オレンジアカデミーのモブ生徒になったので影を薄くしていきます   作:モカチップ

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自分用
パス通った人は見ればいいのでは?


第1話

不思議な不思議なモンスター。

 ポケットの中のモンスター。

 

 ポケットモンスター。

 縮めてポケモン。

 

 そんな生き物が動物に置き換えられた世界で生きていく中、記憶が戻った。

 

 前世では知らない者は存在しないとまで言わしめた大人気ゲームの題材。

 

 そんな事はどうでもいいのかもしれない。

 記憶が戻る前はそれが当たり前になっていた。

 

 両親の持つポケモンに囲まれ育ちトレーナースクールで学び、ポケモンと触れ合う。

 

 当たり前の日常が記憶を廻り非日常へと変わる。

 

 恐怖なんてない。ただただ感動や興奮、抑えきれない熱に酔っていくだけ。

 

 思わず野生のポケモンへ駆け出して行くくらいには暴走していただろう。

 

 抱きつき撫で回し、最終的に揉みくちゃにされ軽い怪我から大怪我まで刻んだ傷は少なくない。

 

 その度に父さんから拳骨を喰らい、母さんからは泣きながら抱きしめられた。

 

 余りにも酷いものだから病院にも連れて行かれた。医者の助手をしているイエッサンを見た時は思わず抱きしめてしまったくらい。

 

 姿からメスの姿で心無しか嬉しそうにしてたと思う。内心なんだこのやばい奴と思われていただろうけど。

 

 嘘でーす! めっちゃ目が潤んでたし震えていたよ俺のばーか! 

 

 診断結果は精神や脳に異常はなかった。

 ポケモンが好き過ぎるだけの変人。

 そう片付けられた。

 

 ……ただちょっと行き過ぎた。

 

『イエッサンだ! 姿からメスの姿だよなツノが下向きでほんわかしたマロ顔がくそ可愛いなこのやろうエスパータイプでツノを使って感情を読み取る…あ、これ不味い? だって仕方ないだろう可愛いだからさ! それにこの思いが力になるなら喜んでさらけ出してやらぁ! 鳴き声も可愛いし可愛いづくしかよこんな子に献身的に尽くされるトレーナーって羨ましいぞ! 俺も医者になれば…いや、そんな知識はないしラッキーやタブンネとかも捨てがたい。ああ……なんでポケモンって可愛い子ばっかなんだよもう!』

 

 ちょっと所ではねえよ。

 早口とかオタクか!? オタクだったわ。

 

 イエッサン抱きしめて叫ぶとか精神患者も真っ青なことしてるからな!? 

 

 やってる事が看護師さんにセクハラしてるのと同等というか犯罪だよ! 

 

 そんなこんなで興奮する患者こと俺は取り押さえられてまーじで精神病棟へとぶち込まれかけたことがある。

 

 そん中で唯一医者だけが訝しげに見ていた。

 あれだ、イエッサンのことを知り過ぎていたことだとおもう。

 

 真っ白な部屋で医者とマンツーマン。

 あの一件もありイエッサンはいなかった。

 

 あれだけのことをしたんだ。トラウマになる可能性だってあるし人間不信に陥れば仕事だってままならない。一人の人生を潰し兼ねない行為をしてしまったんだ。あの時は医者越しにジャンピング土下座した後に腹切りでもしようとしたら全力で止められた。

 

 医者曰くイエッサンも満更ではなかったと苦笑いしながら言ってくれた。

 

 イエッサンだから尽くすのは当たり前、だと思われていたらしい。確かに献身的に尽くし争いを好まない穏やかなポケモンだろう。

 

 それでも個体差、言うなら人間と同じように全てのイエッサンが同じという訳じゃない。

 

 一人一人が性格、個性、好きな食べ物から嫌いな食べ物、好きな人から嫌いな人まで多種多様。

 

 俺という狂人が来る少し前、イエッサンがミスをしてしまい患者から責められた。

 

 こんな事もできないのか、と金を払っているんだから、と……は? 当事者ならボコボコのボコにしてましたわ。ぶっ飛ばすぞ? 

 

 ポケモンも心があんだからさ? 

 しかも感情を読み取れるんだぞ? 

 

 まあミスは頂けない。

 そのミス1つで生死に関わることもある。

 

 それでも……それでもだ。

 俺は贔屓する。公平とか平等とかどうでもいい。

 

 身体の傷は治るかもしれない。

 それでも心の傷は治らない…決して完治なんてできない。

 

 それから一時期はモンスターボールから出てこなかった。このままだとイエッサンの為にもならないと判断した結果、俺の診察にリハビリとして同行したんだと。

 

 ……と長話は前座だった。

 これが前座とかは? と思ったけどさ。

 

 イエッサンは調子を戻したらしく今は別の患者に献身的に尽くしているだってさ。

 

 は? 俺に尽くして貰いたいんだが? 

 子守りして欲しいんだが? 

 

 駄々をこねれば呆れつつも咳払いをする医者。真剣な表情で……クイズを出された。

 

 主にポケモンのタイプや生息地、特徴などで時にはバトルや地方などジムリーダーや化石、伝説のポケモンや幻のポケモン。

 

 うん、全部知ってるけどさ。

 ペラペラと答えていくだけで……この意味ってあるのかねえ? 

