オレンジアカデミーのモブ生徒になったので影を薄くしていきます   作:モカチップ

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第6話

「……ブイ」

 

 眼下に拗ねたイーブイ。

 そっぽを向きつつもチラチラ見ている。

 

 あーこの後どうすればいいか分からなくなってますねえ。

 

 もう可愛いなぁ…! 不安げな眼がゾクゾクと身体を震わせる。

 

 しかも少しずつ近づいてきて最後には顔をグリグリと膝に押し付けてきたの。

 

 アーッ! これ以上理性を溶かさないでくれませんかねえ!? 

 

 宝物はここにあったのか……! 

 

 …負けて悔しかったのは分かるけど相手はアオイちゃんのニャオハ。初めてのバトルにしては良い勝負ができてたと思う。

 

 この経験を糧に強くなっていけばいい。

 強さ関係なく俺は可愛がるだけなんですけど。

 

 今度は勝とうね。

 

「ブイ♪」

 

 機嫌が戻った? イーブイは身体をよじ登り肩に座り頬擦りをす……ッスー……。

 

 表情筋がガバガバになるぅ〜! 

 

 ふぅ……宝探しが始まった。

 自分だけの宝物を見つけるために生徒たちが外の世界へ飛び出していく。

 

 同時に本編も始まったのだ。

 アオイちゃんたちの物語が。

 

 ネモちゃとペパー、スマホロトム越しにカシオペアことボタちゃん。

 

 ジムチャレンジしながらスパイス巡りからのスター団とのバトル。

 

 最後は……。

 

 話が変わりますがコライドン!! 

 めっっっっちゃっっ!! カッコ可愛いかった!! 

 

 おっきなわんちゃん! 

 最後には覚醒して伝説に相応しい活躍を見せてくれる! 基本はライドポケモンに甘んじつつバトルは百戦錬磨! はー! 唯一無二の相棒伝説! ……すんげぇ羨ましい! 

 

 これぞ主人公補正! …はアオイちゃんに失礼やね。アオイちゃんが主人公ではなくて主人公がアオイちゃんなのだよ! 間違えてはいけない! 

 

 それでも撫で回して餌付けしたかったけどさ…! 

 

 印象って怖い。

 なんか勝手に誠実で真面目な凄腕トレーナーと勘違いされているの。……ナンデェ? 

 

 ポケモンが大好き過ぎて常に脳破壊されてる変態狂人だゾぉ? しかもペパーがハルクジラを生身で追い払ったと自分のことの様に自慢するんだもんげ。

 

 アオイちゃんとネモちゃからの尊敬の眼差し、カシオペアことボタちゃんからスマホロトム越しの賞賛。

 

 ンンンんッ!! むーりー!! 

 涎垂らしながらコライドンをヨシヨシ出来るわけないやん。

 

 血涙を流したくなりつつ泣く泣く見送ったわ。

 

 ネモちゃは新パーティーの育成の為セルクルタウン方面へ。

 

 ペパーは秘伝スパイス探しにボウルタウン方面へ、ボタちゃんも催促しつつ通話を切った。

 

 アオイちゃんはどっちから行くのかなと思ったら俺とのバトルで自信がついたらしく腕試しにジムチャレンジへ行きました。

 

 その後にスパイス巡りをしつつスター団の元へ向かう様ですよ。

 

 テーブルシティの中心で深呼吸。

 耐えた! ……俺は耐えたんだ!! 

 

 よく頑張ったなぁ! ご褒美に道行く先々のポケモン達を無差別に抱きしめても良いっすか!? 

 

 少しくらいならバレないやろ…。

 

 ……ひょ? 

 

 黒い尻尾、ワンポイントの黄色い模様。

 とてもスリムな体型でクールなご尊顔! 

 

 ルビーのように紅い瞳は思わず吸い込まれそうになる。ダイソンの如く惹き付けてきます。このまま精力すら吸い取られそう〜。

 

 …は!? あ、あああ…! 貴方様は……! 

 ブ、()()()()()……!? 

