そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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パイスライダー!?……あ、バイスタンダーね!

 僕と現見先輩が一次試験を突破して、しばらく青山くんの活躍で、バラバラになっていた1年A組が集結した。

 全員集合したことで、連携が更に強固になり無事に1年A組誰一人欠けることなく、一次試験を突破した。

 

「おめでとう皆!」

 

「ハル!お前も突破してたか!」

 

 控え室に来た、皆を出迎えて労う。

 1540人中の100人なんて、狭すぎる門を1年A組20人が欠けることなく突破できて嬉しいけど、試験はまだ終わりじゃない。

 

『えー100人の皆さん、これをご覧ください』

 

「さっきのフィールド?」

 

「なんだろうね……」

 

「……嫌な予感が」

 

 アナウンスが流れ、モニターには一次試験の会場が映し出される。

 

 

 

BOOM

 

BA-DOOOOM

 

 

 

 試験会場が爆発した。

 ビルが崩れ、炎が上がり、災害が起きたように、全てが壊れていく。

 

「……お金かかってるなぁ……」

 

『次の試験でラストになります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして、救助演習を行ってもらいます』

 

「「「パイスライダー……?」」」

 

 僕あれ好き!

 切奈ってタイトな服をよく着るから、バックのストラップがくい込んでスゴいエッチなんだよね!

 僕がそれを見ているのに気づいて、トガちゃんも同じ系統の服着るようになって、2倍……エッチなんだよね!!

 

 あ、でも僕って巨乳派ではないんだ……デカイのは好きだけど……やっぱり1番は、切奈やトガちゃんみたいな片手に収まる美乳だよね!

 

 あと、足から尻にかけてのラインも好き!!

 

「バイスタンダー……現場に居合わせた人のことだよ。授業でやったでしょ」

 

「一般市民を指す意味でも使われたりしますが……」

 

 葉隠さんと八百万さんに、白い目を向けられながら訂正される。

 

『ここでは一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として……どれだけ適切な救助を行われるか試させて頂きます』

 

「あれは……」

 

「人がいる」

 

「何してるんだ!危ねぇぞ!?」

 

 モニターでは、老人や子供が崩れた試験会場に向かっている様子が映し出される。

 

『彼らは訓練において今、引っ張りダコの()救助者のプロ!!』

 

「色んな仕事があるんだねぇ……」

 

『《HELP(ヘルプ)US(アス)COMPANY(カンパニー)》略して《HUC(フック)》の皆さんです』

 

「ヒーロー人気のこの現代に即した仕事だ」

 

『傷病者に扮した《HUC》がフィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます』

 

 なるほどね……さっきはふるい落としで、ここからが本番て感じなのか。

 とりあえず、色々持ってきたから臨機応変に対応出来ると思う。

 

『尚、今回皆さんの救出活動をポイントで採点していき、演習終了後に基準値を超えていれば合格とします。10分後に始めますのでトイレなど済ましといて下さいね……』

 

「……神野区」

 

 僕は今一度、試験会場を見てつぶやく。

 平気なフリして、おちゃらけて明るくしていても……嫌でも思い出す。

 

 僕が捕まらなければ、起きなかったはずの悲劇。

 

 今でも、僕を悪く言う声は絶えない。

 オールマイトを失ったんだ……文句の一つも言いたくなるよね。

 

……だから、絶対合格しなくちゃね。

 


 

「……ハル、大丈夫か?」

 

「峰田くん……大丈夫って?」

 

「なんか……壊れてく試験会場見て、ハルが嫌な顔をしてたからよ……無理してるんじゃねぇかって」

 

「はは……わかっちゃう?……正直、ちょっとキツい」

 

「神野区……だよな?」

 

「うん……多分、あの夜のことを想定して二次試験が行われるんだと思う」

 

「……なんでも言ってくれよ!オイラ……ハルの友達だからな!」

 

「……ありがとう……頼りにするね」

 

「おう!」

 

 峰田くんは僕の肩を叩き、サムズアップする。

 ……本当にかっこいいぜ。

 

 峰田くんの言葉で少し、気が楽になった僕は控え室に置かれている、パンを手に取り食べる。

 

「張理有くんよ」

 

「ん?」

 

 さっきまで、爆豪くんと話していた士傑高校の人が僕に声をかけた。

 

 ……すごいモフモフして、気持ちよさそうですね。

 

「現見のこと助けてくれたんだってね。同じ士傑の者として礼を言うよ、ありがとう」

 

「いえ、当然のことをしたまでです……その、現見先輩は大丈夫でしたか?」

 

「足を捻っていたようで、残念だけど二次試験は辞退することになったよ」

 

「そう……ですか……」

 

「君が気にすることじゃないさ……むしろ、君が応急処置をして医務室に送り届けてくれたから、大事にならなかったんだ」

 

「……っはい」

 

「ありがとう……二次試験お互いに頑張ろう」

 

「はい!」

 

 モフモフな先輩はそう言うと、士傑の人達の方に戻って行った。

 

 

 

ジリリリリリ!!!

