オレンジアカデミーのモブ生徒になったので影を薄くしていきます   作:モカチップ

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第10話

分かったことがある。

 意外にもスグリくんはお喋りだってこと。

 

 初めこそ無言で小動物が如く縮こまっていたが次第に慣れてきたんだろう。たどたどしくもハッキリとした声で質問に答えてくれた。

 

 特に鬼様ことオーガポンのことを聞いた際は活き活きした表情で饒舌に語ってくれた。伝説が先ず間違ってるからなぁ…。

 

 とは言えない。

 おじいさんに教えて貰えるだろうし。

 

 ただツーショットは慣れてないみたいでこっちで勝手にさせて貰いましたよ。男同士だし肩組んだりと色々ね。

 

 震えてたけど写真を見ればにへへと照れ笑いしてたから好感触だと思われる。途中、アオイちゃんとゼイユのペアとすれ違った時は背筋が凍りかけましたがね。

 

 いや、あの…生々しい距離感でギスギスしてるんだ。大丈夫だろうか、うん。

 

 看板巡りはトントン拍子で進んでいき日は沈みかけ。最後の看板は翌日に回し恐れ穴に行くことになったんすよね。

 

 ただ問題がありまして。

 

 コライドンみたいな伝説のポケモンを所持していない。はい特別だから強い発言が消えてなくなりました。

 

 因みに恐れ穴に鬼様はいませんでしたよ。

 バトルもありませんでした。何から何まで変わってきているから先読みもできない。

 

 そんでスグリくんのお家にご招待されました。距離感も近くなりガチ恋距離とまではいかないけどスマホロトムを後ろから覗き込んだりと……なんか可愛いと思った。

 

 話をしつつスグリくんのお宅へ。

 縁側に座っているスグリくんのおじいさんに自己紹介。

 

 驚きつつも確認をとるおじいさんにもう親友みたいなもんですよと言えばスグリくんが嬉しそうに顔を綻ばせ感謝をされる。

 

 おばあさんも出てきて談笑。どうやら先にゼイユがアオイちゃんを連れて帰ってたようで、今は2人揃ってじんべえに着替えているらしい。楽しそうにお喋りもしてるんですって。

 

 あの険悪な雰囲気からどうやって…? 

 ……女心は秋の空ってやつなのだろう。

 

 スグリくん共々じんべえに着替えておいでと言われたが一着足りないと思う。……やっぱり足りなかったかぁ。

 

 俺は大丈夫なんで! スグリくんは着替えておいでやす。……一度戻っておこうか。

 

 スグリくんを見送り公民館へ移動する。

 中に入るとブライア先生がおり隣にはイエッサン。

 

 イエッサーン! 会いたかったよー! 

 もうギュッと抱きしめちゃいますね! ギュッ! 

 

「リンリーン♪」

 

 ほんといい声。

 溶けるわぁ〜。

 

 目を丸くしたブライア先生を他所にもふもふギュッギュッですよもう! 

 

 ふぅ…満足できたぜ! 

 

 この様子だと生徒くんの容態は安定したみたいですね。それはよかった。イエッサンありがとう。今夜祭りがあるからうんと楽しもう! 好きな物沢山買っていいからね! 

 

「リーン♪」

 

 ほんま可愛いなこんにゃろめ! 

 

 ブライア先生にモンスターボールを返してもらいイエッサンと一緒に公民館を飛び出した。

 

 ────────────

 

 これがオモテ祭り。

 ゼイユが言うだけあって大規模だな。

 

 テンション上がってきたぜー……。

 

「凄いね」

 

 うん、ソダネー。

 この際アオイちゃんは気にしない方針。

 

 気にしたら負けな気がする。

 腕がミシミシ鳴っているけど、何故かアオイちゃんのじんべえがはだけているけど、無数の視線を感じるけど! なんか荒い息遣いが聞こえるけど!! ……気の所為だ、と思うよ。

 

 いやースグリくん宅に戻ったら3人ともじんべえに着替えた後でしてね。

 

 おお、みんな似合ってるな〜て思っていたら目と目が合ったアオイちゃんが駆けてきて腕を絡め取られあれよあれよとドッキング。

 

 動かせないもんね。完全に封印された。

 イエッサンも驚きつつ感情を読み取ったんだろう。ちょっと…かなり困った顔してたぜ? 

 

 うん、可愛いからヨシ! 

 

 記念写真を撮るみたいっすね。

 俺とイエッサンは離れて…一緒に入るんすね。

 

 3人でもギチギチなのにどうやって…ふぎゃ!? 

