そこは戦場。幾つもの剣が突き刺さる荒野
ではなく、青く澄み渡る空に広大な野原。
そこではある戦いが繰り広げられていた。
「ふっ、君も中々やるようだな。ルドガー!」
一人は赤い外套の上からエプロンを纏い、左手にはフライパン、右手にはフライ返しを持った青年
「ああ、エミヤも中々だ!」
もう一人は青いワイシャツと黄色のネクタイに黒いズボンの上からエプロンを着た青年。その手にはお玉が握られ、目の前の鍋に入ったスープが煮立つタイミングを測っている
「二人共、まだですか。お腹が空きました」
その戦場から少し離れた机の前に座る金髪碧眼の女性は、目の前で熾烈な戦いを繰り広げる青年たちを急かすようにその腹からぐぅというお腹を鳴らす。
それを見かねたのか騎士の甲冑を着た金髪の青年が女性に近付き、その隣で跪いた。
「王よ、もう暫らくお待ちを。それまで私の作った食事でも」
「ガウェイン卿。貴方の作る物は料理などと呼んでは2人の料理に失礼であろう!」
「なんと!?」
騎士の甲冑を着た青年は未だに腹から空腹を訴える音を奏でる女性の言葉に両手を地面につけて項垂れる。
その姿を黒い甲冑で全身を覆った男が肩に手を置いて慰めていた
「ふははははは、中々な道化ぶりだぞ。円卓の騎士達よ。もっと我を愉しませろ」
無駄に豪華に彩られた椅子に座る黄金の鎧に身を包んだ男は片手に持つワイングラスを揺らしながら愉快そうに笑う。
その様子を見て少し離れた場所にいる腹を鳴らしている女性によく似た格好をし、黄金の鎧の男に似た男性が両手に地面をつけて項垂れていた
「あれが、別世界の僕」
「ま、何があるのかはわからねぇが元気だせや」
男性は自身の肩に置かれた手を見た後、その手を置いた人物に視線を向けた。
「君は?」
「俺はユーリってんだ。あんたらと同じでアイツの中に住んでる一員だってことさ」
地面に付けた両手を上げ、自身の肩に手を乗せる青年に並び立ち上がった男性は笑みを浮かべて口を開いた。
「そうか。僕はアーサー。君たちは僕達とは何か違う感じがするんだけど」
「ああ、俺達もそれは感じたよ。だけどそれでも根底は一緒だ。」
「確かにそうだね」
男性と青年は自分たちが置かれている状況に少しおかしく感じたのか口元を緩ませて、今なお激しく戦い合っている2人の青年へ視線を向けていた
それは会合。ある破壊者が境界を壊してしまった故に置きてしまった出来事
それは布石。これにより未来で彼らを宿す少年はある選択を得る
まだ、少年は気付かない
次から原作に入ります