オレンジアカデミーのモブ生徒になったので影を薄くしていきます   作:モカチップ

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第18話

 

 

 ……やってきました。イッシュ地方…の南海? に位置する教育機関。ブルーベリー学園です。

 

 退院は許されたけどまともに歩けないので杖を使っています。…まぁその杖も……。

 

「大丈夫?」

 

 ……大丈夫、だよ。

 

 いつの間にかアオイちゃんにすり変わっていたんですけどねえ。杖はどこに行きました? 

 

 アローラ地方にバカンスでも行ってるん? 

 俺も連れてってくれよぉ頼むよー? 

 

 ……現実逃避をしても運命は変えられないんすよねえ。来ちまったよブルーベリー学園。

 

 心臓の震えが止まらねえよ。滅茶苦茶痛い。…キタカミ姉弟と確定エンカウントとか死ぬほど怖え…。

 

 ワンチャン原作よりパワーアップしてるんすよね? …ははは……笑えねえって…。

 

 ここまで案内してくれたブルーベリー学園の創設者であるシアノ校長が説明してくれているがなーんにも頭に入らないよねえ。

 

 アオイちゃんは俺の様子を見つつしっかりと聞いているよ。

 

 真面目だなぁ…あと立ち直り早くなぁい? 

 …そんな余裕なかったの間違いかもしれんけどさ。

 

 スパイス巡りにジム戦、スター団…最後にはエリアゼロで世界の命運をかけた戦い。

 

 気にする余裕なんてないわ。

 オーリム博士のAIの手持ち普通に強いもん。

 

 全てがパラドックスポケモンで準伝クラス以上のステータスを持っている。

 というかこの世界じゃ…先ず手持ちに入れている人は存在しないだろう。

 

 禁足地のポケモンで…もしかしたら飛び出したポケモンを…捕まえられたらその人はバケモンかなにかだろ、うん。

 

 アオイちゃんの手持ちを見せてもらったけどパラドックスポケモンはバトルを克服したコライドンを除いて入っていなかった。

 

 …あー…イーブイが進化していたね。

 エーフィに……。上品でお淑やかになって…ると思っていた俺はお笑いだった。

 

 めっちゃくっちゃイーブイの頃のまんま。

 入院中に満面な笑みで飛びかかられたよ。おかげさまで入院期間が数日増えました。

 

 …本当は久しぶりのギャッッッッ! プ萌えが傷に響いたってだけ。…姿が変わっても中身が変わる訳じゃない。

 

 進化したグレイシアとキュウコンも変わらない。ただ…大きくなったからね。イーブイやロコンの頃みたいに…抱っこしたりスキンシップはできない。

 

 ま、嘘なんですけどね。

 そんなもん知ったこっちゃない。怪我が完治し次第全員モフり倒してやるからなぁ? 

 

 早く杖無しで歩けるようになるといいんだけどねえ。片足だけヒビが入りまくりで地面に足をつけるだけで激痛走るから…。

 

 うっかり転んだりジャンプなんかした日にはまたベッドの上でポケモン雑誌を漁る日々に逆戻りになってしまう。…割かしマジで。

 

 だから完治するまで全面的にバトルは禁止。単独行動は杖…またはイエッサンに介助してもらう形に。

 

 時々アオイちゃんが突っ込んでくる。

 交換留学中はこんな感じっすかねえ。

 

 …俺は入れ替わりでオレンジアカデミーにやってきた留学生が気になってたんだ。

 

 ゲームだと一切絡みもなく名前は愚か性別すら分からなかったからね。…パルデア組と関わらなかったのかセリフにもなく伏線なにもなく終わっちまったよ。

 

 …初対面でパルデア組に関わるの普通に無理ゲーだよな。ネモちゃは兎も角ペパーとボタちゃんはコミュニケーション的に…。

 

 ペパーとボタちゃんはこのメンツだけで満足している。今どき珍しい狭く深くの交流関係に…。

 

 その中に俺が含まれていることを除けば…なにも言うことなかったけどねえ。

 

 うん? …シアノ校長が消えて…ピンク頭じゃなくてタロちゃんに変わっている。

 

 あ、うんよろしくお願いしま…アオイちゃん? 流石に今回だけは…キツく締めるのはやめてくださらないでしょうか? 

