そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

11 / 93
敵だ!敵だろう!なぁ敵だろうおまえら!

 ハルくんです!今、緊急で皆に語りかけてます!

 人命救助訓練のために、校舎から離れた訓練施設に来た僕たちは、たくさんの敵と対峙してるんだよね!?

 

「敵ッ!?バカだろ!?ヒーローの学校に乗り込んでくるなんてアホすぎるぞ!!」

 

「先生侵入者用のセンサーは!」

 

「もちろんありますが」

 

「校舎の方にも侵入しているかわからないが……センサーが反応しねぇなら……彼奴らの中にそういう“個性”がいるってことだろうな」

 

 クラスメイトも状況を理解してきたみたいで、パニックになりかけている。

 僕は“個性”故に危険に耐性があるから、そこまで取り乱してはいないけど……。

 

「13号避難開始!学校に連絡試せ!上鳴お前も“個性”で連絡を試せ!」

 

 相澤先生は的確に指示を出し、敵達に向かっていく。

 

「先生は一人で戦うんですか!?」

 

「あの数じゃいくら“個性”を消せても!!先生の戦闘スタイルは敵の“個性”を消してからの捕ッ「ストップ!手の内は隠さないと」……ごめん」

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号!任せたぞ」

 

 緑谷くんの心配に、かっこよく返した相澤先生は、13号先生に僕たちを任せて敵達と交戦する。

 階段を勢いよく飛び降りた相澤先生を、狙った遠距離持ちの敵が、一斉に攻撃を仕掛ける。

 しかし、その攻撃は不発に終わる。

 

 相澤先生が()()

 

 これだけで相手は“個性”が使えず、隙ができたところを捕縛布を使った攻撃で、戦闘不能になる。

 

 改めて“抹消”の強さを理解したよ……“個性”主体の奴なら見るだけで完封できるし、多数を相手にしても今みたいに、隙を作って的確に処理していく……相澤先生風に言うなら、合理的ってやつだ。

 

「すごい……!多対一こそ先生の得意分野だったんだ!」

 

「緑谷くん!それは後にしよ!今は逃げることに集中して!」

 

 手でメモを取る緑谷くんの腕を掴んで、13号先生についていく。

 

「13号先生!来ます!!」

 

「おや、バレてしまいましたか……まぁいいでしょう。初めまして我々は敵連合。せんえつながら……この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは……」

 

「平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

 こいつは何を言っているんだ?オールマイトを殺すって言ったのか?

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ……ですが、なにか変更あったのでしょうか?まぁてそれとは関係なく……私の役目はこれ」

 

「その前に俺たちにやられることは、考えてなかったか!?」

 

「危ない危ない……そう……生徒といえど優秀な金の卵」

 

 黒いモヤの敵が僕たちに何かしようとしたけど、爆豪くんと切島くんが攻撃して中断させる。

 咄嗟に動けるのはすごいと思う……でもその位置はまずい。

 

「ダメだ!どきなさい二人とも!」

 

 13号先生の軌道上に二人がいるせいで、“ブラックホール”が使えない。

 

散らして嬲り殺す

 

 動けない13号先生、その隙を敵が許すはずもなかった。

 僕たちは黒いモヤに飲み込まれてしまった。

 


 

「あっつぅ……」

 

 気がつくと目の前が火に覆われていた、おそらく火災ゾーンと呼ばれる場所に飛ばされたみたいだ。

 “個性”のおかげで僕に近づく火は防御できるんだけど、熱は攻撃判定されてないみたいで、どうにもならない……というかバリアでこの暑さがマシになるわけがない。

 

「ガキが来たぜ!」

 

「女はいねぇのか?」

 

「俺はあいつでもいいぜ……イケメンをぐちゃぐちゃに汚すのがたまんねぇんだよ!」

 

「変態かよ!……まぁこいつ殺したら別んところに行きゃいいだろ」

 

「口開け貰おうと思ったのによ……まぁいいかほぐれた方が気持ちいいし」

 

