天道なびきの幼馴染は金づる   作:お稲荷さま

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男はいつでも馬鹿で餓鬼

 

 

 キンジside

 

 「ただいまー」

 

 日曜日のお昼頃九能くんに呼び出されたらんまくんが帰ってきた。あの日から乱馬くんは僕と親しげに話してくれる様になった。なんでも「ただのお坊ちゃんかと思ってたけどやるじゃねぇか、あの蹴りはずっと努力してきた奴にしか出せない良い蹴りだったぜ」との事だ。

 

 少しぼーっとしているらんまくんに果し合いの結果を聞く。

 

「んでどうだったの?目立った怪我もないし勝った?」

 

 すると、らんまくんはやかんでお湯をかけながら

 

「いや、なんか、こ、」

 

「こ?」

 

「告白された。」

 

「告白〜!?」

 

「おい!声でけぇよ!」

 

 あまりに驚いて大声を出してしまった。けどなんで?

 

「でもこの前女状態で勝負して勝ったとか言ってなかった?」

 

「あぁ、だから俺もアカネもてっきり果し状だと思ってたんだけどよ……」

 

「告白されたと」

 

「が〜ッ!口に出すんじゃねぇ!思い出して鳥肌が……」

 

 相当ショックだったのだろう。顔が真っ青だ。

 

「ま、まぁ元気だしなよ…告白される程魅力的って考えればそこまで悪くないんじゃ?」

 

「いいわけねーだろ!ならお前にも雌の鶴連れてきてやろうか?」

 

「い、いやぁ流石にそれは遠慮しとこうかな」

 

 いくら鶴になってしまうとはいえ流石に相手は人間がいい……。雌の鶴に追っかけられる自分を想像してしまい身震いする。

 

「たまにはお前も変身しとけ!」

 

 意識が現実に戻った時にはバケツを持った乱馬くんに水をかけられていた。

 

「クエーッ!(何すんだよ!乱馬くん!)」

 

「へっ!似合ってるじゃねーか!」

 

「クエッ!(やったな!)」

 

 鶴にされ、馬鹿にされいくら僕でもムカつく。ので嘴と足を使って乱馬くんを追っかけ回す。

 

「いてっ!ごめんって!いて!嘴で突くなよ!」

 

 突いて追っかけてとうとうらんまくんを池側まで追いやる。

 

「おいおい、ちょっとした冗談じゃねーか」

 

「クエーーッ!(辞世の句はそれだけかい?)」

 

「やめッッ——」

 

 翼と足を使いスピードを上げて乱馬くんを池に蹴り落とす。

 

「てめー!やりやがったな!」

 

「クエっ!(自業自得だね)」

 

「そっちがその気ならやってやろうじゃねーか」

 

「クエーーッ!(望むところだ!)」

 

 そこから僕とらんまくんの追いかけっこが始まった。

 追っかけて突いては、追っかけられ拳をお見舞いされる。

 

「鶴状態でも意外とやるじゃねーか」

 

「クエッ(そっちこそ女の子の状態でもやるね)」

 

「終わらせてやる」 

 

「クエ(これで最後だよ)」

 

 僕とらんまくんは向き合った状態から双方走り出し乱打を撃ち合う。

 

「おら!おら!おら!おら!」

 

「クエ!クエ!クエ!クエ!」

 

 

 

 結果は——

 

 

「あたし達がいない間にあんた達何やってんのよ」

 

「帰って来たら鶴状態のキンジさんは倒れてるし、らんまは勝ち誇ってるし」

 

惜しくも負けてしまった。真剣勝負ではなかったとはいえ悔しい。

 

「そもそもなんであんた達男に戻んないでケンカしてんのよ」

 

「「男の維持!」」

 

 そうだ乱馬くんが戻らずにいたのだから自分だけ戻るのは卑怯だろう。

 

「本当に」 「男って」

 

「「馬鹿ね〜」」

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 次の日の早朝

 

 『あ゙〜〜〜っ』

 

朝方大声に驚き目が覚める。

 

「えっなにっ」

 

「どうしたのよ。キンちゃんまだ早朝よ」

 

 ナビキちゃんが眠そうに目を擦りながらきいてくる。

 

「なんか悲鳴が聞こえた様な……」

 

「はいはい、怖い夢でも見たのね」

 

「いや…ちが…」

 

 手を引かれナビキちゃんのベットに引きずり込まれる。

 

「これで怖くないでしょ、あと少し寝させて」

 

 戻ろうにもしっかり腕は掴まれてるし、ナビキちゃんは寝息をたてはじめてる。しょうがない朝までここで寝るか……早朝だったのもあり睡魔に身を委ねる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

三人称視点

 

 

 

「ナビキ〜朝よ〜」

 

 早めに家を出るナビキがいつも通りの時間になってもリビングに降りてこない。カスミがナビキの部屋まで行き起こそうと部屋をノックし開けると、そこには仲良く同じベットを使い2人仲良く寝息をたてているキンジとナビキが

 

