東方楽酔録 ~ Perfect Sake Bliss.~   作:地軸

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今回はちょいエロがハードかも修正するかも


~境界の主が泳がせる宴~

境界の向こう、八雲家の居間は薄闇に沈んでいた。

八雲紫は扇をゆっくりと開き、隙間から覗いた酒呑蔵の姿を何度も思い返す。

異変には一切関わっていない。それなのに、境界が微かに震える。

霊夢とも妙に親しい。そして、あの人間が酒を飲むたびに、揺れが強くなる。

「……この人間、確実に何か引っかかるわね」

紫は扇を閉じ、藍に視線を向けた。

「藍、ちょっと調べて欲しいのだけれど」

藍はすぐに膝を折る。

「酒飲楽、という名の人間ですね。異変には関与しておりません。

しかし、霊夢殿とも親しい様子。直接お会いになりますか?」

紫は首を振る。

「いいえ。まだ早いわ。

 まずは、もっと自然に近づいてみない?」

藍は一瞬考え、すぐに理解した。

「ならば、橙を猫の姿で行かせましょう。

 あのような人間なら、油断するはずです」

紫の口元に、珍しく悪戯っぽい笑みが浮かぶ。

「ええ、そうね。橙ならちょうどいいわ」

その日の午後。

午後の酒呑蔵前。

ふわふわ三毛猫が「にゃあ~」と甘えた声で俺の足元にまとわりついてきた。

「……珍しいな、こんな人懐っこい猫」

俺はしゃがんで、頭から首筋へ、背中へ、脇腹へと遠慮なく撫でまわす。

猫はゴロゴロ喉を鳴らし、気持ちよさそうに体をくねらせ、尻尾をピンと立てる。

「気持ちいいのか? もっと撫でてやるよ」

俺はカウンターからまたたび酒の小さな徳利を取り出し、

蓋を開けて猫の鼻先に近づける。

「ほら、これ嗅いでみろ」

猫はクンクン鼻を鳴らし、目を細めて徳利に顔を突っ込む。

ちゅーっ、ちゅーっと音を立てて舐め始めた。

「はは、お前、酒好きなんだな」

俺は徳利を地面に置きながら、

お腹を上にして仰向けにさせ、胸からお腹、脇の下、太ももの内側まで、

手のひら全体でぐりぐりと撫でまわす。

猫は完全に蕩けた顔で、

「にゃふぅ……にゃあ……」

と甘ったるい声を漏らし、体をよじらせて俺の手を求めてくる。

「もっと気持ちよくしてやるよ」

俺は両手で胸からお腹をゆっくり撫で下ろし、

最後に尻尾の付け根をくすぐるように揉む。

その瞬間。

「にゃあああぁぁぁっ!!」

猫がびくんっと跳ね上がり、

ぽんっ! と煙を上げて、少女の姿に変わった。

橙は真っ赤な顔で仰向けのまま、

俺の手がまだお腹の上にある状態で固まっている。

「え……あ……」

俺の手は、橙の柔らかいお腹にぺたりと置かれたまま。

彼女は耳をぴくぴくさせ、尻尾をぶんぶん振って、

恥ずかしさと気持ちよさで目を潤ませていた。

「……あ、ばれた……」

橙は小声で呟いた瞬間、

瞳がとろりと潤み、熱い吐息が俺の腕に触れる。

頬は真っ赤で、耳が小刻みに震え、尻尾が俺の太ももにぎゅっと巻きついた。

「……んっ……はぁ……」

彼女は俺の手を両手で掴み、

自分の柔らかいお腹に、胸の下に、ぎゅうっと押し当てる。

「でも……もっと……撫でて……?」

声が甘く蕩けて、息が荒い。

体が小刻みに震え、腰が自然とくねり、

俺の指先に自分の肌を擦りつけるようにして熱を求める。

「楽さん……熱い……体が……変になっちゃう……」

橙は俺の腕に頬を押しつけ、

唇を半開きにして、熱い舌で俺の指先をちろりと舐めた。

「……はぁ……んっ……もっと奥まで……撫でて……?」

尻尾の先が俺の背中に絡まり、

彼女の体温がじんわりと伝わってくる。

俺は徳利を片手に、苦笑いを深くした。

「……お前、確か宴会で会った橙だったかな……

 お前、またたび効きすぎだろ」

俺は苦笑いしながら、まだお腹に置いたままの手をゆっくりと動かす。

橙は俺の言葉に一瞬ぱちぱちと目を瞬かせ、

すぐに頬をさらに赤く染めて、甘く蕩ける声で答えた。

「……うん、橙だよ……楽さん、覚えててくれたんだ……嬉しい……」

彼女は俺の腕にぎゅっとしがみつき、

熱い吐息を漏らしながら、体を小刻みに震わせる。

「でも……またたびだけじゃないもん……

 楽さんに撫でられて……こんなに熱くなっちゃった……」

橙は俺の指を自分の胸の下に押し当て、

腰をくねらせながら、