 普通、普通、ギザ歯、普通、普通、普通、ギザ歯、普通、普通、普通、普通、普通…………ハズレだね。

 ギザ歯はいるけど数少ないし、持ち主が下品なせいで価値が下がってる。

 甘く見積もっても15点かな……他は0点でいいや。

 

「話し終わったかな?」

 

「あ?」

 

「耳悪いのかな?お話はおわったかなぁ?」

 

「舐めてんのか!」

 

「ぶっ殺されてぇのか!」

 

「沸点低すぎ……まぁいいや」

 

「ムカつくこと言われて怒ってんだよね……ぶっ飛ばす」

 

 僕は敵達に向かって走り出した。

 遠距離持ちの敵が攻撃を仕掛けるけど、バリアで全て防がれる。

 

「なんだこいつ!?攻撃が効かねぇ!?」

 

「まず一人」

 

 攻撃が効かずに焦っている敵に接近すると、赤黒いオーラを腕に纏わせてバリアを展開する。

 父さんには出来なかった、僕だけの“個性”の応用。

 多分、エネルギー系の“個性”を持っていたおばあちゃんから、隔世遺伝した僕だからこそ、これができるんだと思う。

 

《バリアスマッシュ》

 

 安直な名前だけど、威力は絶大だ。

 なんせ壊れない矛だ。当たったらひとたまりもないだろうね。

 

「嘘だろ!?」

 

「ただのガキじゃねぇのかよ!?」

 

「うるさいなぁ……次!」

 

 バリアに防御を任せて僕は壁を走り、敵達を殴っていく。

 オールマイトを殺すなんて言う奴らだったから強いかと思ったけど、雑魚の集まりだった。

 

「さてと君が最後だね」

 

「お、俺はなにも話さねぇぞ」

 

「……僕はねこんな見た目でドMなんだ」

 

「は?」

 

「だからさ、どこをどうすればどれくらい痛いのか……手に取るようにわかるんだよね……例えばこんな感じで」

 

 そう言うと、敵の脇の下に蹴りを放つ。

 神経が集中してる箇所を攻撃され、痛みで敵は地面を転がり回る。

 僕は敵を足で転がして、腹の上に座る。

 

「ちゃんと話してくれたら痛いことはしないよ……じゃあ知ってること全部話してね」

 

「クソ……ガキ!舐めん……じゃねッ「話聞いてた?」……ぐぁッ!?」

 

 まだ反抗的な態度を取る敵の顔を殴る。

 

「ぶっ……殺して……やる」

 

「チンピラのくせに頑張るね」

 

 なかなか口を割らない敵を殴り続ける。

 指ぬきグローブには、金具が付いてるからかなり痛いはずなのに、敵は情報を話そうとしない。

 

「……仕方ないな……次話さなかったら()()潰すから」

 

「マジで……言ってんのか……」

 

「マジだよ。女をどうとか言ってたけど……棒も種もなくなったらなにもできないよね」

 

「わかった!話す!広場にいた大男だ!!アイツがオールマイトを殺す切り札だって死柄木さんが!!」

 

「それだけ?」

 

「俺たちみたいな、下っ端が知ってんのはそれだけだ!頼むから潰さないでくれ!!」

 

「そう言うけどさ……やめてって言った子を君は助けたかい?」

 

「話と違うぞ!話したら潰さないって」

 

「僕は話なかったら潰すって言ったんだよ。……話したら潰さないとは一言も言ってないよ」

 

「やめろ……やめてくれ……やめてください」

 

「泣くんじゃないよ……ただ他人にしたことを今度は自分がされるだけじゃん」

 

「さぁん」

 

「あ、あぁ……」

 

「にぃ」

 

「う、そだァ」

 

「いぃち」

 

「……」

 

「ゼロ」

 

 僕は立ち上がり、敵の股間に勢いよく足を振り下ろす。

 コンクリートを強く打つ音がビル内に響く。

 

「うへぇ……ばっちぃな」

 

 僕の足は敵の股間の少し横に下ろされていた。

 でも、敵は恐怖のあまり失禁して気を失ったみたいだ。

 

「さてと……広場に行きますか」

 

 グローブに着いた血を払いながら、相澤先生が戦っている、広場に向かった。

 


 

 またまたこんにちわ!敵の下品な話にちょっとムカついたハルくんだよ!