「あら2人は仲良しさんね…うふふ」

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 風鈴館高校 休み時間

 

 

 

「何よこれ」

 

「プレゼントだ」

 

 休み時間になり九能がナビキの席まで行きぬいぐるみを渡している。

 

「いらないっ」

 

「おおっ!」

 

 がナビキはそのぬいぐるみをつかみ九能に投げ返す。

 

「誰がお前にと言った天道ナビキ」

 

「ん?」

 

「これはあの……愛くるしいおさげの女に」

 

「ブゥッ!」

 

 あまりに予想してない言葉に豆乳を吹き出す。

 

「豆乳がもったいないじゃない!」

 

「何を威張っとる」

 

 人の顔に豆乳を吹きかけておいてこの言種である。これに関しては流石に九能の言い分が正しい。しかし九能が正しいのはここまでであった。

 

「5枚1組3000円」

 

 今がチャンスと考えたナビキが女らんまの着替え修行後、日常においての無防備な写真を並べ、商売を始める。

 

「こ、こ、こ、これは!おさげの女!」

 

「な、なんたる無防備……」

 

「男の子みたいでしょ?」

 

 それはそうだろう、らんまは男であり、一々周りからの目など気にしないのだから。

 

 

 

「あんたもいい加減ね。アカネからあっさり乗り換えるなんて」

 

「誰が乗り換えた…」

 

「え゙…………二股かけようっての?」

 

「下衆なこと言うな。清楚可憐なアカネくん、健康美溢れるおさげの女。二人とも凄く可愛くて捨てがたいので両方と容量よく付き合いたいと思う真心に偽りはな〜い!」

 

「そういうのを二股かけてるって言うのよ!」

 

 らんまだけならまだしも自分の妹も巻き込んで堂々と二股かける宣言をする九能に流石のナビキも怒りを露わにする。………………事もなく。

 今度はアカネの修行や、修行、修行の写真………………ほぼ全て修行の時間を隠し撮りした写真を並べ。

 

「5枚1組4000円」

 

 実の妹までお金稼ぎに利用するとは中々たくましい姉である。

 

「なんたる猛々しさ!……買う!」

 

「まいど」

 

 

 その一連のやり取りを横目に見てたキンジはというと

 

「ナ、ナビキちゃん。いくら何でも少し酷いんじゃないかな?しかも全部隠し撮りじゃないか……」

 

「別にいいのよ。それに…………」

 

 何かまだ続きそうな雰囲気にキンジも訝しげな表情でナビキを見る。

 

 そんな表情をものともせずナビキの次の行動は———

 

「5枚1組5000円」

 

 自分写真をキンジに売りつける事だった……。

 

「こ、これは……でも…………」

 

 流石にキンジも先程ナビキに苦言を呈しているのだ、財布に手が伸びるのを理性がストップをかける。

 

「いらない?なら捨てようかしら」

 

「いる!」

 

 気付いた時には口が勝手に動いており、財布からは5000円が消えていた。とこの時のキンジは語っている。

 

 

 

 

 

 ――――――――

 

1—F教室

 

 「乱馬くーん。九能ちゃんが呼んでるよ」

 

 「え゙え゙ぇなんでやろうが」

 

 

 ――――――――

 

 場所は変わって校舎裏

 

「あら、アカネこんな所で何してるの?」

 

「お姉ちゃんにキンジさん、九能先輩は乱馬になんの用事があるの?」

 

「それは見てからのお楽しみよ」

 

 キンジ、ナビキ、アカネの3人は乱馬と九能のやり取りをそばで隠れて見ていた。

 

 

「なんなんだ九能こんなとこに呼び出しやがって」

 

「先輩と呼べ、先輩とっ」

 

 九能が乱馬にパンダのぬいぐるみを渡す。

 

「なんで貴様にこれを渡さねばならんのだ」

 

「なんのマネだこれは」

 

「ぼくが聞いてるんだ!」

 

 

 

 その頃すぐ近くでは…

 

「お姉ちゃん九能先輩になんて言ったの?」

 

「ん?プレゼントだったら乱馬くんに手渡した方が早いわよって」

 

「なんでそんな事を……」

 

「だって九能ちゃんが女の子のらんまくんに用がある度に橋渡し役になるのはごめんだもの」

 

「確かに、下手したら毎日花とか渡されそうだもんね……」

 

「そっ、だから乱馬くんに渡しなさいって言ったの」

 

 確かにナビキの言い分は正しくはあるが少し言い方というか説明の仕方が雑である。

 

「あ、乱馬くんが戻るみたいだよ」

 

「「「あ、水被った」」」

 

「あたし、お湯取ってくるわ」

 

 ナビキが用務員室までお湯を取りに行く。

 

「僕もあんな事故あるかもだよなぁ……なんか対策用意しとかないと」

 

「乱馬は女だからいいけどキンジさんは動物ですもんね……」

 

「流石に急に鶴になるのはね……」

 

 

 

 

「あ、ナビキちゃん戻ってきたよ」

 