 

 アオイちゃんとスグリくんに両サイド挟まれミンチに。背後には背が1番高いゼイユが真後ろに立ち首を屈め肩に顎を置いた。

 

 めちゃ顔赤いっすけど? 無理しなく…ギッ!? アオイちゃん? アオイちゃんさん? 腕! 腕が痛い! 

 

 あー! イエッサン大丈夫! 大丈夫じゃないけど大丈夫だよ! イエッサンは前に立とうね。

 

 スグリくん…すんごい呆れた顔をしてる。この中で一番常識があるのかもしれない。

 

 アオイちゃんはアオイちゃんだし、ゼイユはよく分からん。俺は変態でイエッサンは天使。

 

 ゼイユの掛け声と共にシャッターが下ろされ圧迫地獄から解放された。……アオイちゃんからは解放されなかった。

 

 撮れた写真を見て微笑むアオイちゃんを他所にオモテ祭りの説明を始めるゼイユ。そこからスグリくんと軽い言い争いとなりにスグリくんは逃げる様にりんご飴の屋台へ駆け込んでいく。

 

 後を追うにもアオイちゃんがベッタリなんですよねえ。でもスグリくんは分かってたのかりんご飴を三つ持ってきてくれた。

 

「……りんご飴あげる」

 

 俺とアオイちゃんの分らしい。

 受け取るとゼイユがあたしの分は!! と叫ぶがスグリくんは知らぬ顔。

 

 …こういう姉弟関係も良いものだよね。

 一人っ子には分からない感覚だ。

 

 イエッサン一緒に食べようか。

 

 ひと舐めしてイエッサンに渡す。

 少し驚きながらも照れながらペロペロと舐め始めるイエッサンは可愛い。

 

 また周りが驚いているけどどうしたん? 

 食べ物の共有ぐらい当たり前じゃね? 

 

 アオイちゃん? りんご飴を押し付けてどうしたん? 俺はイエッサンと食べるから大丈夫…アオイちゃん? 

 

 顔がベタベタになってしまうんですが? 

 

 それから屋台を渡り歩く。

 

 お祭り効果もあるのか何時もより美味しい気がするんだよなぁ。デカヌチャンはパクパクフランクフルトを食べて、イエッサンは焼きそば。イーブイははじめてのわたがしに目をキラキラと輝かせていた。

 

 おなかいっぱいです。

 サワロ先生に頼んで料理の特訓しよう。

 

 自分の料理を美味しそうに食べてもらえる想像するだけで口角が上がりまくりですわ。

 

 あらかた見て回ると仮面を被った人に声をかけられた。鬼退治フェス? …そんなのあったなぁ。

 

 あ、お断りします。

 え? アオイちゃんもやらないのか。

 

 と思っていたらゼイユが挑発。

 なんで急に? バトルに負けたことまだ根に持ってたりするん? 

 

 え? やっぱり挑戦するの? 

 良いと思うけど…あ、本気でやるつもりだ。

 

 コライドン出したもん。

 アギャ? と首を傾げるも直ぐに俺に向かってき…うわっ!? 

 

 顔を舐められていますわよ。

 りんご飴の…すごっ…ザラザラしてそのかなり…いいですねえ……! 

 

 アオイちゃんが止めるも既にヨダレでビチャビチャ。上着まで持っていかれた。

 

 しゃーない着替えてこよう。

 ぶっちゃけコライドンのひゃくれつなめを喰らったので+。今度甘い匂いがする香水でも付けてみようかな。

 

 そうすれば合法的にコライドンに舐めてもらうことが…ぐふっ…。

 

 謝るアオイちゃんに大丈夫と手を上げ今回二度目の公民館への帰り際。スグリくんがアオイちゃんの前でポツリと言った。

 

「アオイは特別なんだ。……だから強いんだ」

 

 ここで回収するんです!? ゼイユとのバトルを見てたから思う所はあったんだろうけどさ。…んーこの。

 

 ───────────

 

 着替え終え戻ってきたけどアオイちゃんとゼイユの様子がおかしい。スグリくんは普通。

 

 ぎこちない…あ、オーガポンと出会った後なのか。スグリくんのいる手前隠すしかない。

 

 つまり俺もスグリくんsideになるわけですかい。いいけどさ…うーん、明日から不安だ。

 

 後日。

 アオイちゃんはいなかった。

 

 良かった…と思いつつスグリくん宅に向か…ゔっ!! 

 

 塀に背を向けるスグリくん。

 あちゃー……顔を俯かせ無表情。

 

 ただ俺を見ると直ぐにパァっと笑顔を浮かべ駆け出す。

 

「……なぁ」

 

 ど、どうしたん? 

 

「ん…なんでもね。次の看板ちょっと遠くって…んだば行こっか」

 

 お、おう。

 ……怖過ぎだろ。

 

 どうすんだべこれ。

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