そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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トーナメント始まりません。

 特に言うことないハルだよ!

 今は、トーナメント前のレクリエーションを観てるんだ!

 お前は参加しないのかって?

 うん、しないよ。事前に最終種目参加者は、参加自由って言われたからね。

 確かに楽しそうだけどさ、体力温存したいし少しでも手札は隠しておきたいんだよね。

 

 今思えば敵連合とかいう奴らのせいで、《バリアスマッシュ》と《バリアブルスマッシュ》を使わされたのは、ちょっと痛いねぇ……。

 相澤先生や緑谷くんたちを、助けるために使ったから後悔はないんだけど、爆豪くんや轟くんから警戒されちゃったんだよね。

 僕に攻撃手段がないと思わせて、油断した隙に狩ろうと考えていたから、体育祭までは隠しておきたかったんだ。

 

「ハルくん、ここにいたんだ」

 

「探してたの?」

 

「うん、尾白くんから対戦相手の心操くんについて、話を聞いてたんだけど、気になることがあったから、ハルくんに聞きたくて」

 

「いいよ!僕が答えられる範囲ならなんでも教えるよ!手始めに、ギザ歯八重歯コレクションから話そうか?」

 

「アハハ……それはまた今度お願いするよ……」

 

「冗談だよ……それで聞きたいことって?」

 

「心操くんの“個性”って、バリアで防げなかったのかなって?」

 

「防げないよ」

 

「そう……なんだ」

 

「だって攻撃じゃないじゃん」

 

「え?でも敵意があるなら……」

 

「オートバリアは敵意とか悪意とか関係ないよ?」

 

「そうなの!?」

 

「うん、オートバリアが出るのは僕がダメージを負うかどうかだよ」

 

 どうやら緑谷くんは、僕のバリア……この場合はオートバリアについて勘違いしてたみたいだ。

 僕の“個性”でオートバリアが展開する基準は、その攻撃でダメージを負うかどうかだ。

 現に一度も“個性”の説明をする時、僕は敵意や悪意がどうとか言ってないからね。

 敵意で反応するなら、僕は爆豪くんと会話する時、常にオートバリアが展開することになる。

 心操くんも敵意や悪意は持ってたと思う、でも“個性”を使った問いかけで、僕が傷つくことはない。普通の人の発声で皮膚が切れることもなければ、痣ができることもないから、当然といえば当然だ。

 

 逆にプレゼント・マイク先生や耳郎さんみたいな“個性”ならオートバリアは展開すると思う。あれも心操くんと同じ音の振動だけど、普通の発声に比べて威力が段違いだからね。

 

 総じて、僕のオートバリアは強いけど付け入る隙はあるってことだ。

 だから、任意でバリアを展開することで守りを強化しているわけだ、オートバリアが見逃した攻撃も、僕が直接見て守ることができるからね。

 

 だからこそ、騎馬戦は見事に足元をすくわれた。

 バリアなんて“強個性”を、持っているが故の油断を上手く突かれてしまった。

 これが殴る蹴るの不意打ちならいざ知らず、問いかけに答えるなんて、初見殺しを回避できなかった。

 

「まぁ……そういうわけで、物の見事に洗脳されたんだよね!」

 

「ありがとう詳しく教えてくれて」

 

「いいんだよ……そういうことならミッドナイト先生の“個性”もオートじゃ防げないかもね」

 

「そっか……“眠り香”だからダメージは受けないもんね」

 

「うん、緑谷くんのお陰で気づけたよありがとう」

 

「こちらこそ、試合前なのに“個性”について教えてくれてありがとう」

 

「それさっきも聞いたよ?」

 

「何度でも言いたいんだ」

 

「わかった」

 

 レクリエーションが終わるまで、僕たちは対戦相手の“個性”について語り合った。

 ……初めての戦闘訓練から、だいぶ打ち解けたんじゃないかなって思うんだ……そろそろお気に入りの、ギザ歯八重歯コレクション送っても怒られないかな?

 


 

「切奈!」

 

「ん?ハル?」

 

「疲れてるところごめんね」

 

 レクリエーションが終わり、先生方が最終種目の準備をしているなか、僕は廊下を爆走し切奈の元に来た。

 緑谷くんとトーナメントとの参加者の対策を、話し合っていた時に、切奈が騎馬戦で脱落した事に気づいたぼくは、急いで入退場口に向かった。

 

「本選……切奈の分も背負って頑張ってくるから!」

 

「それ言いに来ただけ?」

 

「……だって騎馬戦前に言ってたじゃん……僕に挑戦するって……」

 

「そっか……わざわざありがとね」

 

「切奈!」

 

「なんで……抱きしめてんの……」

 

「今、切奈が泣きそうな顔してたから……」

 

「いつも……エッチで……バカなことしかしないのに、なんで今察しがいいの」

 

「切奈のこと……ずっと見てきたからかな」

 

「……もうちょっとだけ……こうしてて」

 

「任せて」

 

 廊下の隅で僕は、切奈を抱きしめる。

 切奈の声が周りに聞こえないように、胸に顔を押し当てて頭を撫でる。

 

『ヘイガイズアーユーレディ!?色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくてもそんな場面ばっかりだ!わかるよな!!心・技・体に知恵知識!!総動員して駆け上がれ!!』

 

 プレゼント・マイク先生の最終種目開始の合図が聞こえる。

 

「いき、なよ……」

 

「いいよ……僕の試合はまだ先だし……」

 

「ありがとう」

 

「……うん」

 

 緑谷くん……ちゃんと観れなくてごめんね……頑張ってね。

 

 心の中で緑谷くんを応援すると、次の試合が終わるまで、僕は切奈を抱きしめ続けた。

 

「……じゃあそろそろ行くね」

 

「ありがと……頑張って」

 

 轟くんと瀬呂くんの試合が終わった。

 今は轟くんが出した氷山が、溶けてスタジアムが水浸しになったから乾かしてる。

 

「さっきも言ったけど……切奈の分も背負って優勝するよ」

 

「わかったって……かっこいいところ見せてよね」

 

「任せてよ!また惚れ直させてやるぜ!」

 

「もう惚れ直したところだよ」

 

「それじゃ……またすぐに惚れ直すことになるね」

 

「じゃあ頑張ってよ?」

 

「うん……行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい!」

 

 互いの拳を合わせて、僕はスタジアムへ向かう。

 一回戦第三試合が始まる。




本編でオリ主の個性について説明しましたが、念の為この場を借りて解説させていただきます。

オリ主の個性は“絶対防御”

・体力を消費してオーラと呼ばれるエネルギーを常に放出している。(オンオフ可能)
・攻撃に併せて、自動または任意でオーラを圧縮し、超高密度空間(バリア)を展開可能
・自動でバリアを展開する際の基準は、その攻撃が本体にダメージを与えるかどうか
・会話などで発生する音の振動は自動バリアの対象外、プレゼント・マイク等の個性ならバリアは展開する
・バリアは圧縮したエネルギーによって、強度が変わる
・バリア同士をぶつけることで、圧縮したエネルギーを攻撃に転用できる

自動バリアで防げる個性の一例
爆破、半冷半燃、帯電、尻尾、ダークシャドウ等

自動バリアで防げない個性の一例
洗脳、ゼログラビティ(浮かせる際に軽くタッチするなら)眠り香、コピー(コピーする際に軽く触れるなら)抹消、圧縮(触れる際に(ry)、ワープ等
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