 女の子に乱暴とか本当に有り得ないよね!乱暴される方がいいのにさ、あいつら何も分かってないよね!

 

 さてと……シリアスやっちゃったから体が痒くて仕方がないよ。

 こうして皆と話してシリアルにしないと、肌が荒れちゃって僕のビジュが悪くなっちゃうよ。切奈が偶に触ってくれるんだよね!それが嬉しいからお手入れ頑張ってるんだ!

 

 それはどうでもいいか……僕は今、広場に向かって走ってるんだ。

 目的は一つ、オールマイト対策を無力化すること。

 え?僕にできるのかって?6:4かな……僕が4ね。

 

「今ここで動かないと……後悔するからね」

 

 例え、無力化できなくても僕にはバリアがある。

 最悪、相澤先生と逃げ出せるよう頭でシュミレーションする。

 

「ッ!?……先生」

 

 広場が見えて来て、その光景が嫌でも目に入る。

 相澤先生が大男に組み伏せられていた。見ただけでも酷い怪我だとわかる程に、痛めつけられている相澤先生を見て、ふつふつと怒りが湧き上がる。

 

 ごめんね皆……まだ真面目モード継続しなきゃいけないみたいだ。

 

「相澤先生から離せ!!」

 

《バリアスマッシュ》

 

「ハルくん!?」

 

「ハルちゃん!?」

 

「はぁるぅ~!?」

 

 相澤先生を痛めつけていた大男に殴りかかる。

 全体重をのせて、繰り出した拳は大男の顔面を打ち抜いた。

 

 ……手応えがない。まるで痛覚がないみたいだ。

 

「馬鹿が!脳無に攻撃は効かないんだよ!!」

 

「うるさいなぁ……そんなに手を付けてオシャレのつもりかよ!お前なんて手だらけマン、略して手マンでいいよ!」

 

「脳無殺せぇ!!」

 

 沸点の低い手だらけ男は、僕がつけたあだ名が気に入らなかったみたいだ。

 その証拠に脳無と呼ばれた大男に、僕を殺せと命令した……これでヘイトが僕に移った。

 僕はハンドサインとアイコンタクトで、水難ゾーンにいた3人に相澤先生を連れて逃げるよう合図する。

 

「さぁ来なよ!筋肉ちゃん!僕が相手だ!!」

 

「……」

 

「は?」

 

 脳無は棒立ちの状態から、一瞬で僕との距離を詰めた。

 バリアが展開し脳無の拳を防いだが、次の瞬間音を立てて砕け散った。

 咄嗟に後ろに飛んだけど、額に拳がかすり後方に吹き飛ばされ壁に激突する。

 

「ハルくん!?」

 

 背中はバリアが守ってくれたようで、僕にダメージはない。

 あぁ……ダメだ……頭がクラクラする。

 さっきの拳のダメージが全身を震わせる。

 

「落ち着け……冷静に……」

 

 自分に言い聞かせようと呟き続けるが、体は火照ってくる。

 口角は自然と上がり、狂気を孕んだ笑みを浮かべる。

 

こんな痛みは初めてだ!!!

 

 もう止まらない……止まれない!

 

「いいねェ!!もっとくれよ!!俺を楽しませてくれ!!」

 

「なんだこいつ……イカれたか?」

 

「あぁそうだな……そうかもなぁ!!」

 

「脳無……殺れ」

 

「もう効かねぇよ」

 

 俺の変わり様に、手マンは引いてトドメを刺すように脳無に命令する。

 脳無は迷うことなく、俺を殺そうと拳を振り下ろすが、バリアがそれを阻む。

 さっきより多くオーラを放出して展開したバリアは、そう簡単には砕けない。

 

「今度はこっちの番だ」

 

 俺は腕にバリアを展開すると、脳無の前にあるバリアを殴りつける。

 

CRASH!!!

 

 轟音とともにバリアが砕け散り、凄まじい衝撃が脳無を襲い、はるか彼方へと吹き飛ばす。

 

「は?」

 

「次はお前だぜ……構えろよ、第2ラウンドだ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。