 

 ガチで怪我人だから…ああ、いや! 傷が開いたとかじゃないからね!? そんな謝らないでいいから! …大丈夫!! 

 

 今からバトルをするんでしょ? 

 適当に座るから行っておいで…あ、タロちゃんも大丈夫だよ。

 

 寧ろこんな状態で交換留学に来て申し訳ないと思っているよ。ブルーベリー学園はダブルバトルをメインにしているらしいからアオイちゃん気をつけてね。

 

 ……フレンドリーファイアには特に。

 アオイちゃんとタロちゃんがバトルコートに向かっていくのを見送り適当な場所に座る。

 

 …バトルが始まった。

 タロちゃんの場にはプラスルとマイナン。

 

 確か特性のプラスとマイナスを活用し火力を上げるプラマイ戦法を試そうとしていたんだっけか。…裏にドリュウズがいるから意表は突けそうだったり。

 

 …アオイちゃんはマスカーニャとオノノクスを繰り出した。…瞬間にオノノクスが突撃をかましプラスルを撥ね飛ばした。

 

 事故現場を目撃した通行人みたいな感じで口をポカーンと開けてしまう。…え、ぇ…マイナンはプラスルを見て悲痛な叫びを上げ…プラスルは弧を描き…こっちに…飛んでくる? 

 

 …え? こっちに飛んできて…ファッ!? 

 両腕でしっかり受け止めた。クルクルと目を回し気絶している。

 

 二人がこっち見てるけど…手を軽く振り大丈夫と伝えた…つもりです。早くバトルしていいですよープラスルはこっちで見とくので。

 

 …キズぐすりぐらいは使っていいよな。

 プラスルにキズぐすりを使い…思い出す。

 

 そいやあのゴルバット…トレーナーが現れなくて最終的にジニア先生の手持ちになったんだっけか。

 

 ロケット団……まだ残党が残っているとは驚きだった。話には聞いてたんだけど…パルデアには進出してなかったみたいだからさ。

 

 カロス地方やイッシュ地方には…ロケット団が抱えている会社がチラホラあったらしいけどね。

 

 ガキの頃に…ロケット団壊滅! みたいなニュースを見た覚えがある。だから気にしてなかったけど……警戒すべきなのかもしれない。

 

 けど俺には関係ない、か。

 しかし……プラスルクッソ可愛ええやん。

 

 デデンネやミミッキュみたいに偽ピカ枠と分類される中じゃ相方のマイナン含め最弱とまで言われているけど…可愛さはトップクラスやねん。

 

 流石に自重します。

 気絶してるしタロちゃんのポケモン。

 

 キズぐすりを使った際に…少しだけ…へへっ…なので我慢我慢。

 

 眠り続けるプラスルを抱えつつ…観戦。

 展開は変わりマイナンも戦闘不能となりタロちゃんの場にはドリュウズだけ。

 

 それも満身創痍ってところでアオイちゃんは場にはマスカーニャとオノノクス。…多少ダメージはあるが…これは……。

 

 オノノクスがドリュウズに向けてドラゴンクロー。…ほぼ同時にトリックフラワーがドリュウズの頭上に現れ直撃。

 

 二重攻撃をくらいドリュウズは戦闘不能になってバトルは終了。…あれ? アオイちゃんダブルバトルも適性あるん? 

