そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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試験会場に来た!

 歳をとると、時の流れが早く感じるよね!

 

 急に、こんなこと言ってどうしたかって?

 簡単な話だよ……10日余りの圧縮訓練は驚くほど早く過ぎていった。

 

「降りろ到着だ。ここが試験会場、国立多古場競技場」

 

ヒーロー仮免許取得試験当日!!

 

 絶賛緊張中のハルくんだよ!

 いやぁ……早いね。

 まだ訓練し足りないよ、もっともっと時間があればいいのに……。

 まぁ、言っても仕方ないんだけどね!

 

「緊張してきたァ」

 

「多古場でやるんだ」

 

「とりあえず、記念に一枚撮ろうよ!」

 

「ハル……緊張してるんだよな?」

 

「試験て何やるんだろ、ハー……仮免取れっかなァ」

 

「峰田、取れるかじゃない取って来い」

 

「おっもっ……モロチンだぜ!!」

 

「この試験に合格し仮免許を取得出来ればお前ら志望者(タマゴ)は晴れてヒヨっ子……セミプロへと孵化できる……頑張ってこい」

 

 ……相澤先生!

 僕!頑張ります!

 

 珍しいく、相澤先生に背中を押された僕らはやる気が上がった。

 

「っしゃあ!なってやろうぜヒヨっ子によォ!!」

 

「いつもの一発に決めて行こーぜ!」

 

 こういう時、切島くんってありがたいよね!

 切島くんの音頭で、僕らは校訓を叫ぶ。

 

「せーの」

 

「「「「「Plus……「Ultra!!」」」」」」

 

 大声と共に、僕らに混じって円陣に参加する、謎の坊主くん。

 

 え?誰?

 

「勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないよ……イナサ」 

 

「ああ、しまった!!」

 

 多分、先輩だと思う男子生徒に、注意をされた坊主くん改めイナサくんは……

 

「どうも大変」

 

「失礼致しました!!!」

 

 ヤバいだろこいつ。

 

 イナサくんは、勢いよく謝罪する。

 勢いがありすぎで地面に額を強打している。

 

「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」

 

「飯田と切島とハルを足して二乗したような……!」

 

おい!やめろ!その中に僕を入れるな!!

 

 僕は、普段からテンションだけで乗り切ってないよ!!ちゃんとウケると思ってボケてんだよ!!

 

「待ってあの制服……!」

 

「あ!マジでか」

 

「アレじゃん!!西の!!有名な!!」

 

 周りの受験者も、イナサくんの声に気づきこっちに視線を向ける。

 ……雄英ってやっぱ有名なんだね、制服だけで特定されたよ。

 

「東の雄英、西の士傑」

 

「数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校……士傑高校!」

 

「珍しいね、爆豪くんが解説してくれるなんて」

 

「黙ってろ変態野郎」

 

 ……そろそろ、その呼び方変えない?

 魚目野郎とかの方が、変態よりまだいいよ。

 

誰が、ハイライトのない死んだ魚の目だって?*1

 

 

「一度言ってみたかったっス!!プルスウルトラ!!」

 

「自分、雄英高校大好きっス!!!」

 

「雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっスよろしくお願いします!!」

 

 イナサくんは、元気に挨拶してくれる。

 多分、いい人なんだと思う。

 

 血が出てるよ、大丈夫?

 

「ヤバ驚嘆!テレビ越しでもイケメンなのに、生で見るとチョ~イケメン!!マジ気分マテンロウって感じ~!!」

 

 ギャルに絡まれました。

 助けなくて大丈夫です、むしろマジ感謝って感じです!!

 今更だとは思うけど、僕の女性の趣味はギャルだ。

 無論、ギザ歯八重歯がある子に限るけどね。

 

 切奈は、中学時代ギャルだったし、今もダウナーギャルな雰囲気がある。

 トガちゃんは、渋谷か原宿にいそうなギャルって感じがするよね!

 

 もちろん、反論があるなら聞いてあげるよ……でも僕も、全力で反撃するからそのつもりでいてね。

 

 話を戻すけど、士傑のギャルに絡まれたこの状況……正直嬉しいよね!

 

 勘違いしないで欲しいけど、この女性を狙ってるってわけじゃないからね!

 ただ、ギャルに絡まれたってシュチュエーションに、喜んでるだけだから

 

 ……絶対に『お、浮気か?』とか言うなよ。

 

絶対だからね!

 

「ありがとうございます!お互いに仮免試験頑張りましょうね!」

 

「ファンサもしてくれるとかマジ感激!」

 

 ギャルさんと握手し、ツーショットを撮って、仲良くしていると、さっきまで緊張してた峰田くんが叫ぶ。

 

「ハルぅ!お前ってやつはぁ!!」

 

「ハッ!」

 

「テメェ!!」

 

 峰田くんが嫉妬で血涙を流す。

 悪いね峰田くん……これが僕と君の差だよ。

 

「ねぇ耳郎、証拠撮った?」

 

「もち、後で取蔭に送ろうか」

 

 あ、終わった。

 

「……峰田くん……」

 

「ハッ!」

 

 どうやら友人にも、見捨てられたようです。

 それはそうと耳郎さん、その証拠とやらはどうすれば消していただけますか?

 靴とか舐めましょうか?ピカピカにしますよ!

