東方楽酔録 ~ Perfect Sake Bliss.~ 作:地軸
白玉楼、幽々子の私室。
朝の薄い光が障子を透かし、桜の香りだけが静かに漂う。
豪華な屏風の陰に散らばる空の酒瓶が、昨夜の宴会の深さを物語っていた。
布団の中で、俺、酒飲楽は目を覚ました。
頭がガンガンする。まるで脳みそが昨夜の酒にまだ浸かっているみたいだ。
春雪異変が解決し、白玉楼で開かれた祝宴は、あまりにも深かった。
隣で柔らかな寝息が聞こえる。
……はあ、はあ……。
またかよ。いや、二度目だ。夢じゃねえよな。体が熱くて、汗でびっしょりで、肌がベタついてる。布団が絡みついて、現実味が強すぎる。
ゆっくり目を開ける。視界がぼやけてるけど、すぐに焦点が合う。ここは幽々子様の私室。豪華な布団の上に、俺は横たわってる。というか、絡みついてる。右側に、柔らかい感触。ピンク色の髪が俺の胸に落ちてきて、幽々子様の寝息が静かに聞こえてくる。
彼女の白い肌が、朝の柔らかい光に透けて、まるで散りゆく桜の花びらみたいに美しい。布団が少しずれていて、彼女の裸体が露わになっている。豊満な胸の曲線が、優しい息遣いに合わせて微かに上下し、ピンク色の先端が朝露のように艶めいている。腰のくびれから滑らかな臀部へ流れるラインは、死の主とは思えぬほどの生々しい柔らかさを湛え、昨夜の熱を残した肌が、淡い紅潮を帯びて誘うように輝いている。内腿の間から覗く秘部は、甘い蜜の痕跡を残し、俺の視線を絡め取る。彼女の体は、ただ美しいだけでなく、淫靡な香りを放ち、俺の体を再び疼かせる。首筋には、昨夜のキスの痕が薄く残り、彼女の睫毛が微かに震える。
首筋には、レミリアさんの噛み跡がまだ疼いてるけど、それさえも今は遠い記憶だ。
窓の外では、朝の陽光が白玉楼の桜を優しく照らし、花びらが風に舞う幻想的な景色が広がっている。淡いピンクの花弁が雪のように降り注ぎ、冥界の静けさを優美に彩る。
そして、左側……。え? また妖夢も?
妖夢が、俺の腕にしがみついて、顔を赤らめて寝てる。彼女の銀髪が散らばって、普段の凛々しい剣士の表情なんてどこにもない。代わりに、頰が少し腫れてるみたいに赤くて、唇が微かに震えてる。ってか、彼女の着物が乱れてて……いや、ほとんど脱げてる。布団の端にずれて、彼女の裸体が俺の視界に飛び込んでくる。
妖夢の体は、引き締まった筋肉を纏いながら、意外なほどの柔らかさを秘めている。細い首筋から鎖骨のラインが優雅に流れ、控えめながら形の良い胸が、静かな呼吸で優しく揺れている。先端の桜色の突起が、朝の冷気に触れて微かに硬くなり、肌全体が淡い桃色に染まって、昨夜の余熱を物語る。平らな腹部は鍛えられた痕跡を残しつつ、腰のくびれが女性らしい曲線を描き、滑らかな太腿が絡みつくように俺の体に触れている。秘部の柔らかな茂みが、薄い布団の影で隠れきれず、甘い湿り気を帯びて妖しく光る。彼女の体からは、酒と汗と、何か甘酸っぱい匂いが混じり、俺の鼻をくすぐる。こんなに淫靡で、守りたくなるような姿……普段の妖夢ちゃんからは想像もつかねえ。
……待てよ。どうして妖夢がここに? 二度目の宴で、何が起きたんだ? 記憶が朧げだ。酒を飲んだのは覚えてるけど、宴会の後、幽々子様と二人で……いや、三人で? 妖夢が部屋に入ってきたような気がするけど、細かいことはぼんやりとしてる。俺の能力のせいか、酒のせいか。みんなでグラスを傾けて、笑って、熱くなって……それ以上は霧の中だ。
うわ、俺は何やってんだ。妖夢ちゃんはまだ若くて、純粋そうだったのに。こんな事態に巻き込んで、後悔が胸に込み上げる。能力のせいだって言い訳しても、俺の気分が引き金なんだろ? 二度目なのに、学んでねえじゃん。自分に呆れて、ため息が出る。妖夢ちゃんの寝顔を見て、罪悪感が募るけど、なぜか体は熱くなって……いや、ダメだろ、俺。
