うろ覚えが雨宮吾郎になったけどさりなちゃんがアクアになってた。 作:邪神ツクヨミ
「君、苺プロの子だっけ?」
「ええ、鏑木さんにはアイさんが世話になったと聞きます」
「アイくんは結構お世話してたからねぇ……そういや君、アイくんに似てるね」
「……何処ら辺がですか?」
「顔とか色々あるけど……一番はその佇まい。自分をどう見せるかを常に考えていそうなそれね」
「それは褒め言葉と捉えていいのでしょうか?」
「それでいいよ。にしても女の子なのにあれほど男性っぽい演技できるのには驚いた、あの一場面だけじゃ多分君を女だと気付く人いないよ」
今日あま打ち上げ会場。穴埋め枠とは言え一応出演してたので俺もかなに連れられ参加、結構お偉いさんも来てたのでそれとなくコネを作りつつさてどうしよう、って所に鏑木さん来襲。確か原作だとアイの情報知りたくて今ガチの誘い乗ったんだっけか……俺が乗る理由も薄いんだよな。
「同期にどうやれば感じ出るかとか聞いてたんですよ。まあ流石に時間が無さすぎて付け焼き刃でしたけど」
嘘である、転生だとかどうこう言っても意味不明なだけなのでそれっぽい理由のでっちあげだ。
「それであのクオリティか……うーん……」
「どうかしました?」
「……正直に言おう、君を使いたい番組がある」
「はい?」
「無論タダで、とは言わない。この業界は貸し借りの世界だからね」
「……聞くだけ聞きます」
「使いたい」と来たか。求められているのは異性を演じきる力と見た……さて、何が出てく「恋愛リアリティショーって、知ってる?」……えっ?
「雑に視聴率が取れる視聴者の結婚模様の番組か、よくある1人を複数の異性が取り合う奴かによって変わりますね」
「どちらかと言えば後者が近いかな。尤も今企画してる奴はそういうドロドロしたやつじゃなくて学生同士の青春物だよ、男女比も揃ってるし……今のところはね」
「……薄々察しましたが、聞きましょう」
ああなるほど、つまり私が必要とされた理由は……
「君は「男性」を完璧に演じ切れる。まあつまるところ僕が君に求めているのは……」
「「番組のマンネリ化を防ぐためのテコ入れ要員
「うん、話が早いね。好きだよそういうのは……ま、本題はテコ入れじゃなくて」
「分かってます……報酬次第、ですかね」
「君に負担を強いる事になるのは分かりきってる。こちらから提示するのは……」
……結論だけ言えば。
「鏑木Pの権力の及ぶ限り一回だけ自分や知り合いを任意の番組、イベントに捩じ込む権利」を報酬に、俺は「今ガチ」への出演依頼を引き受けた。
「また勝手に仕事引き受けて……予定が白紙っていうのは個人的に色々詰め込んでいいって訳じゃないのよ?」
「返す言葉もないわ……いやその、鏑木Pとのコネは作っていて損はないかと思ってね……」
「そういうのはこっちの仕事よ……というか鏑木Pとはアイが親しいんだし別に貴方がコネを作る必要は……」
「万が一があっては困るのよ、だからアイ越しじゃなく個人的に繋がった方がいい」
「……それはそれとして少し話はさせてもらいます」
ちなみにまた勝手に予定を詰め込んだためミヤコさんには軽く怒られた……ごめんなさい、本当に。
「なるほど、芸能活動をしてる高校生達が週末にイベントを通じて交流深めて最終的にくっ付いたりくっ付かなかったりする番組……鏑木Pの番組ってだけあって皆顔はいいわねー」
「ロリ先輩は好みの子とか居るんです?」
「ロリ言うなはっ倒すわよ女装後輩……んー、特に居ないわね。そういうの興味ないし……んで」
「どうしてお姉ちゃんがあんな番組に……ドウシテ……ドウシテ……」
「あそこの怨霊は?」
「お姉ちゃんの妹。番組情報聞いてからずっとあの調子」
「え、あんたまだ姉妹いたの?」
「いやぁその、ちょっと色々複雑な事情が……」
紆余曲折あってロリ先輩が苺プロの同僚になった、ちなみに決まり手はお姉ちゃんの営業スマイル……まああれされて堕ちない人は居ないし当然だよねって。とは言ってもアイドルユニットへの参加はまだ良い返事貰ってないんだよなぁ……もうちょっと時間が欲しい、か。
「そろそろお姉ちゃん出てくるよ翼ー、機嫌直しなって」
「何処の馬の骨とも知れない変な男とお姉ちゃんの交際なんて私認めないんだからねっ!」
「何処の家庭のお父さんよあんた……ん?」
まあそれでも同僚は同僚だしという事で今は交流も兼ねてお姉ちゃんが新しく出演している恋愛リアリティショーを皆で見ている。正直お姉ちゃんがこういう番組出るとは思わなかったけ……ど……
『Rubyです。ちょっと恋愛とかは素人だけど……これからよろしくね』
……画面の中のお姉ちゃんはいつもの金髪じゃなくて多分ウィッグを被った黒髪。それに眼鏡やらなんやらの装飾をしてぱっと見完全に男性だ……え、何、どうして?
