そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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頼む切奈!キバを組んでくれ!

 予選第4位のハルでーす。

 

 緑谷くんの地雷を使った大躍進によって、1位争いをしていた僕たちは、ゴールを目指すことに集中したんだ。

 爆速ターボの爆豪くんと氷結ブーストの轟くんに比べて、ただ走るだけの僕は一歩遅れちゃったんだよね。

 

 会場の巨大モニターに、レースの順位が発表されてる。

 上位42位が次の本選に駒を進める。

 ……よかった、切奈は次に進めたんだ。

 

 

「次からはいよいよ本選よ!! ここからは取材陣も白熱してくるから、キバリなさい!!! そして第2種目!私はもう知ってるけど〜〜〜……何かしら!?」

 

「コレよ!!騎馬戦!」

 

「騎馬戦……」

 

「騎馬戦……!」

 

「個人競技じゃないけどどうやるのかしら」

 

 とりあえず、騎馬戦のルールをまとめたから確認してね。

 

 ・騎馬はクラス問わず自由に組んでOK。

 

 ・2~4チームの騎馬を作り、基本的に通常と同じ騎馬戦のルール。

 

 ・順位によってPtがあり、騎手は騎馬を含めた合計のPのハチマキを首から上に巻く。

 

 ・ハチマキを奪われる。騎馬を崩される。そのどちらになっても失格にはならない。

 

 ・悪質な崩しも当然失格。

 

 ・制限時間は15分。

 

「各自のPtは42位が5P、41位が10Pといった感じで5Pづつ上がっていくわ!」

 

「そして!予選通過1位の緑谷くんの持ち点は1000万P!!!」

 

 ……クイズ番組かな?

 加減しようよ……1000Pくらいにして、他のハチマキも視野に入れるようにしないと……ゲーム性もクソもないよ。

 

「それじゃ今から15分の交渉タイムのスタートよ」

 

 皆一斉に緑谷くんから距離を取っててウケる。

 緑谷くん……ごめんね、僕は既に心に決めてる人がいるから、君と一緒には戦えないんだ。

 

「というわけで……頼む切奈!キバを組んでくれ!」

 

「ごめん無理」

 

 フラれました。

 心が痛いよ。

 

「……理由聞いても?」

 

「一つは、B組の大多数がA組に勝つぞって意気込んでるから。私はアンタら(A組)のこと嫌いじゃないけど、クラスの空気を無視して一緒になるのは、士気にも関わるから避けたい」

 

「もう一つは、私がハルに勝ちたいから。……ハルは自分が思ってるより凄いよ……割り切ってはいるけど“個性”もセンスも良い……だから挑戦したい」

 

「……そっか……わかった!その挑戦受けて立つよ!」

 

「ありがと、でも……誘ってくれて嬉しかったよ

 

 耳元で囁かないで!

 この前興味本意で買った、耳舐めASMRのせいで敏感なんだ!ハルくんのハルくんがプルス・ウルトラして全国放送しちゃうでしょ!!リューキュウが見てたらどうすんのさ!!

 

「今、他の女のこと考えた?」

 

「ヴェッ、マリモ!」

 

「……まぁいいや……それじゃ本選でまた会おうね」

 

「うん」

 

 怖かった……女の子の勘って鋭いよね!

 とにかく、切奈にフラれちゃったし他の子に声掛けて騎馬を組まないと、組めなくて失格なんて笑えない。

 

 緑谷くんは……ダメだハーレム築いてる。

 峰田くんは……ダメだ障子くんの中に籠城してる。

 轟くんも爆豪くんも既に騎馬を組んだみたいだ。

 

「……本格的にマズくなってきたねぇ……」

 

 あっちを見てもこっちを見ても、騎馬ができてる。僕だけ一人……ボッチだね。

 ……ダメだ、ぼっち・ざ・はっる!なんてクソしょーもないことが頭に浮かんでしまった。全然上手くもないし、ひねりもない……それほどピンチってことさ!

 

「なぁ……俺と組まないか?」

 

「ん?お誘いかな?ありがッ………………」

 


 

「……労様」

 

「ハッ!?」

 

 僕は今、何してた?

 周りを見渡すと、会場は歓声に包まれる中、ハチマキを持つ人と持たない人がいた。

 ……もしかして騎馬戦終わった?

 

「ハル……お前もか?」

 

「尾白くん……()ってことは尾白くんも?」

 

「あぁ……多分、奴の“個性”だと思う。騎馬のチーム決めの時にアイツに話しかけられて……そこから終盤まで記憶がない」

 

「話しているところすまない……僕も同じだ」

 

「えっと君は?」

 

「B組の庄田二連撃(しょうだにれんげき)だ。僕も君と同じで話かけられた後の記憶が無い……僕は騎馬戦が終わるまで記憶がなかった」

 

「僕も庄田くんと同じだね……情報から考えると……あの人の言葉に返したら操られるって感じかな?そうじゃないと、騎馬なんて組めないし……動き回れないからね」

 

「なんという初見殺し……」

 

「この情報は皆に伝えないとな」

 

「うん、これ以上……僕たちみたいな人が出て欲しくないもんね」

 

「その意見には賛成だ」

 

「……とりあえず昼ごはん食べに行かない?対策考えるにしても、炎天下に立ちっぱなしはキツいよ?」

 

「それもそうか」

 

「そうだね」

 

 よく分からないまま、終わった騎馬戦だったけど……B組の友達が出来たから、結果オーライってことでいいよね!

 え?切奈と昼ごはん食べなかったのかって?

 ……食べたかったよ!

 でも先に同じクラスの女子たちと、キャッキャウフフ*1してたから、そっとしておいたんだよね!

 流石の僕も初対面の女子相手に、いつものテンションで凸りに行くのは無理があるからね!

 

 ……とりあえず切奈の言葉で心配してたけど、B組の中でもA組を敵視してない子はいるみたいで安心した。

 庄田くんと連絡先交換できたし、仲良くなったらおすすめの歯の写真でも送ってみようかな!

 

 最近のマイブームは、エンデヴァー事務所のサイドキック、バーニンなんだよね!

 トガちゃんと同じで八重歯が素敵な女性だ。

 この前ネットサーフィンした時に笑った写真を見て気づいたんだ!

 この発見を切奈に報告したら、三時間くらい正座させられたけど、まぁ仕方ないよね!

 

 

 ……やっぱり写真を送るのやめとこうかな……いきなりこんなことされたら庄田くんも困るだろうしね。

 素晴らしい歯を布教したいけど、相手は選ばないと前みたいに……

 

 

 

 

 

爆豪くんと同じように即ブロックされるからね!!

*1
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