「昨日、話した通りまずは“仮免”取得が当面の目標だ」
「「「「「はい!」」」」」
翌日、僕たちは教室で相澤先生から、今後の予定について話を聞いていた。
「ヒーロー免許ってのは人命に直接係わる責任重大な資格だ。当然、取得のための試験はとても厳しい。仮免といえどその合格率は例年5割を切る」
「仮免でそんなキツいのかよ」
トガちゃんから事前に、話は聞いていたけど……やっぱり狭き門なんだね。
「そこで今日から君らには一人最低で二つ……」
相澤先生が廊下に合図を出した。
扉が開かれると、ミッドナイト先生、エクトプラズム先生、セメントス先生が入ってくる。
「必殺技を作ってもらう!!」
「「「「「学校っぽくて!それでいてヒーローっぽいのキタァア!!!」」」」」
学校っぽい!これやるとなんか盛り上がるよね!
それはそうと、必殺技って学校っぽいのか?
ヒーローっぽいてのはわかるけど……まぁここ、ヒーロー科だし……学校っぽいかな!
「必殺!コレスナワチ必勝ノ型・技ノコトナリ!」
「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない。戦闘とはいかに自分の得意を押しつけるか!」
「技は己を象徴する!今日日必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」
「詳しい話は実演を交え合理的に行いたい。コスチュームに着替え、体育館γへ集合だ」
「「「「「はい!」」」」」
久しぶりにコスチュームに着替えて、やって来ました体育館γ!
またの名を……
「
「略してTDL!!!」
(((((TDLはマズそうだ!!)))))
ハハッ!雄英ってたまにギリギリを攻めるよね!後で怒られても知らないよ!
「ここは俺考案の施設、生徒一人一人に合わせた地形やものを用意できる。台所ってのはそういう意味だよ」
なるほどね、この一面コンクリートで造られた体育館は、セメントス先生の“個性”を存分に活かせるようになっているんだね。
「質問をお許しください!」
お!飯田くん張り切ってるね!早速、フルスロットルだ!
「何故仮免許の取得に必殺技が必要なのか!意図をお聞かせ願います!!」
「順を追って話すよ」
「ヒーローとは事件・事故・天災・人災……あらゆるトラブルから人々を救いだすのが仕事だ。取得試験では当然その適正を見られることになる」
「情報力・判断力・機動力・戦闘力……他にもコミュニケーション能力・魅力・統率力など多くの適性を毎年違う試験で試される」
「その中でも戦闘力はこれからのヒーローにとって極めて重視される項目となります。備えあれば憂いなし!技の有無は合否に大きく影響する」
「状況に左右されることなく安定行動を取れれば、それは高い戦闘力を有している事になるんだよ」
「技ハ必ズシモ攻撃デアル必要ハ無イ。……例エバ飯田クンノ“レシプロバースト”」
「ッ!」
「一時的ナ超速移動ソレ自体ガ脅威デアル為、必殺技ト呼ブ二値スル」
「なるほど……自分の中に『これさえやれば有利・勝てる』って型を作ろうってことか……ワクワクするね!」
「そ!先日大活躍したシンリンカムイの“ウルシ鎖牢”なんか模範的な必殺技よわかりやすいよね」
「中断されてしまった合宿での『“個性”伸ばし』は……この必殺技を作り上げる為のプロセスだった」
「つまりこれから後期始業まで……残り十日余りの夏休みは」
セメントス先生が“個性”で地形を変えていく。
僕ら20人が満足に動ける足場ができあがり、エクトプラズム先生が“個性”で分身を配置する。
「【個性】を伸ばしつつ必殺技を編み出す」
「圧縮訓練となる!」
相澤先生がかっこよく締めて、訓練が始まる。
「尚、【個性】の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も並行して考えていくように」
「プルスウルトラの精神で乗り越えろ……準備はいいか?」
「ワクワクしてきたぁ!!」
「さてと……エクトプラズム先生お願いします!」
「ウム……君ハドウスル?必殺技モ幾ツカ持ッテイルガ……」
「そうですね……なら、“圧縮”を使いこなせるように、訓練しますね!」
「個性伸バシカ……ワカッタ、ナラ始メヨウ」
「はい!」
僕は、“圧縮”を使いこなす訓練を始めた。
あ!そういえば、僕の“個性”の範囲また広がったんだよね!
襲撃があった夜、緑谷くん達を探すために、限界を超えてオーラを広げた結果、10m前後だったのがなんと!
僕を中心に半径200mまで伸びました。
あの時、反動がエグくて吐血しちゃったけど、怪我の功名と言うべきか、思いっきり効果範囲が伸びたんだよね!
