そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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一次試験!抗え雄英狩り!!

 色々あったけど、まだ試験は始まってすらいない。

 僕らは会場に入ると、案内に従いコスチュームに着替え、説明会場で待機している。

 

「多いな……!」 

 

「多いね……!」

 

 周りは受験生でいっぱいで、動くこともままならない。

 

「えー……ではアレ、仮免のヤツをやります。あー……僕、ヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠よろしく。……仕事が忙しくてろくに寝れてない……!人手が足りてない……!そんな信条のの下、ご説明させていただきます」 

 

(((((疲れ一切隠さないな大丈夫かこの人)))))

 

 ……ヒーロー公安ってブラックだったりする?

 “解放の園”の箱庭*1も元公安で、仕事に押しつぶされてそのストレスから、Mr.Yと出会い性癖に正直になったんだっけ……本当に大丈夫かヒーロー公安?

 

「ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます」

 

「ザックリだな」

 

「まじか」

 

「現代はヒーロー飽和社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する向きも少なくありません」

 

 疲れを隠さない目良さんの説明を聞き、飯田くんと緑谷くんの顔が少し強ばる。

 あれからもう数ヶ月か……一学期だけでも大分濃いな。

 

「まァ……一個人としては動機がどうであれ命がけで人助けしている人間に何も求めるなは……現代社会において無慈悲な話だとは思うワケですが、とにかく……対価にしろ義勇にしろ多くのヒーローが救助・敵退治に切磋琢磨した結果……事件発生から解決に至るまでの時間は今……ヒクくらい迅速になっています」

 

「君たちは仮免免許を取得しいよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者……ハッキリ言って厳しい」

 

「よって試されるのはスピード!」

 

「条件達成者、()()100名を通過とします」

 

 マジかよ!?

 1540人中の100人って、5割どころの話じゃないよ!?

 飽和社会だからって思い切りがすぎるよ!?

 

「まぁ社会で色々あったんで……運がアレだったと思ってアレして下さい」

 

「マジかよ……!」

 

「さて、では条件について話しますね……。コレです」

 

 受験生の悲鳴を軽く流すと、ボールと的のような物を取り出した。

 

「受験者はこのターゲットを3つ、体の好きな場所。ただし常に晒されている場所に取り付けてください。そしてこのボールを6つ携帯します。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、3つ発光した時点で脱落とします。3つ目のターゲットにボールを当てた人が()()()こととします。そして()()倒した者から勝ち抜きです……。ルールは以上のです」

 

 なるほど……つまり、2人拘束してボールを直接ターゲットに当てれば、速攻クリアってわけか。

 

 僕の“個性”チョー有利じゃん。

 

「えー……じゃあ()()()ターゲットとボール配るんで、全員に行き渡ってから1分後にスタートします」

 

 ……展開?

 僕と同じように、皆も首を傾げる。

 次の瞬間、説明会場が文字通り展開し、試験会場が露になる。

 

「各々苦手な地形や好きな地形があると思います。自分を活かして頑張ってください。……一応、地形公開をアレするっていう配慮です。……まぁムダです、こんなもののせいで睡眠が」

 

 試験会場は複数の地形で構成されていて、雄英の『U・S・J』を彷彿とさせる。

 

「先着で合格なら……同校での潰し合いは無い……むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋!皆!あまり離れず、一かたまりで動こう!」

 

 珍しく緑谷くんが皆に声をかけ、一次試験を有利に進めるように作戦を伝える。

 

「フザけろ、遠足じゃねぇんだよ!」

 

「バッカ待て待て!!」

 

 爆豪くんがどっか行った。

 切島くんがそのあとを追いかけて、姿が見えなくなった。

 

「俺も、大所帯じゃ却って力が発揮出来ねぇ」

 

「轟くん!!」

 

 次に轟くんも、どっか行った。

 

「緑谷、時間ねぇよ!行こう!!」

 

 峰田くんに呼ばれて、僕らは皆と共に移動を始める。

 

 ……あれ?上鳴くんは?

 

 周りを見渡しても、どこにもいない。

 

「あの子ら単独行動好きだね!」

 

「単独で動くのは、良くないの思うんだけど……」

 

「何で?」

 

「雄英体育祭でしょ」

 

「うん!僕らは既に、手の内がバレてるんだ」

 

 走りながら、なぜ僕らが狙われるのか緑谷くんが説明してくれる。

 

「さっき言った勝ち筋は、他校も同様なわけで……学校単位での対抗戦になると思うんだ。そしたら次に、当然どこの学校を狙うかって話になる」

 

 

『4』

 

『3』

 

 

「雄英だけなんだよ……“個性”不明のアドバンテージがないのは……それに加えて、戦闘スタイル、弱点も体育祭見てたら粗方わかるでしょ」

 

「マジかよ!?」

 

 

『2』

 

『1』

 

『START!!』

 

「“自らをも破壊する程の超パワー”まァ……杭が出てればそりゃ打つさ!!!

 

 スタートの合図共に、一斉に僕らに襲いかかる他校の皆さん。

 “個性”を使って、ボールを投げつけてくる。

 ワンパターンすぎて笑っちゃうよね!

 

 それじゃあ……教えてあげようかな?

 

 

 

《バリアドーム》

 

 ここにいるA組16人を覆うように、バリアを展開する。

 僕らに降り注いだ攻撃やボールが、全て弾かれる。

 “個性”の射程が伸びた僕は、自分だけしか守れなかったバリアを広範囲に展開できる。

 

「緑谷くん!作戦を伝えて!!バリア解除と共に一気に行くよ!!」

 

「うん!」

 

 ここに無敵の盾()がいるってこと!

 

 一次試験は、まだ始まったばかりだ。

*1
○○しないと出られない部屋みたいな“個性”の奴

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