うろ覚えが雨宮吾郎になったけどさりなちゃんがアクアになってた。 作:邪神ツクヨミ
収束し始める流れ
入学式当日より時間は少し巻き戻る。
「お疲れアクア、面接どうだった?」
「多分大丈夫……名前で弾かれなきゃ」
「ああ……まあ、そうね」
「そういうお姉ちゃんは……もっと心配しなくてよさそうだね、うん」
「偏差値74は大体何処の高校でも顔パスで入れると思うわ、特に弾かれる要素もないし」
「……なんで芸能科だったり他の頭いい高校にしなかったの?」
「芸能科行くには私はあんまり活動できない身体だし……良い高校行ったって私のやりたい事は決まってるし、だったらアクアに近い所がいいかなって」
「ブラコン?」
「心配性と言ってちょうだい……ま、どうせならアクアの言う通り芸能科にするべきだったかもね。一応苺プロ所属ではあるし」
「一応って……お姉ちゃん知る人ぞ知るではあるけど結構ドラマとか映画出てるじゃん、どうせならじゃなくて絶対芸能科にするべきだったって」
「……でもやっぱり違和感あるのよね、普段本名じゃなくて芸名で呼ばれる機会の方が多いの」
「あーなるほど?まあお姉ちゃん本名と芸名全然違うもんね、Rubyだなんてカッコつけちゃって」
「面倒だっただけ……色々と」
私立陽東高校受験面接日。まあ多分受かるだろうと適当に面接を終えた俺は同じく面接が終わったアクアと一緒に帰ろうとしていた。特に予定らしい予定もないし……早く帰らないとちょっと煩い子が今日は家に居るしで特段長居する理由もないと思っていたのである。
「Ruby……ルビー?」
「ん?」
結論から言えば
「星野ルビー!?」
「っ!?」
「貴方星野ルビーなの!?本当に!?」
「ちょっ誰!?いきなり詰め寄らないでというかその名前知ってるのな……あーっ!」
「……ああ」
ぶっちゃけた話俺は原作イベントの内容は知っていてもいつ発生するかっていうのはよく分かってない。これも入学式とかそういうタイミングで起きるものだと思っていた。
「重曹を舐める天才子役!」
「10秒で泣ける天才子役!!!」
……これ入学前だったのかぁ。
「私よ私!有馬かな!昔映画で共演した!」
「うわぁたった一回会っただけでそれを一生引き摺るタイプの面倒な女」
「別に引き摺ってなんかないわ!?……よかった……やっと会え、た……」
「……どうかしました?」
ひとまず人格を普段使いの
「……い、いや?なんか……久々に会ったと思ったら貴方……
「いも……あぁ」
急に何をと思ったがそういえば今日は昨日までの撮影で男役やってたから髪型男のそれだった。勘違いされても仕方ないか、というかそれ私が小さいんじゃなくてアクアが発育良いだけだよ。
「ねえ殴っていい?」
「やめなさい、内定あったら取り消されるよ」
「だよねぇ……」
「なんか凄い物騒な発言聞こえたわね?」
さて、この勘違いは早めに解消しておくべきだろうか。元々はといえば最初に共演した時俺が男役だったのが原因だし……
「……言った方がいいな」
「えなんで!?こんな失礼な人に教える義理ないじゃんいいよそのままで!」
「入学したら先輩になるんだからこっちが失礼な態度取るものじゃないの……えーっと、かなさん」
「な、何かしら……私何かやらかした?」
「そういうわけではないんですが……」
「私が
「……へっ?」
真実を言えば明らかにかなは動揺している、そりゃ当然ではあるが……多分経験と状況が悪かった。
「姉?」
「はい」
「……弟?」
「弟ですけど何か?」
「……ちょっと待って、って事は……」
「ルビー貴方女の子だったのぉ!?」
「ちょっとうるさいですよかなさん……」
「あ、ごめん……」
……男装女子とか女装男子の気持ちが少しわかった気がする。ああそうだ、かながアクアを「妹」と間違えた理由だが……
「全く失礼しちゃうよね、お姉ちゃんは宇宙一かわいい美少女なんだから」
「なんで貴方が誇らしげにしてるのよ…。というかあんたもあんたで何よその格好、パッと見男性になんて見えないじゃない」
「すぐにバレる女装なんかするわけないじゃん」
「なんで普段もそれなのよ……」
アクアは女装……というか原作のルビーまんまの格好をしている。こうなったのは私が後遺症を患ってからの事だ。
