ガッッッデェム!!!
失礼、少々取り乱した。
僕がなぜこんなにも怒っているのか
それはね……
「ようこそ!エナジークィーン事務所へ!!」
「は?」
そう、僕はリューキュウ事務所じゃなくエネ姉さんのヒーロー事務所にインターンに来ているからだ。
先に言っておくと、僕はリューキュウ事務所に行こうとしていたからね。
リューキュウに連絡しようとしたら、エネ姉さんから電話が来て、あれよあれよとここにインターンに来ることになってしまったんだ。
エナジークィーン事務所。
エネルギーヒーロー“エナジークィーン”が代表を務めるヒーロー事務所で、サイドキック三名と事務員四名の小さな事務所だ。
僕らの出身地、埼玉県の県庁所在地に建てられた三階建てのビルの前で、僕はため息をつく。
「はぁ……」
「元気だしなって!私もいるんだしさ!」
そうだ!このインターンには切奈も呼ばれているんだ!
なら、この地獄も少しはマシになるだろうね!
「……ケッ……イチャイチャする暇があったら、コスに着替えて、訓練場に集合!一分一秒無駄にすんじゃないよ!」
「はい」
「はい」
「よし!行け!」
エネ姉さんは、僕らが仲良さそうに話していると、露骨に機嫌が悪くなりコスを来て訓練場に集合するように言う。
事務員さんに案内されて、僕らは更衣室でコスに着替え、訓練場に向かった。
……とりあえず、エネ姉さんに言われてコスに着替えたけど……切奈のコスチューム、なんて言うかそのエッチですね!
ピッタリとしたボディスーツだから、体のラインがはっきりと見えて、なんかもうヤバいですね!
合宿の時、色っぽいって言われてたけど……たしかに凄いわ……僕と色々して色気が増したわけで……え?ちょっと待って……B組の皆はこの切奈を見てるわけで……。
物間くん君を殴る。*1
まぁ仕方ないか……これもクラスが別れてしまったからとしか言えないし許すよ。*2
……それはそうと羨ましいけどね!!
「というわけで、コスに着替えてもらったわけだけど……ん?なにか言いたげだな?」
「エネ姉さん質問いい?」
「ここではエナジークィーンだ……なんだよ」
「クィーンは去年デビューしたばかりで、インターン受け入れたことあるの?」
「ん?ないぞ」
「……じゃあなんで僕と切奈を指名できたの?」
「色々話し合いがあったんだよ……後で詳しく説明するけど……ハル、アンタを強くするため。そして切奈は公平を期すために指名した感じね」
「僕を強く……?」
「公平を期すためって……」
「とにかく!時間は無駄にできないから、これからの予定を伝える!ハル!アンタはアタシと組手!切奈はサイドキックと近接の特訓!」
「パトロールとかは?」
「今回のインターンはアンタらを強くするためのもの……悪いけどヒーロー活動は二の次よ!パトロールは他のヒーローに任せて、出動要請が来た時のみ現場に行くわ、これは雄英と話し合った結果だから問題は無いよ!わかったなら返事!」
「「……はい」」
「元気がない!」
「「はい!」」
エネ姉さんは、僕たちに有無を言わさず訓練を始めた。
訓練場は思ったより広く、僕とエネ姉さん、切奈とサイドキックで距離を取っても窮屈さを感じなかった。
「さてと……それじゃアタシとの組手とするわけだけど……アンタ……バリア禁止ね」
「……でしょうね……理由聞いても?」
「一つ、アンタの“個性”ならアタシの“個性”と同じことが出来るかもしれないから」
「エネルギー……オーラをクィーンのように身体能力の強化や回復力の強化に使う感じであってる?」
「それであってるぞ……アンタの“個性”の一部はアタシと同じおばあちゃんから遺伝してる。それなら、“個性”伸ばしでエネルギーの幅を広げることも可能だと思ったからね。それに、エネルギーで身体能力の強化が無理でも、《バリアブルスマッシュ》の反動くらいなら無くせると思うしね」
「……まさかそれが指名の理由?」
「そうだね……雄英じゃ、アンタのエネルギーについてアドバイス出来る奴もいないだろうし、リューキュウさんと雄英に頭下げてお願いしたんだよ。敵連合に狙われた弟が自衛できるように……アタシが必ず強くするからインターンを許可してくださいってね」
「姉さん」
「まぁ最近、色々あったから組手と称してボコボコにしてやろうとは思ってるけど」
「……姉さん」
この人はこういうところあるからな……照れ隠しならもうちょっとマシな言い方あったでしょ……尊敬しようかなって思ったらすぐこれだもん。
「ちなみに、二つ目の理由とも関係してるからあながち間違いでもないぞ」
「は?」
「正直な話、雄英体育祭の決勝……アタシはアンタが優勝すると思ってた。身内だからとかそういうんじゃなくて、客観的に見てあの爆豪って子にバリアを破る手段は殆ど無かった……なんだっけハウザーなんちゃら?くらいだったと思うよ」
「……」
「アンタはあのまま、バリアの中で引きこもって判定勝ちに持ち込めばよかったんだよ……まぁ体育祭の決勝の絵面としちゃ地味だけどね……そういう意味じゃ爆豪の誘いにのって攻撃したのはいいと思うよ」
「……」
「でも、アンタの悪癖が出たね。真正面から爆破を食らってハイになったね……たしかにあれは、リミッターの一部が解除されるから、身体能力や感覚が強化されるけど……
「……」
もうやめましょうよ……僕のライフはもうゼロだよ。
「仮免試験でアンタ、ハイにならなかったね。アタシはアンタを痛めつけてることでハイにして、粗を審査員に減点してもらって、デメリットを自覚してもらおうと思ったけど……色々あったもんね」
「うん」
「だから、このインターンでアンタをしこたまぶん殴って正常に戻す。ほぼ0%を確実に0%にする。それがアンタの課題で目標だよ!」
「……わかったよ」
僕はエネ姉さんの話を聞いて、構えを取る。
これ以上、言葉は必要ないからね。
「次に進むためにも、早くコツを掴みなよ……それじゃ行くよ!!」
「うん!!」
こうして僕のインターンが幕を開けた。
切奈の指名理由は、相澤先生とエネ姉さんの話し合いの際に、身内贔屓過ぎないかとブラキンが割り込んできたことで、B組から一人参加させることになりました。
弟の幼なじみで、即席の連携も見込める切奈が選ばれました。