 

「2人とも行くぞ」

 

 さっきイナサくんを注意した男子生徒が2人を呼び戻して、会場に向かって行った。

 

「夜嵐イナサ」

 

 相澤先生が、士傑生の背中を見ながらイナサくんの名前を呟く。

 

「先生、知ってる人ですか?」

 

「すごい前のめりだな……よく聞きゃ言ってることは普通に気の良い感じだ」

 

「ありゃ……強いぞ」

 

「相澤先生が、手放しに褒めるなんて珍しいですね」

 

「……夜嵐、昨年度……つまりお前らの年の推薦入試、トップの成績で合格したのにも関わらず、なぜか入学を辞退した男だ」

 

「え!?じゃあ……1年!?ていうか推薦トップの成績って轟くん以上の実力!?」

 

「まぁしかし……雄英大好きとか言ってたわりには入学蹴るってよくわかんねぇな」

 

「ねー変なの」

 

「変だが本(・)物(・)だ。マークしとけ」

 

 相澤先生が、そう言うならしっかり注意しときますね!

 試験が始まったら、戦うかもしれないしね!

 

「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」

 

 士傑高校の人らが去った後、相澤先生を呼ぶ明るい女性の声が聞こえてきた。

 

 あ、めっちゃ嫌そうな顔してる。

 

「テレビや体育祭じゃ姿は見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだな!!」

 

「あのこの人は」

 

「結婚しようぜ」

 

 相澤先生!良かったですね!結婚式には呼んでください!入学式のスピーチの代わりに、生徒代表でスピーチしますからね!*2

 

「しない」

 

「わぁ!!」

 

「しないのかよ!!ウケる!」

 

「相変わらず絡み辛いなジョーク」

 

「……緑谷くん、あの人誰か分かる?」

 

「えっとねぇ……彼女はスマイルヒーロー“Ms.ジョーク”!“個性”は“爆笑”!近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ!彼女の敵退治は狂気に満ちてるよ!」

 

「なるほどね」

 

 緑谷くんの知識は本当に凄いよね!

 僕は、トッププロと興味のあるヒーローくらいしか知らないから、教えてくれるの本当にありがたいんだよね!

 

「……お前の高校(とこ)もか」

 

「そうそう、おいで皆!雄英だよ!」

 

 Ms.ジョークに呼ばれて、彼女の生徒達が僕らの方に近づいてくる。

 

 ……ギザ歯だ!!!

 

しかもギャルっぽい!!!

 

 傑物学園の生徒の中に、僕好みのギザ歯がいてテンション上がってきた!

 ギャルの後にギャル……なかなか良いじゃないですか!!

 

とりあえず、ツーショットお願いします!!!

 

「おお!本物じゃないか!!」

 

「すごいよ!すごいよ!TVで見た人ばっかり!」 

 

「1年で仮免?へぇーずいぶんハイペースなんだね、まァ色々あったからねえ、さすがやることが違うよ」

 

「傑物学園高校2年2組!私の受け持ちよろしくな」

 

「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」

 

「えっあ」

 

「しかし君たちは、こうしてヒーローを続けているんだね。素晴らしいよ!!」

 

 真堂先輩は、僕たちに爽やかな笑みを浮かべながら握手していく。

 僕は真堂先輩より、そっちのギザ歯さんとお近づきになりたいんだけどね!

 

「不屈の心こそ、これからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」

 

(((((まぶしい)))))

 

 ……僕とは別ジャンルのイケメンだね。

 

「ドストレートに爽やかイケメンだ……」

 

「轟はクール系、ハルは女殴ってる系……ここに来て爽やか系か」

 

「ここだけ顔面偏差値、異様に高くねェか?」

 

 真堂先輩の爽やかさについて話していると、僕の方に歩いてきた。

 

「中でも、神野事件を中心で経験した張理有くん。君は特別に強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで、頑張らせてもらうよ」

 

「え?あ、あぁ……おなしゃす」

 

 ごめん、ギザ歯さんしか見てなくて、何言ってたかちゃんと聞いてない。

 もっかい言ってくれない?

 

「こらおめー失礼だろ!」

 

「良いんだよ……それと、畳は僕の彼女だからね」

 

「……なるほど」

 

 ギザ歯さんは畳さんというのか……それに貴方が彼氏だったんですね。

 

 知らなかったとはいえ、チラチラと視線を向けていたらいい気はしないですね……失礼いたしました。

 

 それと、話は変わりますが……

 

「酒が飲めるようになったら、飲み行きましょ!貴方とはいい酒が飲めると思います!」

 

「……アイツ、あの人のこと勝手に同好の者にしたな」

 

「ほっとけ……巻き込まれるぞ」

 

「はは、君は強いね……いいよ。いつか飲みに行こう……それじゃお互いに試験頑張ろう!」

 

 真堂先輩は僕と握手した後、健闘を祈りながら会場へ向かって行った。

 

「おい!コスチュームに着替えてから説明会だぞ、時間を無駄にするな」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 そうだった、色々なことがあって忘れてたけど、まだ試験前だった。

 相澤先生の言葉で、緩んだ空気がピシッとする。

 

「あ!皆、円陣……ちゃんとやっとこうよ!」

 

「それもそうだな!そんじゃ改めて……1年A組!!」

 

「Plus・Ultra!」

 

 僕らは試験会場へ向かった。

 仮免試験が始まる。

*1:
お前が言ったんだろ。

*2:
いい加減許してやったら?

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