 

 トイレを済ませて、二次試験を待っていると控え室にけたたましいサイレンが鳴り響く。

 

「来た!」

 

『敵による大規模破壊(テロ)が発生!規模は〇〇市全域、建物倒壊により傷病者多数!』

 

「ッ!?」

 

「演習のシナリオね」

 

「え!?じゃあ……」

 

『道路の損壊が激しく救急先着帯の到着に著しい遅れ!到着するまでの救出活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う』

 

 一次試験の時みたいに、控え室が展開し試験会場への道ができる。

 

『一人でも多くの命を救い出すこと!!!』

 

 今のがスタートの合図なんだろう。

 僕は、全身から一気にオーラを拡散させる。

 

「皆!傷病者は僕が見つける!ついて来て!!」

 

 A組の皆に声をかけ、傷病者を救助するために、試験会場に向けて走り出す。

 

「先輩方!これ使ってください!!」

 

 市街地エリアに向かう前に、控え室があった場所を救護所や、ヘリの離発着場にしている先輩達に声をかける。

 腰のポーチから、圧縮して大量に持ってきていた救急セットを渡す。

 

「おお!助かる!」

 

「ありがとう!雄英の!」

 

 僕は救護所を後にして、市街地エリアに急いだ。

 到着すると、オーラによって頭の中に詳細な3Dデータが浮かび上がり、傷病者がいる場所を特定する。

 

「そこの瓦礫の下に一人!そっちのビルに二人!」

 

「了解!」

 

「OK!」

 

 A組や周りにいる人達に声をかけ、救助を始めていく。

 他の受験生の先輩は、僕らよりも訓練を多く積んで手際が良い。

 

 僕らも負けてらんないね!

 

「ハルくん!この人、大怪我をしてて動かせない!」

 

「OK!その人は僕が運ぶよ!」

 

 皆に指示を出しながら、バリアや圧縮で救助活動を行っていると緑谷くんに呼ばれ、僕はすぐにその人の元に向かう。

 緑谷くんが対応していた傷病者は、なかなかの巨体で頭から血を流している。

 

「ヒーローです!安心してください!大丈夫ですか?」

 

 傷病者に声をかけるが、反応がない。

 

「今から貴方を、救護所の方まで搬送します!搬送する際に、“個性”を使います!」

 

 もしかしたら、返事ができないだけで意識があるかもしれないので、今から“個性”を使って搬送することを伝え、手をかざす。

 傷病者を圧縮して、アクリルスタンドのようにする。

 

 これなら、傷病者の状態も一目でわかるね!

 とりあえず、これは『ヒトプレス』とでも名付けておこう。

 

「緑谷くんここは任せたよ!」

 

 僕は救護所の方へと向かった。

 

「すいません!この人頭から出血があり応答がありません!どちらに寝かせればいいですか?」

 

「え?あ、あぁ!こっちに来て!」

 

 救護所についた、僕は『ヒトプレス』を見せながら、傷病者の状態を説明して、応急処置にあっていた先輩に声をかける。

 先輩に連れられた場所で、傷病者を優しく置くと圧縮を解除する。

 

「あとはお願いします!」

 

「わかった!」

 

 先輩に傷病者を預けると、僕は再び試験会場に向かう。

 

 

 

 

BOOOOM

 

 しばらく救助活動を行っていると、スタート地点の方から爆発音が聞こえる。

 

『敵が姿を現し追撃を開始!現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ救助を続行して下さい』

 

 アナウンスが敵の出現を知らせる。

 ここのエリアにいる傷病者は全員救助したから、すぐにスタート地点に戻り、敵の対処にあたる。

 

 

 

 

 

「よぉ……ハル、元気にしてるか?」

 

「……姉さん」

 

「今のアタシは敵だぜ?」

 

 

 

 

 

 二次試験はまだ終わらない。

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