「あれなら流石の九能先輩も正体わかるわよね」

 

 らんまに抱きついて居る九能だが、流石に腕の中で女が男に変化すれば気付くだろう。

 

「あれ?気付いてない……」

 

 あまりにも九能が気付かない為、ナビキが説明している様だ。しかし、顔を真っ赤にして激怒し始める九能。

 

「これは……ナビキちゃんまた誤解を招く変な言い方したな?」

 

「お姉ちゃんならやりかねない…」

 

 急に始まってしまった勝負だが上手い事乱馬が木刀による攻撃を避け九能の腹部に蹴りをヒットさせる。その衝撃でよろけ九能の懐から先程ナビキから購入した写真が飛び出し。乱馬が写真を見て固まってしまう。

 

 

「あ、あれは……」

 

「どうしたのよ急に隙だらけになっちゃって」

 

 

 その隙を九能が見逃してくれる筈もなく、九能渾身の一撃が乱馬に直撃する。

 

「バカッなによそ見してんのよ……」

 

 その後も器用に戦いながら、空中に散った写真を集める乱馬。よそ見しながら戦う乱馬に苛立ち九能が渾身の突きを放つが状態を逸らして避け、キンジとアカネの方に転がってくる。

 

「アカネ…」

 

「ひ、ひと言忠告しとくけど…男を相手に本気を出したら九能先輩本っ当に強いわよ」

 

 ふざけながら戦う乱馬にアカネから忠告が入る。

 

「おれもひと言忠告しとくけど……」

 

 乱馬からも忠告が……

 

「おめー、青いパンツは似合わね…」

 

 まともな忠告じゃなかった。

 

「いっぺん死んでこい!」

 

 アカネの容赦ない蹴りにより戦場にもどる乱馬を九能の連続突きが迎える。

 

「突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き」

 

「わっ!!」

 

 突きによる空気圧でアカネとキンジのそばにある石像にひびが入り。ガラガラと音を立てて崩れる。

 

「きゃっ!!」

 

「おっと…!」

 

 

 

「ばか、どいてろ!」  「もらったあ!!」

 

 

「ばかっ!前向きなさい、前っ!」

 

 この場にいる誰もが乱馬の危機だと思った次の瞬間、乱馬は九能からの攻撃を避けると頭から順に腹部にかけて流れる様な動作で蹴りを放つ。

 

 乱馬がスタッと着地すると同時に九能が崩れ落ちる。

 

「何やったの?今……」

 

 安全になった為キンジとアカネが近寄る。

 

「ナビキちゃんは大丈夫だった?」

 

「ええ」

 

 キンジはナビキの元に行き、アカネは倒れた九能をひっくり返し仰向けにする。

 

 

「へー、全部急所に入れてるわね」

 

「蹴り入れてたの?見えなかった。キンジは?」

 

 何をしたのか分からなかったナビキはキンジにも見えたか尋ねる。

 

「なんとか見えたけどもし僕がやられたら反応できるかどうか……」

 

「九能先輩。意外と手応えなかったな」

 

 乱馬は楽勝だと首をコキコキと鳴らす。

 

「何言ってんのあんた一発貰ってるじゃない」

 

「あんなもん痛くもかゆくも」

 

「ここ本当に大丈夫なの?」

 

 アカネが一撃当たった場所をピンと指ではじくと

 

「い゙っっ!!」

 

 とても痛そうに目から涙をポロポロとこぼす。

 

「泣くほど痛いのに痩せ我慢する事ないでしょ!……それでさっきはいったい何をよそ見してたの……ん?」

 

 そして乱馬のポケットからアカネの隠し撮り写真が見つかる。

 

「ちょっと!何よこれ!なんであんたがアタシの写真……」

 

「ばっきゃろ!九能が持ってたんだよ!」

 

 “バッ”と二人の視線がナビキの方へ向く。

 

「ちょっと小遣い稼ぎに」

 

「おねーちゃん!」

 

「けっまったく。だーれがそんな色気のねー写真欲しがるかっつーの」

 

 乱馬はよそ見している為アカネがすごい怒気を放っている事に気づいていない。

 

「乱馬くん、そろそろやめた方が……」

 

「せめて俺の半分くらい色気身につけねーと嫁の貰い手がねーぞ。キンジもそう思うよな……い゙ぃ゙」

 

 そして乱馬が振り向くと怒りのあまり顔を真っ赤にしているアカネが。もはや空間が歪んでいるようにもみえる。

 

「ち、ちょっとした冗談だ……あ、あはは」

 

 

 ドガッ! バキッ! ボコッ! ベキッ!

 

 

「流石に今のは乱馬くんが悪いかな……」

 

「乱馬くん、色気はあってもデリカシーはなかったみたいね…」

 

 

 これ以上関わるのはやめようと二人はそそくさと帰ることにするのだった。

 




キンジくんはお金持ちだけど意外と普通な感性を持てています。親の育て方によるものでしょう。多分そんな所がナビキも気を使わずにいい関係が築けてるんでしょう。
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