そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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波乱の三者面談

 ややアクシデントはありつつも、僕の三者面談が始まる。

 

 相澤先生とオールマイトが合宿の件で謝罪し、全寮制の話を始める。僕らの安全を守るために、そして立派なヒーローに育て上げるために、任せて欲しいと頭を下げる。

 

「私は反対です」

 

 母さんは静かに、そしてはっきりと告げた。

 

「母さん……」

 

「圧子……」

 

「ごめんなさい……春彦さん……ハル……」

 

「……お母さん……お気持ちは御理解で出来ます。今回の件で我々は……」

 

「いえ、そうではなくて……私は貴方たち雄英を信じています……だって、ハルが毎日楽しそうに電話してくれるので……あぁ、雄英は本当にいい所なんだって……」

 

「母さん……」

 

 母さんは静かに話し始める。

 

「私は……張間歐児の子孫です…………実家は先祖を崇めていました。それが怖くて……受け入れられなくて……家を出ました。…………今回の件でハルが子孫だと……明かされて……怖いんです。……張間歐児は世間から義賊と呼ばれていますが、敵に変わりはないんです。……現にネットでは、ハルを悪く言う声が見受けられます」

 

「……」

 

「ハルはいつも明るく振舞っていますけど……本当は繊細なんです…………ハルがこのままヒーローになったとして、世間はそれを認めるのでしょうか…………悪意ある声に、押しつぶされたりしないでしょうか……もし、心を病んでしまうのなら…………ヒーローなんかに……人目につくところにいて欲しくないんです……ごめんなさい」

 

「母さん……」

 

「ごめんなさい……私は……ハルがヒーローになることを……応援できません……」

 

「お母さん……」

 

「母さん……僕は…………ヒーローになるよ」

 

「ハル……」

 

「コンプレス……叔父さんに会ったよ……でも、そこで僕は“原点(オリジン)”を思い出したよ……」

 

 母さんの気持ちを知った。

 それでも僕は、ヒーローになる。

 誰にも歓迎されなくても、罵詈雑言を浴びせられても……僕はヒーローになる。

 

「……母さん……ありがとう。僕のこと心配してくれて」

 

「……」

 

「でも……僕はヒーローになりたい……」

 

 母さんも父さんも相澤先生もオールマイトも、静かに僕の気持ちを聞いている。

 

「決めたんだ……認めてもらうって」

 

「だから、雄英にいさせてくだい」

 

「……母さん……僕からも頼む、ハルを雄英に行かせてやってくれないか」

 

 僕は母さんに頭を下げる。

 父さんも、僕の言葉を聞き母さんに頭を下げる。

 

「……母さんの心配は……ごめん……大丈夫なんて軽々しく言えない……でも、諦めたくないんだ」

 

「お母さん……どうか今一度任せては頂けないでしょうか。必ずハルくんを、立派なヒーローに育て上げると約束いたします」

 

 先生達も母さんに頭を下げる。

 母さんは、長い時間考え口を開いた。

 

「……ハル……本当になりたいのね?」

 

「うん」

 

「…………わかったわ。……相澤先生、オールマイトさん顔をあげてください」

 

「……」

 

「……」

 

「正直、ハルのことは心配です……でも、この子がこんなにはっきりと自分の意思を……示したんです……なら私は、それを尊重します。……ハルをお願いします」

 

「……圧子…………僕からも息子をお願いします」

 

「……ありがとうございます!」

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?三者面談は?」

 

「もう終わったよ?何してたのさ?」

 

「おめかしですけど!?アンタの担任、なかなかいい人だと思ったのよね!」

 

「相澤先生狙ってんの!?」

 

 先生達が、家に来ると知ってメイクしていた姉さんたちが、続々と降りてくる。

 

 ……エネ姉さん勘弁してくれよ。

 

「えぇ!?終わったの!?ネネちゃんとエネちゃんに色々されたのにぃ?」

 

 ネオン姉さんお疲れ様。

 

「……あっそ……終わったのならいいわ」

 

 ……ネネ姉さん……強がってるけど、僕の担任にお礼を言いたかったんだろうね。

 

「アンタたち遅かったわね!」

 

「あれ?お母さん元気じゃん!」

 

「もう大丈夫なの?」

 

「……元気そうでよかった」

 

「ふふ、ハルが頑張るって言ったからね……親の私がいつまでもクヨクヨしてちゃダメでしょ……それより、今日はご馳走にしましょ!何食べたい?」

 

 三者面談が終わり、僕の誘拐やマスゴミの押しかけなどで、疲弊していた母さんは、元気に笑い僕らに話しかける。

 

「……お寿司」

 

「中華がいいな」

 

「肉!肉にしよ!」

 

「三つ子なのに揃わないね……いいよ!今日は特別ね……ハルは何がいい?」

 

「ん……イタリアンかな?ペペロンチーノ食べたい」

 

「アンタそれ好きね……それじゃ、買い物行ってくるね」

 

「あ!僕もついて行くよ」

 

「ありがとう春彦さん」

 

 母さんと父さんが、買い出しの準備を始める。

 数ヶ月ぶりの実家でのやり取りに、少し心がほっとする。

 

「あ、ハル……切奈ちゃん家に来れるなら呼んでもいいわよ」

 

「へ?なんで?」

 

「だって付き合ってるんでしょ?」

 

「「「は」」」

 

「……教えてたっけ?」

 

「ん?切奈ちゃんから連絡来たのよ……体育祭の後くらいだっけ?まぁ、おめでとう」

 

「いつのまに!?」

 

 本当にいつの間に連絡してたんだ!?

 ……すぅ……嫌な予感がするので、僕は自室に戻りますね。

 

「ハル?」

 

「ひっ!?エネ姉さん……何かな?」

 

「お話しよっか?」

 

「拒否権って」

 

「あると思ってんの」

 

「……お茶用意しますね」

 

「じゃあ行ってきまーす」

 

「お前たち……程々にするんだぞ」

 

「ちょっと待って!?僕も連れてって!?」

 

「アンタは警察から外出禁止って言われてるでしょ……ほら、来な」

 

「いい感じで終わると思ったのになぁ!!」

 

 その後、両親が帰ってくるまで、姉さん達にめっちゃ詰められました。

 

 なんだろう……この作品が戻ってきた感じするよね!




張理有家

・張理有春彦(46)
ハルの父親
家具職人をしている
美人系男姉さん

・張理有圧子(40)
ハルの母親
Webデザイナーをしている
メロい系美人、数年前に髪を切り息子の兄に間違われるようになった

・張理有ネネ(22)
ハルの姉、長女
アパレル店員
ツンデレ、特にハルにはキツく当たる
自分のブランドを立ち上げるために勉強中

・張理有ネオン(22)
ハルの姉、次女
インディーズバンドのギターボーカル
酒好き、普段からちょっと酔ってる
姉妹で唯一胸がない

・張理有エネ(22)
ハルの姉、三女
プロヒーロー
元ヤン、ダンスを習っていた
結婚願望が強く、休日はマチアプや合コン等で出会いを求めている

・張理有ハル
張理有家の長男
高校生
ギザ歯八重歯フェチ、サメ映画好き
最近攻めにハマり、自分のアイデンティティの喪失にビビってる
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