そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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試験までのあれこれ

「エクトプラズム先生!行きますよ!」

 

「来イ!」

 

 僕は今日も、エクトプラズム先生と組手をして、新必殺技を作っている。

 エクトプラズム先生の素早い足技を、回避しながらこちらも攻撃を繰り出す。

 さっきからこの繰り返しだ。

 

《バリアギフト》

 

 エクトプラズム先生と僕の間に、ビー玉を投げる。

 ビー玉は一瞬光ると、事前に圧縮していたコンクリートの塊に変わる。

 

「ッ!?」

 

 エクトプラズム先生は、素早く後ろに飛ぶことでコンクリートの塊を回避する。

 

「どうです?」

 

「フム、ナカナカ良イ技ジャナイカ。相手カラスレバ、何ガ飛ンデ来ルカ不明ダカラ、距離ヲ取ラザルヲエナイ……タダシ、自分ガ投ゲタ物ガ何ナノカ、シッカリト把握シテオクコトダ」

 

「はい!」

 

 こんな感じで新必殺技を、バンバン作ってるんだよね!

 いやぁ……なんかこうできちゃうんだよね!

 

 圧縮を使いこなせるようになったから、一気に幅が広がってできることが増えたんだ!

 

「さて、次は……ん?」

 

 訓練を続けようと、エクトプラズム先生に接近しようとした時だった。

 

「あ、オイ!上!!」

 

 爆豪くんが叫んでいる。

 僕は視線をそちらに向けた。

 コンクリートの塊が、真下にいるオールマイトに向かって落ちていく。

 

「ッ!!」

 

 僕は、咄嗟にバリアでオールマイトを覆った。

 次の瞬間……

 

SMASH!!

 

 緑谷くんが跳躍し、コンクリートの塊を蹴り砕いた。

 

「マジか!!」

 

 コンクリートの塊が破壊され、細かい破片がバリアに降る。

 

「大丈夫でしたか!?オールマイト!」

 

 カッコよく着地した緑谷くんは、オールマイトの元に駆け寄る。

 

「ああ!」

 

「何、緑谷!?サラッとすげえ破壊力出したな!」

 

「おめーパンチャーだと思ってた」

 

「上鳴くん!切島くん!」

 

「凄いね!緑谷くん!さっきの蹴りはその足のアイテムかな?」

 

「そうなんだ!さっきの破壊力は発目さん考案の()()()()()()()()()()()()()()()。飯田くんに体の使い方を教わってスタイルを変えたんだ」

 

「なるほどね!アイテムか……いいよね!」

 

「でも、方向性が定まっただけでまだ付け焼刃だし、必殺技と呼べるものではないんだけど……」

 

「いいや!多分付け焼刃以上の効果があるよ。こと仮免試験ではね」

 

「ん?」

 

 オールマイトの言い方になんか引っかかる。

 仮免試験なら付け焼き刃以上……まぁ、考えても仕方がないし訓練に戻ろうかな。

 

「そういえば、ハルくんのそのマスクも新しいアイテム?」

 

「お!聞いてくれるかい!このマスクさ、緑谷くんと同じで発目さんに作ってもらったんだ!どんな環境でも、装着者にクリーンな空気を届ける優れもの!しかも、これつけてるほうが普段より、呼吸しやすいから驚きだよね!」

 

 そろそろ訓練に戻ろうかなと思っていると、緑谷くんが僕のハーフガスマスクについて、話題を振ってくれた。

 僕は嬉々として、マスクの機能を説明した。

 

 期末試験で、ミッドナイト先生に苦しめられたから、僕が苦手とするガス系の対策として、用意したんだよね!