『決めたよお姉ちゃん、私、アイドル目指す』
『お姉ちゃんより才能がないのは分かってる、性別も違うし……でも』
『あんなお姉ちゃんの顔、二度と見たくない。だから……夢をお姉ちゃんに託すんじゃなくて、自分で叶えに行く』
入院中に聞いた
受け入れてきていた「男」の自分をまた捨てて、アクアは私に託した夢を自分で叶えるために「女」の自分を復活させたのだ。
……まあ、アイの方針もあって本格的に活動始めるのは高校入学してから、という条件付きだけど。
「と、ともかく!貴方達も入るのよね芸能科!」
「私は入るけどお姉ちゃんは一般科だよ?」
「なんでよ!?」
「だからうるさ……」
……そういえば今日あまへの誘い、どうなるんだろう……
「本当にお姉ちゃんネットドラマ出るの!?これに!?」
「そういえば何気に初めてね、五反田監督は基本映画だし」
「私としては勝手に仕事を引き受けられると困るのだけど……」
「それはごめんなさいミヤコさん……ただ、あんな顔されると断れなくて」
「まあ……その子の気持ちはわかるわ」
「うん、だってこれ……」
「原作の名前だけ借りた棒読み俳優の博覧会じゃん」
「言葉の火力が高いわね……」
まあなんというか、やっぱり運命の収束はあるようでかなからは無事今日あまの撮影に誘われた。最初は断ったけど……話している時に見たあの悲痛な顔をされるとどうしても断れなくて、つい。女性がストーカー役なんて大丈夫なんだろうか、いやまあ役的には男性だし中身もそれ用の物をインストールすればいいだけだが。
「このかなさんって人明らかに演技セーブしてるしその上で他の子達ダメダメのダメだし……絶対お姉ちゃんが入っても2人で浮くだけだよ?大丈夫?」
「大丈夫よ「翼」、私もできるだけセーブするから」
「やだ、手加減してるお姉ちゃんとか見たくない。こんな才能ナシ組と共演しちゃダメだって」
「相変わらず我儘ね……」
……さっきから火力の高い発言を繰り返してるこの子はミヤコさんの実子「斉藤翼」11歳。「原作」には存在しなかった子で……今の私の妹でもある、昔から撮影現場に付き合わせてたせいかやけに私に対して強火になってしまった。
「撮影いつ?今からならまだキャンセルも」
「明日よ」
「明日!?」
「ついでに本読み飛ばしてリハーサル後即本番、オンエアは来週と来たわ」
「やっぱやめようよ!?なんでそんなスケジュール大炎上してる作品受けちゃったの!?」
「だからこそ私を捩じ込めたって訳よ……ごめんねミヤコさん、けどしばらくはスケジュール空いてたはずだし多めに見てくれるかしら」
「……全く仕方ないわね。昔は我儘言うアクアを宥める役だったのにいつの間にか自分が我儘言う側になっているとは思わなかったわ」
「多分今回だけよ……多分」
後で聞いたがミヤコさんは私の本格デビュー用に色々調整してくれていたらしい……ごめんなさい、本当に。
「わっ、悪い!拳当たったよな……リキっちまって……」
「あれはわざと当たりに行ったんです。大丈夫ですよ」
「えっ」
「やっぱり演技は感情乗せないとダメですからね……いい芝居になってましたよ。かなさんも本気出せたんじゃないです?」
結論から言えば今日あまの撮影は概ね
「っ……」
とはいえ拳も掠ったし思いっきり倒れ込んだしで足が結構キツい。12年のリハビリでマシになっているとはいえ許容限界を超えれば鎮痛剤を飲まないとまともに動いてくれないこの足は非常に繊細だ、さながらサラブレッドの脚のよう。
まあ今日は全然マシだが後々「東ブレ」にオファーされた時とかどうしよう……いやなんでオファーされる前提なんだ、今ガチにすら出るか定かじゃないのに。
「大丈夫、ルビー?」
「大丈夫ですよ、どうかしました?」
「いや……さっき倒れたあの時明らかに足が変な曲がり方してたじゃない、平気なの?」
「平気ですよ、あれわざとですし」
「わざと!?」
「インパクトあるでしょう?」
「いや……インパクトというかある意味ホラーというか……まあいいわ、今日は本当にありがとう」
「いえ、こっちもツテは作っておきたかったので……勝手に仕事引き受けちゃったからか社長には釘刺されましたけど」
