憑依拒否   作:茶ゴス

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第3話「街は危険じゃなかった」

「優、少し買い物行ってきてくれない?」

 

 既に日も落ち、近所の家からは夕飯の香りが漂う時間、突然母に告げられた。

 頼まれたものは塩、みりん、米なんだけど、普通こんな時間に小学生をおつかいに行かせるかな…

 

 まあ、特に用事があるわけでもなく快く引き受けた。にしても、米10kgって…

 

 

 そんなこんなで近くのスーパーにて買い物を済ませた僕は右手にスーパーの袋を引っ掛け、両手に米を抱えて道を歩く。

 重さは問題ないのだけど、如何せん大きさのせいで持ちにくい。

 

 ずり落ちそうになる米袋を抱え直して歩く。そう言えば、ここ最近は街の至る所で魔力の気配が感じるね。

 大体はなのはちゃんが封印した時と同じ魔力を感じる。多分ジュエルシードを封印しているんだろう。まだ小さいのによく働いてるのはいい子だと思う。

 若干僕を見る目が怖い気がしなくともないけど…

 

 まあ、比較的順調そうに封印は出来ているみたいだけど、なんだか最近のなのはちゃん疲れてるっぽいんだよね。無理はよくないと思うけど…

 

 

「なのは!、起きてなのは!」

 

 

 ……何故だろうか、事象って何かを考えたら訪れるものだっけ?

 近くの曲がり角からユーノ君の声が聞こえる。言葉から察するになのはちゃんもいるっぽいんだけど…

 

 取り敢えず行ってみようかな

 

 再度ずり落ちてきていた米袋を抱え直し声のする方へ歩いて行く。

 そこには、倒れているなのはちゃんとその周りを忙しなく動いている小動物(ユーノ君)の姿が…

 見た感じなのはちゃん寝てるっぽいね…さっきも魔力を感じたから封印した帰りって所かな。それで家に辿り着く前に力尽きたと…

 

 通りがかった身としてはこのまま放っておくわけにも行かずに2人に近付く。ユーノ君は僕の姿に気付いたのかさっきまでなのはに呼びかけていた声を潜め、こちらを怪訝そうに見ていた。

 少しユーノ君は不用心だなと感じつつ、米袋を地面に置いた後にユーノ君の首の後を掴み頭に乗せる。困惑した様子がわかるけどまあ、放っておいても問題無いと思う。

 

 次に倒れているなのはちゃんだけど、寝息が聞こえているし、疲れて寝ちゃったっていうのは当たってたみたいだね。

 なのはちゃんを背負って道に置いた米袋を脇に抱えて立ち上がる。案の定バランスが取りづらく、少しふらついてしまったけどなんとか踏み直す。

 背中に背負いながら左手で女の子を支え、右手で米袋とスーパーの袋を持ち、頭に小動物を乗せて歩く小学生って傍から見たら珍しいと思う。まあ、今はそうするしかないから我慢するけどね。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 幸運にも誰にも見られることはなく自宅に帰ってくることが出来た。米袋を置いてドアを開ける。

 その音が聞こえたのか、母が台所からやってきて出迎えてくれた。

 そして、僕の背中で眠っているなのはちゃんを見て驚いた様子で「いつの間にそんな関係に!?」って言ってた。

 そんな関係って…

 

 取り敢えず、スーパーの袋と米袋を母に渡した後にリビングにあるソファになのはちゃんをおろし、その横にユーノ君を座らせる。

 しかし、ここで問題が発生、なのはちゃんが僕の服を掴んで離してくれなかったのだ。

 まあ、普通に服を脱いで大人しく寝かせたんだけどね。なのはちゃんは僕の服を抱えて丸まってしまった。心なしか寝顔が幸せそうになったのは気のせいだと思う。

 

 未だに混乱している母に「道端で寝てたから連れてきたよ。家に電話してあげないと」と告げてから自分の部屋に服を取りに行った。

 

 

 服を来てからリビングに戻ると、ユーノ君が母に愛でられていた。そういえばネコアレルギーの父はユーノ君は大丈夫なのだろうか。

 

