腕が治った翌日、医師や看護師からは滅茶苦茶驚かれた。治る可能性は絶望的だと言っていたので当然だが。
念の為にレントゲンなどで調査をしたが、特に異常も無かったのでそのまま退院手続きをして退院することになった。
久しぶりに家に帰ると両親が駆け寄ってきた。俺が怪我をして入院することになったと聞いた時や腕が治らないかもしれないと聞いた時はどうなることかと心配していたらしい。2人が泣いているのを見て、俺ももらい泣きをしてしまった。
まどか達にも治った旨を伝えるとすぐに家まで飛んできて、自分の事のように喜んでくれた。皆泣いて喜んでいたのを見てまたまたもらい泣きした。
次の日、ようやく学校に行けるようになった俺はまどか達と一緒に学校に行った。教室に着くなりクラスの皆から退院おめでとうと言われた。クラスの皆も心配していたらしい。
その後は久々に授業を受けた。いつも通りの1日だった。違う事と言えばまどかが俺に付きっきりになっていたことくらいだ。休み時間や昼休み、帰る時も付きっきりだった。
ちょっと心配しすぎじゃないか?と思ったが心配させるようなことをしたのは俺なので甘んじて受け入れた。
まどか自身距離が近いのを気にしていたのか「迷惑じゃない?」と聞いてきたが「そんなことないよ。」と伝えた。
「むしろかわいいから普段からもっと近くにいて欲しい。」とも伝えると赤面しながらも承諾してくれた。かわいい。俺が男のままだったら惚れていた。
家に帰ってくつろいでいると、キュゥべえがやってきた。
「やあ、美樹さやか。調子はどうだい?」
「おかげさまで元気だよ、ありがとう。」
「それは何よりだ。ところで今日は君に紹介したい人がいてここに来たんだ。今からその人の所へ行くんだけど時間はあるかい?」
丁度暇だったのでキュゥべえについていくことにした。
キュゥべえが紹介したいという人の元へ向かっている途中で気付いたが、どうやらキュゥべえの姿は普通の人には見えないらしい。
「着いたよ。」
どうやら目的地に着いたようだ。目の前にはいかにも豪華そうな家。インターホンを押すと、家の中から足音が聞こえてきてドアが開き家の所有者と思われる人が出てきた。
黄色い縦ロールの髪型で大人な雰囲気を纏っている。
「こんにちは。あなたがキュゥべえが言っていた新しい魔法少女?」
「えっと、あなたは?」
「私は巴マミ。あなたと同じ魔法少女よ。」
キュゥべえが紹介したかったのはどうやら俺の先輩らしい。家に上げてもらうと早速マミさんから話しかけてきた。
「魔法少女のことはキュゥべえからもう聞いているのよね?」
「はい。でもまだ分からないことも多くて…。」
「そうね、じゃあこれから一緒に魔女退治に行ってみる?」
こうして俺の初めての魔女退治が始まった。
魔女を探すにはソウルジェムを使うらしい。ソウルジェムというのは契約の時に出来た宝石のことだ。俺のは青色でマミさんのは黄色だ。これを使って魔力の反応があった方向に魔女がいるらしい。
「反応が強くなってきた。近くにいるみたいよ。」
見るとソウルジェムが光っている。周りを見回すと丁度怪しい物を見つけた。
「もしかしてあれじゃないですか?」
視線の先には禍々しい光を放つ物があった。
「でかしたわね美樹さん。他の人に危害を加える前に私達で倒すわよ!」
俺達は魔法少女へ変身し、魔女の結界の中へ入って行った。
魔女の結界はおどろおどろしい色をした不思議な空間だった。結界の中には使い魔と呼ばれる比較的弱めの敵がいた。
「よし、いくぞ!」
得物である刀を構え使い魔に攻撃を仕掛ける。スパッと真っ二つに切り裂くと体がボロボロになりながら消滅していった。続けて近くの使い魔にも斬撃をくらわせていく。あっという間に殲滅できた。
「やるわね美樹さん、筋が良いわ。私も負けてられないわ。」
マミさんはリボンを操りマスケット銃を生成し、使い魔に向けて発砲していく。戦い慣れているのか次々となぎ倒していく。
2人で使い魔を倒しながら結界の奥へ進んでいくと魔女の元へ辿り着いた。
「美樹さん、気を引き締めて行くわよ!」
「はい!」
まずは俺が魔女へ攻撃を仕掛けに行く。こちらへの攻撃を避けつつ、その体を切り裂いていく。連撃を叩き込んでいると死角から飛んでくる攻撃に気が付かなかった。
やられる、と思ったらマミさんの銃撃により阻止された。助かった。
「大丈夫?あまり油断したらダメよ?」
「す、すみません…。」
さっきの攻撃が効いていたのか魔女はご立腹の様子だ。
「さぁ、そろそろ終わらせるわよ!」
マミさんはそう言うと一際大きな銃……というか砲台を生成し、魔女にその照準を合わせる。
「ティロ・フィナーレ!」
技名を叫びつつ魔女に砲撃を撃ち込む。それをくらった魔女は耐えきれなかったようでその体が崩壊していく。それと同時に結界も消え、後には黒い物体が残っていた。
「マミさん、何ですかそれ?」
「これはグリーフシード。魔女の卵よ。」
「え!?ヤバいじゃないですか!今すぐ壊しましょう!」
「大丈夫よ、このままだったらむしろ私達の役に立つものだから。」
俺が頭にハテナマークを浮かばせているとマミさんはその用途を説明してくれた。
「私のソウルジェム、よく見ると濁っているでしょう?」
「……ホントだ。」
「これを穢れと言うんだけどグリーフシードはその穢れを吸収してくれるの。ほら。」
マミさんがグリーフシードをソウルジェムに近づけるとみるみる穢れが吸収され元の輝きを放つようになった。
「まだ使えそうだし美樹さんも使っておいて。こまめに浄化しておかないと体が重くなったり、魔法のキレが悪くなったりするから気をつけてね。」
俺もマミさんにならって自分のソウルジェムを浄化した。
「さてと、折角美樹さんが仲間になったんだし今日は美樹さんの歓迎会をしていかない?」
「いいんですか?ありがとうございます!」
魔法少女になって魔女と戦うことになって一時はどうなるかと思ったけど、頼れる先輩もいるし大丈夫だろう。俺もマミさんみたいに強くなるぞ、と今日のマミさんのカッコいい姿を思い浮かべながら決意するのだった。
マミさん登場です。