「うーん、あー、なるほど?お姉ちゃん男性枠なんだ……へー……ふーん……まあお姉ちゃん中学校時代ファンクラブ凄かったし納得、男より女と付き合う方が私も安心です」
「あんたは何処目線なのよ!?……いや、番組用のキャラ作りってのは当然あるだろうけど何をどうしたら性別すら偽る事になる訳!?それも恋愛リアリティショーっていう性別が大事なジャンルで!?」
「……これはこれで、いいかも……」
「帰ってきなさいアクア、これ以上目覚めたら人としてよくないわ」
失礼な、私は最初から健全な心を持つ人間なのに。
「……ま、まあ続き見ようよ。お姉ちゃんがおかしくなった訳でもあるまいし」
「寧ろお姉ちゃんの出番だけ見せて、他どうでもいいから」
「何この子厄介ファン?」
「タチの悪い厄介ファン」
「余計ダメじゃないの」
……本当にお姉ちゃん女性と恋愛するのかなぁ、いや、確かに私も下手な男性と付き合われるよりはそっちの方がいいかなって思っちゃう……欲を言えば男でも女でも関係なくお姉ちゃんを大事にしてくれる人がいいっていうのは欲張りかな?
『でぇうちの犬ぅ』
『へえ……結構小さいね』
『ね、可愛いでしょ?』
『そうだね……ただ、世話とか大変じゃないやっぱ?』
『いやぁそれがね……』
「うっわ見事なまでの営業スマイル……今日あまの時も思ってたけどやっぱりルビーやけに男性役上手いわね」
「120点、お姉ちゃんの出番後30分ください」
「暗に尺全部使ってルビー映せって言ってない?」
「お姉ちゃんの居ないこの番組見る理由ないもん」
「まあ私もお姉ちゃんが出てるんじゃなかったらこの番組見てないけどさ……」
……本当、お姉ちゃんはなんでこの番組出る事にしたんだろう。ミヤえもん曰くあっちからオファーされたとかそういうのらしいけど……
『ルー君は今の所誰狙い?』
『ルー君ってなんだよルー君って……まあそうだな、今の所は……』
「ちょっと今からこいつ殺してきていい?」
「だから何を嫉妬してんのあんた」
「チャラ男がお姉ちゃんと親しげに話すとか私認めない!!!!!」
「これだから厄介ファンは……」
……次から翼と一緒に見るのはやめようかな。
「ルビーさん、カイノミ焼けましたよ」
「自分の分は自分で焼くからいいよ、黒川さんさっきから全然食べてないし自分の分焼きなって」
「いえっ!自分精進の身なので!」
「ふふ、だったらこっちで焼いとくよ、黒川さんの分」
「え、あ、いや、その……」
「おお、ルー君カメラ回ってないのにグイグイ行くじゃん」
「これは来週のオンエアが楽しみだねぇ?」
「揶揄わないでくれ……単純に心配なだけだ、食べなさすぎて」
……過去2回の高校生活を振り返ってみてもこうして同年代と焼肉行くのは初めてかもしれない。まさしく青春って奴だけど……皆を騙し続けてる事に罪悪感を感じてしまう。
「ほら、レバーどうぞ。遠慮してばかりだと色々不便だよ」
「色々……あ、ありがとうございます」
「ちょっとトイレ行ってくる、調子乗ってドリンク飲みすぎたな……」
「あーわかる、俺たちちょっとドリンクバーではしゃぎすぎたよな」
「流石に飲めない物体Xとかは作ってねーけど世の男子高校生皆はしゃぐだろ」
「なんでああいうの調子に乗って変なの作っちゃう子ばっかなんだろうねぇ」
よかった、立ち上がる時微妙に足が震えてたのはバレてない。間違っても
「……そろそろ、かな」
収録もそろそろ中盤に入った。現在番組を牽引しているのはゆきノブ、そこにケンゴを挟んだ三角関係。んでもって俺の今のポジションは男子2人の相談役、同性ということを活かして自然とお悩み相談を請け負っている。