それに、コンプレスの“圧縮”を見たから、しっかりとしたイメージもある。
だから……
「あ、できた」
僕の手の中に、コンクリの塊が圧縮されたビー玉がある。
数秒経っても元に戻る気配がない。
これは、成功と言ってもOKじゃないかな!
「……早イナ」
「才能ですかね……?」
「……必殺技デモ作ルカ?」
「はい」
なんかちょっと気まづい。
エクトプラズム先生も、どんな顔してるのか分からないけど、驚いてるんじゃないかな?
訓練を始めて10分ちょっとで、コンプレスや母さんみたいに、物を圧縮できるようになったからね。
若干気まずい空気の中、必殺技作りを始めた。
「マズハ今アル必殺技ノオサライヲシヨウ。ソコカラ新タナ技ヲ作リ出スヒントガアルカモシレナイ」
「はい!お願いします!」
必殺技を作るにあたって、エクトプラズム先生とこれまでのおさらいを、することになった。
《バリアブルスマッシュ》
バリア同士をぶつけて、圧縮されたエネルギーをエクトプラズム先生に向けて放つ。
《バリアブルスマッシュ・改》
距離を詰めて、バリアブルスマッシュを放つ。
バリアの核を打ち抜いたことで、先程よりも威力が高くなる。
《真・バリアブルスマッシュ》
エクトプラズム先生を、等身大アクリルスタンドみたいに圧縮して蹴り壊す。
いやぁ……時の流れは早いね。
初期の頃は、反動でダメージ受けてたけど、今じゃ頑丈になったのか、数発くらいならデメリットなしで打てるもんね!
《バリアブルスマッシュ》は、バリア同士をぶつけて、圧縮されたエネルギーを解放する技だ。
《バリアブルスマッシュ・改》はバリアの中心、より圧縮されたエネルギーを解放することで、通常より威力を上げている。
そして《真・バリアブルスマッシュ》は、相手を圧縮しバリアにして、放つ技。
つまり、改の威力をゼロ距離で尚且つノーガードで受けることになる。
え?説明が長くて分からない?
……あとがきで詳しく説明するから、今はそんなことできるんだって思ってくれたらいいよ!
「お!張り切ってるね張理有少年!」
エクトプラズム先生と、必殺技の振り返りをしていたら、オールマイトが来てくれた。
「オールマイト!安静にしなくていいんですか?」
「あぁ!怪我は治ってないけど……見ての通り元気さ!」
腕にギプスを巻いたオールマイトは、マッスルな姿になると、サムズアップしてにっこりと笑う。
「えっと……改めて、助けていただいてありがとうございました!」
「当然のことをしたまでさ!……それより、張理有少年はすごいね!複数の必殺技に加えて、圧縮の方も使いこなしているみたいじゃないか!」
「えへへ……才能ですかね!」
「調子に乗りすぎるのはよくないぞ!」
「はい」
「……ユーモア溢れるところは君の良いところだ……君の明るさで、皆を晴らしてくれ」
「はい!」
「では、頑張ってくれよ少年!」
「ありがとうございますオールマイト!」
オールマイトは皆にも声をかけているみたいで、別の足場に向かって行った。
「よし!頑張りますか!」
僕は気合いを入れ直して、訓練に戻るのだった。
現時点で、圧縮訓練の成果
敵連合による、襲撃で限界を超えた“個性”使用をした結果、大幅に伸びた。
“個性”の射程、自身を中心とした半径200m。
圧縮の持続時間、ほぼ無制限。
ビー玉や等身大アクスタのように、圧縮の状態を自由に選択可能。
現時点での必殺技
《バリアスマッシュ》
腕や足にバリアを纏い攻撃する。
《バリアブルスマッシュ》
バリア同士をぶつけることで、圧縮されたエネルギーを放出し攻撃する。
《バリアブルスマッシュ・改》
犀原との戦いで会得。
バリアの中心(核)同士を一ミリのズレなくぶつけることで、より圧縮された強力なエネルギーを放出し攻撃する。
イメージは、呪術廻戦の黒閃
《真・バリアブルスマッシュ》
相手をエネルギーと一緒に圧縮しバリアを展開する。
等身大アクスタのような状態の相手(バリア)にバリアをぶつけて、ゼロ距離かつノーガードでダメージを与える。
中心(核)同士をぶつけることで、より強力な一撃を与えることができる。
イメージは、呪術廻戦の投射呪法(1秒フリーズ)
《バリアブルブースト》
体育祭決勝にて、空中にいる爆豪を落とすために使用。
原理は、《バリアブルスマッシュ》と同じで放出したエネルギーを、攻撃に使用するか機動力に使用するかの違い。