 

 これがご褒美なのかもしれない。

 きっとそうだ生ブイズを見れるなんて奇跡ご褒美以外に考えられない写真撮りたい。

 

「ブイ?」

 

 ほらブラッキーだよ。

 …ボタちゃんの所にいたんだから見たことあるか。

 

 カッコええよなぁ。

 あくタイプなのに懐き進化なのもエモ過ぎる。……ん? 

 

 といいますかあのブラッキーは誰のポケモンなんだろう。見たところトレーナーらしき人は居なさそうだけど……。

 

 流れゆく人混みの中、鎮座したブラッキー。

 ニンフィアみたいに迷子では無さそうだ。

 

 流石にボタちゃんではないだろうと確信はできる訳でして…あの一件があるし。

 

 誰かを待っているのだとしても危険じゃないか? ブラッキーが単独でいること、白昼堂々と騒ぎを起こす輩も……ほら、言わんこっちゃない。

 

 柄の悪い集団がブラッキーの前に立つ。

 対戦相手がほぼ固定されているパルデアにも悪党は存在する。

 

 周りは見て見ぬふり。

 当たり前だ、俺だって関わり合いになりたくない。スター団とは違い本物だ。

 

 ……身体は正直で向かって行くんですけど。

 

「ブイ…!」

 

 もふもふしっぽを上げ耳を尖らせ威嚇するイーブイたん。

 

 おほっ! やる気満々ちゃん。

 そりゃそうよな! 相手の手持ち次第じゃデカヌチャンをぶん投げるのだけど…。

 

 げっ……連中がポケモンをくりだした。

 おいおいおいおい! 3体とかブラッキー相手に過剰戦力が過ぎませんかねえ!? 

 

 3体に勝てるわけないだろ! 

 うるせぇばかやろう! 俺は勝つぞ! 

 

 しかしヤミカラス、ポチエナ、デルビル……と。

 

 しっかりあくタイプに偏ってるよなぁ。

 悪役はタイプ縛りをしなきゃいけない業でも背負っているんだろうか。

 

 数以前にブラッキーの相手は荷が重すぎるのでは…? この瞬間デカヌチャンの投入案が消えてなくなったよ。

 

 イーブイの特訓相手に良さそうかな…? 

 

 うん、忖度抜きにしてポケモンは可愛い。

 ヤミカラスの羽根を触りまくりたいし、ポチエナとデルビルはめちゃくちゃ揉みくちゃにしたいですわ。

 

「やっちまえ!」

 

 掛け声と共に3体はブラッキーに突っ込んだ。あ、あの……技とかは使わないんです? 

 

 ポケモンバトル……だよな? 

 そんな曖昧な指示でいいの…? 

 

 ブラッキーは呆れた様子。

 

「…ッラ」

 

 ぶつかる寸前。

 あくタイプトリオは弾け飛ぶ。

 

 見えない壁にぶつかった様に倒れた。

 全員おでこが赤くなっている。痛そうだなぁ…キズぐすりを口実に触れるのでは? 

 

 へへへ…ありですねぇ。

 

「…ブイ」

 

 イーブイはブラッキーに魅入ってますね。

 強者の風格が出ていますもんこりゃトレーナーは只者ではない。

 

 技はまもるかリフレクターだと思う。見えない壁とか判別出来るわけねえだろ……。

 

 どちらも通常では覚えられない技だ。

 ……二種類の技が存在する。

 

 経験を積むこと(レベルアップ)で覚えられる技。

 ある条件により覚えられる技。

 

 上記の二つは技マシンにより覚えさせる事ができる。それでも相性により覚えられない技もあったりするがブラッキーは両方覚えることができたはず。

 

 技マシンの種類は豊富で数百はくだらない。

 同じ技マシンでも使い捨てタイプと再利用できるタイプに分かれている。

 

 憧れのカントーやジョウトは使い捨てがメジャーだろうか。反面イッシュ、カロスなどは再利用を推奨をしている。

 

 一度しか使えないが安価の使い捨て。

 何度も使えるが高値の再利用。互いに一長一短の性質。

 

 パルデア? パルデアに技マシンはない。

 もう一度言おう……ないんだよなぁこれが。

 

 技マシンマシンなんてブラックボックスは存在してません! ポケモンの素材を使って技マシンを作るとかどうなってんねん! 

