うろ覚えが雨宮吾郎になったけどさりなちゃんがアクアになってた。   作:邪神ツクヨミ

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原作呼んだ勢いで書きなぐりました。


幼年期(プロローグ)
二度目の生から三度目の生へ


 

 流されるままに生きて、流されるままに死んで、気付けば2回目の生を得ていた。

 

 前世はただの撮影スタッフだった。主体性もなく言われるがまま働いて、気づいたら撮影中の事故でぽっくり逝ってしまったらしい。

 そして今世は結構難易度ハードコアなスタート。母親は俺を生んで間もなく死亡、色々事情があって父親は分からずじまい。そんなもんで祖父母が俺を育てることになったはいいがやっぱり母親を殺して生まれてきたようなもんだったしどこかぎこちなかった。

 

 祖父母からの視線に耐えられなくなった俺は「母のような人を増やしたくない」だとか適当ぶっこいて医者への道を進んだ、幸い金は出してくれたのでこの選択は間違いではなかったと思ってる……俺の意志はともかくとして。

 前世譲りの主体性の無さは受験勉強という詰め込み作業には上手く働き無事医大に合格、そのままトントン拍子で卒業→研修医→医者となって現在に至る。医者の給料は仕送りも含めてどうにか賄っていた前世の職業とは比にならないほど良い、気づけば祖父母と距離を取って一人で暮らすようになっていた。

 

 とはいえせっかくの人生2周目だというのに研修医時代までの俺はやっぱり自己というものが希薄だった。なにせあれやりたい、これやりたいなんてのが全くない。金は必要最低限しか使わなかったし基本上司に言われたことをそのまま復唱してやるだけの人間だった。

 だった、というのはその研修医時代にかなり衝撃的な事実を知ったからである。

 

 「せんせはアイドルに興味ないの?」

 「無いといえば嘘になるが……正直数が多すぎてな」

 「あ、それちょっとわかる……でもその中から最推しを見つけるのがいいんだよせんせ」

 「じゃあ君がアイドルになってくれ、最推しにする」

 「それ告白?」

 「まさか、どっちかといえば願掛けだよ」

 

 (ほぼ一方的な)アイドル談義を交わす目の前の患者の名は「天童寺さりな」。

 そして今世での俺の名は「雨宮吾郎」。

 

 つまるところ此処は前世で受動喫煙ぐらいでしか知らない漫画「推しの子」の世界で、俺は雨宮吾郎としての寿命と第三の人生が此処で確定してしまった、という訳である。

 

 「後必ず君を治してアイドルでもなんでもできるようにしてやるっていう気概、そうでもしなきゃ治るもんも治らないだろ?」

 「それ結構古臭い根性論だよせんせ……そんなこと言う人だと思ってなかったから意外」

 「別にいいだろこんなこと言うくらい……だから君も絶対に治ってやるって強く思え。病は気から、最初から諦めてたらなにもできやしないぞ」

 

 彼女と出会ってからの俺はそれまでの主体性の無さとは見違えるほど自分から行動して……そして「嘘」を吐くようになった。さりなちゃんが治らないのは知っている、だけどそれを顔に出してしまえば目の前のこの子に本気で向き合っていないのと同じだ。画面やページ越しの存在ではなく、今此処に居る「天童寺さりな」は間違いなく本物の生きている人間なのだから。だから俺は彼女に「嘘」を吐く、せめてもの希望を与えるために。

 

 「じゃあ諦めなかったらせんせと結婚できたり?」

 「なんでそうなる、俺のどこに異性として好きになる要素が?」

 「だらしなさそうだけどこれと決めたら絶対に曲げないところ……とか?」

 「やめとけやめとけ、そりゃ職場でのキャラ作り。プライベートはすごくだらしないぞ?」

 「こんなかわいい女の子に迫られてるのにそりゃないよ!」

 「自分で可愛い言うなし……まあなんだ、無事に治ってアイドルやって、それで頂点まで上り詰めてもまだ俺が一番だっていうなら考えてやる」

 「せんせは私がアイみたいになれるって思ってるの?」

 「なれるよ、少なくとも俺はそう思ってる」

 「そういうとこだよせんせ!このツンデレ!」

 「何がだ……」

 

