 

 彼はデルフを構え、ツルク星人に斬りかかった。

その人間の尺度で見えれば圧倒的に速い動きに、流石のツルク星人も驚いた。そのため、危うく眉間にデルフの刀身が当たりそうになるも、間一髪左の刃でデルフを弾くと同時に体を右に捻ることで回避した。

 

(くそ!避けられた!けど!)

 

 サイトは諦めずツルク星人に再度斬りかかる。

狙うは奴の…眉間だ。

 

 とにかく風のように速く意識して飛びかかった。

ツルク星人は、両腕の剣による二段攻撃を得意とする。これを破るにはそれを超えた三段以上の攻撃、あるいはとにかく敵の攻撃の手を与えない素早い攻撃だ。今のサイトは後者の手段を取っていた。

 だが、ツルク星人はサイトの振り下ろして来たデルフを、簡単に受け止め、力のままに彼を押し除けるように突き飛ばした。

 

そして彼が地面に転がったところを、彼の首を跳ねようと剣を振り下ろそうとする。

 

「サイト!」「サイトぉ!」

 

 悲鳴まじりにルイズとギーシュが叫んだ。サイトは咄嗟にデルフを構えて防ごうとするも、ツルク星人も凶剣とはいえ剣術の達人であった。サイトが防ぐよりも速くその刃が彼に届こうとしていた。

 

 しかしそこで、ツルク星人に向かって一発の弾丸が飛び、星人はそれを右腕の刃で弾く。星人が球が飛んできた方を見ると、

 

謎の青年が銃口を星人に向けていた。

 

「貴様…」

 

忌々しげにツルク星人が男を睨む。

今だ!

 

 サイトは即座に構え直し、ツルク星人に斬りかかった。下からデルフの刀身が星人の眉間に向かって入り込もうとする。

 

「馬鹿!退け!」

 

 青年がサイトに向かって怒鳴った。しかしサイトの攻撃は止まらなかった。

 だが星人はそれを、即座に見切って受け止め、カウンターの一太刀を見舞おうと右腕の剣を突き出した。

まずい!サイトは咄嗟にデルフを盾にしてその刀身を間一髪防いだ。ガキィン!と時代劇の殺陣の場面のような金属音が鳴る。その音が強く響くほどに、星人の腕力が、デルフの刀身を通してサイトにも伝わった。

 

「つ、強ぇ…」

「っち!」

 

サイトの回避を援護しようと青年が銃撃を仕掛ける。

 

「させない!」

 

同時に、ルイズも見ているだけのままではいかないと杖を振り、爆発をツルク星人に放った。

 

「っグ!」

 

ツルク星人は、ルイズの爆破に僅かに怯んだ。

 

(や、やった!)

 

 ルイズは喜んだ。今、確かに自分のファイアーボールのつもりで放った失敗魔法が、奴にダメージを与えた。なら一息にと、再度魔法を撃とうとする。

 

…が、ここで青年は即座にサイトとルイズの首根っこを掴んで一度アンリエッタや、怖気付いて見ているだけになっていたギーシュの元まで退いた。

 

「ってぇ!何すんだよ!」

「そうよ!やっとこっちの反撃の出番だったのに!」

「馬鹿か?あれ以上突っ込んだらお前らが斬られていたぞ。攻撃が単調になりすぎだ」

 

 乱暴に引っ張られたことを根に持ったサイトとルイズが文句を言うが、青年の指摘にうっと息が詰まる。

 

すると、体にかかった砂埃を払い落としながら、ツルク星人はサイトを見た。

 

「やはりな。お前素人だろ」

 

な、とサイトの喉から声が漏れた。

 

「さっきから俺の眉間を狙ってるだろ?あからさまだな」

 

「な!」

 

なんでわかったんだと言いたげにサイトは目を見開いた。

 

「眉間?それが奴の弱点なの?サイト」

 

ルイズがサイトに尋ねる。

 

「あ、ああ…前にウルトラマンレオと戦った奴が確かそれでやられたって…」

 

「眉間が弱点?…くくく、もしやそれはカーリー星人のことか?」

 

吹き出したツルク星人の発言にサイトはえ!?と声を漏らした。

 

まさか、別の星人とごっちゃになってたのか!?

 

 そう、サイトはツルク星人の弱点が眉間にあると盛大な勘違いをしていた。

眉間を弱点としているのは『暗闇宇宙人カーリー星人』の方である。

 

 だがどちらも、サイトが生で見たことのあるウルトラマンメビウスの地球滞在期間と違い、再出現の記録がない、三十年近くの昔の時期に猛威をふるった怪物たち。時の流れと共に個人の記憶する情報が別の何かと混在してしまうというのも無理はないことであった。

 

 しかし、こんな時になんて恥ずかしい勘違いをしたことに変わり無い。ましてや正確に情報を記憶していないことは、戦いにおいて致命的である。

 

「全く舐められたものだな…迂闊に弱点を曝け出すなど、戦いを知らんガキの発想。最初からどこへ仕掛けるかもわかりきった攻撃など、俺に通じる訳がない。ましてや、弱点をさらけ出したままのカーリー星人ごときと混同しおって」

