そのキバで僕を噛んでくれ!   作:松田ゐふ

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嫌な話にもほどがある!!

「死穢八斎會という小さな組織が、何を企んでいるのか。知り得た情報の共有と共に協議を行わせていただきます」

 

「順を追って話します」

 

「先生!」

 

「先生が何故ここに?」

 

「急に声かけられてな、協力を頼まれたから来たんだ。ザックリとだが事情も聞いてる……言わなきゃならんこともあるしな」

 

「俺、置いてけぼりなんすけど……ハッサイ?何スか?」

 

「悪いこと考えとるかもしれんから、皆で煮詰めましょのお時間や。お前らも充分関係してくるで」

 

 サー・ナイトアイの案内で、僕たちは会議室に入り『死穢八斎會』の企みについて会議を行う。

 

「えーそれでは始めてまいります」

 

 サー・ナイトアイのサイドキック、バブルガールが資料を見ながら会議を始める。

 

 ……バブルガールって癖の塊じゃない?

 

 ……今から真面目モードに入りまーす、ごめんなさーい。

 

「我々ナイトアイ事務所は、約2週間前から死穢八斎會という指定敵団体について……独自調査を進めて……います!!」

 

「キッカケは?」

 

「レザボアドッグスと名乗る強盗団の事故からです。警察は事故として処理しましたが、腑に落ちない点が多く追跡を始めました」

 

「私、サイドキックのセンチピーダーがナイトアイの指示の下、追跡調査を進めておりました。調べたところ、ここ一年以内の間に全国の組外の人間や、同じく裏稼業団体との接触が急増しており、組織の拡大・金集めを目的に動いているものと見ています。そして調査開始からすぐに……」

 

 サー・ナイトアイのもう一人のサイドキック、センチピーダーさんが話し始める。

 話とともに、大型のスクリーンが降りてきて写真が映る。

 

「敵連合の一人、分倍河原仁……敵名トゥワイスとの接触。尾行を警戒され、追跡は叶いませんでしたが警察に調査を協力して頂き、組織間で何らかの争いがあったことを確認」

 

 ……敵連合。

 

「コンプレス……」

 

「ハル大丈夫?」

 

「えぇ……大丈夫ですよリューキュウ」

 

 どうやら口に出てたみたいだ。

 敵連合って聞くと叔父さんを思い出しちゃうんだよね……争いって言ってたけど……死んでないよね?

 

「……連合が関わる話なら……ということで俺や塚内にも声がかかったんだ」

 

 あのおじいちゃんヒーロー……神野で助けてくれた人だ。

 ……後でお礼言わなきゃ。

 

「その塚内さんは?」

 

「他で目撃情報が入ってな、そっちへ行ってる」

 

 塚内さんって確か雄英襲撃事件の時にあった警察の人だよね……結構顔広いんだ。

 

「小僧、まさかこうなるとは思わなんだ……面倒なことに引き入れちまったな……」

 

 ……緑谷くん、おじいちゃんヒーローと知り合いなんだ。

 

「面倒なんて思ってないです!」

 

「知り合いなんだ!?」

 

「職場体験で……」

 

「……続けて」

 

 緑谷くんの意外な人脈で会議が止まったので、サー・ナイトアイが続けるように促す。

 

「えーこのような過程があり!『HN』で皆さんに協力を求めたわけで」

 

「そこ飛ばしていいよ」

 

「うん!」

 

「HN?」

 

「ヒーローネットワークだよ!プロ免許を持った人だけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり、便利な“個性”のヒーローに協力を申請したりできるんだって!」

 

 なるほどね……そんなものがあるんだ。

 確かにインターンしてなきゃ今の時点で知ることってないもんね……これもミリオ先輩の言う経験ってやつになるのかな?

 

「雄英生とは言えガキがこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねぇや……本題の“企み”に辿り着く頃にゃ日が暮れてるぜ」

 

 緑谷くんの隣に座るヒーロー……確かロックロックってヒーローだっけ?さっき緑谷くんに教えてもらったんだ……そのロックロックが僕たちがいることに苦言を呈した。

 

 まぁ……さっきから会議止めちゃってたからね。

 

「ぬかせ!この二人はスーパー重要参考人やぞ!」

 

「俺……たち?」

 

「ノリがキツイ」

 

 ロックロックの苦言にファットガムが立ち上がり、切島くんと天喰先輩が参考人だと宣言する。

 二人は突然のことに驚いている。

 

「とりあえず、初対面の方も多いと思いますんで!ファットガムですよろしくね!」

 

「「丸くてカワイイ」」

 

「お!アメやろーな!」

 

 ちなみに僕は、ファットガムのことは知ってるよ。

 

 え?なんでって?

 

 ……エネ姉さんの部屋にあった結婚したい男性ヒーローリストに書いてあったからね……あれ見た時、怖くて震えたよね!