 ただ、なんか原作と同じようにさりなちゃんにここまで懐かれるとは思ってなかった。

 だってさりなちゃんは嘘が嫌いだ、正直俺の嘘はすぐばれると思ってたしむしろ嫌われるとすら思ってた。だって結末を知ってるのにああだこうだと「もしかしたら」をでっち上げ続けるペテン師だよ俺、よく嘘の仮面バレなかったな。

 

 「ま、遠い夢の話をするより今は健康になるって近い将来の話をしようか。治った後のリハビリとかも考えなきゃだしな」

 「あー!逃げた!せんせ露骨に逃げた!」

 「大人はこういう狡賢い生き物だってことがわかったろ?」

 「自分で言うなし!」

 

 ……けどまあ、当時の嘘塗れの自分でもさりなちゃんを思う気持ちだけは本当だったと思う。

 

 「もし……生まれ変わっても……きっと……」

 「……ごめん……ごめん、な……」

 

 あの子に希望を与えるために嘘を吐いた。結末を知ってる自分から逃げるために嘘を吐いた。あの子の前で「本当」の自分なんてものはほぼほぼ存在していなかった。

 けれど……あの子が死んでしまった時に零れた言葉と流れた涙は……嘘じゃなかったはずだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから4年が経ち、俺は研修医から正式に医者となり……「嘘」の仮面を多用することになった。

 

 「きっとよくなりますよ、治ったら晩酌付き合いましょうか?」

 「イタリアねぇ……よし、よくなったら俺が連れてってやる。ご両親には内緒だぞ?」

 「実は今最先端の研究が進んでるんです、今は無理だとしてももしかしたら……」

 

 例えそれが偽りであったとしても患者は希望を求める、だから俺はそれに応えようと希望を与えるための「嘘」を吐く。

 元々あった主体性の無さは「仮面」をより強固な物にした。本当はそんなこと思ってすらいないのに口からは自然と「求められる」言葉が出てくる、患者が求める「都合の良い医者」が自然と形成される。

 勿論医者としていけないことだとは分かっている、安直な希望は絶望との落差を大きくするのだから。けど……だとしても、せめて諦めた顔をさせたくなかった。それを見てしまうとどうしてもあの子(さりなちゃん)を思い出してしまうから。それにこの仮面も悪いことばかりじゃない。

 

 「先生、俺やっぱり……」

 「じゃあ私の胃痛も……」

 「……先生、気を使ってくれなくていいですよ、私は……」

 

 嘘の仮面で心を開いた患者は逆に俺に対して嘘を吐かなくなってくれる。「実は……」で最初黙ってた事実を告白してくれることもある、いやそれなら最初から話してくれよっていうのは思っているが言わない。

 まあその、つまり俺の「嘘」は「嘘を吐かせない」ための嘘になった。患者を観察して嘘を見抜いて、真実を話してくれるよう優しい嘘を吐く、我ながら反吐が出るがなってしまったものは仕方がない。本音も出る時には出るが……6割くらいは心にもない言葉だ、それを本当に聞こえるようにするのは苦労した。

 

 そんな虚飾に塗れた人生を送っていたある日のことだ。

 

 「先生、どうなんでしょう。もの凄い便秘っていう可能性は……」

 「それだったらもうとっくに死んでますね……」

 「そっちは順調!今日も問題なかったよ」

 「あの、ちょ、一応オブラートに包んで……」

 

 原作通り星野アイ(同類)が診察に来た、つまりそれは「本編」が既定通り進行しているということ。

 

 「ひとまず検査してみましょう、色々事情はおありでしょうが……まずは結果をみてから相談を」

 

 そして雨宮吾郎(2回目の人生)としてのタイムリミットがすぐそこに迫っているということを意味していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……俺はどうすべきなんだろうな、さりなちゃん」

 

