オレンジアカデミーのモブ生徒になったので影を薄くしていきます   作:モカチップ

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第7話

静かな教室。

 閉鎖的空間の中。

 

 椅子に座り机に齧り付く。

 ……てか、生徒は俺しかいないんよ。

 

 みんな宝探しに夢中で先生とマンツーマン。

 良い事なんだろうけど……補習を受けている気分。

 

「分からないことはありませんかあ」

 

 ふんわりとした声色。

 とてもゆっくりで間延びした喋り方。

 

「大丈夫ですよジニア先生」

 

「それは良かったですう」

 

 ふにゃっと柔らかい笑みを浮かべる。

 ……こうして数多の女性を落としていくんだなぁ。

 

 アカデミーの先生は全員癖が強過ぎる気がしなくもないけどさ。

 

 これに限らず殆どの授業が少数かマンツーマンだから必然的に接点ができるんすよねえ。

 

 ジニア先生は生物学を担当している。

 ポケモンの事をもっと深く知る事ができる! 

 

 それに元研究員で同じく元研究員でオーリム博士とチームを組んでいたクラベル校長とも旧知の仲。

 

 パルデアのポケモン図鑑を作ったのもジニア先生なのだ。……ポケモン博士名乗っても良いのでは? 

 

 それくらい凄い人。

 もちろんポケモンバトルの実力も高く緻密な戦略で相手を追い込む戦い方は能ある鷹は爪を隠す……この言葉が良く似合う。

 

 かのオーキド博士も昔は凄腕のポケモントレーナーだった訳で研究員=クソ雑魚は成り立たないんす。

 

 クラベル校長や今後アオイちゃんが交換留学で行くであろうブルーベリーアカデミーの裏番長シアノ校長も強い訳ですしね。

 

 なんならアカデミーの教員は元ジムリーダーや現役四天王もいらっしゃいますし……各地方から生徒が集うのは分かる気がする。

 

 因みにアオイちゃんの宝探しは順調。

 先日には3個目のバッジを手に入れたとジムリーダーとのツーショットが送られてきた。

 

 ジムリーダーはご存知ハッコウシティのジムリーダーナンジャモ。バトルは生配信されていたようでアカデミー内でも噂されていたっけ。

 

 まさかゲームと同じ仕様でバトル後のツーショットを拝むことができるとは思わんかったけどさ。

 

 他にもペパーくんやスター団とのツーショットが送られてきたりするが…反応に困る。

 

 正直送ってこられても…とは思う。

 関係を拗らせたくないのでおめでとうと一言返すだけだし問題ないかな。

 

 しかし籠りっきりなのは不味いかもしれない。外に出てもイエッサンとイーブイの育成と病院に行くぐらい。

 

 それで思い出したんだが! 先生の助手がイエッサンだったんだよ! しかもオス!! 

 

 マロ顔鬼かわイエッサンと比べてツン顔で知的な雰囲気! メガネをかけたら最強の一角になり上がれる!! 佇まいからThe従者が似合う! 発狂中にジト目はお止め下さい! 加速してしまいます!! 

 

 中身も素晴らしい!! 何も無いところで転びかけるクソガバムーブかました時なんきゃ受け止めてくれたんですよ! ええ!! 

 

 ただガードは固かったようで流れでモフろうとしたらサイコパワーで止められてしまいました…ちぇっ。

 

 あ、とても感動したこともあってさ。

 セクハラしちゃったスリーパーなんだけど子供たちに囲まれて揉みくちゃにされていた。

 

 看護師や保護者の方も微笑ましそうに眺めてんの。戸惑いながらも儚げな笑顔のスリーパー……子供達そこを代わってくれと唇を噛みちぎりながら血涙流しそうになった。

 

 日に日に受け入れられている。

 それがとても嬉しかったよ。

 

 何れはベトベターやヤブクロンなども受け入れられる日が来るだろう。てか俺が率先して抱きつきモフりまくりたい所存。

 

 しかし意外と居ないんすよねえ。

 ちょこちょこゴミ置き場とか行ったりするんけど綺麗にされてるから居らんのよな。

 

 某マサラ人みたいにベトベトンにのしかかられたりしたいのです。寧ろ襲ってくださいウェルカムです!! 

 

 なんて頭の中で考えながらも授業を受けています。いつもの日常です。

 

 不意になるチャイム。

 

「もう時間ですねえ」

 

 柔らかい笑みを向けられる。

 ヤメテクダサーイ! その顔面は凶器ですよー。

 

 今回も為になる授業ありがとうございます! 

