季節は冬。雪が降り街を白く染め上げる中いつも通り学校へ向かう。友達と何気ない会話をしながら。
だが、会話に夢中になっていたのが良くなかった。信号が赤なのに気付かずそのまま横断歩道を渡ろうとしていた所に車が向かってくる。
危ない。咄嗟にそう思った俺はそいつをかばった。
次の瞬間全身に途轍もない衝撃が走った。数メートル吹っ飛ばされた所でようやく体が止まった。
全身には至る所に傷ができ、出血もしていて道路には血痕がついている。
友達はすぐに俺の方に向かってくる。今にも泣きそうな顔だ。
「そんな顔すんなよ…。お前が無事で良かった…。」
そう言って強がっては見たが俺の体は悲鳴を上げている。薄れゆく意識の中でまだやり残したことあったのにと未練を募らせそのまま気を失った。
目が覚めるとそこは知らない場所だった。見知らぬ天井、俺を覗き込む男性と女性。どうやらここは病院らしい。
人生が終わったと思いきや新しい人生のスタートで困惑する俺。困ったことに産まれて間もない様でろくに話すこともできない。
これからどうなるのか不安でいっぱいだ。
幸いにも生活する上であまり困ることはなく、気がつくと俺は幼稚園児程の年齢になっていた。一応性別は前世と違い女だが、まぁそこは慣れだ慣れ。
今日からは幼稚園に通うことになっている。親に準備してもらった荷物を持ち、幼稚園に向かった。
記念すべき初日、折角だから思い切り楽しもう!
そう思った俺の視界に入ったのは桃色の髪をした綺麗な少女だった。周りの雰囲気に気圧されているのか俯き、おろおろしている。
何となく放っておけなかったので、声をかけることにした。
「おまえ、だいじょうぶか?」
声をかけられたその子はこちらに視線を向ける。瞳の色は髪と同じ様な透き通った桃色をしていた。
「えっと、その、すこしきんちょうしてて…。」
なんというか動作や言葉1つ1つがこちらの庇護欲を掻き立てるような子だ。
「よかったら、おれがいっしょにいてやろうか?」
「ほんとう?ありがとう!」
俺がそう言うとパァッと明るい笑顔を向けてきた。
「おれ、みきさやか!おまえはなんていうんだ?」
「わたし、かなめまどか。よろしくね!」
それが俺達の出会いだった。
それから俺達は一緒に遊ぶようになった。仁美や恭介といった奴らも加わってきて、気付けば俺とまどかと仁美と恭介の4人組で行動するようになっていた。
幼稚園を卒園して小学校に入学してからもこの4人組で行動していた。皆で他愛もない会話をして、一緒に遊んで、そんな日々が続いて行くと思っていた。
だが、ある日事件は起きた。
放課後、学校が終わりいつも通り俺達は一緒に帰っていた。今日あったテストが難しかったことや恭介のヴァイオリンが上手いことを話していた時だった。恭介が赤信号なのにも関わらず横断歩道を渡ろうとした。会話に夢中だったのだろう。
車が恭介目掛け突っ込んで来た。前世と同じようなデジャヴ。
気付いた時には体が勝手に動いていて、そのまま恭介を突き飛ばし、庇うような形で車に轢かれた。
さやかちゃんが最近不憫な目に遭っているのでさやかちゃん主人公の小説を書きました。
1話目から不憫な目に遭っている気がしますが気の所為です。