 ここで、僕が戻ってきた事に気づいた母が視線をユーノ君から僕に向けた。

 横にいるユーノ君は心なしか疲れているみたいだ。なんかごめんね

 

 

「さっき高町さんの家に電話したんだけど、もう遅いしなのはちゃん泊まる事になったからね。後、明日は朝から用事があるらしいから迎えも朝に来るらしいよ」

 

 

 ユーノ君の頭をわしわししながらそう告げる母に呆れたような視線を送る。話が早すぎるよ母さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 それから1時間くらいが経ってなのはちゃんが起きた。寝ぼけた様子で晩御飯を食べ、母さんに風呂はどうする?と聞かれて「優君と入る」とこれまた寝ぼけた様子でつぶやくなのはちゃん。

 これに母が少し興奮気味になっていたので、僕は無視してユーノ君共々なのはちゃんをお風呂に連れて行く。因みに父はアレルギーはあくまで猫だけらしいのでユーノ君は大丈夫みたい。

 

 下手したら外で寝なければいけなかった状況にユーノ君が安堵の息を吐いていたのがはっきりとわかった。

 

 お風呂場に付いた。だけどなのはちゃんは寝ぼけた様子で立っているだけ。

 取り敢えず顔の前で手を振ってみたけど、少し嬉しそうに笑うだけで何もしない。

 放っておこうとしたんだけど、何故か手を掴まれる始末。

 

 いったいどうすれば

 

 

「優君、脱がして」

 

 

 後ろでユーノ君が吹き出す音が聞こえる。流石にそれははずかしいんだけど…

 何度その旨を伝えても「脱がして」の一点張りのなのはちゃんにこちらが折れて脱がす。ユーノ君はこちらから視線を外すように後ろを向いていた所を見るに、ユーノ君も恥ずかしいのだろう。

 なんという人物なんだ高町なのは。僕は改めて実感した。

 

 お風呂の中に入り、なのはちゃんを椅子に座らせる。僕はなのはちゃんの前に置かれた風呂桶とは別の風呂桶を取り出し、湯船のお湯を掬ってその中にユーノ君を入れてあげる、流石に浴槽にそのまま入れてあげれないからね。

 

 そうしていたら、なのはちゃんから頭と身体を洗ってほしいとのご要望が。もう本当に勘弁して下さい。

 

 まあ、なのはちゃんが折れないのはさっきのでわかったので大人しく従う。何時の世も女の人のほうが強いんだね、カイウスさん、ルカさん

 

 

『いや、何で俺達に振るんだよ。』

 

 

 取り敢えず、お湯をなのはちゃんの身体にかけながら、温度に慣れさせる。それから髪の毛もお湯で濡らしてからシャンプーで髪の毛をわしゃわしゃと泡立てて洗う。

 洗い終えたら目をつむってと言ってからお湯で流してあげる。その後はボディソープを母さんが使っているボディタオル(柔らかい)で泡立ててなのはちゃんの身体を洗っていく。

 

 最初は僕が使っているボディタオルを使おうとしたんだけどジュードさんに止められた。

 

 背中、腕、首、胸、お腹、足と擦ってからお湯で流す。もう既に考えることを放棄し始めてた僕はなのはちゃんに湯船に入るように言ってから椅子に座る。

 なのはちゃんはまだ寝ぼけているようだったので、ユーノ君に「なのはちゃんが溺れそうになったら鳴いて教えてね」と伝えて頭を洗い始める。ユーノ君はそれに「キュ!」と返事をしたのだけど、人に返事しちゃあ人の言葉がわかってるってばれちゃうよ。ユーノ君

 

 

 本格的にユーノ君の危機感が薄いのでは?と感じつつ身体を洗い終えて湯船に浸かる。疲れがとれる事がわかるなぁって思いつつ、目の前にいる幸せそうに笑っているなのはちゃんにため息を吐く。この疲れって大半がなのはちゃんのせいなんだろうなぁ。

 

 100秒きっちり数えてから湯船から上がる。なのはちゃんも満足したらしく湯船から出た。

 少し赤くなって項垂れているユーノ君を回収し風呂を出た。

 

 

 それからは、風呂場での事もあり、すぐに布団に入り夢の世界に旅だった。あとなのはちゃん、君の布団あっちだって言ったよね?