「あー……それは、その、ごめんなさい。っていうかちゃんと事務所所属じゃない貴方」
「普段は裏方なので、現場はたまに出る程度」
「そういうことね……いや勿体無くない?貴方の才能ならもっと……」
「……できれば、そうしたかったんですけどね」
「え?」
……正直に言えばもっと俳優として専念する選択肢もあった、というかできればそうしたかった……この足さえなければ。
撮影現場というのは何回、何十回とリテイクにリテイクを重ねる。今回みたいな一回切りなら全然余裕だが他の現場じゃそうもいかない、必ず鎮痛剤を飲んでも限界が来る。
だからこそ本格的に活動するのは高校生になってからと社長やミヤコさんと決めた。その頃にはこの足もだいぶマシになっている筈だから……と。実際今はだいぶマシだ。鎮痛剤なしでも1時間くらいならアクションだってできる。
「……気にしないでください。改めて今日はお疲れ様でした、また打ち上げで」
「ええ、重ね重ね言うけど本当にありがとう……また、共演できたらいいわね」
「その時はお互い「本気」で行けるといいですね」
「……そうできるといいわね」
……ああ、やっぱりまだこの時期のかなは自分にリミッターをかけてる。外してやるには東ブレまで待つしかないのだろうな……本気を引き出してやれないの、少し悔しい。
(……あの倒れ方、わざとという割には明らかに無意識、それに慣れている様子だった)
(もしかして……私の知らない内にルビーに何かあったのかしら……?)
「……」
「どうかしら翼」
「凄い、多少マシになってる」
「結構滅茶苦茶やって来たわ」
「流石お姉ちゃん、まさか演技指導までできるなんて」
「指導……まあ指導と言えば指導かしらね」
放送当日。まだまだ入学式は先という事もあり私は翼と2人でオンエアされた今日あま最終話を鑑賞していた。
「主役の子最後の最後だけ棒読みマシになってるじゃん、本当に何したの?」
「怒らせた」
「へえ……えっ、何したの?」
「ちょっとした罵倒よ、上手い事ノってくれて助かったわ」
「お姉ちゃんそんな事するタイプだったんだ……」
「やっぱり見るに耐えなくてね……私も今日あまはファンだからつい」
「あ、わかる。やっぱ好きな原作がゴミみたいな実写化されてると罵詈雑言飛び出るよね、私そんなのばっか」
「翼はマシな実写化でもボロクソ言うじゃない」
「求める基準が高いだけですー」
「どうしてこんな子に……」
……翼は結構、いや、滅茶苦茶口が悪い。原作のルビーの5割増しくらいには悪い。主にボロカスいうのはドラマや映画の演技、些細な違和感で「なんか違う」となり、意図を潰しているようなシーンがあると息を吐くように罵倒が飛び出す、そんな子だ。ミヤコと一緒に育児してたのに何処を間違えてしまったのだろうか……
「お姉ちゃんが主演やるドラマとか絶対見たいしさー、そういう時にこれだと嫌じゃん?だから目を肥やしてるの」
「だからといってボロっカスに叩くのは違うんじゃないかしら……後主演ドラマって話なら微妙に違うけど仕事貰ったわよ」
「本当!?」
「物音立てて飛び上がらないの……まあ貰ったというかお願いみたいなものだったけど、今日あまのPからね」
原作と違って特段鏑木Pに接触する理由もなかったのだが……かなが無理矢理私を捩じ込んだ事もあって当然あちらから来た。つまるところ……
「えなに!?ジャンルは!?サスペンス?ラブコメ?それとも……」
「まあラブコメが近い……のかしらね?厳密には違うけど」
「何それ、どういう番組?」
運命はやっぱり収束する。
「恋愛リアリティショーって奴」
「今ガチ」への出演依頼が、降ってきた。
「恋愛……リアリティ……ショー……?」
「何をそんなにショック受けてるのよ……」
……なんでこの子は信じられないみたいな顔してるの?
《斉藤翼》
斉藤壱護と斉藤ミヤコの実子、現在11歳の女の子。幼少期から
アクアとは仲が悪い訳でもないが、些細なきっかけで罵倒合戦が始まる。
よければお願いします。日間2位に感謝
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