外へ脱出したルイズたちは、ラ・ロシェールの街の風石鉱山へ続く道路より、鉱山の外観を見上げた。
地響きが激しくなっている。もう鉱山の中は先ほどよりも崩落し、もう入ることは叶わないだろう。
それでもルイズは、サイトを助けに自ら向かおうと足が動きかけるが、その度にワルドが自分の肩を掴んで止めてくる。
「ワルド!離してよ!やはりサイトを助けなきゃ!」
「いい加減にするんだルイズ!今君が言ったところで、君が生き埋めになるだけだ!ギーシュ君の使い魔を使っても、この激しい地響きの中を行かせるには危険だ!
それよりも、街の住民たちを避難させるべきだ」
ワルドの判断は正しいが、冷徹さもある。納得ができない。サイトを見捨てられないルイズは泣きそうになった。
「二人とも見たまえ!」
ギーシュが鉱山の方を指差した。
鉱山の内側を突き破って、大きな土飛沫と共に…
ガボラとテクターギア・ゼロが互いに組み合う形で現れた。
ガボラはゼロと組み合う際に、顔を外甲で覆った。
ガボラは顔が弱点だ。それを補うための外甲でもある。そのため、たった今放たれたゼロの拳は…
ガキィン!
「デュア!?…ッテェ…!」
跳ね返される。人間で言えば石やコンクリートを殴るようなもの。殴ったゼロが、自分の右拳を痛めるだけだった。
知識としてすでにガボラの外甲が固いのは知っていても、実際に味わうのとはわけが違う。
激痛で手を払いながら、ゼロはガボラから離れた。
ガボラは即座にゼロに向けて、外甲を高速回転させて突き出した。
突き刺さる勢いで向かってくるドリルは、まるでスリラー映画の殺人鬼に襲われているかのような錯覚を、ゼロと一体化しているサイトに与えた。
「…!」
咄嗟にサイトは…いや、ゼロは手を突き出し、外甲を受け止めた。
ガボラはゼロに掴まれたままの状態でギュルギュルと外甲を回転させていった。
外甲の高速回転で強烈なまでの摩擦で火花が散り、ゼロの掌を伝う。
「っぐ!あ、ちちち!!」
摩擦熱に耐えられずゼロは手を放してしまい、その結果ガボラのドリル攻撃を胸に受けてしまう。
「グアアアア!」
勢いよく突き飛ばされ、ゼロは山肌に背中を打ち付けた。
立ち上がろうとしたわずかな間にも、ガボラは外甲を回転させたまま突撃を仕掛けてきた。
さっきのように手で受け止めるのは危険だ。咄嗟に首を捻って避ける以外になかった。
ガボラは、絶対にゼロの顔を貫いてやろうとばかりに、回転させた外甲で乱れ突きを繰り返した。
「この…離れろ!」
顔がダメならば腹を狙うまで。ゼロは、顔を貫かれる直前にガボラの腹を狙って蹴りを入れ、ガボラを蹴飛ばした。
山間部の地面を転がっていくガボラ。ゼロはその間に立ち上がって、ガボラに追撃を加えようと駆け出し、仰向けに倒れていたガボラの上に乗って殴りつけていった。
「っへ、このままなぶり倒してやる!ドラララララァ!!」
ガボラに反撃の期を与えまいと、一方的に殴打を繰り返し、自分の優位を維持しようとするゼロ。
しかし、その状態が手痛い反撃のフラグとなった。
確かにゼロの連続殴打によってダメージは受けていただろう。だが、ガボラは弱点である頭部さえ無事ならば、他の部位を殴られてもある程度は耐えられる。
耐えに耐え続けていたガボラの、閉じていた外甲の内側にエメラルドグリーンの輝きが灯っていく。
『ゼロ、おい!なんかガボラが光ってるぞ!』
「知ったことかよ!」
サイトが自分の中から声をかけて注意を促してきたが、ゼロは構おうとしなかった。このまま殴り続けて倒してしまえば同じことだ。そのままゼロはガボラを殴り続けた。
こうして力づくで敵を捩じ伏せて仕舞えば全て解決できるのだ。まだるっこしい作戦も小細工も必要ない。
力だ。そうだ。力さえあればどんな敵を倒せる。全てを解決できる。ウルトラマンたちの悲願でもある全宇宙の完全平和だって敵うのだ。
それなのに…
――――お前は小手先の力しか信じていない。そんなものは…!