 

 技マシンの価値が暴落しますよ! 

 欲しくなれば取り寄せればいいですし? …定価より高いし一部の技マシンはバカみたいな値段で売られてるし使い捨てだと使用済みを送り付ける詐欺師もいるので買う時は必ず再利用タイプを買いましょう。

 

 こおりのいしが可愛く見える値段……! 

 

 因みにデカヌチャンのステルスロック(使い捨て)を買うためにこおりのいしを売ったのです。決済後半分も残りませんでしたはい。

 

 高火力技なら+αはくだらないんですよねえ。……バトルガチ勢怖い。

 

「ブイブイ!」

 

 興奮気味にイーブイが鳴く。

 

 ありゃバトルが終わっていた。

 戦闘不能と化したヤミカラスは羽を散らし、ポチエナとデルビルは頭にたんこぶができていた。

 

 手加減されてるぅ…。

 素っ気なく踵を返し元の場所に座り直したブラッキーの尻尾は鋼鉄にコーティングされていた。……()()()()()()()ですと!? 

 

 バトル用にカスタマイズされてますわぁ。

 不利なフェアリー対策に積んでるんだろう。

 

 アイアンテールはかなりの値段だったはず。

 流通数も少なくまともに買おうと思えばジョウト地方かバトル先進国ことガラル地方に行くことになる。通販? ぼったくられます。

 

 補足するとはかいこうせんやギガインパクトの技マシン。あれは例の一部に該当します。

 

 ドラゴン使いでチャンピオンの代名詞でもあり安価でもえげつない値段で店の豪華なショーケースに飾られたりしています。

 

 はかいこうせんやギガインパクトを使いたい人は経験(レベル)で覚えられるポケモンを捕まえて育てるか友達に技マシンを持っている人がいたら土下座してでも頼み込みましょう。

 

 パルデア地方でアイアンテールブラッキーとか見ることすら不可能だよなー。

 

 現在進行形でお目にかかってますが……。

 写真撮っても…いいっすよね……? 

 

 バレなきゃええやろ。

 スマホロトムに手を伸ばす。

 

「なんだよ! 1匹でいやがるからてっきり捨てられたのかと思ったのによ…!」

 

 悪トリオをボールに戻し見当違いの悪態を吐く男。

 

「……ラッ」

 

 ブラッキーは耳を小さく揺らす。

 

 なわねえだろバーカ! 

 ブラッキーだぞ? ブラッキーまで愛情込めて育ててる時点で有り得ないわ! 

 

 てか街のど真ん中に捨てるヤツなんていねえよ!!! 

 

「それともお前が気づいてないだけで捨てられたのかもな! こんな強いポケモン捨てるとか馬鹿なトレーナーだぜ!」

 

 負け惜しみかブラッキーを煽る。

 勢いに任せてこいつぶん殴っても許されません? 

 

 通報はされてるだろうからその前に……なんかバチバチ鳴ってません? 

 

「な、なんだよそれ!!」

 

 音の発信源はブラッキーだった。

 全身に電撃を纏い鋭い目で男を射抜かんとす。

 

「ブラッ…!!!」

 

 ???????? 

 ああ、怒ってますね。ブチ切れですね。

 激昂してます…よね? 確かに月光ポケモンなんやけどさ……!! 

 

 ……で、電磁波だったり…しないですねぇ? 

 

 周りも大騒ぎ。男はガクブルで動けないようで男の連れはシレッと逃げてます。……あ、鉢合わせたジュンサーさんに捕まりました。

 

 ブラッキーが覚える電気タイプの技は電磁波だけのはず。だけど……ちゃいますやん? 10万ボルトやかみなりを放ってもおかしくないぐらいバチバチ言ってますやん? 

 

 ……避難した方が…イーブイがいない? 

 

「ブイ!」

 

 イーブイさん!? ちょっと危ないって!? 

 ……捕まえた!! 