 「雨宮吾郎」が死ぬまでのタイムリミット、ただそれは俺が「原作通り」に動いた場合の話だ。何らかの修正によりどうしても死ぬというのなら避けられないが……いや、そもそも「推しの子」は受動喫煙でしか知らないんだよな、雨宮吾郎の死因とかぼんやりとしか覚えてねぇよ。むしろ中途半端に知ってる分より悲惨な結末を招く可能性だってある……下手に動けねぇな、こりゃ。

 

 「あっ、せんせ」

 「……星野さん、夜風は体に障りますよ」

 「厚着してるからだいじょぶ!」

 

 ……このまま順当に行けば星野アイは本編通り双子を産む、そしてスターダムを駆けあがって……頂点に届く目の前で亡くなってしまう。もし俺が防ぐとしたら来世が確定している「雨宮吾郎」の死ではなく彼女の死ではないか?これもまたぼんやりとしか知らないからできるかどうかは分からないが……

 

 「せんせ、何黄昏れてるの?」

 「……ちょっと考え事をしててね、これからについて」

 「それは私の?」

 「君のでもあるし、君の所の社長のでもあるし、俺のでもある」

 「なんかすごく大雑把だね」

 「考えが纏まっていないとでも言ってくれ……何せ情報量が多すぎる」

 

  ただ、それは転生者としての話。今重要なのは「雨宮吾郎」としての俺だ。「星野アクア(来世)」の事を考えるより、今は目の前の患者(アイ)に真摯に向き合わなきゃいけない。

 

 「言うほど情報量多い?私が妊娠したーってだけなのに」

 「多いさ、それに聞きたいこともある」

 「聞きたいこと?」

 「そう、前に君は言ったね。子供は産む、アイドルも続ける」

 「うん、「星野アイ」は欲張りだからさ」

 「それは分かってる、聞きたいのは……」

 

 患者に嘘を言わせないための嘘、それは彼女には通用しない。嘘つき同士目線を見れば相手がどう思っているかなんてすぐわかる。

 

 「アイドルとしての()と親としての(真実)は別物だ、君にそれが使い分けられるのか?アイ(同類)

 「どういうこと?せんせ」

 「アイドルとしての愛()は制御しなくちゃいけない、相手との距離を見計らって適時適切な対応が必要だ……今みたいにね」

 「……え?」

 「正直君の相手は苦手だ、本音が全く見えてこなくてやりにくいったらありゃしない。「大丈夫」だなんて患者に一番言わせちゃいけない言葉だってのに……」

 「いや、それは……」

 「分かってる、それは芸能界で生き残るための力だ。俺はそれを責める気はないしやめろとも言わない、ただその場凌ぎばっかされると医者の面目丸つぶれなんだよ」

 「……なんで、わかって……」

 「俺も同類(嘘つき)だからだよ」

 「え?」

 

 だからこうして本音で話してみせる……皮肉な物だ、医者として身に付けちゃいけなかったものが、今こうして役に立っている。

 

 「俺は相手に嘘を吐かせないように嘘を吐き続けてる。それが嘘だとばれないように細心の注意を払いながら、相手の真実を聞き出すために」

 「じゃあ、今も?」

 「馬鹿言え、こんな状況で使ってちゃ説得力皆無だろ。今この時だけは本音100%、レア物だぜ?」

 「自分で言うのもどうかと思う……」

 「言うな、自分でもわかってる……ともかく、だ。こうして俺は本音を曝け出した、だから君の本音(真実)が聞きたい」

 「……」

 「分かってる。怖いよな、人に本音を話すのって」

 「せんせも、怖いの?」

 「怖いさ、失望されたくないとか、今までやってきたことが無駄になるかもとかたくさん考えてしまう」

 「……意外、私せんせのことメンタル分厚い人だと思ってた、平気で嘘つくし」

 「最後のは余計だな……というか最初から俺が同類(嘘つき)って気づいてたな?」

 「せんせと同じだよ、私も同類(嘘つき)はわかる」

 「じゃあ最初のくだり要らなかったんじゃないか?」

 「ふふっ、そうかもね」

 「こいつ……」

 

 ……完全に手玉に取られてるし弱弱しい態度がいつの間にか復活してる、もしかして失敗したか?