脳裏に浮かぶ、獅子のような風貌を持つ光の国の先人を思い出してしまう。
―――――力任せで暴れるだけ。これでは怪獣や魔物と変わらないな
決闘の際に告げられたワルドの言葉と重なってしまう。
「っるっせぇんだよ!」
いちいち偉そうに説教垂れたがって!こんな鎧さえなければ、俺にボコられるのが目に見えてる中年が!
ガボラをそれに見立てることで八つ当たりも同然にゼロはガボラを殴り続けた。
だが、ゼロが右拳を振り翳した瞬間…ガボラの外甲が開かれた。
その口に光が灯っていて、ガボラはその口から、熱線を放った。
「グアァ!」
超至近距離で放たれた熱戦を受け、ゼロはガボラの上から振り落とされた。
同じ頃、ルイズたちはラ・ロシェールの人々の避難誘導を行っていたのだが、遠目でゼロとガボラの戦いは常に見えていた。
「あぁ、ウルトラマンが!」
地面を転がるゼロを見てギーシュが声を上げる。
「なんてやつなの!口からあんな光線を撃つなんて!」
ルイズも、ガボラにあのような技があったことに驚いた。ウルトラマンを怯ませるほどの威力の光線なんて、詠唱も無しで使えることも含め、反則にしか思えない。
「…」
ワルドは静かにゼロの戦いを見ていた。決して目を離すまいとその目を鋭くさせながら。
すると、彼は指笛を鳴らした。その音に引かれ、空の彼方より彼のグリフォンが飛来した。
「二人は引き続き住民の避難を続けてくれ。くれぐれもウルトラマンに助力しようなどと、無茶はしないように」
ゼロはガボラの光線を受けてなお、すぐに起き上がることができた。
「っち、この邪魔くさい鎧にまた助けられたな…」
舌打ちしながら、テクターギアの胸元の焼けた個所をなぞるゼロ。もしテクターギアを身に纏っていなかったら、今のように起き上がることもままならなかったかもしれない。
『迂闊すぎんだろ!ガボラにはあの激やば光線があったってのに!』
なぜ自分の忠告を無視したのだと、頭の中でサイトの非難が飛ぶが、ゼロは「黙ってろ!」と怒鳴って黙らせた。
『相棒たち!喧嘩してる場合じゃないぜ!』
チームワークも減ったくれもない、一体化している間柄とは思えない状態だ。サイトが身に着けた状態で変身したため、同じくデルフもゼロの中で二人の会話の一部始終を聞いていたが、これは目の前の敵より厄介な事態である。
サイトとゼロは、互いに納得しがたいものを抱えつつも、改めてガボラに向き直る。
「くそ、このテクターギアさえなけりゃ光線を打ち込んですぐに片づけられたはずなんだけどな…」
このテクターギアは防御を高める性能に関しては副次的なものであり、実際はただ思いだけの訓練用ギプスに過ぎない。しかも巣の身体能力を鍛える目的のため光線技も封じられてしまう。今のゼロは光線技を使うことができないのだ。
『もし光線技が使えてもガボラ相手じゃやばいだろ。あいつ、元々ウランを食べてたって話だし。そんな奴に光線なんか撃ったらとんでもないことになると思うぜ』
サイトが忠告を入れてきた。
かつて初代ウルトラマンと交戦したガボラはウランを主食としており、その生態もあって放射能を周囲に振り撒いていた。二次被害とその事後処理もきっと大変であったはずだ。ウルトラマンがスペシウム光線でガボラを倒そうとしなかったのも、もし撃った場合…光線を構成しているスペシウムエネルギーとウランの化学反応でどれほどの二次被害が生じるか想像もつかなかったからだ。
もしあのガボラ同様に、下手に光線技や爆発力がある技を使えば…
「元より光線技なんて今の俺には使えねぇ。だったらぶん殴ってやる以外にねぇってことだろ!」
だったらこのまま接近戦を試みるのみ。テクターギアの防御力なら、奴が光線を撃ってきてもある程度は耐えられる。その状態で近づき、弱点である頭に攻撃を加えるしかない。
ゼロはガボラに向かって駆け出し、出だしに飛び蹴りを仕掛ける。
ガボラは外甲を開いたままだ。
ガボラの外甲が、開いたままの状態で高速回転を開始した。
無駄なことを!とゼロは内心ほくそ笑んだ。
奴はオリジナルのガボラと同じく光線を吐くことができるようだが、今の攻撃は突風を巻き起こす技。
だが、台風は風が弱まる中心部である台風の目と呼ばれる箇所が存在する。あのガボラの場合、頭を中心に風が起きているため、頭は風に守られていない。飛び蹴りをの姿勢を維持して急速接近しながら飛行すれば、奴の頭に蹴りを叩き込める!
