そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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八百万様!切奈のチアコスを作ってください!

 昼休憩が終わって、これから優勝者を決めるトーナメントとが始まるのを待ってるハルくんさ!

 

 騎馬戦の記憶が無いから、自分が決勝に上がれた実感がないんだけど、ここで活躍すればいいよね!

 

『さぁ!昼休憩も終わっていよいよ最終種目発表……とその前に、予選落ちのみんなに朗報だ!あくまでこれは体育祭、ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!』

 

 レクリエーションとかあるんだ……参加しようかな。

 盛り上げるのは任せて欲しい!

 この日のために、手品とかパントマイムとかコサックダンスとかできるようにしてきたから!

 

『本場アメリカからチアリーダーも呼んでいっそう盛り上げて……ありゃ?』

 

『ん?』

 

「へ?」

 

 プレゼント・マイク先生と相澤先生が奇妙な声をあげる。

 僕も不思議に思い、なんとなく出場口の方を見てみると……チアコスしたA組の女子がいた。

 

『どうしたA組!どんなサービスだそりゃ!』

 

『何やってんだアイツら……』

 

 へー……ほー……ふーん……。

 

「峰田くんよくやった!!」

 

「ハル!オイラの偉大さがわかったか!」

 

 僕はこのチアコスの元凶……いや勇者の正体をすぐに看破し、峰田くんと熱い握手を交わす。

 

「峰田さん、上鳴さん騙しましたね!!」

 

「上鳴くん!君も素晴らしい仕事をしたね!」

 

「へへっ!閃いたんだよ!」

 

「なぜこうも峰田さんの策略にハマってしまうの私……衣装まで“創造”で創って……」

 

 どうやら僕たちが、騎馬戦で組んだ人の“個性”を分析している間に、アメリカのチアリーダーたちを見て閃いたらしい。

 

 いやぁ……眼福だね。

 え?お前は女の子ならなんでもいいのか?歯フェチの風上にも置けん奴だって?

 

 失礼しちゃうね……

 じゃあ聞くけど、君たちは自分の性癖以外のジャンルで、致したことはないのかい?

 

僕はあるよ!

 

 確かに、僕は歯フェチだ。

 その次に吸血フェチや噛まれフェチがくる。

 ここまでは皆知ってるでしょ?

 あとは……匂いフェチ、脚フェチ、ピアスフェチ、舌フェチ、褐色フェチ、匂いフェチかな?

 自分に当てはまるものを、思いつく限り挙げてみたけど、多分これ以上あるんじゃないかな?

 

 というわけで、僕は目の前に広がる脚を眺めようと思う。

 

「ハル?」

 

「僕は何も見ていません!」

 

「嘘つくのは駄目だよね?」

 

「がっつり脚を見てました!」

 

「帰ったらお仕置だね」

 

「お手柔らかにお願いします」

 

「……ダ・メ♡」

 

「あ、終わった」

 

 どうやら僕が、クラスメイトの脚を見ていたことがバレたらしい。

 峰田くん……あとは頼みます。

 

『さあさあ皆楽しく競えよレクリエーション!!これが終われば最終種目進出!!4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだァ!!!』

 

「皆揃ったわね!トーナメントとの組み合わせはクジで決めるわ」

 

「あの、すいません……俺……辞退します」

 

「尾白くん?」

 

 ミッドナイト先生の進行を遮り、尾白くんは苦しそうな顔で手をあげる。

 

「尾白くん!……何で?」

 

「せっかくプロに見てもらえる場なのに!?」

 

「騎馬戦の記憶……終盤ギリギリまで、ほぼボンヤリとしかないんだ。チャンスの場だってのはわかってる……それをフイにするなんて愚かなことだってのも……!」

 

 昼休み考え込んでいたのはこのことだったんだ。

 尾白くんはずっと悩んでたんだ……。

 

「でもさ!皆が力を出し合い争ったきた座なんだ、こんな……こんなわけわかんないまま、そこに並ぶなんて……俺は出来ない」

 

「気にしすぎだよ!本選でちゃんと成果を出せばいいんだよ!」

 

「そんなん言ったら私だって全然だよ!」

 

「僕だって同じさ!今からでも遅くないよ……一緒に頑張ろ!」

 

「違うんだ……!俺のプライドの話さ……俺が嫌なんだ」

 

 尾白くんの考えは変わらないみたいだ。

 ……え?僕は本選に出るのかって?モチロンさ!

 尾白くんの後で言い出せないけど、僕は本選に出場する。彼の言い分も理解できる……でもそれそれこれはこれだ。

 年に一回のチャンスを、棒に振りたくない!

 だから……プライドなんてドブに捨てて、僕はみっともなく本選で暴れてやる!

 

「僕も同様の理由から棄権したい!実力如何以前に……()()()()()()()が上がるのは、この体育祭の趣旨と相反するのではないだろうか!」

 

 やめて!それ以上言わないで!僕が恥知らずみたいじゃないか!

 実際そうなんだけど……でも選手宣誓であんなこと言った手前……引くに引けないんだよ!

 

「なんだこいつら……!!男らしいな!」

 

『なんか妙なことになってるが……』

 

『ここは主審ミッドナイトの采配がどうなるか……』

 

「そういう青臭い話はさァ……好み!!!

 

 それでいいんだ……。

 

「庄田、尾白の棄権を認めます!」

 

「……二人とも僕は出場するよ……」

 

「ハルは好きにすればいいよ……応援してる!」

 

「これは僕たちが決めたことであって、君が気にする必要はない。頑張ってくれ!」

 

「ありがとう……君たちの分も背負って優勝するよ!」

 

「「おう」」

 

 拳を合わせて友情を再確認する。

 二人とも僕に任せてくれ、君たちの想いはしかと受けとった!僕が全部背負って優勝の景色ってやつを見せてやる!

 

「繰り上がりは5位の拳藤チームだけど……」

 

「そういう話で来るんなら……ほぼ動けなかった私らよりアレだよな?な?……最後まで頑張って上位キープしてた鉄哲チームじゃね?」

 

「おめェらぁ……」

 

「馴れ合いとかじゃなくてさ……フツーに」

 

「お……おめェらァ!!!」

 

 というわけで、二人が抜けた穴は拳藤チームからの推薦で、鉄哲チームから二人入ることで補った。

 

 僕の相手は上鳴くんか……。

 

 色々あったトーナメント決めは無事に終了した。

 そして僕は気づかなかった……切奈の体育祭が終わったことに。

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