 

「そういえば、皆も色々変えているよね?」

 

「おう!ニュースタイルはお前らだけじゃねぇよ」

 

「俺ら以外も、ちょこちょこ改良してる、気ィ抜いてらんねえぞ」

 

 僕らだけじゃなく、上鳴くん、切島くん、轟くん、耳郎さん、口田くん……この数日でサポートアイテムなどで、やれることを増やしているみたいだ。

 

「だがな!この俺のスタイルチェンジは群を抜く!度肝ブチ抜かれっぞ見るか!?いいよ!?すごいよマジで!!」

 

 上鳴くんが、腕につけたサポートアイテムの説明をしようとした時だった。

 

「そこまでだA組!!!」

 

 B組担任のブラドキング先生の声が、体育館γに響き渡る。

 

「今日は午後から我々がTDLここを使わせてもらう予定だ!」

 

「B組」

 

「タイミング!」

 

 上鳴くんは残念そうに、口を尖らせる。

 あはは……ドンマイ。

 

「ねぇ知ってる!?仮免試験試験って半数が落ちるんだって!……A組キミら全員落ちてよ!!

 

「あ、切奈!元気してた?」

 

「ハル!元気だよ?てか昨日も通話してたじゃん」

 

「そうだったね……昨日の切奈、可愛かったよ」

 

「ッ!?そんなこと今……言わないでよ///」

 

「無視しないでくれるかなぁ!?」

 

「ハルぅ!!昨日何したんだぁ!!」

 

「え?ヒ・ミ・ツ」

 

 なんか卑猥なことでも考えてのか、峰田くんが叫んでる。

 ついでに物間くんも。

 

「僕はついでなのかい!?」

 

 ……心、読むなよ……。

 

 え?僕らが昨日の夜に何してたかって?

 ……聞くなよ、恥ずかしいじゃんか……///

 

 ……はぁ……わかったよ、ビデオ通話ってだけ教えてあげるよ。

 

 まぁ……殆どの人は今のでわかったんじゃないかな?

 なんのことか分からない良い子は、この後両親に聞けばいいよ。気まずくなっても責任は取らないけどね!

 

「……しかし同じ試験である以上、俺たちは蠱毒……潰し合う運命にある」 

 

「だから、A組とB組は別会場で申し込んである」

 

 僕が()とじゃれている間に、話は進んだみたいで常闇くんが仮免試験について話してる。

 どうやら、同士討ちを避けるために会場が別になっているみたいだ。

 

「ヒーロー資格試験は毎年6月と9月に全国三ヶ所で一律に行われる。同校生徒での潰し合いを避ける為、()()()()()()時期や場所を分けて受験させるのがセオリーになっている」

 

 トガちゃんも言ってたね。

 体育祭が終わって、すぐに仮免試験があるから大変だったって。

 

「ホ」

 

「直接手を下せないのが残念だ!」

 

「誤魔化せないよ?」

 

「病名のある精神状態なんじゃ?」

 

 物間くんは、今日も平常運転だね。

 

「どの学校でも…………そうだよなフツーにスルーしてたけど、他校と合格を奪い合うんだ」

 

「しかも僕らは通常の過程を前倒ししている」

 

「1年の時点で仮免を取るのは全国でも少数派だ。……つまり、君たちより訓練期間が長い者。未知の【個性】を持ち洗練してきた者が集うワケだ」

 

「試験内容は不明だが明確な逆境であることは間違いない。意識しすぎるのも良くないが忘れないようにな」

 

 相澤先生の言葉に気が引き締まり、より一層訓練に身が入った。

 

 ……っというわけで

 

「エクトプラズム先生!新技です!」

 

《バリアプリズン》

 

 エクトプラズム先生を中心に、ドーム状のバリアを展開する。

 

「ナルホド……確カニ拘束ニハウッテツケダナ」

 

 エクトプラズム先生は足技を放ち、バリアを破壊できないか試す。

 僕のバリアは並大抵の威力じゃ壊れない。

 さっき、オールマイトを守るためにバリアを展開した時に、思ったんだよね。

 バリアで守るだけじゃなく、拘束にも使えないかなって。

 

「それに……ここから!」

 

 バリアを小さくしていき、中にいるエクトプラズム先生も一緒に、ビー玉サイズにまで圧縮していく。

 

 今回は、敵を拘束するために使ったけど、僕自身や味方にも使える。

 例えば、負傷した味方をバリアで守り、圧縮して持ち運びも楽に行える……みたいな感じだね!

 防御、回避、拘束に使える新必殺技だ。

 

 よし!この調子で残り五日間も頑張るぞ!!

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