もらった!このまま頭を狙って頭蓋を砕いて勝負をつける!
…が、ここで予想外なことが起きた。
ガボラの外甲は、さっきまでのとは逆方向に高速回転し…
なんと空に舞い上がったではないか。
「『な、なにぃ!?』」
『なんじゃそりゃあ!?』
サイト、ゼロ、デルフの驚きの声が同時に上がった。
またしてもガボラの未知の能力。外甲の回転を利用して、ヘリコプターのように飛ぶなんて!
飛び蹴りを避けられ、ゼロは唖然とした。
しかもガボラは飛行したまま、地上にいるゼロに向かって、あの激ヤバ光線を撃ってきた。
光線を受けるわけにいかない。ゼロは咄嗟に前に向かって前転して避けるが、その結果…
ラ・ロシェールの街の一角にガボラの光線が被弾、火災が起きてしまった。
ガボラは地上に向けて再び光線を撃ってくる。嵐のように降り注がれる光線を、ゼロは避け続ける。
「野郎!」
ゼロは今度は自分が攻勢に転じようと空を飛ぶ。
すると、ガボラはそれを先読みしていたようなタイミングでゼロに砲撃。
「しまっ…ドワアァ!」
光線をモロに受けたゼロは吹き飛び、その拍子にラ・ロシェールの街の建物を次々と潰してしまう。
もうすでに動き回り続け、ダメージも深く受け続けた。
すでにテクターギアの下に封じられたゼロのカラータイマーは…
ピコン、ピコン、ピコン…
赤く点滅し始めていた。
「くそがぁ…!」
瓦礫を押しのけながら、片膝をついた姿勢で頭上のガボラを見上げるゼロ。
『ど、どうするんだよ。下手に向かってもあいつの熱線の餌食になっちまうし…』
「ちくしょう、こういう時こそこっちも光線を撃っておきてぇってのに…!」
『だからやめろって!あいつの光線にはウランが含まれてるかもしれないんだぜ』
使えない光線技に頼りたがるゼロを、サイトが咎める。
ガボラは地上に降りてきてこちらを見ると、ぐっぐっぐ…と鳴いた。その声色は上擦っていて、まるでこちらを笑っているかのようだ。いや、実際嗤っているのだろう。ゼロにもサイトにも、不快な気持ちを抱かせる。
『なんとか反撃を仕掛ける手立てを考えないと』
「うるせぇぞサイト!俺があんな怪獣一匹にやられるわけがねぇ!」
『お前、状況わかってて言ってんのか!こっちの攻撃にガボラは対応し切ってんだぞ!それに、下手に俺たちが動き回りすぎたらこの街が!』
「黙れぇ!」
街の被害が拡大してしまうと警告しようとするサイトの言葉を、ゼロは喚いて遮った。
『俺が、このウルトラマンゼロが、ワルドごときに…あんなちっぽけな人間なんかに言いたい放題されて黙ってられるか!』
サイトは絶句した。人間を守るためではなく、あくまで自分の力を誇示するために怪獣や星人と戦ってきたことはわかっていたことだが、まさかワルドに貶されたことにここまで過敏に憤慨していたとは。
『馬鹿野郎!それじゃあの時のルイズと何も変わらないじゃないか!』
