張理有ハル……私の大好きな人の名前です。
あの日、公園で隠れて血を飲んでいた私の前に現れて、自分の腕を差し出してきた、不思議な男の子。
家族に認められなかった、私の
もしあの時、出会わなかったら……私は普通を演じ続けていつか壊れていたと思います。
あの日、公園で一緒にいた少しの間……ハルくんは私に色んな話をしてくれました。
ヒーローになりたいこと、好きな物のこと、また遊ぼうと約束してくれたこと、血とは違う暖かさがその言葉たちに宿ってました。
でも、あの日から会うことができなくなりました。
血を飲む姿を見ても、恐れることなく自分の手を差し出したハルくん……
私は嬉しくて嬉しくて嬉しくて……飲みすぎてしまったのです。
血を多く失ったハルくんは倒れてしまいました。
私はどうしたらいいか分からなくなって泣いていました。
たまたま通りかかったお婆さんがいなければ、ハルくんはあのまま死んでいたかもしれません。
当然、私の両親は怒りました。
頬っぺたも叩かれました。
幸い、ハルくんは輸血が間に合ったみたいで、無事に数日後に退院して良かったです。
……でも、明日も一緒に遊ぶ約束は守れませんでした。
私の両親は、ハルくんの入院中に引越しの準備をして、すぐに地元を離れてしまいました。
私が会いたいと言っても怒られるだけでした。
もう一度、ハルくんに会いたい。
今日までずっとこの気持ちが変わることはなかったです。
だからヒーローになろうと思いました。
ハルくんはヒーローになると言ってたから、私もヒーローになればいつか会えると信じて頑張りました。
血が飲みたくなっても、ハルくんのことを想うと我慢できました。
笑顔も皆の前ではあまり見せないようにしました。
これまでの奇行が嘘のようになりを潜めて普通になった私を見て、両親は寄り添ってくれるようになりました。
特になにも感じませんでしたが、雄英に行くために利用することにしました。
ハルくんさえいればもう他に何も要りません。
私の全部をあげるから、ハルくんは傍にいてくれるよね?
「いやー切奈にも見せたかったなぁ……僕の大活躍をさ!」
「はいはい、昨日も聞いたよそれ」
「何度も話したいんだよ!」
……やっと会えたねハルくん
隣にいる女の子は誰か聞いてもいい?
やっほー僕だよ!
早速なんだけど皆!
「いきなり何?というか誰?」
「あなたこそ誰ですか?私はハルくんに用があるのです」
「は?」
「ん?」
助けてくれませんか?
戦闘訓練の翌日、マスコミやら委員長決めやらで忙しかったんだけど、切奈と一緒にお昼ご飯を食べるからワクワクしてたんだけど、後ろから女子に声をかけられて、天国は地獄に変わった。
……いや素敵な歯に挟まれてるから天国か。
とにかく、僕を挟んでメンチ切ってる2人をなんとかして欲しい。
さっきから怖くて仕方ないんだよね。
でも、僕好みの歯が沢山見れて幸せでもあるんだよね!
「だから私は幼なじみだって言ってるでしょ!ハルに近づかないでもらってもいいかな!」
「幼なじみのクセに彼女面ですか?残念ですけど、私とハルくんは運命の赤い糸で結ばれているんです」
「は?ハル!どういうこと!!」
「ハルくんからも説明してください!私のことをちゃんとこの人に!」
やっべこっちに飛び火した。
さてと……どうしようか。
……それにしても、この子どこかで会ったような……思い出せ僕!こんなに素敵な歯の持ち主を忘れるなんて、トゥースフェティッシュ*1の風上にも置けないぞ!
……
…………
………………
「もしかして、あの子!?公園で僕を目覚めさせた!」
「思い出してくれましたか!」
「うそでしょ!?」
「ごめん!あの時のことほとんど覚えてなくて……思い出すのに時間かかっちゃった」
「いいのです!こうしてまた会えましたから!」
「会えて嬉しいよ」
「え……」
「改めて自己紹介しましょう。渡我です!渡我被身子です。ハルくんが好きです!ハルくんと会うためにここに来ました!」
「渡我さん」
「さん付けやめてください。トガって呼んでください……名前でもいいですよ」
「じゃあトガちゃんで……よろしくね。僕は張理有ハル好きに呼んでいいよ」
「あの2人とも私のこと忘れてない!?」
「まだいたんですか?」
「最初からずっといましたけど!?」
「あっち行っててください。私はこれからハルくんとイチャイチャするので」
「流石にそれは恥ずかしいかな」
「はァ!ありえないんだけど!私だってハルとイチャイチャしたいし!!」
「切奈ここ食堂だから皆見てるよ……」
「なによ!」
「なんですか!」
「誰か助けてくれ」
キャッツファイトが始まりそうになる2人に頭を抱える僕。
今好きな人と初恋の人が出会うなんて……人生何があるか分からないよね!
ってそんなこと言ってる場合じゃない!喧嘩を止めないと……
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外に避難してください』
次から次へと今日は厄日かな?