 

「八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギの一つしていた疑いがあります。そこでその道に詳しいヒーローに協力を要請しました」

 

「昔はゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!そんで先日の烈怒頼雄斗デビュー戦!!今までに見たことない種類のモンが、環に打ち込まれた!」

 

「“個性”を壊す“クスリ”」

 

「“個性”を壊す……!?」

 

 ファットガムからの報告で全員が驚く。

 

「え……!?環、大丈夫なんだろ!?」

 

「あぁ……寝たら回復したよ、見てくれこの立派な牛の蹄」

 

「朝食は牛丼かな!?」

 

 ミリオ先輩は天喰先輩を心配したけど、どうやら今は大丈夫みたいだ。

 

「回復すんなら安心だな、致命傷にはならねえ」

 

「いえ……その辺りはイレイザーヘッドから」

 

「俺の“抹消”とはちょっと違うみたいですね。俺は“個性”を攻撃してるわけではないので」

 

「基本となる人体に特別な仕組みが+‪α‬されたものが“個性”。その+‪α‬が一くくりに“個性因子”と呼ばれています。俺はあくまで、その個性因子を一時停止させてるだけで、ダメージを与えることは出来ない」

 

 相澤先生から詳しい説明が入る。

 

 へぇ……“個性”ってそんな感じだったんだ。

 

「環が撃たれた直後、病院で見てもらったんやがその個性因子が傷ついとったんや。幸い今は自然治癒で元通りやけど」

 

「その撃ち込まれたモノの解析は?」

 

「それが、環の身体は他に異常なし!ただただ“個性”だけが攻撃された!撃った連中もダンマリ!銃はバラバラ!!弾も撃ったっきりしか所持してなかった!ただ……」

 

「切島くんが身を挺して弾いたおかげで、中身の入った一発が手に入ったちゅーわけや!!」

 

「俺ッスか!!びっくりした!!急に来た!!」

 

「切島くんお手柄や」

 

「カッコイイわ」

 

「硬化だよね!知ってるー!うってつけだね!」

 

「流石が硬化の男だね!」

 

「そして、その中身を調べた結果……ムッチャ気色悪いモンが出てきた……」

 

 

 

「人の血ィや細胞が入っとった」

 

 僕らは息を飲んだ。

 人体を使った弾丸なんて、普通に生活していたらまず聞くことがないからだ。

 

「えぇぇ……!?」

 

「別世界のお話のよう……」

 

「……!」

 

「つまり、その効果は人由来……“個性”ってこと?“個性”による“個性”破壊……」

 

「うーん……さっきから話が見えてこないんだが?それがどうやって八斎會と繋がる?」

 

「今回、切島くんが捕らえた男!そいつが使用した違法薬物な、そういうブツの流通経路は複雑でな!今でこそかなり縮小されたが、色んな人間・グループ・組織が何段階にも卸売りを重ねて、ようやっと末端に行き着くんや!八斎會がブツ捌いとった証拠はないけど、その中間売買組織の一つと八斎會は交流があった」

 

「それだけ!?」

 

「先日、リューキュウ達が退治した敵グループ同士の抗争。片方の元締めがその交流のあった中間売買組織だった」

 

「巨大化した一人は、効果の持続が短い粗悪品を打っていたそうよ」

 

「最近多発している組織的犯行の多くが……八斎會につなげようと思えばつながるのか」

 

「どうも八斎會をどうにかクロにしたくてこじつけてるような……もっとこうバシッとつながらんかね」

 

「……若頭、治崎の“個性”は“オーバーホール”対象の分解・修復が可能という力です。分解……一度『壊し』『治す』“個性”……そして“個性”を破壊する弾」

 

 ……緑谷くんとミリオ先輩の顔色がどんどん悪くなっていってる。

 なにか知ってるのかな……。

 

「治崎には娘がいる……出生届もなく詳細は不明ですが、この二人が遭遇した時は、手足に夥しく包帯が巻かれていた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

 それってつまり……治崎ってクソ野郎は……娘の身体を弾にして捌いてるってことだよね。

 

 “個性”でその娘を分解して弾を作ってるんだ……

 捌いてるってことは、結構やってるはずだ……

 二人が見たその娘の包帯はまさか……

 

は?

 

 僕以外のインターン生も、プロヒーローの説明から理解したみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありえねぇよ!

 

 最近のヤクザは、Yes!ロリータNo!タッチも知らねぇのかよ……本当にクソだな!!

 これはダメだな……マジでキレそうだ!!

 

 敵連合の勧誘といい、今回の件といい直近で腹が立つことが多くて嫌になるよ。

 

「実際に売買しているのかはわかりません。現段階では、性能としてあまりに半端です。ただ……仮にそれが試作段階にあるとして、プレゼンの為のサンプルを仲間集めに使っていたとしたら……確たる証拠はありません。しかし、全国に渡る仲間集め、資金集め、もしも弾の完成形が“個性”を完全に破壊するものだとしたら……?悪事のアイデアはいつくでも湧いてくる」

 

「想像しただけで腹ワタ煮えくり返る!!今すぐガサ入れじゃ!!」

 

「こいつらが子供保護してりゃ一発解決だったんじゃねーの!?」

 

「全て私の責任だ。二人を責めないで頂きたい。知らなかったとはいえ……二人ともその娘を救けようと行動したのです。今この場で一番悔しいのはその二人です」

 

「今度こそ必ずエリちゃんを……!!」

 

「「保護する!!」」

 

「それが私たちの目的になります」

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