そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

68 / 93
激戦、混戦、一次試験!?

 仮免試験、一次試験が始まって十数分。

 

 僕は皆と離れて岩陰に隠れている。

 

『けっこう、状況動いてます!現在通過者……52……あ53名!続々出てます!』

 

 一次試験を突破できるボーダーは半分を切った……

 

「そろそろ動かないと……ヤバいよね」

 

「それな!イダテン*1でカイサツ*2抜けないと……一次で落ちたら、アビス*3って感じぃ」

 

 岩陰に隠れる僕の隣には、士傑のギャルさんがいる。

 

 なぜ、こんな状況になっているのか……

 

 それは、一次試験開始直後にまで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《バリアドーム》

 

 ここにいるA組16人を覆うように、バリアを展開する。試験開始と同時に、僕らに降り注いだ攻撃やボールが、全て弾かれる。

 

「緑谷くん!作戦を伝えて!!バリア解除と共に一気に行くよ!!」

 

「うん!皆!バリアが解除したら、ここにいる人たちを無力化して拘束!峰田くん、瀬呂くんを中心に僕らが一次試験を突破できる人数が集まったら、ハルくんにバリアを展開してもらう!」

 

「ちなみに、32人集まれば全員に行き渡るよ!」

 

「「「「「おう!」」」」」

 

「3秒後にバリア壊すから……体勢崩した奴から狙ってけ!」

 

 緑谷くんが作戦を伝え、全員が構える。

 

「3……2……1……GO!!」

 

《バリアブルスマッシュ》

 

 僕らを覆っていたバリアを破壊して、全方位に解放されたエネルギーによる衝撃波を放つ。衝撃波で体勢を崩した受験生を、幾つかのグループに別れた皆が拘束するために接近する。

 

「マジかよ!」

 

「こっち来んな!」

 

 大勢で僕らを狩ろうとしてた受験生は、慌てて迎撃しよとするが、体勢が崩れたことで思うように動けないみたいだ。

 

「真堂先輩!遠慮なくいきますね!!」

 

「さすが雄英……一筋縄じゃ行かないか」

 

「1年だと侮ると痛み目見るな……任せた!」

 

「任された!」

 

 僕は目の前にいる、傑物学園の先輩達に接近する。

 他の受験生と違って、衝撃波を回避した先輩らはすぐに迎撃の体勢を整える。

 

 でも、圧縮しちゃえば関係ないんだよね!

 

「ッ!?離れろ!!割る!!」

 

 僕が何か企んでいるのを理解したのか、真堂先輩は地面に手を置き、仲間を下がらせる。

 

「遅いよね!」

 

 この距離なら安全に圧縮できる。

 人を圧縮する際、すぐに回収できるようにしないと、色々危ないから人に使う時は、距離を意識しないと行けないんだよね!

 

「させないよ!」

 

「ッ!?」

 

 何かしようとする真堂先輩に接近して、圧縮しようと思ったけど、横からボールが飛んでくる。

 真っ直ぐに僕のターゲットを狙ってくるから、多分ホーミング系の“個性”が付与されてるのかな。

 

「無視は……できないね!」

 

 飛んできたボールを躱しながら圧縮する。

 

「マジか……でも遅い!!」

 

「最大威力!」

 

《震動伝地》

 

 真堂先輩は、地面を揺らし割る。

 地面が砕け、ここにいる全員を巻き込んで、飲み込んでいく。

 

「クソ……届かない!」

 

 一人でも圧縮しようと思ったけど、手が届かない。

 万が一、圧縮したビー玉を掴み損ねたら、この割れた地面の中から探すのは難しいだろう。

 

 ……圧縮を解除したら、生き埋めになってましたとか、シャレにならないからね。

 

 僕は、受け身に集中して、割れた地面に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……っということがあったんだよね!

 

 真堂先輩の“個性”で分断された後、僕は皆を探してる途中で士傑のギャルさんと出会ったんだよね。

 

「改めて、自己紹介しときましょうか……雄英高校1年A組の張理有ハルです」

 

「マジメだねぇ……士傑高校の2年、現見ケミィ~よろぴー」

 

「よろぴー」

 

「ノリよ!イケメンでノリもいいって超優良じゃん!」

 

 自己紹介も済んだことだし、皆の疑問にも答えようかな。

 なんで、士傑の人と岩場で隠れているのか、それはね……

 

「それにしても、マジアビス……足痛めるとかホント……ありえないんだけど」

 

 はい、こういうことです。

 皆と合流するために、オーラで探知してたら足を引きずりながら、他の受験生から逃げてたので助けました。

 

「現見先輩……どうします?」

 

「ケミィでいいのに……さっきも言ったけど、一次は突破しないとねぇ……ハルるんは?ウチ置いてけば、一次試験突破でしょ?」

 

「でも……目の前で怪我した人ほっとけないですよ……仮免試験受けてるのに、先輩を無視したら……それこそヒーロー失格でしょ」

 

「……ロート*4に優しくされた!マジマテンロウ*5!」

 

「さてと……それじゃ、さっさと4人捕まえて一次試験突破しましょう」

 

「り」

 

「僕の“個性”は“圧縮”。一定範囲のものをビー玉サイズにまで圧縮できます」

 

「ウチの“個性”は“幻惑”なんかエモい感じの幻を作れる」

 

「なるほど……ならすぐに突破できそうですね……とりあえず、応急処置だけしますんで、足失礼しますね」

 

 僕は、腰のポーチから圧縮して持ち込んでいた、救急箱を取り出す。

 圧縮を使いこなせるようになってから、荷物を沢山持てるようになったんだよね。

 だから、腰のポーチの中は青いネコ型ロボットのポケットばりに、色々入ってるんだ!

 

「これでよし!」

 

「手際良!?」

 

「まぁ慣れてますから……」

 

 現見先輩に、応急処置の手際の良さを褒められたけど、あんまり自慢できない……いつも、切奈やトガちゃんに噛まれた傷の手当してるから、自然と身についたなんて人には言えないもんね!

 

「よし!じゃあ行きましょう!」

 

「OK!」

 

 念の為、現見先輩をおぶって、僕らを探している受験生に接近する。

 

 

 

 

 

「ねぇ君の可愛い顔が見たいんだ」

 

「ほら、こっちにおいで?」

 

「「「「ハ~イ♡」」」」

 

 ……あれもしかしなくても僕だったりする?

 

 姉さん達が読んでた、少女漫画みたいな作画になってるけど……

 まぁ……かっこいいからいっか!

 

 とりあえず、4人の意識を逸らすことに成功したので、僕の“個性”で圧縮して、安全な場所で4人のターゲットにボールを当て、一次試験を突破する。

 

「なんかイダテンで終わったね」

 

「現見先輩のおかげです!ありがとうございます!」

 

『通過者が出ました!67、68名……現在68名です!』

 

 僕らは、一次試験を突破して控え室に向かう。

 

「皆……頑張ってね」

 

 まだ、試験中の皆にエールを送り、僕は現見先輩を医務室に送り届けるのだった。

 

 

 

張理有ハル……ヒーロー仮免許取得試験

 

一次試験突破

*1
韋駄天→足の速い神→速くの意

*2
改札口→抜ける→突破するの意

*3
深淵や底なしの穴→穴に落ちる→深く落ち込むの意

*4
ロート○薬→目薬→目に良い→眼福の意

*5
摩天楼→超高層ビル→気分がブチ上がるの意

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。