“…これは、流石に反則だね…”
アズサ「…先生?」
“本当は使うつもりなんてなかったけど…”
先生は大人のカードを使って、ヒエロニムスの対処を行う。
その間に、モモイたちは混乱に乗じて逃走の準備を始めていた。
ミサキ「…立てる?モモイ」
モモイ「…うん。大丈夫」
アツコ「ここならあそこが近いよ」
ヒヨリ「…と、逃亡生活ですか…。きっと苦しいんでしょうね…」
モモイ「…だろうね…でも…」
ミドリ「待って!」
その場から離れようとする4人にミドリは声をかける。
ミドリ「…行かないで、お姉ちゃん…。やっと会えたのに…また離れ離れなんて…嫌だよ…」
アツコ「………」
モモイ「………行こう。みんな」
ミドリの静止も聞かず、モモイは全員に逃走を促す。ミドリがモモイを追おうとした、その時だった。
サオリ「ミドリ!」
ミドリの後ろから、サオリの声が響いた。
ミドリ「…!」
サオリ「…無事で、よかった…」
駆け寄ったサオリはミドリを強く抱きしめる。心配してくれていたということは、やや高まったその体温と心底安心したような声色から十分に感じられた。
ミドリはしばらくサオリの温もりを感じていたが、少しするとハッとしてサオリの抱擁から抜け出そうとする。
ミドリ「待って!お姉ちゃんは…!」
サオリを振りほどいたミドリはモモイたちがいた方向を見やる。しかし、そこにはもう誰もいなかった。
ミドリ「…お姉ちゃん…」
サオリはそんなミドリの様子を、少しバツが悪そうに見つめていた。
やがて、先生が戻ってきた。
ミドリは先生と一緒にモモイたちを探したものの、見つけることはかなわなかった。
“それにしても、やっぱりサオリも来てたんだね”
サオリ「…あぁ。飛び出してきたものだから、ミレニアムのみんなも心配してるはずだ。私たちはすぐにでも帰ることにするよ」
“そうした方がいいよ”
先生と軽く話したサオリは、ミドリとアズサの元へ向かう。
サオリ「…帰ろう。ミドリ」
ミドリ「…うん。アズサさん、ありがとうございました」
アズサ「こっちこそ、ありがとう。またいずれ」
互いに礼を言い合って、サオリはミドリの手を引いてその場から離れる。
帰り道のミドリの顔は何かを考えているようにも見えたが、サオリがそれに気づくことはなかった。
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モモイ「………げほっ、げほ…」
ミサキ「…大丈夫?」
モモイ「うん、ありがとうミサキ…」
モモイはミサキに肩を貸してもらいながら歩く。
そんな中、ふとモモイはとあることが気になりミサキに声を掛けた。
モモイ「…そういえば、あの帽子の子とはどうなったの?」
ミサキ「………途中で邪魔が入った」
モモイ「………そっか」
その反応から、これ以上は踏み込むべきではないと判断したモモイは簡単な言葉を掛けるのみに留めた。
ヒヨリ「…こ、これからどうしましょう…」
モモイ「…アリウスには戻れないよね」
ミサキ「うん、マダムに殺される。…そういう終わりも悪くないけど」
これからどうするか思案に暮れていた中、アツコが口を開いた。
アツコ「…ミドリ、大丈夫かな」
モモイ「…さっきの子の話?」
ミサキ「そうだね。…モモイは覚えてないだろうけど」
モモイ「うん。…でも…」
ミドリ『お姉ちゃん』
モモイ「…あんなにさ、私のこと心配してくれてる様子を見たら、さ…」
ミドリ『また離れ離れなんて…嫌だよ…』
モモイ「…巻き込むわけにはいかないじゃん。私たちとあの子は、住んでる世界が違うんだから」
ミサキ「…そうだね」
少し悲しげな顔をするモモイの顔を脇目に、ミサキは賛同の声をこぼす。
そうして四人は、そのまま闇の中へと消えていく。どこへ行くのか…それは誰にも、彼女たちにもわからない。