「うるせぇ!サイト、てめぇまで俺を馬鹿にすんのか!体を貸してるだけの分際で!」
『ば、こ…このウルトラゲス野郎…!』
『いい加減にしろ相棒!怪獣が…』
サイトとゼロがお互いに揉めている間に、ガボラは隙だらけなゼロに向けて光線を撃とうとしていた。デルフが呼び掛けるがもう遅い。
ガボラは次なる攻撃をゼロではなく…地上にいる人々に向けていた。
ウルトラマンであるため、はるか遠くまでの視線の先も見通せるようになったサイト。
ガボラは口に光を灯らせ、光線を放とうとしている。その射線の先にいるのは…
「しま…ルイズ!!」
地上でこちらの戦いを見守っているルイズたち。
下らない口喧嘩をしたばかりに、こんな馬鹿な事態になるなんて!サイトは自分を責めた。
もう距離が離れすぎている。飛び出して我が身を盾にするだけの余裕もないほどに。それでもルイズたちを守ろうとゼロ…否、サイトは駆け出した。
そんな時だった。
「エア・ハンマー!」
上空よりグリフォンに乗ったワルドが飛来、ガボラに向けて風の槌をぶつけてきた。
『ワルドさん!?』「ワルド!?」
このタイミングでのワルドの参戦にサイトとゼロは驚いた。
風邪の魔法による強い衝撃がガボラの頭に直撃する。
弱点である頭を狙われたことで、ガボラは頭を守ろうと外甲を閉じて頭を覆った。それをドリル回転させてワルドを攻撃しようとするも、ワルドと比較すると遥かに大きなその巨体のせいで大ぶりになり、彼の乗るグリフォンに素早く避けられてしまう。
加えて、外甲を覆った状態では視界も悪い。尤も生物学的な観点から、ガボラはそれを克服するだけの何か…匂いや音で敵の位置を特定するといった生態が備わってると考えるべきだろうが、
「エア・ニードル!」
足元を狙って放たれた風の針が突き刺さり、ガボラは足の小指をぶつけられたような鋭い痛みに耐えかね悶えた。ならば足を守ろうと体を丸めて足を覆うと、今度は背中から同じ魔法が突き刺さる。
痛がりつつも振り返って、ドリル回転させた外甲で反撃しようとしても、やはり大ぶりすぎて、グリフォンに乗って素早く避けるワルドには当たらない。
幾度か攻撃と後退を繰り返し、ついにガボラは堪らなくなって外甲を開いた。そして扇風機のように外甲を回転させて空を飛び始める。空に逃げることで一度距離を空けようというのか。
ワルドはすかさずグリフォンで追った。そして、空を飛んでいるため外甲を閉じれないガボラに向けて風の魔法を次々と放った。
ガボラは飛び回りながらそれを避けていった。意外にも空を飛ぶと、地上にいる時よりも速く動けるらしい。だから空に逃げて反撃の機を伺おうとしたのだろう。現にガボラの口に光が灯っていた。
『ダメだ!逃げろワルドさん!』
思わずゼロの中でサイトが叫んだ。
あれが放たれ、もし避けきれなければワルドは…!