 

 「……ともかく、今君が使っている()と子供に必要とされる(真実)は別物だ。他人になら今の()でいいだろうさ、けど……家族にそれはダメだ」

 「一応聞くよ、どうしてかな?」

 「子供は染まり切った俺たちよりずっと嘘に敏感だ。だからちょっとした仕草や態度ですぐに気付くし……嘘を吐かれてると分かれば簡単に信用しなくなってしまう」

 

 さりなちゃんを騙し切った俺が言う資格なんてないだろうけど……

 

 「いや、別に嘘を全く吐くなって話じゃない。大事なのは100%嘘はダメってこと。最初はほんの少しでもいいから……本当の想いを込めるんだ」

 「想い?」

 「そう、嬉しい、悲しい、怖い、腹立たしい……そんな思っていることを全て話せなくても、少しでも込めてやれば子供は気付く。だから懐くんだよ」

 「それ実体験?」

 「かもな、俺独身だけど……ま、分かりやすく言えば」

 

 「最初はほぼ嘘だっていい、けどその中に少しでも真実があれば……その嘘はいつかきっと真実になる。嘘を貫き通して真実にするんだ」

 

 だからさりなちゃんは俺を信じてくれたのかもしれない……なんて願望はやめておこう。だってこれは俺の持論でしかないのだから。

 

 「難しいこと言ってくれるなぁ……」

 「できなきゃ親なんて無理と言ってるんだ、ま、最初からできないと思ってたら言ってないが」

 「それはほんと?」

 「今の俺が嘘を言ってると思うか?」

 「……私が子供たちに愛してる(真実)って言えると思う?」

 「いつかきっと……ま、最初の内はわからんけどな」

 「急に梯子外してきた!?」

 「言ったろ、今の俺は本音100%って……少なくとも今のままじゃ無理だからな」

 「むぅ……やっぱり()()って意地悪」

 「やっぱりとはなんだやっぱりとは……ま、言いたいことはそれだけ。そして言いたいことだから強制じゃない」

 

 

 「決めるのは君自身だ。変わりたいのか、今のままでいるのか」

 

 少なくとも俺は変われた、とは言わない。伽藍洞からペテン師への変化とか誇れるもんでもなんでもない。

 

 「……やるよ、私」

 「言ったな?」

 「うん、決めた。私は欲張りだからどっちも欲しい。そのために必要だっていうのなら……絶対、身に付けてやるんだから!」

 「なら特訓だ、同じ嘘つきのよしみで付き合ってやるよ」

 「そこはせめて担当医として~とか恰好付けるところじゃない?」

 「そりゃ嘘になるだろ、「医者」としては子供を無事に産ませるところが終着点なんだから」

 「ふふ、それもそうだね」

 

 ……結果的に。

 

 多分俺は「原作」よりも星野アイと仲良くなった……と思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「先生は一度帰るの?」

 「寝ぼけかけてる頭で出産の付き添いとかできねえしな。仮眠取ってシャワー浴びて目覚ましてくる。まあそのまま寝堕ちても代わりの先生が来るだろ」

 「だーめ、先生がいい」

 「……チッ、上手くなりやがって」

 「素直じゃないんだから」

 「皮肉かそれは?」

 

 出産予定(タイムリミットの)日、俺の言う「嘘に真実を混ぜ込む」仕草が微妙に板についてきたアイに我儘を言われながら仮眠を取るために一度病院を後にする。

 ……確かこの後雨宮吾郎()はアイのストーカーに崖から突き落とされて死ぬ……んだったか。嫌だなぁ、絶対痛いだろ、物凄く。ていうかなんで帰宅するのに崖に「あんた、星野アイの担当医?」……

 

 「……この病院にそんな名前の患者は入院していない、人違いじゃないか?」

 「嘘つくなよ、知ってんだぞこっちは」

 「そもそもお前は誰だ、その星野アイって子のストーカーか?見舞いにくるにしたって……」

 「……」

 「あっ……おい!?」

 

