ミサキ「ううん、もう少し先」
五人は遺跡の中を行く。追っ手が来る前に、ここを通り抜け、アリウスへと向かわねば…。そんな中だった。
モモイ「………」
ミドリ「…お姉ちゃん?」
モモイが、ミドリの肩に体の全てを預けた。ミドリが疑問に思ったのも束の間、モモイの体はそのまま崩れ落ちた。
ミドリ「お姉ちゃん!?」
“どうしたの!?”
ミドリ「お姉ちゃん!しっかりして!」
額に触れると、その手に熱を感じる。
ミサキ「酷い熱…。こんな状態で今まで…」
ヒヨリ「や、休ませましょう…!」
時間はないが、こんな状態のモモイを戦わせるわけにはいかない。四人は遺跡内で少し休憩することにした。
先生がヒヨリからアリウスやアツコについて色々と聞いている間、ミサキはミドリに声をかけた。
ミサキ「ちょっといい?」
ミドリ「…ミサキさん?」
ミサキ「…サオリはどうしたの?一緒じゃなかったよね?」
ミドリ「………実は、喧嘩しちゃって…飛び出してきちゃったんです。酷いことを言っちゃいました。私のお姉ちゃんじゃないくせになんて…。お姉ちゃんの代わりになろうと、頑張ってくれてたのに…それを全部否定するようなことを言っちゃって…」
ミサキ「………」
ミドリ「あそこはもう私たちの知ってるアリウスじゃないとか、私たちの居場所はもうアリウスにはないなんて言って…。でも、本当はわかってたんです。私のことを守ろうとして、そんなことを言ったんだって。意固地になって、酷い言葉をぶつけて…」
顔を伏せ、沈んだ感情を表に出すミドリ。そんなミドリに、ミサキは問いかける。
ミサキ「…サオリのことは、好き?」
ミドリ「………うん」
ミサキ「なら、次会った時謝ればいいよ」
ミサキは、心の中で「私は、それが出来なかったから」と付け足した。
ミドリ「…許して、くれるでしょうか…」
ミサキ「あのお人好しのことだから、きっと許してくれる」
そんなことを話していると、モモイが目を覚ました。
ミドリ「お姉ちゃん、大丈夫?」
モモイ「…ごめん。迷惑かけちゃったね。…んー………っふぅ…。さて、いこっか」
ミサキ「大丈夫なの?」
モモイ「うん、何より…急がないと」
ミサキ「…だね」
アリウス自治区へと突入したモモイたちだったが、そこにいたのは大量のミメシスたちだった。
ヒヨリ「か、囲まれてしまいました…!」
ミサキ「罠…」
ベアトリーチェ「ええ。逃げ出した鼠を捕まえるには最適でしょう?」
モモイ「…マダム…!」
ベアトリーチェ「まさかあなたが裏切るとは思いませんでした。せっかく特別な訓練と措置を行ったというのに…親不孝者ですね、あなたは」
ミドリ「…特別な訓練と…措置?」
ベアトリーチェ「無関係なあなたに話す必要などありません。あなた方には、ここで消えてもらいます」
襲いかかるミメシスたちと交戦を始める四人。ミドリはベアトリーチェの言葉に疑問を抱きつつも、先生を守るため引き金を引く。
そんな中─
ミカ「やっほー☆さっきぶりだね?」
またもミカがその場に乱入してきた。
ミサキ「…しつこいね、あいつ」
ミカ「ごめんね、先生。私もう止まれないの。帰る場所も何もかも…なくしちゃったから」
“仕方ない…。ミカを制圧しよう”
先生の指揮に従い、四人はミカとの交戦を開始する。結果、4対1とは思えないほどの接戦を何とか制し、ミカを制圧することには成功した。
“ミカ、もうトリニティに戻って…。これ以上ミカを傷つけたくない”
ミカ「…先生。…それは、できないよ。私は、魔女だから…幸せな結末なんて、訪れないんだって…」
ミカは涙を流す。嗚咽と共に溜め込んでいた感情が、堰を切ったかのように溢れ出した。そんな風に見えた。
ミカ「私は、悪党だから…!なのに、どうしてあなたたちは…!何の代償もなしに幸せになるなんて…そんなの…」
ミカは銃を構える。その銃口の先には─
ミドリ「ッ!」
モモイ「ミドリ!」
ミドリに銃口を向けられたのを見て、モモイは咄嗟にミドリの前に出る。
ミカがその引き金を引こうとした、その瞬間だった。
何処からか投げ込まれた手榴弾が爆発し、周囲が煙に包まれる。
ミカ「!?」
モモイ「…みんな!逃げるよ!」
その混乱に乗じ、モモイたちはその場から離脱する。当然ミカもそれを追おうとしたが、後ろから何者かに撃たれた隙に、モモイたちを見失ってしまう。
やがて煙が晴れ、足音とともに攻撃者がその姿を現す。
ミカ「…あなた…誰?」
サオリ「…通りすがりのシナリオライターだ」