 

 

 

 夢の世界でカイウスさんに追いかけまわされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 朝、清々しいくらいに感じる空の元、藤崎家にある声が響いた

 

「大人の階段登ったの!!でも記憶が無い!!」

 

 目を覚ますと、頭を抱えて悶えているなのはちゃんの姿がありました。

 

 

 

 朝食を食べ終えた辺りで士郎さんがなのはちゃんを迎えに来た。何でも今日は翠屋JFCというサッカークラブ(士郎さんがコーチ)の試合があるそうだ。

 そう言えば以前になのはちゃんにそんなことを言われたなぁ。となのはちゃんに視線を移すとなにやらユーノ君に詰め寄っているなのはちゃんの姿があった。放っておこう

 

 

「優君も見に来るかい?もしサッカーがしたいなら大歓迎だよ」

 

「すみません。今日は用事があるので」

 

 

 無駄に歯を光らせて笑う士郎さんに頭を下げて断る。

 今日は修行の日だから仕方ないね。

 

 

「鍛錬でもするのかい?」

 

「はい」

 

 

 何でわかったのだろうか。ああ、士郎さんも休みの人は修行してるのかな。家にあんな道場あるし

 

 

「それなら仕方ないね。まあ、無理はしないように」

 

「わかりました」

 

 

 士郎さんとなのはちゃんを見送った後、深い溜息をこぼして家に入る。

 やっぱり少し苦手かなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 時間は過ぎて昼過ぎ。昼食を食べに一度家に帰ってきてから再度山に向かおうとしている時だった。

 

 突然嫌な気配を感じた。

 一体何が起きるんだろう?、と警戒していると地面を照らしていた太陽が雲に隠れた

 

 何だろうと空を見上げると、それは間違いだったのがわかった。巨大な影が出現していた。

 

 

「え?怪獣?」

 

 

 思わずそう呟いてしまったけど、よくよくみたら巨大な植物だった。一体全体どうやって大きくなったのかは…心当たりが無いってわけでもないけど

 いや、十中八九ジュエルシードのせいだろうね。こんな大きな怪物にもなるなんて

 

 っと、そんな事言ってる場合じゃなかったね。とっとときぐるみに着替えないと。こんな街中で暴れたら一般人にも被害が及ぶかもしれない

 

 

『上だ!優!』

 

「っ!!!」

 

 

 とっさにその場を飛び退く。次いで聞こえる地面に何かが突き刺さる音。

 視線を向けてわかる。植物の蔓がさっきまで僕の立っていた場所に突き刺さっていたのだ。鋭いというよりはその重量で押しつぶした形に近いけど

 

 っと、もう一度飛び退く。

 また地面に突き刺さる蔓。そこまで速くはないね

 

 

『奴さんはお前が狙いみたいだな。変装する時間がねえぞ』

 

「どうして僕を狙うのかな?」

 

『魔力のせいじゃねえか?』

 

 

 結構隠蔽には自信あったから、もし魔力のせいで狙われてるんだったら少しショックかも

 

 

「でも、どうしよ。」

 

 

 変装できずにあんな植物と戦うところを見られるのは良くないと思う。

 だいぶ目立ってるし

 

 

「でもまあ」

 

 

 それで助けないってのは無いけどね。

 

 逃げ出すなんてもっての外だよ。要は見られずに助けたらいいんだから

 

 

『来るぞ!』

 

「うん!獅子戦吼!!」

 

 

 闘気を飛ばして蔓を蹴散らす。今回は木刀は無い。

 山で調達するつもりだったから仕方ないけど、少し不安が残るかも…まだ素手での戦闘、木刀でのに比べて慣れてないし

 

 

「次!叛陽陣!」

 

 