だが、ワルドは逃げなかった。なおも得意の風魔法をありったけ放ち続け、中空での攻防戦を続けていた。
ワルドの風魔法を、飛び回りながらガボラは避け続ける。空を飛んでいる間、外甲をとじることはできない頭を狙ってきているため、避けるしかないガボラ。
これ以上は飛行し続けることが難しい。ガボラは地上へ降りようとしたのだが、
「〈エア・スピアー!〉」
突き刺さるような風の針が飛んできて、ガボラはさらに上空へ自身を舞い上げることで避け、地上への降下は叶わなかった。
ガボラは痺れを切らし、ワルドに向かって、口から貯溜めに溜めていた光線を放った。
ゴオオオォォ!と文字通り火を吹いたような轟音が光線と共に走り、ワルドを焼き尽くそうと襲い来る。
しかし、予めそう来ると見ていたのか、または直線的な攻撃だったせいもあってか、ワルドのグリフォンは上空に舞い上がることで、それを見事に避け切って見せた。
ガボラは、自分の渾身の砲撃を避けられ目をぱちくりさせるほどに驚いていたが、今度こそはとワルドに向かって行こうとした。
だが…
「無駄だ。もう貴様は限界だろう?」
冷たくワルドがガボラに呟いた。
その目に映っていたガボラの表情だが、どこか疲労困憊に陥ったように、息が荒くなっていた。
すると、回転し続けていたガボラの外甲に異変が起きた。
さっきまで最大風力を維持し続けていた扇風機のように回転し続けていた外甲の速度が、次第に遅くなっていた。そうなってから程なくしてガボラの外甲の回転が…止まった。
そうなったことで、ガボラは中空浮遊の状態を維持できなくなり、地上に向けて落下し始めた。
その高度は…600メイルを超えた超高度から。
隕石のような勢いとまでいかずとも、ガボラは一気に落ちていった。
しかも落ちていったその先は…
ラ・ロシェールの街の近くにある、鋭く尖っている山の山頂だった。
疲労で空を飛べなくなり落ちていくガボラはそのまま山頂に向けて頭から真っ逆様に落下し…
グサリ!!
「ガアアアア!!!アァ…」
頭に尖った山の山頂が突き刺さった。
脳天を貫かれ、ばたりとその山の山肌に背中を打ちつけ、ガボラは絶命した。
超高度の位置の高さまでガボラを誘き出し、疲れるまで空を飛び続けさせる。疲労困憊になれば、ガボラは空を飛べなくなって落下する。
あれだけの巨体と重量を兼ね備えた体で遥かな高度から落下してしまえば、流石に怪獣といえどひとたまりもない。それも先が尖った山頂に、弱点である頭に自分の体重何トンもの力を加えられてはなおのこと。
自分の魔法に怪獣を倒すだけの威力がないのならば、奴自身の能力を利用して自滅に追いやる。
これがワルドの作戦だった。
「嘘…だろ」
ゼロの、サイトも、目の前の現実に目を疑った。
ここは化学兵器が一切ない異世界。開発された兵器も、悪魔のような怪獣や侵略者が相手であっただけに、この世界の魔法と比べると圧倒的な力を誇る。それが一切合切存在しないはずの世界で、対怪獣防衛兵器など使わず低威力しかない魔法、何より知恵をフルに使ってガボラを…
怪獣をたった一人で仕留めて見せたのである。
「や、やったぞ!貴族様が化け物をぶっ倒したぞ!」
ラ・ロシェールの人々から歓声が上がった。
「ありがとうございます貴族様!」
「トリステイン万歳!貴族様万歳!」
ワルドが乗るグリフォンが街の街道に降りてくると、避難していた住民たちがやってきて歓声を上げながら彼を迎え入れた。迎えられたワルドは困ったような笑みを浮かべていた。
「す、すごいぞルイズ!やはり君の婚約者殿は、素晴らしいメイジだ!まさかウルトラマンでも手こずった怪獣をたったお一人でやっつけるなんて!流石グリフォン隊隊長を務められてるお方だ!」
同じくこの場にいたギーシュが、隣にいるルイズに興奮しきった声で言った。
「ええ…」
ルイズも驚いていた。すごいメイジであることは幼い頃より知っていたが、まさか…怪獣を倒して見せるなんて。
「………」
ゼロは、皆から歓声を浴びせられているワルドを見て、グググ…と拳を握った。
ついこの間まで自分が怪獣と戦い、勝ってきた。でも今は、いかに優れたメイジとはいえ自分よりも圧倒的に力が劣るはずのワルドが、怪獣を倒して見せた。知恵と勇気を最大限に発揮して。
力で勝るはずの自分が何の結果も出せず、人間が勝利したという事実が、ゼロとサイトに無力感と屈辱を与えた。