さてさてさーて、色々あった一回戦も終わり、僕と飯田くんの試合が刻一刻と迫ってくる。
それにしても、流石雄英というか一回戦でも、バチバチに見応えのある試合が多かった。
飯田くんと発目さんの試合は、この最終種目唯一のサポート科の発目さんは、自分が作成したサポートアイテムなら持ち込みOKらしく、会場に来たサポート会社の方々にプレゼンを行った。
上手く乗せられた飯田くんは、全身にサポートアイテムを装備して、プレゼンに協力する羽目になってて、少し可哀想だった。
続く芦戸さんとB組の塩崎さんの試合は見事なものだった。
芦戸さんの放つ酸を、塩崎さんは“個性”である茨のような頭髪を操り防御し、その圧倒的物量で芦戸さんをあっという間に場外に押し出した。
次の八百万さんと常闇くんの試合は、常闇くんが終始圧倒していた。
八百万さんが創造で作り出した物を、ダークシャドウのリーチを活かして、一切寄せ付けずそのまま場外に押し出した。
次の切島くんと鉄哲くんの戦いは、ひたすら熱い殴り合いだった。
似たもの同士、互角の戦いを魅せてくれた。
最後は、互いに顔面を殴り合い、気絶したため引き分けになった。
保健室で、回復してから軽めの勝負で、勝敗を決めるみたい。
一回戦最後の試合は、爆豪くんと麗日さんの試合だった。
麗日さんは、初手上着を囮にした強引な接近で、爆豪くんを浮かせようとしたんだけど、それが通用するような相手じゃなかった。
それでも諦めずに、攻め続ける麗日さんを爆豪くんはひたすら爆破で吹き飛ばしていた。
何度も何度も何度も……見てるこっちが痛々しくて目を覆いたくなるような、一方的な試合だった。
「見てらんねぇ……!おい!!それでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!!」
一人のヒーローが爆豪くんに向けて叫んだ。
その声に乗せられて、一人また一人と爆豪くんにブーイングを飛ばす。
正直な話、会場の空気は試合以上にクソだった。
最悪の空気を破ったのは、実況席にいる相澤先生だった。
『今、遊んでるっつったのプロか?何年目だ?』
『シラフで言ってんなら、もう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ』
『ここまで上がってきた相手の力を、認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろうが!』
相澤先生の言葉で、ヒーロー達からのブーイングは収まった。
同時に試合も佳境に入っていた。
麗日さんは、わざと体勢を低くして突撃を繰り返していた。その狙いは、
低い位置にいる麗日さんを狙った爆破は、スタジアムを少なからず破壊しており、それを爆煙で見ないうちに浮かせていたのだ。
満を持して、浮かせた何百とある瓦礫を爆豪くんに降り注がせた。
瓦礫の対処で一瞬でも隙が生じると狙い、最後の攻撃を仕掛ける。
しかし、爆豪くんは強かった。
たった一瞬で瓦礫を全て破壊し、麗日さんを爆破で吹き飛ばした。
それでも麗日さんは諦めなかった、策が通用しなくても諦めずに攻めた……でも、“個性”の限界か体力の限界か、倒れてしまった。
ミッドナイト先生がこれ以上の戦闘は不可能と判断したことで、爆豪くんの勝利となった。
こんばんセーッ〇ス!!
よし!真面目な雰囲気が一気にギャグに戻ったね!
一戦一戦真面目に振り返ってたから、シリアスになってきて体が痒くて仕方ないんだよね!
なんの説明もなく、前回からいきなり次の僕の試合に飛んだら、色々言われそうだったからダイジェストで振り返ったけど……だいたいの流れは皆知ってるでしょ?
さてと、メタ発言もこれくらいにしてそろそろ緑谷くんと轟くんの試合を振り返ろうか……。
二回戦最初の試合は、緑谷くんと轟くんだ。
入学当初から氷しか使わない轟くんに緑谷くんは、自分の指を犠牲にして、食らいついていった。
僕との特訓で確か……フルカウルだっけ?全身を壊れないギリギリのラインまで強化した、新たな戦闘スタイルを獲得したはずだけど……それじゃ轟くんの質量攻撃に対抗できないと考えたんだと思う。
前から思ってたけど……緑谷くんってイカれてるよね?
僕も痛いのは好きだ。
普段“個性”のせいで、あまり感じられないからこそ、いざ痛みを知ると気持ちよくなる。
でも、自分で傷つけようとは思ったことはない。
僕と緑谷くんの違いはそこだ、もしかしたら爆豪くんは、緑谷くんのそういう所が嫌であんな態度をとってるのかもしれない……それは考えすぎかな?
まぁいいや、緑谷くんは自傷をものともせず轟くんと戦う。
氷結と指破壊を何度か繰り返していると、轟くんの動きが悪くなった。
“個性”は身体機能の一種だ。
あれだけの氷を出し続けたんだ、体に影響が出てもおかしくない。
緑谷くんはそこを突いて、全力の拳をぶつけた。
そして……
「
この言葉が、轟くんを本気にさせた。
頑なに炎を使わないかった轟くんが、炎を出した。
氷の出し過ぎによって、低下した身体能力は炎で元通りになり、轟くんが再び圧倒する。
最後は、緑谷くん曰く100%の力で放った拳と、凝縮された炎がぶつかり合い、緑谷くんが場外に吹き飛ばされた。
「といった感じで次は僕の試合だよ!」
「誰に言ってんの?」
「誰って?目の前のファンだよ……切奈」
「ハルって偶に……性癖関係なくおかしくなるよね」
「それって逆説的に、性癖が絡んだらずっとおかしいって言ってる?」
「言ってる」
「ひどいなぁ」
「ほらバカ言ってないで行きな」
「はーいママ」
「まだママじゃない」
「わかってるよ……じゃあ行ってきます」
緑谷くんたちの試合で壊れたスタジアムは、セメント先生のおかげで無事元通りになったみたいだ。
僕は選手入場口からスタジアムに向かう。
「いい試合にしようね飯田くん」
「あぁ……今度は負けないぞ」
僕らは互いの健闘を祈るために固い握手を交わし、所定の位置に着く。
二回戦第二試合は間もなく始まる。