 

「いやあ真剣に授業を受けて貰えますと教師冥利に尽きるといいますかあ。君はボク含めて先生たちの評価が高いんですよお」

 

「そうなんですか?」

 

 結構当たり前の事だと思うんすけど。

 

「ええハッサク先生やタイム先生は特に気に入っているみたいですねえ」

 

 うぇ……タイム先生は元ジムリーダー。ジム戦ではお世話になりました。今は妹のライムさんがジムリーダーをしているんよね。

 

 まあここまではいい。

 ……ハッサク先生かぁ。現役四天王に目をかけてもらえることは良いことなんだろうけど不安要素が増えそうだ。

 

「授業は終わりですが一つ連絡があるんですよお」

 

 ほうほう連絡ですとな? 

 ……え、アカデミーのポケモンにちょっかい出してたのが不味かった? かなり控えめだったと思う……個人差はありますが。

 

 それとも野生のポケモンを勝手に餌付けしたせいでアカデミーに住み着いたのがバレたとか? 

 

 …考えたらヤバいことしてはるおいどん。

 

「実はアカデミーで毎年この時期に他校との合同で林間学校を実施しているんですよ」

 

 林間学校……ですか。

 ん? 林間学校ですと!? 

 

 という事はもしかして──! 

 

「な、なんと! そのメンバーに君が選ばれたんです!」

 

 や"っ"だ"ぁ"ぁ"ぁ"!! 

 え、ホンマにいいんすか!? 

 

「もちろんですよお。行き先はキタカミの里という東北の地です。説明はエントランスホールでおこないますので行きがてら説明しますねえ」

 

 うっす! オナシャス!! 

 まさかキタカミの里に行けるなんて感無量。

 

 人数がかなり搾られ少人数の超低確率。

 ソシャゲの最高レアリティすら生温い。

 

 アオイちゃんなら兎も角モブの俺は縁なんて元からないと思ってたけど…今だけは運に感謝しよう。

 

 自由参加? 参加にするに決まってるでしょうが! 参加しないメリット存在しない!! 

 

 マジでありがとうございます! 

 これからも講習よろしくお願いします! 

 

 会話は時間を早くさせる。

 エントランスロビーに辿り着き……。

 

「ブライア先生! 遅れてすいませえん!」

 

「……あ!」

 

 ブライア先生と同じくメンバーに選ばれたアオイちゃ……アオイちゃん? 

 

 サラッと手を握るのはやめてくださらない? 

 めっちゃ強く握りますね。肩もくっ付いてるし…あれぇ至近距離? 

 

 ブライア先生もキョトンとしつつすぐ様微笑ましそうな顔をしないでくだせえ。

 

「あ、アオイさん! 入学早々林間学校に行けるなんてとってもラッキー……()()()()()()()ですねえ!」

 

「はい!」

 

 …知らないセリフが聞こえたぞ。

 ダブルラッキーてなんぞ? アオイちゃんも元気よく返事してますやん。

 

「いいなぁ。ぼくも行きたいなぁ」

 

 チラッと俺を見る。

 いやジニア先生最終的にはキタカミの里に来るじゃないっすか。…アオイちゃん? 

 

 なんで恋人繋ぎから腕抱き着きにレベルアップしてんすか。ジニア先生に向けて不満な視線を向けるんです? 

 

「……ジニア先生」

 

「あ、すいませえん。いやあ青春…してますねえ」

 

「相変わらずだね。改めてご紹介に与った私がブライアだよ。ブルーベリー学園で教師をしている」

 

 知ってる知ってる。

 イッシュ地方の学園の教務主任をしている。

 

 今年はブルーベリー学園が引率をするからアオイちゃんや俺達を迎えに来たのも知ってる。

 

 それよりも集中できない。

 あれなのですが…そのアオイちゃんの膨ら…スッー……が、ァ…テ……さっきよりもグイグイ当たってまして……フゥー……。

 

 本人に言うのも失礼といいますかぁ。

 スリーパーを頭に浮かべよう。……あ、うん、こっちはこっちでダメだろ!? 

 

 逆に変な気分になってきたんだが!? 理性が溶けるが!?

 ブライア先生話長いっす! 

 

 だから早く解散させて!! 

 そうそう! バスに飛行機と長旅になるからしっかり準備をしないといけませんね! 

 

 俺! 準備してくんで! アオイちゃんまたね! ……アオイちゃん? 一緒に行くの…? なーぜなーぜ? 準備終わってる? 少しでも一緒にいたい? 

 

 ????? 

 あれ? 宝探しが始まってから矢印がド級になってる? 

 

 …なんで、でぃすか…ねえ……?

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