エネ姉さんの元でインターンを初めて二日経った。
三日目の朝、僕はエネ姉さんと組手でついにエネルギー……オーラの核心を掴んだ。
三途の川が8回見えて、
「行くよ!クィーン!!」
「どっからでも来いや!」
いつも放出しているオーラを纏う……いや、ちょっと違うね……。
僕の肉体をバリアに見立ててオーラを体内に留める。心臓を起点に留めたオーラを全身に循環させることで、身体能力を強化する。
名付けて……《インファイトスタイル》
……カッコイイでしょ!
え?もっと修行パート見せろ?唐突すぎる?
……うるさいよ。ひたすら僕が殴られ続ける描写なんてつまんないじゃん……。
ちゃんと説明はしたでしょ、8回死にかけたって……実の弟を容赦なくボコボコにしてくれちゃって、ここからは僕の番だからね!
「やっとものにしたか!流石ハル!アタシの弟だよ!!」
「誰かさんの教えがいいからかな!!」
エネ姉さんの拳を紙一重で避け、間髪入れずに反撃する。
僕の拳も避けられたけど、初日と比べてエネ姉さんに余裕が無い。
……いける!
これまで散々地面とキスさせられたんだ!やり返してやるよ!!
「ッ!?」
僕のスピードが上がり、体勢を立て直すために距離を取ろうとしたエネ姉さんが冷や汗をかく。
《インファイトスタイル》は文字通り、至近距離の殴り合いを想定した戦い方だ。
このスタイルは僕の身体能力を、ハイになった時と同等以上にまで引き上げる。
ハイになるデメリット*1を消して、オーラによる身体能力の強化でハイの時よりも動けるようになった。
……当然、このスタイルにもデメリットはある。
まず、オーラを体内に留める関係上、バリアと圧縮がほぼ使えなくなる。
僕の“個性”はどちらもオーラが必要になるので、体内に留めている間は、バリアと圧縮に使う分がなくなってしまう。
賢い皆ならこう思うだろう、《インファイトスタイル》の前にある程度外に放出すればいいんじゃないかと……残念ながらそれじゃあダメなんだ。
僕が放出したオーラは、一定時間経過で空気中に霧散しちゃうんだよね!
だから、《インファイトスタイル》は搦手が使えなくなる代わりに、強化した身体能力でゴリ押す物理特化のスタイルなんだ!
……本人達にはあんまり言いたくないけど、職場体験で犀原から近接の基礎を、今回のインターンでエネ姉さんからバリアに頼らない戦い方を教わったことで、このスタイルは完成したと言っても過言じゃない。
いくら、身体能力が強化されたって、動き方がダメなら宝の持ち腐れになっちゃうからね。
「これでどうだ!!」
今までのお礼を込めて、エネ姉さんの顔面スレスレで拳を拳を止める。
……やっと一本取れた。
「……よくやった……アタシが提示した課題をよくクリアしたね……合格だよ!」
「よっしゃあああ!!!」
「じゃあここから、それを使いこなせるように慣らしていかないとね」
「へ?」
「今ので大体わかったよ……もうちょっとギア上げて行くよ」
「……」
「安心しな……殺しはしないからさ」
「わァ…………ぁ……」
エネ姉さんはやっぱりスパルタでした。
新スタイルを会得して、オーラを身体能力の強化に使えるようになって、ついでに反動技の反動を無くすことに成功したのに、調子に乗る暇を与えず、またボコボコにされました。
「この三日間お疲れ様」
三日目の夕方、僕たちは三日間の泊まり込みのインターンを終えた。
おかしいな……ボコボコにされた記憶しかないや。
「とりあえず、次のインターンだけどハル、アンタは来なくていいよ」
「まさかの戦力外通告!?」
「違う……初日に言ったでしょ、リューキュウさんにも頭を下げたって……アンタはアタシの出した課題を見事クリアしたから、リューキュウさんのところで、ヒーローとして経験を積んでこいってことだ」
「マジで!!」
「……ハル」
「あ、いや……切奈……これは違うんだ……その」
「……元々アンタはリューキュウさんからインターンの指名受けてたわけだし、無理言ってこっちに来てもらってたからね……欲を言えば、もっとここにいて欲しいけど……筋は通さないとな。そういうわけだから、リューキュウさんに連絡しなよ……連絡先持ってんだろ?」
「えぇ……まぁ」
「つーわけだ……ハル、リューキュウさんにあんまり迷惑かけんなよ……そして、切奈」
「はい」
「サイドキックに近接の基礎教えさせてたけど……次のからはアタシと組手するからそのつもりで、あとパトロールとかヒーローらしいこともしていくから気張りなよ」
「……はい」
「……切奈……頑張って……」
「……うん」
切奈が僕も同じ地獄を見ることが確定して、同情するよ……今度、恐竜型のクッキーでもプレゼントしよう。
「二人ともお疲れ様、学業と並行してインターンはキツいと思うけどこれからも頑張ってくれると嬉しい……それじゃまたな」
「「はい!ありがとうございました!」」
「おう!」
何はともあれ、僕のエナジークィーン事務所でのインターンは終わった。
数日後……。
『敵グループ同士の抗争です!!巨大化“個性”が二名!!』
『エスパ通りを巻き込み戦闘中、至急ヒーローを……!!』
「……リューキュウ行ってきます!」
「えぇ!行ってらっしゃい!」
警察の要請で僕らは巨大敵を止めるために行動を開始した。
《インファイトスタイル》を発動して、敵との距離を一気に詰める。
「チャージ満タン出力30……ハル一緒にやるよ!」
「了解ですネジレチャン!」
僕は、強化された身体能力でビルを駆け上がり、巨大敵の頭上に向かって飛び上がる。
「《インファイトスタイル》……解除!」
オーラが外に放出されるのがわかる。
「か~ら~のぉ!!」
《バリアブルスマッシュ》
《
僕と波動先輩の技を受けて、巨大敵が倒れる。
敵が既に壊した所へ倒れるように上手く調整できた……あとは2人に任せよう。
「「今だよ!二人共!!」」
「「必殺」」
《メテオファフロッキーズ》
麗日さんと蛙吹さん*2……はい。
麗日さんと梅雨ちゃんのコンビネーションで、巨大敵を無力化する。
これにて一件落着だ。
「よかったよーねぇ!よかったよかったァ!キンチョーした!?」
「指示通り動けました!」
「ケロケロ意外と落ち着いてやれたわ」
「僕はいつでも絶好調!リューキュウ褒めてください!」
「ふふ、皆良かったわ……二人はねじれが連れてくるだけあって筋がいいわ、ねじれも転倒させるタイミング直ってきたよ……ハルは職場体験の時と見違えたわね、びっくりしちゃったわ」
「「採用して頂きありがとうございます」」
「えへへ……ありがとうございます」
「ハイハイ」
リューキュウに褒められちゃった!!
これから1週間は、絶好調だね!!
「あ!ねぇリューキュウ!この二人、職場体験のヒーローダメだったの、1年生は実績多いとこじゃないとダメなの知ってた!?言ったっけ!?あれ?じゃあハルくんはなんでお姉さんのところでインターンしてたの?不思議!」
「学生といえどインターンで来たからには立派に戦力!あなたたちなら、“あの案件”も活躍できそうね」
「アノアンケン?」
「……オールマイトの元サイドキック、ナイトアイからのチームアップ要請」
「指定敵団体『死穢八斎會』の調査及び包囲……敵連合に繋がるかもしれない大仕事よ」