布団の中で、俺はそっと体を動かそうとする。だけど、妖夢の腕がきつく絡まってて、動けない。彼女の体温が伝わってきて、昨夜の感触が朧げによみがえる。幽々子様の寝息が少し乱れて、彼女の睫毛がぴくりと動く。
「ん……楽、起きたの?」
幽々子様の声が、眠たげに響く。彼女が目を細めて、ゆっくりと目を開ける。
その目は、いつものように穏やかで、底知れぬ深さを湛えている。幽々子様は俺の顔を見て、くすりと笑う。布団の中で体を少し寄せてきて、彼女の豊満な胸が俺の腕に触れる。甘い桜の香りが強くなり、昨夜の余韻が一気に蘇る。
「ふふ、朝から元気ね。昨夜の続きかしら?」
彼女の言葉に、俺は慌てて首を振る。いや、振ろうとするけど、体が動かねえ。右に幽々子様、左に妖夢。完全に挟まれてる状態だ。
「い、いえ……幽々子様。おはようございます。えっと、二日酔いは大丈夫ですか?」
俺はとりあえず無難な挨拶を試みる。能力でアルコール中毒は無効化されてるはずだけど、形式的に。幽々子様は目を細めて、俺の首筋を指でなぞる。レミリアさんの噛み跡を避けつつ、昨夜の自分のキス痕に触れる。
「私はいつも通りよ。あなたこそ、昨夜は随分と熱心だったわね。二度目なのに、まるで初めてのように……ふふ、妖夢も喜んでいたみたい」
妖夢の名前が出た瞬間、左側の体温が少し上がる。妖夢ちゃんの睫毛がぴくりと動いて、彼女も目を覚ましたみたいだ。銀髪が揺れて、赤らんだ顔が俺の方を向く。
「……え? ゆ、幽々子様……楽さん……ここは……」
妖夢の声は震えてる。彼女は状況を把握しようと体を起こそうとするけど、布団が絡まって、裸体がさらに露わになる。慌てて胸を隠そうとする仕草が、逆に可愛くて……いや、俺は何を考えてるんだ。
「妖夢、おはよう。昨夜は楽しかったわね。三人で桜の下で飲むなんて、春らしくて素敵だったわ」
幽々子様が妖夢の髪を優しく撫でる。妖夢は顔を真っ赤にして、布団に潜り込みそうになるが、ふと視線を俺に向け、唇を噛む。彼女の目には、昨夜の熱い記憶が鮮やかに浮かんでいるようだ。最初は戸惑っていたが、覚悟を決めたような表情に変わる。頰をさらに赤らめ、恥ずかしげに目を伏せながらも、俺の腕に体を寄せてくる。
「おはようございます、幽々子様……だ、旦那様」
その言葉に、俺は固まる。妖夢ちゃんの声は照れくさそうで、でもどこか決意が込められている。一体俺は何をしたんだ? 昨夜の宴で、酒と能力が彼女の純粋さを奪って、こんな呼び方まで……驚愕が胸を突き刺す。
「ふふ、妖夢ったら。楽を『旦那様』だなんて、可愛いわね。昨夜の熱がまだ残ってるの? 覚悟を決めたのね」
幽々子様がからかうように笑う。妖夢はさらに赤くなって、
「ゆ、幽々子様! それは……昨夜、旦那様にすべてを捧げて…もう、覚悟を決めました」
って、声が小さくなるけど、俺の腕を離さない。彼女の言葉に、後悔の影がちらつくが、それ以上に強い決意が感じられる。純粋だった剣士の少女が、一夜でこんなに振り切っちゃうなんて……俺の能力のせいか、酒のせいか。罪悪感と、なんだか嬉しい気持ちが混じって、胸がざわつく。
俺は苦笑いしながら、能力を軽く発動させる。朝に合う軽い果実酒と、簡単な朝食の肴が布団の端に湧いてくる。
「まあ、みんなで楽しく飲んだ結果だよ。後悔はない……はずだぜ? ほら、これ飲んで落ち着こう、妖夢ちゃん……」
俺はグラスを三人に配る。幽々子様は楽しげに受け取り、妖夢は俺を「旦那様」と呼びながら、恥ずかしげに一口飲む。酒の力で、部屋の空気が少し和らぐ。窓から桜の花びらが舞い込み、三人の上に降り注ぐ。
二度目の白玉楼の朝は、こんな風に始まった。異変は解決したけど、俺の能力が引き起こす小さな波乱は、まだ続きそうさ。
これにて妖々夢編エピローグ 幕間霊夢と魔理沙と何人か書いて萃夢想に続きます