 

 …分かるよ。ほぼ瀕死のドリュウズに抜群技を打つ理由はないし同時攻撃する為にオノノクスにドラゴンクローの指示をした。

 

 マスカーニャに関してはトリックフラワーを撃たざるを得なかった。遠隔で攻撃する手段がトリックフラワーしかなかったから……ってのは俺の想像に過ぎない。

 

 本編クリア後だし技が変わっていてもおかしくない。トリックフラワーはマスカーニャの専用技でありアンデンティティ…以前に強い技だから忘れさせる理由がない。

 

 はたきおとすとアクロバットは確認できた。

 ……アオイちゃんクラスになったらわざマシンも余裕を持って買えるだろうし…この先も強くなっていくんだろうねえ。

 

「〜♪」

 

 気づいたら隣でピカチュウが観戦していた。

 …ピカチュウかぁ。ピカチュウも可愛い…にしてはなんか…色が…。

 

 あれ? どんな感じだったっけ? 

 ……尻尾の形からメスなのはわかるけど…誰かのポケモンなんだろうか。

 

 …あ、アオイちゃん。…このピカチュウ知ってたり…んぇ? 

 

 ……いない? 

 ああ、タロちゃん。プラスルを返すね。

 き、気のせい……? 病み上がりで頭イカれてただけ、か? 

 

 ピカチュウはポケモンの代名詞だけど別に珍しいわけじゃないしなぁ。

 

 この後はテラリウムドームに行くんだね。

 俺はちょっと休ませて貰おうかな。

 

 …行きたいけど……なにもできないしさ。

 なのでアオイちゃんはタロちゃんと一緒に楽しんできてくださいな。

 

 いや! …アオイちゃんは推薦されてんだから俺にかまけずブルーベリー学園を楽しまないと…! ね? …ああ、一人で大丈夫。

 

 流石に迷うことは無さそうだし。

 そゆことでー……杖無いんだった。

 

 アオイちゃん達を見送りいざ行かん! …壁を伝って…無理だったのでイエッサンに頼みなんとか……。

 

 うん、俺の寮部屋はどこだろう? 

 ……聞くの忘れてた。オレンジアカデミーと同じく受付のお姉さんがいたので尋ねて。

 

 鍵を受け取り改めて寮部屋まで…! 

 着きました、ええ。…すんごい新しい。

 

 最先端…て言えばいいのか…。

 オレンジアカデミーも改修に改修に重ねていて綺麗な方だけど…これはこれで……。

 

 ありがとうイエッサン。

 また後でお願いするね。

 

 イエッサンを戻し鍵を挿し…ん? 開いてる? 

 ……中に入る。

 

 間取りはオレンジアカデミーとあんま変わらない…? 入って直ぐキッチンが見えて右扉の先にはユニットバスがあって……。

 

 キッチンを右にベッドとスペース、が…。

 

「…スゥ……」

 

 ん? 

 ??????? 

 

 ベッドの上には黄色い物体が丸まって寝息を立てていた。…え、と……ピカチュウだよな。

 

 さっき見たピカチュウ…? 

 な、わけない……よな……。

 

 まだ頭がパーになってるのか。

 ……質量がある幻覚ってのもまた珍しい。

 

 ピカチュウをそっと抱えベッドに横になる。

 久しぶりにみんなをモフりたいが…疲れてそれどころじゃない。

 

 幻覚のピカチュウを抱えながら目を閉じる。

 意識を失うのは簡単だった…。

 

 …う……顔に重力を感じる。

 目蓋を開ける。…暗い…その中で黄色が見え……て、温かい。

 

 なにか乗ってんのか。

 その何かを掴み持ち上げる。

 

「…スゥ……」

 

 耳を垂らし無防備な寝顔を晒すピカチュウだった。……あれ? …もしかして………。

 

 このピカチュウ…本物なのでは……? 

 気づいた時には手遅れでコンマ一秒と言われても良いレベルで扉が開かれた。ほぼ同時にプラスルを受け止めた時の反動が遅れてやってきて身体が悲鳴を上げた。

 

 やっぱアドレナリンって偉大だよなぁ……。

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