ウルトラマンゼロ~絆と零の使い魔~   作:???second

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Heroic

 謎の青年が変身した銀色の巨人とツルク星人は、互いの動きを探りながら対峙する。

 

 ひゅうう…と風が互いの間を吹き抜け、時代劇の殺陣のような張り詰めた空気を漂わせた。

 

 下手に先に動けば、相手に隙を見せることになり敗北する。だが動かなければ勝負はつかない。

 

「キイイィ!!」

 

 先に先手を打ってきたのはツルク星人の方からだった。

自慢の両腕の刃を振り上げ、銀色のウルトラマンを切り裂こうと仕掛けてきた。

 

 銀色のウルトラマンは自分の首を刎ねる勢いで迫るその一太刀に対し、一歩もその中から動かなかった。両腕の赤い腕輪を重ね合わせただけである。

 

(何やってんだ!そんな棒立ち状態じゃ!)

 

サイトは、動こうとしない銀色の巨人に唖然とした。

あれでは次の瞬間に彼の首が飛ぶだけだ。

 

が、そうはならなかった。

次の瞬間、巨人の赤い腕輪に埋め込まれた青いクリスタルが光り、ツルク星人の刃が彼を切り裂こうとした瞬間…ツルク星人の刃はスカッと銀色の巨人の体をすり抜けた。

 

「!?」

 

今斬ったのは、ただの残像だった。銀色の巨人は赤い残像を残しながら、瞬間的にツルク星人の後ろに回り込んでいた。すかさず彼は、ツルク星人の後頭部に右回し蹴りを叩き入れた。

 

「デュ!」

「ギュオオ!?」

 

さらにもう一撃、遠心力で体を回しながら連続で回し蹴りを、最後に回転を加えたジャンピングアッパーでツルク星人の顎を殴り上げた。

 

よろっとよろめくツルク星人は体制を整えようと踏ん張ろうとすると、銀色の巨人は即座に手から光刃を飛ばしていった。それも一発だけでなく、ツルク星人の反撃を一切許す気のない絶え間ない連射だった。

 

光刃を受け続け、爆炎に包まれるツルク星人は無理やり後方へ押しやられていく。

だがツルク星人は、当時未熟だったとは言えウルトラマンレオを退けたことがある種族。黙ってやられる存在ではない。

 銀色の巨人の放つ光刃は、あくまで牽制技に過ぎないものだったのか一発の威力が弱かった。ツルク星人は、光刃の威力が大したことは無いと気づくと、防ぐのを止めて、光刃を受けたまま突っ込んできた。

当然これに、銀色の巨人も光刃を撃つのを止めて接近戦に臨むことにした。

胸の前に右腕の腕輪を添え、それを下ろす。水の波紋のような水色の輝きが彼の身を包み、銀と黒の色合いの模様から、血や炎を思わせる真っ赤な模様へと姿を変えた。

 

再び光刃が、彼の喉元を狙って迫る。それに対し、銀色…いや、赤いウルトラマンも右腕の腕輪から光の剣を生やした。

 

(技までメビウスに似てやがんのか)

 

サイトがその目で活躍を目の当たりにしたことがある勇者、ウルトラマンメビウスも度々光の剣〈メビュームブレード〉を使って数多の怪獣を切り倒してきた。その雄姿が瞼の裏で蘇り、赤いウルトラマンの姿を重なって見えた。

 

 赤いウルトラマンは右腕から生やした光の剣を、振り下ろされたツルク星人の剣に向けて振り抜く。

 剣と剣の激突で金属音が周囲に走る。数打ほど激突した果てに、お互いの剣が押し合う鍔迫り合い状態になった。

 赤いウルトラマンはツルク星人の刃を押し返そうとするも、ツルク星人もその分だけ押し返してきて中々一撃を通すことができない。

しかもツルク星人は、もう片方の刃も持ち合わせている。片方は赤いウルトラマンの剣を押さえつつ、残った左腕の刃で頭から叩き切ってやろうとそれを振り下ろしてきた。

二枚刃による二段攻撃。ツルク星人の得意技だ。

 

(危ない!)

