「おぉ何様じゃ!待て待て何じゃてめェら!?」
「捜査だって言ってるでしょ!!」
「暴れないで下さい!!」
「道を空けて!!後先考えずに暴れると後悔するよ!!」
「組総出で時間稼ぎかよ……!なんて破滅的な……」
ヒーローと警察とヤクザでごった返している八斎會邸。
僕らは他のヒーローに下っ端を任せて、玄関アプローチを走り抜ける。
「火急の用や!土足で失礼するで!!」
玄関の扉を抜けて、一気に邸内に突入する。
サー・ナイトアイを先頭に、エリちゃんがいる地下空間へと向かう。
「怪しい素振りどころやなかったな」
「俺ァだいぶ不安になってきたぜオイ……始まったらもう進むしかねぇがよ」
「どこから情報が漏れたのだろうか……いやに一丸となってる気が……」
「だったらもっとスマートに殺せる方法をとるだろ……意志の統一は、普段から言われてるんだろう」
「盃を交わせば親や兄貴分に忠義を尽くす。肩身が狭い分、昔ながらの結束を重視してんだろうな。この騒ぎ……そして治崎や幹部が姿を見せてない……今頃、地下で隠蔽や逃走の準備中だろうな」
「忠義じゃねえやそんなもん!!子分に責任押しつけて逃げ出そうなんて……漢らしくねえ!!」
「んん!!」
「ここだ。この下に隠し通路を開く仕掛けがある」
廊下を走っていると、サー・ナイトアイが立ち止まる。
花瓶を脇に置き、仕掛けを作動していく。
「この板敷を決まった順番におさえると開く」
「忍者屋敷かっての!ですね!」
「見てなきゃ気付かんな……まだ姿を見せてない“個性”に気をつけましょう」
壁が動き、隠し通路への道が現れる。
「……ッ!!バブルガール!!」
「なァアんじゃてめェエエらァアア!!!」
地下空間へ繋がる階段から、ヤクザが三人飛び出してきた。
「一人頼む!」
《センチコイル》
「ハイごめんね!!」
サー・ナイトアイのサイドキック、センチピーダーが“個性”を使い二人を無力化する。
残った一人を、バブルガールが“個性”で出した泡で目をつぶし、瞬く間に組み伏せた。
「追ってこないようおとなしくさせます!先行って下さい、すぐ合流します!」
バブルガールがヤクザを押さえ僕らを先に行かせる。
僕らは地下空間に繋がる階段を降りる。
「もうすぐそこだ急ぐぞ!」
「!!」
「行き止まりじゃねえか!!」
階段を降りると、予知ではあった道が無くなっており行き止まりになっていた。多分、僕たちを足止めするための時間稼ぎだろう。
「道、合ってんだよな!?」
「説明しろナイトアイ」
「俺見て来ます!!」
警察やヒーローが動揺する中、ミリオ先輩がヘルメットを外しながら、壁に近づいていく。
「ルミリオン先輩待って……またマッパに……」
「ミリオのコスチュームは、奴の毛髪から作られた特殊な繊維だ。発動に呼応し、透過するようにできている」
切島くんが模擬戦の時みたいに、ミリオ先輩が全裸になるのではと心配するが、天喰先輩がコスチュームの説明をして大丈夫だと言う。
「壁で塞いであるだけです!だが、かなり厚い壁です」
「治崎の『分解』して『治す』からこういう事も可能か」
「小細工を……」
「来られたら困るって言ってるようなもんだ」
「そだな!!」
「二人とも行くよ!!」
「「うん!/おう!」」
《バリアスマッシュ!!!》
《OFAフルカウル!!シュートスタイル!!!》
《
僕ら三人の技が分厚い壁を破壊した。
「……ちったァやるじゃねぇか……」
「先越されたわ」
何はともあれ、これで先に進める。
僕らはエリちゃんのところに向かうため走り出した。
「!!」
その瞬間、地下空間の道がうねり形を変えていく。
「道が!!うねって変わってく!!」
「治崎じゃねぇ……逸脱してる!考えられるとしたら、本部長の『入中』!しかし!規模が大きすぎるぞ、奴が“入り”“操れる”のはせいぜい冷蔵庫程の大きさまでと……」
「かなーりきつめにブーストさせれば……ない話じゃァないか……」
「モノに入り自由自在に操れる“個性”……“擬態”!地下を形成するコンクリに入り込んで“生きる迷宮”になっとるんだ……!!!」
めちゃくちゃじゃないか!?
このままだと生き埋めになるかもしれない!
「何に化けとるか注意しとったが……まさかの『地下』。こんなん相当身体に負担かかるハズやで……イレイザー消せへんのか!!?」
「
「すいません!服や網戸ならともかく、コンクリの中までは索敵できません!!」
「八方塞がりやな!」
この状況を何とかしないとダメだけど、入中がどこにいるか分からないから対処のしようがない。
僕の索敵能力も“圧縮”から派生した力であってメインじゃない。
僕のオーラは物体を透過できない、空気みたいなものだと考えて欲しい。
物体を透過できていたら、初めて索敵を使った時に相澤先生のレントゲン写真が頭に流れ込んできたはずだ。
「道をつくり変えられ続けたら……目的まで辿り着けない。……その間に向こうはいくらでも逃げ道を用意出来る。即時にこの対応、半断……あぁダメだ……もう…………女の子を救い出すどころか俺たちも……!!」
「そうはならないしお前は!サンイーターだ!!」
「……!」
「そして!!こんなのはその場凌ぎさ!どれだけ道を歪めようとも、ほ目的の方向さへわかっていれば」
「
「ルミリオン!」
「先輩!」
「スピード勝負……奴らもわかっているからこその時間稼ぎでしょう!先に向かってます!!」
パニックになりかけた天喰先輩を、ミリオ先輩が鼓舞し立ち直らせる。
ミリオ先輩は“個性”を使いこの歪められた地下空間を進んで行った。
僕らもミリオ先輩に続いて、壁を壊しながら進もうとしたその時だった。
僕たちの真下に穴があいて落とされる。
突然だったけど、僕にはオートバリアがある。
皆が落ちていく中、バリアの上に着地した僕は、ワイヤーで一人でも多く引き上げようとした。
「なんだ!?」
壁からコンクリの腕が生えて僕の全身を掴んだ。
僕がダメージを受けないよう調整していたのだろう、オートバリアが発動せず、腕に捕まり皆と離れ離れになってしまった。
「ハル!」
「ハルくん!」
「大丈夫!エリちゃんを優先して!!」
壁にできた大きな穴に僕は入っていった。
「お、来たか!」
「……コンプレス!」
「前みたいに、叔父さんって呼んでくれてもいいんだぜ?」
「誰が呼ぶかよ」
「悲しいねぇ……」
コンクリの腕に捕まって連れて来られた部屋に、Mr.コンプレスがいた。
「……それで?わざわざ僕だけをここに呼び出した理由は?それに敵連合からヤクザになったの?……フラフラしすぎじゃない」
「おじさんにも色々あるんだよ……ここにお前を呼んだのは改めて宣言しようと思ってな。ほら、合宿の時にお前が俺に宣言したように……今度は俺がお前に伝えようと思ってさ」
「今さら……なんだよ」
「俺は
「ッ!?……あぁそうかい!だったら僕はアンタをここで捕まえる!!」
「やってみろよ!青二才が!!」
「そっちこそ!いい歳したオッサンが身の程を考えろよ!!」
僕たちの戦いが始まった。