とは言え最近は三角関係が強調されてきたから3人一緒という訳でもなく片方片方で時間を割くことが多いが……その分出番も増えてるし結果としては悪くない。
「……確かこのままだと黒川さんがやらかす、それだと多分俺の役割が果たせなくなる」
……鏑木Pからのオーダーを果たすためには黒川あかねを炎上させてはいけない、それどころではなくなるからだ。
「となると……よし」
次の一手は決まった、これなら俺の役割と黒川さんの出番の確保を両立できる。
……にしたって鏑木Pも随分な役割を俺に託してきたもんだよ、精神年齢アラフィフ通り越して還暦だからいいけどただの女子高生だったら多分耐え切れないぞ?
「わりぃ、混んでた」
「まあ日曜だもんなぁ、6名当日行けたのラッキーレベルじゃないか?」
此処は居心地がいい。それを俺の一手である程度壊す事になる。
……それは、ちょっと、怖いかな。
「さ、て……」
収録用にいつも通りノブユキと話をした後廊下で一人きりになり深呼吸、黒川さんが1人でいるのは確認済み、仕掛けるなら……今。
「ん、黒川さん?何してるのこんな所で」
「あ、ルビーさん……その……」
「あー……なるほどね」
探せば黒川さんは通路の角からゆきノブの絡みを見て様子を伺っていた。危ない危ない、多分このままだとやらかされてしまう所だった。
「……焦ってる?」
「えっいや、そんな事……」
「深呼吸深呼吸。声に出さなくても様子でわかる。こういう時は一回落ち着いた方がいい」
「あ……はい……」
万が一を潰すために黒川さんを一回落ち着かせる……そう、ここで「やらかす」のは俺の方だ。
「気持ちは分かるけど無理矢理アタックしても悪印象しか残らない、もうちょっと色々整えてから行った方がいいって」
「でも……私……」
「分かってる。じゃあ俺と絡む?」
「えっ……」
「……ごめん冗談。俺はゆき争奪戦からは一歩引いてるから出番はその、ね……」
「……なんか、ごめんなさい」
「いやいや大丈夫、それじゃあ……」
……此処。
「ねっ……!?」
「ルビーさん!?」
黒川さんと話し終えてその場を去ろうとするタイミングで「わざと」力を抜き、倒れ込む。俺が健康体ならどうやっても不自然極まりない絵図だが皮肉にも足に障害を抱えているお陰でこうやって自然にハプニングを装える、まあ多分アクアや翼には怒られるだろうけど……
「大丈夫で、す……か……」
「……だいじょうぶ、何かに躓いて……黒川さん?」
「その、えっと、髪……」
「……あ」
……よし成功。さっき転んだタイミングでこれまた「わざと」ウィッグを吹っ飛ばした。なるべく黒川さん以外にバレないようにしたかったが……多分これ物音でバレるなぁ……
「……え、え……?ルビー、さん、が……?」
「……」
「大丈夫か!?何が……えっ?」
「ルビーさんに何か……はい?」
「あ、えーと、その……」
でもそれは仕方ない、このままハプニングを装う。明らかに動揺したフリをしながら立ち上がり、微妙に首を振ってこのためだけに伸ばしてきた髪をゆっくりと下ろす。
「女、の子……!?」
「……マジで?」
「ド、ドッキリとかじゃないの……?」
「ああいや、その、これは……」
此処で仕上げ。想定外に焦っている感じを出しながら調整した声を本来のピッチに戻していく、これで完璧に俺が女性であることはバレた。
「……っ!」
「あっ……ルビーさんっ!?」
最後に居た堪れなくなって逃げ出す……演技をすれば完成。鏑木Pの注文は見事果たせた筈だ。
「……そういう訳で、今まで騙しててごめん。私は普通の参加者じゃなくて番組の仕掛け人なの」