甘い声で囁く。

「……ねぇ、もっと……奥まで……触って……?」

そして、俺の膝の上に跨るようにして座り直し、

熱く火照った下半身を、俺の太ももにぎゅっと押しつけた。

「……んっ……はぁ……」

彼女は腰を前後にゆっくりと揺らし始め、

柔らかい秘部を俺の足にこすりつける。

「楽さん……ここ……すごく熱くて……気持ちいいの……」

橙の動きが次第に速くなり、

息が荒く、耳がぴくぴく震え、

尻尾が俺の腰にきつく巻きついた。

「……あっ……んんっ……!」

甘い喘ぎが漏れ、

彼女の体がびくんっと跳ねる。

「……だめ……もう……限界……!」

橙の声が震え、

腰の動きが急に速くなる。

俺の太ももに押しつけられた熱が、

彼女の体を小刻みに震わせた。

「……っ……!」

息が詰まり、

耳がぴんと立ち、

尻尾が俺の腰をきつく締め上げる。

次の瞬間、

橙は俺の肩に顔を埋めて、

全身をびくんっと硬直させた。

「……はぁ……はぁ……」

甘い吐息だけが、

静かに酒呑蔵の前に響いた。

彼女はまだ震える体を俺に預けたまま、

蕩けた瞳で上目遣いに見上げ、

小さく微笑んだ。

「……楽さん……すごかった……」

俺は徳利を片手に、

苦笑いで呟く。

「……ったく、またたび効きすぎだろ」

橙は頬を赤くしながら、

俺の胸に顔をすり寄せた。

──その瞬間、背後から静かな足音と、落ち着いた声が降ってきた。

「橙、何をやってるんです?」

八雲藍だった。

青い中華風のドレスに、金糸の刺繍が陽射しを反射してきらめいている。

長い裾が風に揺れ、狐耳がぴんと立ったまま、

俺と、俺の膝にぐったり寄りかかる橙を、静かに見下ろしていた。

「……藍、様……?」

橙はびくっと体を硬直させ、

まだ火照った頬を隠すように俺の胸に顔を埋める。

藍はゆっくりと近づき、

俺に丁寧に頭を下げた。

「失礼いたしました。

 主命とはいえ、橙がご迷惑をおかけしてしまい……」

俺は苦笑いで手を振る。

「いや、まあ……猫が可愛かったんで」

藍は視線を橙に移し、

静かだが、はっきりと告げた。

「橙。帰ります。

 紫様がお待ちです」

橙は「えーっ……」と甘えた声を出して、

俺の腕にぎゅっとしがみつく。

「藍様、もうちょっとだけ~! 楽さんともっと……」

藍は小さくため息を一つ。

その手が軽く振られると、

橙の体がぽん、と小さな三毛猫に戻った。

「……にゃあっ!?」

猫になった橙は、

藍の腕の中でじたばたしながら、

俺に「にゃあにゃあ」と抗議の鳴き声を上げる。

藍は猫を抱き上げて、もう一度俺に深く頭を下げた。

「本当に申し訳ありませんでした。

 ……また、改めてお詫びにお伺いいたします」

俺は徳利を掲げて、笑った。

「いつでも酒はあるよ。

 藍さんも、橙も」

藍は一瞬だけ、頬を緩めて。

そして、青い裾を翻して背を向けた。

猫の橙は、最後まで俺を振り返り、

「にゃあーっ!」と名残惜しそうに鳴いた。

二人の姿が、森の奥に消えていく。

俺は空になった徳利を眺めて、

小さく呟いた。

「……ったく、賑やかだな」

 

 

 

境界の向こう、八雲家の奥座敷。

紫は扇を閉じ、静かに微笑んだ。

「……なるほど。

 私の境界操作を、お酒限定で真似ている……

 いや、真似というより、結果だけは完全に同じね」

指先で虚空をなぞりながら、

酒呑蔵の楽の姿を、もう一度思い浮かべる。

「私が隙間を開いて酒を持ってくるのと、

 あの子が“飲みたい”と思うだけで酒が湧くのと、

 外から見れば区別がつかない。

 まるで、あの鬼が私の能力を好き勝手に使っているようにしか見えないでしょう」

紫は小さく笑い、

扇をぱちりと開いた。

「面白いことになったわ。

 はたから見れば、きっとあの鬼が私の力を振り回してると思われる。

 ……まあ、実際は違うけれど」

藍が息を呑む。

「……主。あの鬼、とは」

紫は首を振って、

愉悦と警戒を交えた瞳を細めた。

「まだ確かめる必要があるわ。

 でも、少なくとも……

 あの人間の“宴”は、私たち境界の住人も巻き込んでいく」

春の夕暮れが、

境界の向こうで、

ゆっくりと深まっていく。

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