 

 問題を解き終えた頃には医者が乾いた笑みを浮かべていた。

 

「あれ? 間違ってました?」

 

 うろ覚えもあるからなぁ。

 流石にカロス神話とかブラックナイトのことを聞かれた時は少し焦ったけど。

 

 ヒスイやパルデアは最近だから覚えは良かったけど。

 

「逆さ。全て合っている。なんなら未だ解明できていないこともこの身で体験しているかのように答えていたね」

 

 良かった…合ってたのかァ。

 ならヨシ! ……ん? 

 

 解明できていないこと…? あっ…。

 

「単刀直入に聞こう。……君は何者だい?」

 

 わァ……ぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、なんとか……なんとかごまかせた。

 ごまかせてないっすね、はい。

 

 医者も言いたくないことのひとつやふたつあるだろうと最終的にはなんとかなった。

 

 このことも俺と医者の秘密で片付けた。

 

 ただイエッサンみたいなポケモンは少ないから暴走は控えるように釘を刺されました。

 

 うっすうっす! 

 ただ定期的に顔を出す様言われたから1週間に1回通っている。

 

 もちろんイエッサンも同席してくれていた。

 はぁ……可愛いしゅき! 

 

 おこづかい出すから毎日行ぎだい゙! 

 

 ふぅ……家には両親の可愛いポケモンがいるからそれで幸せなんすけどね。

 

 今更ながら俺の住む地方はパルデア。

 よく母さんのデカヌチャンと遊んでいる。

 

 元は、はいカヌチャンだったんすけどね。

 ポケモンはまだ持てないから母さんに借りて野生のポケモンとドンパチしてたら…ナカヌチャン、デカヌチャンと進化しちゃったんすよね。

 

 母さんはバトルしないからなぁ。

 危ないからって……ただカヌチャンはそうは思わなかったみたいでさ。

 

 好戦的な性格をしていて初めは野生のポケモンに突貫する俺へのボディガードだったんだけど次第にバトルするようになって今に至ります。

 

 デカヌチャンに進化したってことは並のポケモントレーナーなら無双できるだろうなぁ。

 

 トレーナーとしてはそこそこ強い父さんのアーマーガアをぶっ飛ばしてたしなんなら羽根をむしり取ろうとして慌てて止めに入った思い出は懐かしい。

 

 今じゃ母さんのポケモンというより半分ぐらいは俺のポケモンみたいになっていたりするけど……まぁいっかと気にせずデカヌチャンと草むらや森へと駆け回る毎日よ。

 

 それも今日で終わるんだけどさ。

 馬鹿みたいに騒いで年月が経ち16歳。

 

 10歳にはトレーナーの資格、ポケモン捕獲免許を習得していたが旅にでると言えば両親から頑なに止められ仕方なく今まで通りデカヌチャンを可愛がり駆け回りバトルして時にはピクニックしてサンドイッチを食べたりした。

 

 母さんは絶対に止めに入るだろうと思ってたけどまさか父さんまで止めてくるとは思わなかったな。……過保護な両親だよ。

 

 歳を食えば自然と料理とか他のことにも手を付け始めていた。他の地方ならまだ色々とやりようはあったけどパルデアだとなぁ。

 

 ジムチャレンジぐらいしかないんだよなぁこれが。

 

 旅に出ないことを条件にジムめぐり。

 ……なんと全てのジムを制覇した。

 

 殆どがデカヌチャンのゴリ押しという名の暴力なんですけどねえ。唯一フリッジジムがダブルバトルだったから父さんのアーマーガアを借りてなんとか勝利をもぎ取った。

 

 今更ながらやり過ぎたなぁと。

 記念にはなったから言うことナッシング。

 

 ……心残りといえば6年もポケモンを捕まえなかったことよな。

 

 まあしゃーない。

 デカヌチャンがいればなんとかなったのもあれば捕まえようとボールを構えればデカヌチャンが対象をオーバーキルしてくれやがりましたからね。

 

 捕まえる前に瀕死にされちゃ捕まえられないんだって……。

 

 それも終わり。

 今日からオレンジアカデミーに入学するのです。

 

 それも中途半端な時期にだ。

 しかも俺以外にももう一人入学する子がいるらしい。

 

 多分主人公だろう。

 これからジムチャレンジ、スパイス巡りにスター団と巻き込まれることでしょう。

 

 俺はテキトーに学園生活を謳歌できればそれでいい。ポケモンと触れ合えさえすれば。

 

 デカヌチャンはお留守番だよ? 

 俺のポケモンじゃないし強いデカヌチャンを連れていけば面倒なことに巻き込まれかねない。

 

 主にネモとかネモとかネモとか。

 巷じゃデカヌチャン使いとして通っているけどそんなつもりはないからねえ。

 

 置いていくと言ったら目のハイライトをオフにしてデカハンマーを振り回し家を半壊させてくれやがりましたので泣く泣く連れてきましたよ、ええ……! 

 

 寧ろデカヌチャンを危惧した両親から押し付けられたの間違いだろぉ!? 

 

 んのせいでポケモンは貰えなかったよ畜生めが! はー! いいもんね! 頑張って捕まえてやるからさ! 

 

 と語りはこれくらいにしまして。

 目の前に聳え立つはオレンジアカデミー。

 

 ……ではなくて机に座る生徒の面々。

 隣には教師と同じく入学した主人公ちゃん。

 

 ほう、アオイちゃんの方なんだ。

 んでネモちゃと……普通だな。

 

 ただ入学生が同じクラスに入んのは珍しい。

 なんかネモちゃから見られているけど気づかないフリをしつつ学園生活を楽しみましょうかね! 

 

 おっと! 自己紹介か。

 

「俺の名前は──」

 

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