東方楽酔録 ~ Perfect Sake Bliss.~ 作:地軸
妖々夢の異変が片付いてから、数日後。俺は紅魔館の門前に立っていた。レミリアさんから咲夜ちゃん経由で招待状が届いて、「また酒を飲みに来なさいよ」って。首筋の噛み跡が疼くけど、拒否できるはずがねえ。能力のせいか、なんとなく行きたくなるんだよな。
門を叩くと、咲夜ちゃんが現れる。いつもの瀟洒なメイド服で、
「楽さん、お待ちしてました。お嬢様がお呼びです」
って、俺を館内に導く。紅魔館の廊下はいつ来ても豪華で、少し緊張する。レミリアさんの部屋に着くと、彼女が窓辺に立って待ってた。紅いドレスが朝の光に映えて、美しい。
「よう、レミリアさん。お呼ばれありがと」
俺は軽く頭を下げる。彼女はくすりと笑って、
「ふふ、楽。来てくれたわね。異変解決のお祝いに、酒を飲むのよ」
って、ソファーを指す。俺は座って、能力を軽く発動。彼女の好みの赤ワインみたいな酒と、チーズの肴が湧く。レミリアさんはグラスを取って、満足げに飲む。
会話が始まる。異変の話から、白玉楼のことに移る。レミリアさんが目を細めて、
「あなた、白玉楼に行ったんですってね。幽々子と……随分、親密になったみたいじゃない」
って、遠回しに探りを入れる。俺はドキッとして、
「え、ええ、まあ。酒を飲んで、楽しく過ごしたよ。幽々子様と妖夢ちゃんもいい人だぜ」
って誤魔化すけど、レミリアさんはくすくす笑う。
「ふふ、楽しく過ごした、ね。あなた、首筋の跡以外にも、何か新しい痕跡ができてるわよ? あそこは死の主の領域……一夜でそんなに深く関わるなんて、羨ましいわね」
彼女の言葉が棘みたいに刺さる。遠回しに、幽々子様と妖夢ちゃんとの体の関係を突いてくる。俺は汗をかいて、
「い、いえ、そんな大したことじゃねえよ。ただの酒宴の延長さ」
って返すけど、レミリアさんはワインを啜りながら、
「なに? 古い女のご機嫌伺いにでも来たのかしら。この紅い悪魔より、死んだ桜の方がお好み? ふふ、嫉妬しちゃうわね……私みたいな古株の吸血鬼じゃ、満足できないのかしら。まったく、男って移り気よね」
って、皮肉たっぷりに言う。自虐的に自分を「古い女」と呼んで、嫉妬を冗談めかして混ぜ、俺を責めてくる。目が少し鋭くなって、本気の感情がチラリと見えるけど、笑顔でカバー。俺の顔が熱くなる。レミリアさんのツンデレが、なんだか可愛いけど、攻められるのはきついな。彼女の視線が首筋に注がれ、噛み跡がズキズキと痛み出す。嫉妬の熱が、傷を刺激してるみたいだ。反応して体が熱くなるけど、何も言えねえ。
そんな時、扉が勢いよく開いて、フランちゃんが入ってきた。彼女の金髪が揺れて、無邪気な笑顔。
「お姉さま、お兄様をいじめないの!」
フランちゃんがレミリアさんに飛びついて、俺の方を向いて、
「意地悪なお姉さまはほっといて、私と遊んでよ、お兄様!」
って、手を引っ張る。その瞬間、首筋とは別の場所、腕のあたりから鋭い痛みが走る。フランちゃんからの噛み傷だ。彼女の無邪気な興奮が、傷を思い出させるみたい。レミリアさんが「フラン、邪魔よ」って言うけど、フランちゃんは構わず俺の隣に座る。能力が発動して、フランちゃんの好みの甘いジュースみたいな酒が湧く。フランちゃんは目を輝かせて、
「わあ、お兄様の能力、すごい! 私と一緒に飲もうよ。地下室で遊ぼう!」
って、俺の手を握る。レミリアさんがため息をついて、
「仕方ないわね。フランも一緒に、酒宴にしましょ」
って、三人で地下室へ移動する。フランちゃんの無邪気な交流が始まり、彼女の壊す能力を酒で抑えながら、熱い夜の記憶が再燃するように、体を寄せ合う余韻が……。