 ……成程、こういう訳か。確かにこのまま見逃せばアイに危害が及ぶかもしれない、というか確実にひと悶着起こる……ならやれるだけのことはやっておくか。

 

 「……実質遺言みたいなもんか」

 

 スマホを開いて斉藤社長へと電話をかける。こんな時間だし出てくれるかは怪しいが……

 

 「もしもし斉藤さん」

 『雨宮先生?アイになにかありましたか?』

 

 よかった、無事出てくれた。

 

 「彼女のストーカーと思わしき人物と遭遇しました。この病院に居ることを知ってる」

 『なんですって!?』

 「そんでもってお願いなんですが……」

 

 少しでもアイ(患者)の生存率を高めるためだ、なりふりは構わん。

 

 「もし俺と連絡が付かなくなったらそれはそういうこと……何かあったと思ってください。逆上されて刺されたとかね」

 『ちょっ、いったい何する気なんです先生!?』

 「目の届くうちに探してきます、それじゃ」

 

 ……これで俺が音信不通になったら警察が動いてくれる筈、もしかしたらその日(ドーム公演)の前にあのストーカーが捕まるかもしれない。

 

 「さーて……やるか」

 

 やれるだけのことは全てやった、ここからはウィニングランだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっぱただ直線に追いかけるだけじゃこうなるよなぁ……」

 

 結論から先に言おう、夜の整備されてない山道なんて迷うに決まってる。んでもって……

 

 「……ははあ?」

 

 ご丁寧に俺の前に広がるのは崖。やっぱり運命ってのはある程度の収束力があるらしい。なら……

 

 「そういうこったろうと思ったよ……だからわざわざ俺に声かけたな?」

 「んなっ……チイッ!」

 

 突然俺を突き落とそうとしてきたストーカー君に振り向き足を踏み抜くと同時肩を抑え込む……あやっべ青年パワー舐めてた、普通に押し負けそう。

 

 「俺を殺したところで何になる?お前はただ医者一人殺した犯罪者として……」

 「黙れッ!」

 「いっしょ、お……!?」

 

 ……んでもって油断してた。腹部に感じる鈍い感覚……ああ、刺されたなこりゃ。

 

 「……そこまで、する、かよ」

 「当然だ、アイは、アイは……!」

 

 少し力が抜けたタイミングで刃物を抜かれ、痛みで感覚が鈍ってくる……やっぱ、すごく、いてぇ。

 

 「……そう、か……な、ら」

 「死ね!死んで……!」

 「いい、さ、しんで、やる、けど、な……」

 

 

 

 

 「また、おまえが、あの子に、何、か、するなら……ばけて、でてやる……」

 「ッ!」

 

 完全に力の抜けた両腕を引きはがされ、思いっきり押し出される。落ちていく体は岩の如く重い。

 

 (……そうなるってことは分かってたけどさ……)

 

 痛い、いたい、イタイ。

 

 ……死ぬのは、やっぱり、怖い。なのにどうして……

 

 俺は「仕方ない」って、自分に嘘を吐いたんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……」

 

 ……二度目の死の感覚を味わってから少し。俺は「原作」通りアイの子への転生を果たしていた……まあ色々やったからここから原作通りになるとは思ってないが。

 「雨宮吾郎」としては無事に生まれて何よりだ、これで彼としての未練はもうない……多分。

 これからは「星野アクア」としての人生について……

 

 「うん、決めた!」

 

 我々二人を抱いていたアイ(母親)が何か決めたらしい、多分名前だろう。正直キラキラネームになるのは勘弁願いたいがこうなった以上受け入れ……

 

 「この子が愛久愛海(アクアマリン)で……」

 

 あれ?俺じゃなくてもう一人(さりなちゃん)のほうだぞそっち?何か間違えて……

 

 「この子は瑠美衣(ルビー)!」

 

 ……うん、うん?

 ……間違いじゃないらしい。俺がルビーでさりなちゃんがアクアマリン、つまり……

 

 

 

 

 お互い本来(原作)の性別とは逆になってしまった、ということらしい。そんなこと……あるのか?

 

 

 

 

 




続きません、多分。
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