 光弾で迫る蔓を吹き飛ばす。

 あとひとつの懸念はこんな大きな敵を相手にしたことが無いってところかな。

 

 術で燃やしたら街に被害が出そうだし

 

 

「でも、やるしかないよね!」

 

 

 臥竜砕で迫る蔓の下に潜り込み打ち上げることで迎撃した。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

『大丈夫か!?』

 

「うん。まだいけるよ」

 

 

 あれから、数十分が経過した。その間、瓦礫を打ち落としたりして一般人への被害を出来るだけ抑えることに専念していた。僕にジュエルシードの封印は出来なくて、精々出来るのが時間稼ぎくらいしかない。

 それでも、出来る事は全力でやる。迫る蔓を躱して植物の巨体に近付く。激化する攻撃を躱しては殴りを繰り返す。少しでもダメージが入れば鈍くなるはずだと、根拠はないが確信を得たように拳を打ち込んでいた。

 

 

「優君!大丈夫!?」

 

 

 すると、空から魔法少女姿のなのはちゃんが降りてきた。流石に上空は意識してなかったよ…

 というか普通にやってくるの?こういうのってバレたらまずいんじゃ

 

 取り敢えず、僕は蔓を殴り飛ばしてなのはちゃんに驚いたような顔をしてから聞く

 

 

「なのはちゃん…その格好は?」

 

「私、魔法少女になったの。それであんな怪物を封印してるんだよ」

 

 

 ノータイムで暴露したなのはちゃんに内心驚きつつ、視線を植物へと向ける。

 未だに少しずつ広がっている植物をなんとか止めないといけないのは変わりなく。実はなのはちゃんにはここでもたもたしているよりもとっとと封印してほしいというのが心境なんだけど…

 

 

「ちょっとなのは!簡単にバラしちゃったらダメだよ!」

 

「えへへ。ごめんねユーノ君。って、優君その怪我どうしたの!?」

 

 

 そう言われ、頬を触る。そこにはいつの間に出来たのかが分からないが、何かで切ったらしく血が出ていた。

 

 

「多分瓦礫か何かで少し切っただけだよ、気にしないで」

 

「………」

 

 

 なのはちゃんが見ている前では使える技は限られる。闘気を飛ばすのはやめておいたほうがいいね。

 

 

「……の」

 

 

 それにしても、キリがないな。結構蔓は消し飛ばした筈なんだけど

 

 

「…せないの」

 

「…なのは?」

 

 

 なにやら後ろでとてつもない気配を感じて振り向く。気配を発しているのはなのはちゃん。何故かそこだけが歪むようにみえると錯覚してしまう。疲れてるのかな

 後、ユーノ君も何故かすごく焦ってる。

 

 

「レイジング・ハート」

 

 

 なのはちゃんがつぶやく。それに機械音でYes Momと聞こえた。いや、何かがおかしい気がするんだけど

 不穏な空気の中、植物の方への警戒をしつつもなのはちゃんの動向を見る。とんでもないことをしでかしそうで怖いよ。

 

 なのはちゃんの手に持つ杖が変形する。先が伸びて、翼のようなものも生える。機械音でキャノンモードって聞こえたのは空耳だと思いたい。

 キャノンって…

 

 

「私の優君に傷を付けるなんて絶対に許せないの!!!」

 

「え?なのは?」

 

 

 なのはちゃんからとてつもない魔力が溢れる。いや、無駄に放出しすぎなんじゃ…

 ユーノ君も困惑しちゃってるよ

 

 

「見せてあげる!ディバインバスターのバリエーション!!」

 

「え?なのは砲撃魔法使ったことないよね?…って周囲の魔力を取り込んでる!?」

 

 

 懸念っていうのはいつも当たるんだね。嫌な予感がするよ。

 周囲の魔力を収束して杖の先に集めている。さっき無駄に放出していた魔力ってこのため?

 

 

「これが私の全力全開!スターライト……ブレイカー!!!!」

 

 

 視界が桃色に包まれた




彼女が危険だった


5000文字オーバーの理由?
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