 

サイトが叫んだ。

だがここで赤いウルトラマンも、意表を突く行動に出た。

 

自分の残った左腕を伸ばし、そこから光の鞭を伸ばして、ツルク星人の首を絞めた。

 

「ギ!?」

 

 突然首をぎゅううっと締め付けられ、ツルク星人は赤いウルトラマンへの攻撃を中断、自身の首に巻かれた光の鞭を解こうとするが、片結びされたヒモのようにほど気配がない。

 その間に赤いウルトラマンはツルク星人から数歩離れた位置まで後退、そのまま拘束を持続する。

ツルク星人は、自慢の刃で光の鞭を切り落とそうとする。しかしそれは赤い巨人に読まれた行為だった。

 ツルク星人が振り下ろそうとしたところで、赤いウルトラマンは強引に鞭を引っ張り上げ、ツルク星人の姿勢を崩して妨害、星人は鞭で首を絞められたままひっくり返された。

 

「グオ!?」

 

ひっくり返ったツルク星人の口からわずかな悲鳴が漏れる。

 

(こ、このガキが…!)

 

 転倒状態から立ち上がろうとすると、赤いウルトラマンはその時を見計らって光の鞭を伸ばしている右腕をグイッと後ろに引き、再度転倒を誘う。

 

(このツルク星人が…これまで何万人もの下等な異星人共をぶっ殺してきたこの俺が、どこぞの馬の骨とも知れない若造ごときにぃ!)

 

「ギイイィィ!!」

「ウ!?」

 

 二度も転ばされ、ツルク星人は強引に光の鞭を剣で切り落とした。赤いウルトラマンは光の鞭に力を入れていたためバランスを崩し、その隙をツルク星人に狙われた。

 ツルク星人の刃が、避けようとした赤いウルトラマンの肩を掠めた。

 

「グゥ!」

 

今の一撃で僅かだがダメージを与えたツルク星人は、赤いウルトラマンが怯んだ所を再度狙った。

 

(それも、あの同法の仇であるウルトラの一族にやられるなど!)

 

ツルク星人は、逆上していた。赤いウルトラマンに好き放題やられ、プライドをマイナス方面に刺激されまくっていた。ウルトラマンに…かつて地球でレオに同族が敗れたことが尾を引いて、彼にもウルトラマンに対する恨みの念が渦巻いていた。

 

赤いウルトラマンは肩に傷を負った影響でカウンターに入れないようで、避けるのに精一杯になっていた。だがツルク星人の刃がじわじわと届き始め、繰り出される斬撃をモロに食らうことは避けられても、刃先が彼の身に傷を刻み込んでいき、次第に赤いウルトラマンの動きが鈍くなっていった。

 

「グオオオオォォ!」

 

このまま三枚おろしにしてくれる!

 

得意の二段攻撃で赤いウルトラマンの体をバラバラにしようとした。

 

しかし…ツルク星人の2枚の刃が、彼の胴体を切り裂こうとしたその瞬間だった。

 

「ディア!!」

 

 気合いの声と共に赤いウルトラマンが奮起、二段攻撃を仕掛けてきたツルク星人の両腕の刃を、一撃目は左腕でツルク星人の右腕を掴むことで防いだ。だが残る二撃目が迫る。

 バカめ!このまま斬り殺してやる!ツルク星人は左腕の刃で、二撃目の一太刀を赤いウルトラマンに振り翳したが…

 

ガチィン!

 

赤いウルトラマンは、なんと右肘と右膝でガチン!と挟み込んだ。しかもその拍子に,ツルク星人の左腕の刃が粉々に割れてしまう。

 

「何ぃ!?」

 

 まさか自慢の剣が砕かれるとは思わず、ツルク星人は動揺してしまう。

 

 ツルク星人の動きが鈍ったのを見て、赤いウルトラマンは右腕から光の剣を展開、ツルク星人の両腕に剣を振り下ろした!

 

バシィッ!

