鹿目まどか
私には幼稚園の頃からの知り合いがいる。その子の名前はさやかちゃん。
幼稚園に入園してすぐの頃、緊張していた私に声をかけてくれて、それから次第に遊ぶようになっていった。
さやかちゃんは女の子の筈なのに男の子みたいな喋り方で、性格もちょっと男の子っぽかった。
困ってる人がいたら放っておけないタイプの人で、色んな事に首を突っ込んでいて、危なっかしい所もあるけれど人の役に立っているさやかちゃんに私は憧れていた。
でも、そんな性格が災いするような出来事が起こった。
小学6年生の頃、いつも通り皆と帰っていた時だった。赤信号にも関わらず会話に夢中だった上条君が横断歩道を渡ろうとしていた。そこに車が向かってくる。
危ない。そう思った時にはさやかちゃんが飛び出してちょうど上条君を庇うような形で車に轢かれた。
幸いにも命に別条は無かったので良かったけど、一時はどうなるかと思った。私も仁美ちゃんも上条君も皆さやかちゃんの事が心配で気が気じゃなかった。
皆で病院にお見舞いに行った時、さやかちゃんは頭に包帯を巻いていて、左腕にギプスを巻いていた。
本人は「恭介を助けられて良かった。」と言っていたけど、私はそこまで無茶をしてしまうさやかちゃんが心配だった。
優しくて他人の為に頑張れるからこそ、いつかまた今回みたいに大怪我するんじゃないか、最悪死んじゃうんじゃないかって。
「お願いだからもっと自分の事も大切にして。」
私が涙ながらにそう訴えると、さやかちゃんはもう今回みたいな無茶はしないって約束してくれた。
早く怪我を治してまた一緒に学校行こうね。
美樹さやか
前世に引き続き今世も車の事故に遭った俺だが、一度事故に遭った経験が役に立ったのか、今回は腕1本犠牲になるだけで済んだ。
病院で目を覚ましてしばらくしたら、皆がお見舞いに来てくれた。俺はもう元気だよと伝えたら皆安心したのか、ボロボロ涙を零しながら俺に抱きついてきた。一応怪我人なのでちょっと痛かった。
恭介からは滅茶苦茶謝罪されたが、気にしていないしお前が無事で良かったと言ったらまた泣かれた。まどかからは自分の事も大切にしてと言われたのでちゃんともう無茶はしないと約束した。
2人はその後帰ったが、なぜか仁美だけは残っていた。
「どうしたの仁美?」
「……すみません。」
俺がそう聞くと仁美はいきなり謝り出した。
「私、上条君のことお慕いしていましたの。でも、さやかさんが命懸けで上条君のことを救ったのを見て、そんな人を差し置いて自分だけ恋愛に現を抜かしていた自分が嫌になって…。」
……仁美が恭介のことを好きなのは何となく分かっていた。でも、今回の出来事で自分を責めるなんて思ってもみなかった。
「私には上条君を慕う資格もさやかさんの友達である資格もないんです。」
「そんなことない。」
仁美が俺の所為で自分を責めることになってるなら、俺がその責任を取る。
「仁美はこれまでもこれからも俺の大切な友達だよ。もし自分の事を許せなくても、俺は仁美の事を許すよ。」
「で、でも…。」
「俺が良いって言ってるから良いの!」
俺がそう言うと仁美はいつもの様な明るい顔に戻った。
「……ありがとうございます、さやかさん。こんな私を友達だなんて言ってくれて…。」
「こっちこそ友達でいてくれてありがとう。それと仁美の恋応援してるからね。頑張れよ!」
「はい!でも、出来ればその事はここだけの秘密にしてくれませんか?」
「うん。2人だけの秘密、だね。」
そう言っていたずらっぽく笑った。
周りの情緒を滅茶苦茶にするさやかちゃんの図。