 

「…!」

 

 星人が小馬鹿にしたように笑った。自分の故郷で殺戮を働いた悪の星人に指摘を入れられた事実が、サイトのプライドを屈辱的に刺激した。

 

「なんですって!?サイト、あんたって奴はこんな時になんて馬鹿やってんの!」

 

ルイズからも厳しくしかり飛ばされてしまう。お前なんざあいつらのことなんて何も知らないだろと言い返したい気持ちが沸くも、

 

『あいつの言う通りだ。ったく、んな時にとんでもないミスをやらかすなんて、お前馬鹿だなぁ』

 

頭の中から、呆れ切ったゼロの子馬鹿にしたような声も聞こえてきた。

 

『んだよ!お前だって腐ってもウルトラマンなら、知ってたんじゃないのかゼロ!』

『腐ってもってなんだよゴラァ!』

 

「落ち着け相棒。あいつ、腐っても剣術の腕と経験豊富さは相棒の比じゃねぇ」

 

デルフも、激昂しかけるサイトを宥めて来た。

 

『…どうすんだサイト。いくらガンなんちゃらとやらの力があっても、お前はあいつに勝てねぇぞ』

 

「っ!じゃあどうしろってんだよ!」

 

ゼロからも力の差を理由に言われ、苛立ちでサイトは声を上げる。

 

『俺が表に出て代わりに戦ってやる。それならどうだ』

 

ゼロの提案にサイトはは?と、ゼロの言った言葉に一瞬呆けた。

 

『待てよ!ルイズたちの前で変身しろってのか?』

『変身しなくとも人格だけ交代させて俺が戦うことは可能だ。素人すぎるお前よりかはマシに戦える。どうする?悪くねぇ話だと思うが?』

 

 何が悪くない話だ、だ。サイトは躊躇った。こいつはディノゾールとの戦いで街に残ったままの子供を見捨てて怪獣を倒すことを優先しようとした、ウルトラマンであってウルトラマンとは言えない奴だ。信用できない。

 

その一方で青年はサイトたちにこう告げる。

 

「姫を連れてここを離れろ。俺が時間を稼ぐ」

「な!」

 

サイトは、自分だけ残って戦う意志を見せる青年に絶句した。

 

「何言ってんのよ!貴族にこんな舐めた真似したやつを放置しろっていうの!」

 

ルイズも反発し、見ている訳には行くまいと、杖を構えて自分も戦線に参加しようとしたが、その行く手を謎の青年が手を翳して静止した。

 

「ちびすけ、お前もだ。そこのキザ男も連れてここを離れろ」

「ち…!?誰がちびすけよ!どど、どこを見て言ってるのかしらね!?だいたいなんで、見ず知らずの平民のあんたに命令されないといけないの!

私だって貴族…」

 

 身分の差を顧みない言い分や、自分の体型面でのコンプレックスを刺激されて怒ったルイズは青年に怒鳴るも、青年はルイズに目を向けることなく、ツルク星人に銃を向けたままだ。

 

「最優先保護対象と足手まといを抱えながらでは戦いにくい。逃げろ、何度も言わせるな」

「い、言うことに欠いて足手まといですって!?」

「あんた…そんな言い方ないだろ!俺だって戦えるし、何よりあの宇宙人のこと知ってるのは俺だけだぞ!」

「弱点について盛大な勘違いをしていた癖に?それにもうお前の動きはとっくに見切られてるぞ」

「っぐ…」

 

 しかも露骨に足手まとい呼ばわりまでした。これにはサイトも同様に不満を抱くが、青年は有無を言わせないまま言葉を続けていく。

 

「お前たちは姫の救出のために来たのであってこいつを殺すことじゃないはずだ。目的を間違えるな。いちいち言わないとわからないのか」

 

言ってることは正しいが、平民から鼻につくような言われ方をされてわなわなと震えるルイズ。

…だが、なんとかぐっと堪えた。こいつの言う通りアンリエッタの身の安全を最優先としなければならない。

 

「逃すと思ったのか?」

 

 ツルク星人が、両手の刃を向けて駆け出して来た。

青年は接近する星人に、白い銃と紺色の銃の2丁で銃撃して応戦する。

 

 被弾し体に火花を起こしながらも、ツルク星人は刃を盾に近づき、青年に向けて二本の剣を振り下ろした。

 それを青年は、今度は懐より白い短剣らしきものを取り出し星人に突き出すと、青白い光の壁が現れ星人の斬撃を防いだ。

 

「!」

 

 金属すらも紙や豆腐のように切り裂けるであろうツルク星人の剣を防いだそのアイテムと、そこから発せられる光の壁。

 

(あいつ、まさか…)

 

さっきは同じ地球人であることを知り、それだけでも十分驚くことだった。でも、それ以上の衝撃の予想が、サイトと、ゼロの頭の中を過った。

 