 

「ギャアアアアア!!」

 

 肉を引き裂く音と共に、ツルク星人の右腕が、肘から先の部位がもぎ取られた。

 

 切り落とされたツルク星人の右腕を、赤いウルトラマンは返してやるとばかりに容赦なく突き刺した。

 

「グゲッ…」

 

 もはや武器を失い致命傷も負ったツルク星人に勝ち目はなかった。

 

 赤いウルトラマンは左脇に左手を置き、そこに右手を添えて抜刀術のような構えを取ると、彼の両手に赤い稲妻が迸る。その稲妻を纏わせたまま、十字形に両手を組み上げた。

 

その構えは、サイトもゼロもよく知る…ウルトラマンの光線技〈スペシウム光線〉と同じ構えだった。

 

その構えで放たれた光線は、ツルク星人の体に直撃する。

 

「ガフっ…!」

 

星人の胸に光線を浴びせ続けると、銀色のウルトラマンは背を向ける。

 

星人は胸に光線を受けてなお、まだ動いていた。赤色のウルトラマンに、残された力を振り絞って迫ろうとする。

 

「危ない!」

 

声を上げるアンリエッタ。

だが、あと少しのところでぴたりと時が止まったように止まると、ツルク星人の体は木っ端微塵に砕け散っていった。

 

「…!」

 

爆炎によって周囲の空気が、銀色の巨人ごと蜃気楼のようにチラつく。

 

その神秘的で威風堂々とした姿に、サイトたちは吸い込まれるように魅入られていた。

 

すると、巨人の体が白い光の渦に包まれ、小さくなっていき…やがて消えていった。

 

「消えた…!?」

 

周囲を見渡してみるが、巨人の姿は影も形も見当たらない。

 

サイトも皆と同じように目で追う中、ゼロと一体化してる影響で視力も上がっていたため、ただ一人だけ、銀色の巨人に変身した青年の姿が見えていた。ここから10時の方角。変身を解いた地点から離れていた。

 

サイトはその青年を追わなくてはと駆け出した。

 

「サイト!どこ行くのよ!」

 

ルイズの声は聞こえなかった。

 

 

 

銀色の巨人からの変身を解いた青年は、どっと疲れが押し寄せたのかその場で片膝を付いた。

ちょうど近くに綺麗に澄んでいた川がある。彼はそこへ歩み寄ると、両手で水を掬いそれを飲む。

少しだけ体力が戻った気がした。

青年は、変身前のツルク星人にも使っていた白い銃を取り出し、それを徐に頭上に向ける。

 

「待ってくれ!」

 

その声を聞いて、青年は警戒、振り返ると同時に声の主に向けて銃口を向けた。

 

「ちょ、待った待った!別に俺は敵じゃないって!」

 

来たのはサイトだった。

青年は一旦銃口を下ろした。

 

「何の用だ。姫ならもう返した。お前にもう用はない」

「そ、そんな言い方ないだろ!あんたと俺は、同じ地球人で…ウルトラマンじゃないか!」

 

 この男、一見するとワルドと同じくイケメンの部類だ。だがワルドのような朗らかな人柄を表してない。いけ好かない…すかした態度であることが癪に障る。

 

 だが、地球人でウルトラマン。自分と同じ存在と出会えたこの機を逃せないと、なんとか青年とのコミュニケーションを図る。

 

 

「えっと、まずはどっから話をしよっかな…」

 

しかしいざ話をしようにも、訊きたいことが多く話題に迷った。

 

「何緊張してんだよ相棒。別に女に愛の告白でもするわけじゃねぇってのに」

「いきなり出てきてキモいこと言うなっての」

 

 鞘から顔を出したデルフが茶々を入れてきたので、即座に鞘に押し込んだ。

 

「そうだな…まずは名前!俺、平賀才人って言うんだ。あんたは?」

 

 青年は、一時沈黙していた。実を言うと、彼はサイトに対して疑念があった。

サイトからすれば無用の用心に過ぎないことだが、彼にとって重大であった。

 

光の巨人に変身できるこの少年が、本当に信用に値するかどうか、と。

 

「あの~…」

 

一向に答えようとしない青年に、サイトは焦らされた。

もしや名前すらも話す気がないのだろうかこの男は。せっかくこうして出会えたのに?なぜ、自分にこうも消極的な姿勢を見せているのか、この時のサイトはわからなかった。

青年は一度深いため息を漏らすと、観念したように口を開いた。

 

「…『黒崎修』だ」

 

 黒崎修。名前の響きからして予想通り地球の人間だった。サイトは、喜んだ。ついに同胞に会うことができた。しかも、自分と同じくウルトラマンの力を持った地球人。親近感が無意識に湧いてくる。

 

「じゃあ黒崎…さん?さっき自分が地球人だって認めてたよな?