 

「ブイ!?」

 

 勝手に動いちゃだめ……じゃないけど。

 危険だから離れようね。男? ……知らんがな。

 

 自業自得、因果応報……。

 悔い改めてくださいな。

 

 トン…とブラッキーが跳ぶ。

 纏う電撃が額の黄色い円を中心に集まり球体を象っていく。……あっ…これは不味い。

 

 思い出した……見て気付いた。

 色んな感情がごちゃ混ぜになり発狂しそうになるが生存本能が微かに勝った。

 

 「デカヌチャン…!」

 

 飛び出し男の前でデカハンマーを構える。

 

「ブラッ!?」

 

 突然の乱入に驚き攻撃を止めようとする。

 まあ止められないよね……うん、優しい子だ。このブラッキーはきっと大切なトレーナーを馬鹿にされたから怒った。

 

 根元はニンフィアと同じ。

 ブラッキーのトレーナーはボタちゃと仲良くなれそうだなぁ。

 

 それとこのブラッキーは世界に一匹しか存在しないんじゃないだろうか。

 

 だってさ……()()()()()()()()()()だよ? 

 技マシンの中でもトップクラスの激レアで流通数も圧倒的に少なく生産終了済み! 使い捨て兼ジョウト地方限定! 未使用なら……詳細はその他諸々割愛するけど……ね! 

 

「デカハンマー!」

 

 放たれたでんじほうとデカハンマーがぶつかり合う。凄まじい衝撃波と白い光。

 

 あ、これヤバっ…。

 ……めのまえがまっしろになった。

 

 ────────────ー

 

 目覚めたらポケモンセンターだった。

 視界には涙目の天使(イーブイ)不安げな天使(イエッサン)

 

 ウッ

 

 目覚めればポケモンセンター。

 視界には涙目の天使(イーブイ)不安げな天使(イエッサン)

 再放送ですね。

 

 起き上がり状態を確認。

 怪我は無さそう。

 

「目を覚ましたんですね」

 

「ラッキー」

 

 あ、ジョーイさん久しぶりです。

 ラッキーも……撫でていい? 

 

「丁度デカヌチャンの治療が終わりました」

 

 ……デカヌチャンの治療? 

 え、怪我してたん……ブラッキーの…。

 

 デカヌチャンでもでんじほうを受け止めるのは無理やろなあ。

 

 ジョーイさんに事の顛末を聞いた。

 デカヌチャンのおかげで大惨事にはならんかったらしい。

 

 ブラッキーを煽った男は失神&失禁。

 先にお縄についたツレと共に逮捕されましたと。当然の報い、人のポケモンをとったらドロボー、犯罪です。

 

 その後にブラッキーのトレーナーが登場。

 ジョーイさん曰くブラッキーは子犬のように震えてたとか………ギャップ萌え! 見たかった! 

 

 きっと怒られると思ったんだろうなぁ。

 理由はどうであれ街中で暴れちゃった訳だし。

 

 トレーナーはとても良い人だったらしく謝罪回りしてからパルデアから去ってしまったらしい。

 

 俺が目覚めるまで残るつもりが飛行機の時間が間に合わないとのことでこれを預かったとかなんとか。

 

 ……封筒? 

 分厚くて……重い…。

 

 開けて中を覗……。

 ッスー……はい、はい…。

 

 返品とか…できない、よなぁ。

 うん、開き直ろう。

 

「…チャ」

 

 デカヌチャン! 

 大丈夫そう? うん! ほっぺもいつも通り柔らかいねえ…! 

 

 はっはっはっ! 

 はぁ……ブラッキーの写真取り損ねたなぁ。

 

 でんじほうを放つブラッキーとか永久保存版だし! あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!! 

 

 よし! 帰ろう! 

 なに宝探しは始まったばかり、明日から授業を受けつつパルデア組の行く末を見守ろう。

 

 それじゃみんな! 帰るよ! 

 

 ……後日。

 ブラッキーに憧れたのかイーブイが頑張ってクールっぽく見せていた。あかんよイーブイさん……俺みたいなヤバいやつに目をつけられたら大変なことになる。

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