二次試験が終わり、僕はアナウンスの指示通りにコスチュームを着替え、先程の試験会場で合否発表を待っていた。
「どうかなァ……」
「やれることはやったけど……どう見てたのかわかんないし……」
皆、合否発表をソワソワしながら待ってる。
僕もドキドキしてるんだよね!
「こういう時間、いっちばんヤダ」
「人事を尽くしたなら、きっと大丈夫ですわ」
耳郎さんも緊張してるみたいで、八百万さん達に励まされている。
「ハルは大丈夫だな」
「そう見える?結構ドキドキしてるよ」
「意外だな」
「そう?」
峰田くんは意外そうに聞いてくる。
僕ってそんなに図太く見えるのかな?
『皆さん、長いことお疲れ様でした。これより結果発表を行いますが、その前に一言』
試験会場に設置された、舞台にヒーロー公安の目良さんが上がる。
ザワザワしていた皆も、目良さんが話し始めると、静かになった。
『採点方式についてです。我々ヒーロー公安委員会とHUCの皆さんによる二重の減点方式で、あなた方を見させてもらいました。つまり……危機的状況でどれだけ間違いのない行動をとれたかを審査しています。とりあえず合格点の方は五十音順で名前が載っています。今の言葉を踏まえた上でご確認ください』
目良さんはそう言うと、モニターを指す。
画面が切り替わり、合格者が一斉に発表される。
「ばばばばば……あった!!」
「みみみみみ……あった!!」
僕は全力で自分の名前を探す。
どんなに遠く離れているギザ歯を、見つけるために使っていた視力を、フル稼働して見つけ出した。
「ふぅ……良かった」
自分の名前があって一安心すると、クラスメイトの様子を見る。
良かった……合格できたみたいだ。
爆豪くんと、轟くん以外。
まさかA組ツートップが、不合格になってしまうとは……。
え?轟くんに勝ったから、A組のツートップは爆豪くんと僕じゃないのかって?
爆豪くんと轟くんの方が、ハマリがいいんだよ。
A組のスリートップなら、自分も入れるけどさ……少なくとも僕がツートップのうちの一人って感じしないんだよね!
そういうわけだから、僕の中でのツートップは爆豪くんと轟くんってことで話進めるよ!
「轟!!」
「ッ!?」
……ビックリした。
士傑のイナサくんが轟くんに近づいてきた。
「ごめん!!」
「あんたが合格逃したのは、俺のせいだ!!俺の心の狭さの!!ごめん!!」
……なんかよくわからんけど、二人の間に何かあったぽい感じだね。
「元々、俺が撒いた種だし……よせよ。お前が直球でぶつけてきて、気づけたこともあるから」
「轟……落ちたの?」
「ウチの上位層から2人も落ちてんのかよ!」
「暴言改めよ?言葉って大事よ」
「黙ってろ殺すぞ」
「爆豪くん……早速アウトだよ」
「黙ってろ変態野郎!」
「ツーアウト」
「@?%★c%&!」
爆豪くんが癇癪起こした。
「両者ともトップクラスであるが故に、自分本位な部分が仇となったわけである……ヒエラルキー崩れたり!」
「轟くん……」
「轟さん……」
『えー全員ご確認いただけましたでしょうか?続きましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記載されていますのでしっかりと目を通しておいて下さい』
ヒーロー公安の人が、名前を呼びプリントを配っている。
僕も名前を呼ばれ、プリントを受け取ると何が書いているのか確認する。
『ボーダーラインは50点減点方式で採点しております。どの行動が何点引かれた等、下記にズラーっと並んでます』
「あ、本当だ……97点!?」
「えぇ!?マジか!?」
「ヤオモモより上!?アンタが!?」
「僕、八百万さんより上なの!?」
まさかまさかである。
皆の反応を見る限り、僕がA組で一番上みたいだ。
減点理由は、エネ姉さんの奇襲に気づかなかったことの一点のみ……マジかよ。
『合格した皆さんはこれから緊急時に限りヒーローと同等の権限を行使できる立場になります。すなわち敵との戦闘、事件事故からの救助など……ヒーローの指示がなくとも君たちの判断で動けるようになります』
『しかし、それは君たちの行動一つ一つにより、大きな社会的責任が生じるという事でもあります。皆さんもご存知の通り、オールマイトとという偉大なヒーローが力尽きました。彼の存在は犯罪の抑制になる程大きなものでした。心のブレーキが消え去り増徴する者は、ここから必ず現れる。均衡が崩れ、世の中が大きく変化していく中、いずれ皆さん若者が社会の中心となっていきます』
『次は皆さんがヒーローとして、模範であり抑制できるような存在とならねばなりません。今回はあくまで
全員がプリントを見たと判断した目良さんから、仮免試験の総評をいただく。
目良さんの話を聞き、僕が卵からヒヨっ子になったと実感する。
……叔父さん、僕……一歩進んだよ。
聞こえるはずもないけれど、僕は叔父さんに仮免試験を合格したことを伝える。
ここから始まるんだ。
……ヒーローとしての僕が。
『そして……』
目良さんがまた話し始める。
ん?まだ何かあるのかな?