「道理で恋愛からは一歩引いてた訳だ……」
「じゃあ俺たちの恋愛相談してたのも?」
カメラの回ってない裏方、オーダーを完遂した私は全員を集めて種明かし。無事黒川さんがやらかす前に済ませられてまずは一安心、かな。
「それは仕掛けじゃないよ、私へのオーダーは「番組中盤で性別を明かして欲しい」だけ。それ以外は何も言われてないから今までのあれこれは全て本当……まあ恋愛するかと言われればそこまでだけどさ」
「へええ……中々に策士なんだねぇ、プロデューサーも」
「全然気づかなかった……声も完璧に男だったし」
「色々頑張りました……ごめんね黒川さん、利用する形になっちゃって」
「いえ、私は全然……っていうかそれより大丈夫なんです?さっきの倒れ方明らかに……」
「大丈夫な転び方をしてるから平気、本当に危ない感じに見えたならそれは大成功って事」
「だとしても心臓に悪いぜあれは……」
「ごめんね……それと、騙してはいたけどこれまでやってきた事は嘘じゃない。皆の事は好きだし番組終了まで一緒に頑張りたいと思ってる……ダメ、かな?」
正直これで拒絶される可能性だってある。その時は素直に降板でもさせてもらうかと思ってたけど……
「性別偽ってた程度で嫌いになる訳ないじゃん、ルビーは色々頼りになるしね」
「いっそこれからも恋愛相談しようぜ、今度は男友達じゃなくて情報通の女の子としてさ」
「というかもうちょっと絡んできなよ、最近ちょっと寂しいんだぞ?」
「こうなったらルビー君いっそ泥棒猫目指しちゃいなよ、相談役ってポジションは唯一無二だったし」
「ルビーさんには色々助けてもらいましたし……これからも一緒に頑張りたいなって思ってます……それと多分私の目の前で転んだの、そういう事ですよね……ありがとうございました」
「……ありがとう、皆」
「それじゃあまた次の収録で、もう隠す必要もないし私も女の子として振る舞っちゃおうかな!」
……まあ。
本題は此処からなんだけど。
「ただいま……よし」
私の性別がバレた回の放送後、帰宅して翼がいない事を確認した私はそそくさと自分の部屋へ「おねーちゃん♡」……げっ。
「……何かしら翼、そんなに猫撫で声だして」
「いやぁ私は嬉しいのです、実質お姉ちゃんの主役回が放送されて」
「ならこのガッチリホールドしている左腕を退けてくれないかしら」
「嫌です、私はお姉ちゃんにどうしても聞きたい事があるから」
「何よ……2分以内で終わらせてくれる?」
「30分は話します」
……あーあー、だから居ないのを確認したのに……確かにこの子なら気付くと思ってたし聞いてくるとも思ってたけどよもやこうなるとは。
「はああ……」
「溜息吐きたいのはこっちだよお姉ちゃん……ねえ」
逃げられないようにされた上で翼は右手に持ったスマホをこっちに押し付けてくる。
「これさぁ……」
その画面に映るのは。
「多分お姉ちゃん最初から想定済みだったよね?ちょっと説明して欲しいんだけど」
《有馬かな》
原作通り押しに負けて苺プロに所属はするがアイドルになるかはまだ渋っている、理由としてはアクアに感じる物こそあれど覚悟がまだ見えて来ないから。今のままだったらユニットではなくアクアの指導者的な立ち位置になるかもしれない。
《ルビー》
鏑木Pからのオーダーを「完璧に」遂行した。
《翼》
お 姉 ち ゃ ん ?(怒りの形相)
よければお願いします。今日も日間2位に感謝
ちょっとしたキャラ人気アンケート
-
嘘吐きルビーちゃん(藍)
-
女装アイドルアクアマリン
-
毒舌末妹斉藤翼