「やはりか。さっきそこの姫の誘拐を邪魔された時から、ただのガキではないと思っていたが…」

 

 その予想はどうやら、ツルク星人にも付いていた。

 

「何よ、どういうこと?サイト、説明して!」

 

 言っている意味がわからない。ルイズはサイトに説明を求めた。しかし今、詳細な説明をしている余裕はない。

さっきは一緒に戦うつもりでいたが、もう一つ確かめたいことも生まれ、考えを変えた。

 

「ルイズ!あいつの言う通りにしろ!悔しいけど、まともにやって勝てるほどツルク星人は甘くねぇ!」

「サイト、あんた何言ってるのよ!今ここで」

「フーケの時のこと思い出せ!」

「…!」

 

 自分も戦う、この不届きな亜人に貴族の誇りを見せて倒さなくてはと使命感を発揮するルイズが反発したが、フーケの一件のことを持ち出されて何も言えなくなった。

 

「おいあんた!気をつけろよ!そいつは二段攻撃を仕掛けてくる!」

「わかっている。行け!」

 

 青年はサイトたちに速く逃げるよう促し、サイトたちはアンリエッタを連れてこの場か走り去っていった。

ツルク星人は、敢えて追わず目の前の青年と対峙し続けていた。

 

「追っていくと思ったが…」

「すぐに追いつけるさ。貴様を始末した後でな!」

 

 ツルク星人の体に、変化が起きた。

 その肉体はぐぐぐ…と肥大化し、人に近い顔や姿は、ワニのように大きな口を持った怪物の姿へと変貌した。

 

 これがツルク星人の巨大化形態。奴は等身大と巨大化後とで姿を戦闘能力が大きく変化するタイプの異星人だったのだ。

 

 

 

 

 

 先に離脱していたサイトたちにも、巨大変身したツルク星人の姿が目に入った。

 

「ヒィ!なんだね!?怪獣が現れたぞ!」

 

ギーシュが青ざめる。

 

「あれがツルク星人の本来の姿だ!」

 

 怪獣図鑑で読んだ通りだ。あいつは巨大化する前と後で姿が大きく異なる。ようやく本気を出して来たのだとサイトには分かった。

 

「あのような恐ろしい姿を隠していたなんて…!」

 

 最初の姿でもかなりの脅威だったのに、まだ隠し球を持っていたことにアンリエッタは戦慄する。

 

 

 

 皆がツルク星人に注目する中、サイトは来た方角を振り返る。あの青年は無事だろうか。

 

同じ地球人であり、もしかしたら…『自分と同じ』かもしれない彼は。

 

 

 その青年はツルク星人に向けて銃撃を繰り出していた。だが巨大化を果たした今のツルク星人には、焼け石に水であった。

 

 ツルク星人は足元で抵抗する蟻を目障りに感じてか、青年に向けて剣を振りかざす。

 

 

 青年は銃をしまい、地面を転がって避けると、彼の立っていた場所は土飛沫と共に、深く地面に亀裂を入れた。

 

攻撃を避けつつ、新たに白い短剣を取り出すと、それを鞘から引き抜いた。

 

 

 引き抜かれた短剣の刀身が青白く発光、更に赤く染まった光がその中から爆ぜ飛び、青年を包み込んで空へ立ち上った。

 

光の柱が消えると…そこに巨人が姿を現した。

 

 

その巨人を見て、ギーシュが叫んだ。

 

 

 

「あれは…ウルトラマン!?」

 

 

「ウルトラマンゼロ、来てくれたのですね!」

 

トリスタニアの時と同様に、自分たちの窮地を救いにきてくれたのだと期待するアンリエッタ。

ただ、ルイズは鋭く訂正を入れてきた。

 

 

 

「違う、ゼロじゃないです!」

 

 

 

 言われてみて、アンリエッタは、現れたその巨人が、以前見た分厚い金属の鎧の巨人と明らかに異なることに気づく。光の巨人をよく知らないからこそのほんのちいさな勘違いだったのだろう。

 

 

 

 銀色と黒の模様、兜のような形状の頭部、両腕の刃が付いた赤い腕輪、何より目を引いたのが、胸に埋め込まれたY字型の大きな水晶体。

 

 

 

まさか、ウルトラマンが一人だけではなく、無数にいるなどとは思わなかったのだ。

 

 

 サイトだけは、その巨人の正体が誰なのか分かっていた。ルイズたちが星人に気を取られている間、見えたからだ。

 

自分がウルトラマンゼロに変身するのと同じように、彼が光を纏い姿を変えた光景を。

 

(あの時のウルトラマン…!まさか、)

 

 

 そう、モット伯爵の屋敷でゼロがノスフェルに苦戦していた時、突然ノスフェルを光線技で打倒したあの、

 

銀色のウルトラマンだった。

 

 

―――――あいつもウルトラマンだったなんて…!!

 

 

 

『まさか、こうも早く拝めるとはな…』

 ゼロもまた、あの銀色のウルトラマンを再びお目にかかることになるとは思いもしていなかった。

 

 

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