どうして地球人であるあんたがこの世界にいるんだ?それにあんたが変身したあのウルトラマンだってそうだ。どうしてあんたがウルトラマンの力を…」

 

「そう立て続けに捲し立てるな。順を追って話してやる。俺もお前に少し興味がわいてきた」

 

「あぁ悪い。つい嬉しくってさ。まさか同じ地球人でウルトラマンでもある人に会えるなんてさ」

 

 サイトはそれから自分のことを話していった。

地球からルイズという貴族の女の子に召喚されたこと、その際にゼロ言う名前のウルトラマンと一体化したこと。同じウルトラマンであり地球人でもある青年にすっかり気を許したように話した。

 

「ゼロ…俺以外の、ウルトラマンか」

「あぁ。ただこいつが癖のある奴でさ…」

『癖があるってなんだよテメェ!俺が変な奴みたいじゃねぇか』

 

サイトの自身に対する言い分に黙っていられなくなったゼロが抗議の声を上げる。

とは言えゼロの声は、彼が表に人格を出していなければ聞くことはできないし、事情を知らない者がそれを聞いてもサイトが話しているようにしか見えないもの。サイトが表に出ている間、一体化しているサイト以外の人間には聞こえないものだ。

…人間の常識の枠をはみ出した存在を除いて。

 

「…今の声がそのゼロか?」

 

「あんたにも聞こえてたんだ!やっぱ俺たち、何か通じ合うものがあんのかな。へへ…」

 

サイトはますます青年…黒崎や、彼を通して知りたいことを知れるかもしれないと言う期待に胸を踊らせた。

 

「じゃあさ、黒崎さん」

「シュウでいい」

「…じゃあ、シュウ。あんたはどうやってウルトラマンになったんだ?俺みたいに、ウルトラマンと一体化したから?」

「それは…」

 

ピリッ…!

 

話そうとした突然、シュウは頭を抱えふらついた。

 

「う…」

「おい、大丈夫か?」

 

倒れかけた彼を、サイトは受け止め、シュウは彼に肩を借りながら立った。

 

「さっきの戦いのダメージか?」

 

「そんなことはない。普通だ」

 

シュウは姿勢を整え、さっき自分の頭に走った頭痛など最初からばかったもののように振る舞う。

 

「さっきの質問だが…」

 

しかし、このタイミングであまり聞きたくなかった声が聞こえてきた。

 

「サイト!!どこに行ったのよ!」

「サイト!返事をしたまえ!」

 

 ルイズたちの声だ。あぁ、自分が先走ってここまで来たから、心配になって探しに来たのだろう。まだこっちにいることは気が付いてないようだが、できれば彼女が来る前に知りたいことを教えてもらわなければ。

もしルイズたちに、この青年の正体がウルトラマンだと知られれば、かつて地球を救ってくれた、サイトがこの目にしたことのある英雄『ウルトラマンメビウス』の身に起きた厄介な出来事が、この青年の身に降りかかるかもしれない。

 名残惜しいが、仕方ない。

 

「シュウ。あんたはどうやってこの世界に来たんだ?俺みたいに地球から召喚されて使い魔にされたって感じか?」

「使い魔?」

 

 シュウは首をかしげていた。

 あれ?とサイトも思わぬ反応に戸惑う。ひょっとして、違うのか?そう言えばさっき、ウルトラマンと一体化してその力を得たかどうかもシュウは答えていない。

 

「えっと、さっき言ったと思うけど、俺ルイズって子に召喚されてこの世界にいるんだ。あんたもそうなんじゃないかなって」

 

「……」

 

 シュウは何故か考え込むように腕を組んだ。

 何故だろう。サイトはすぐに答えなかった彼の仕草になんとも言えない違和感を覚えた。別に隠したり返答を濁したくなるほどのことでもないだろうに。

 

「……そうだ。俺もある子に召喚されてこの世界にいる。今は彼女の家を拠点に、ウルトラマンとして戦っている」

 