『えー不合格となってしまった方々。点数が満たなかったからと、しょげている暇はありません。君たちにもまだチャンスは残っています』
「ハル……これって……」
「あぁ」
『三ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば、君たちにも仮免許を発行するつもりです』
「どんでんがえしだ」
『今、私が述べた“これから”に対応するには、より“質の高い”ヒーローがなるべく“多く”欲しい。一次はいわゆる“おとす試験”でしたが、選んだ100名はなるべく育てていきたいのです』
『そういうわけで全員最後まで見ました。結果、決して見込みがないわけではなく、むしろ至らぬ点を修正すれば、合格者以上の実力者になる者ばかりです』
まぁ、そうかもね。
爆豪くんは、あの性格だから誤解されがちだけど、めちゃくちゃ見えてる。
轟くんも同じで、“個性”は強いし性格も良い、物事をある程度ソツなくこなせる器用さもある。
目良さんの言っていることにも、納得がいくね。
『学業との並行で、かなり忙しくなるとは思います。次回4月の試験で再挑戦してもかまいませんが……』
「当然」
「お願いします」
爆豪くんとイナサくんの声が響く。
まぁ、何はともあれ……
「よかったね轟くん」
「やめとけよ、な?取らんでいいよ楽にいこ?」
「全く峰田くんはさァ……」
「なんだよハル!オイラが轟に勝てるところなんて、仮免持ってるくらいだぞ!」
「僕は、峰田くんにしかない良いところ知ってるから、気にしなくてもいいんじゃない?」
「お前に知られても嬉しくねぇよ!!」
「ハハッ」
「すぐ……追いつく……」
「うん、待ってる」
峰田くんにしがみつかれながら、轟くんの言葉に笑顔で返す。
……こうしてようやく、僕たちの仮免試験が終了した。
「これが仮免かぁ……」
合格発表の後、仮免に使う写真撮影等の手続きを終えて、僕らは会場を出る。
手に持った仮免を見て、笑みがこぼれる。
とりあえず、母さん達に合格したことを伝えよっと。
「あ!いたいた!ハルるん!」
「現見先輩!」
色んな学校が帰っていく中、士傑高校の現見先輩がこっちに近づいてくる。
「足、大丈夫ですか?」
「うん!2、3日もしてればOKだって」
「良かった……その二次試験……」
「気にすんなし!さっきコーアンの人にウチも講習受けたら、仮免発行してもらえるって聞いたからさ!超懐でまじ足向寝ゲンキンだわ〜!」
「ホントですか!?」
「そ、ハルるんがウチを助けてくれたからだよ……ホントありがとね!」
「……良かった」
現見先輩も、仮免取得できるみたいで良かった。
ずっと気になってたから、心がスッとしたよね!
「ケミィ!出発するよ!」
「は~い!」
モフモフな先輩に呼ばれて、現見先輩も他の士傑生の方へ戻る。
「あ、そうだ……ハルるん」
「はい?」
Chu
「じゃあね~!」
現見先輩は帰って行った。
頬に残る感触が、さっきのが僕の勘違いじゃないことを証明する。
「ハハッ……」
僕は、士傑高校が乗ったバスに一礼して、皆の元に向かうのだった。
※現見ケミィはヒロインにはなりません。
仮にヒロインになったとしても、2週目以降の攻略キャラです。