「そうか!やっぱそうなのか」

 

 シュウがようやく質問に答えてくれたことでサイトは納得した一方で、ある事実に気がついた。

ルイズは確か、使い魔召喚の魔法は、使い魔を連れてくるだけで帰ることはできない一方通行ものと言っていた。

自分と同じ手段でこの世界に来ているのなら、帰る方法がない、と言うことだ。

 

「そうはうまくいかないかぁ…帰る手がかり、まだわからないままなのか」

 

 元より孤児だった自分を引き取ってくれた義母のことだ。きっと失踪した自分を心配しているはずだ。

 

「そんなに帰りたいのか」

 

シュウが口にした言葉に、サイトは何を言ってるんだと感じた。

 

「え?あんただってそうだろう?」

 

 その次にシュウが告げた言葉は、サイトにとって信じられないことを口にした。

 

「別に。俺は帰れなくても構わない」

 

「え?」

 

「どうせ俺は罪人だ」

 

 はい?

 サイトはまたも自分の耳を疑った。

 どう言う意味かと尋ねようとしたところで、再び声が、しかもさっきよりも近い場所から聞こえてきた。

 

「サイト!返事しなさいよー!」

 

ルイズの声だ。もうここまで迫ってきていた。

 

「行けよ、お前の仲間のところへ」

 

 そう言ってシュウはサイトから背を向け出した。

 

「待ってくれ!どこへ行くんだよ!」

 

 まだ話したいことがたくさんあるのに!サイトはシュウを引き止めようとするも、シュウはもう話すことはないと言いたげに背を向けたままだった。

 

「仮住まいに帰るだけだ」

 

 シュウは懐から取り出したブラストショットを天に向けて撃った。すると遥か彼方の上空から、不思議な石像が飛来し彼の前に浮遊した。

 

(なんだこれ…!?)

 

 サイトたちは、シュウが呼び出したこの謎の石像に対して驚くばかりだった。一体この石像は…?

 

 シュウはその石像に近づくと、白い光に包まれその石像の中に吸い込まれた。石像はシュウを吸い込むと、彼の変身したウルトラマンと非常によく似た模様をその表面に刻み込み、一機の鮮やかな飛行機のような姿になる。サイトは、思わずその石像『ストーンフリューゲル』に近づく。

 

「サイト、こんなところにいたのね!全くご主人様を放って一体…」

 

ちょうどそこへルイズとギーシュがやってくる。文句を言おうとしたルイズだったが、サイトがストーンフリューゲルの近づく様を見て言葉を切った。

 

「サイト!」

 

 危ないぞ!とギーシュが声を上げたが、サイトは不思議なものに導かれるようにストーンフリューゲルに触れた。触れた途端、彼の腕に稲妻が走った。

 

「っぐあああ!!!?」

 

瞬時に、彼の頭の中にあらゆる映像が流れ込む。

 

 

 

暗闇の道をただ一人歩く少年。

森の中で起こった生と死しかない世界で奔走する少年。

銃撃と爆風によって死んでいく人々。

彼に対して暖かな笑顔を向ける、可憐な少女の姿。

その少女を抱きしめながら悲しみの海に沈んでいく青年。

 

 

 

そして、最後に見えたのは…奇妙な様式の『遺跡』。

 

 

 

「はあ、はあ…」

「大丈夫、サイト?」

 

 汗ばみながらその場に尻もちをつくサイトを心配して、未だ惚れ薬の効果が切れていないルイズは声をかける。

 

「大丈夫だ…悪い、心配かけて」

 

 サイトたちが見守る中、ストーンフリューゲルは空に浮かぶと、遥か彼方の夜の空へと消えていった。サイトたちは、ストーンフリューゲルが飛び去って行った空をただ見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はこの日、俺と同じウルトラマンとなる青年、『シュウ』と初めて会話を交わした。

 彼のことはこのときよく知らなかったが、あの石像に触れたときに見えた映像を見たとき、すごく重い何かを感じた。

 

 けど俺は、彼が頼れる味方になってくれるはずだと信じた。

 

そうでなければ、俺たちを助けてくれるはずがない。そう思ったから。

 

 

------BYサイト

 

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