とある公園にて、4人の魔導師と1匹の使い魔は結界を張り、バリアジャケットを着て臨戦態勢をとっていた。
それもその筈。彼らが収集していたジュエルシードと呼ばれるロストロギアが突然消えてしまい、まだ見つかっていないものを含めて全てがこの公園に集まっていたからなのだ。
彼らの前には今にも爆発してしまいそうに膨らんでいる黒色の塊がある。もし21個全てのジュエルシードが同時に起動してしまえば強大な次元震が発生してしまう。
この街に住む少女には溜まったものではなく、また、2人の魔導師にとっても次元震による事故は到底見逃す事などは出来ないものだった。
「どう見る?フェイト」
「正直凄い危険な状態だと思う。暴走しているわけではないけど、いつ暴走するかわからない状態。今の間にもっと強力な結界を張って力づくで抑えないといけないと思う」
2人の魔導師は冷静に現在の状況を確認し自分たちの上司のいる艦、アースラへと通信する。
「ユーノ君、どうすべきなのかな」
「下手に刺激しちゃったら暴走しちゃうかもしれない。でも、様子見しようにもこの塊どんどん大きくなっちゃってるし、早い内にどうにかしないといけないとは思うけど…」
「まどろっこしいね!取り敢えず安全な場所に動かして無理矢理封印しちゃえばいいじゃないか!」
今だに膨らみ続ける塊を牽制しつつ対策を考えるのは2人の魔導師と1匹の使い魔。
最もな事を言っている使い魔だが、下手に手を出すわけにも行かずに結局は後手に回ってしまう状況を理解していた。
彼らには手段がない。
どうすればこの状況を打破出来るのかを理解できない。
ジュエルシードの危険性を理解しているからこそ続いてしまう膠着状態。
それに終止符を打ったのはジュエルシードの方だった。
黒の塊は3mくらいの大きさになると膨張を止め、その外郭にヒビを生じさせた。
これには魔導師たちもギョッとする。時間をかけすぎたせいで爆発でもしてしまうのではないのかと頭に過るが、既に手遅れ。
ヒビはどんどん拡がり、やがて全体に拡がると黒の塊は光を放ちながら崩れ去った。
そう、爆発などではなく崩れ去ったのだ。
崩れた塊は地面に着くと同時に霧散していき消えていく。
爆発の心配は無かったのを悟った魔導師達は早速ジュエルシードを回収するために崩れた黒い塊に近付いた。
そこには一人の少年が倒れていた。
小学生低学年程の体躯。着ているものはボロボロ、髪もボサボサ。その手には剣を握っており、よくよく見れば服に血が染み付いている。
特に怪我をしている様子もなく、異常なほどに痩せこけていた。
魔導師達は疑問に思いつつも意識のない少年を捕縛する。
恐らくはジュエルシードをこの場に集めたのはこの少年なのだと考え、話を聞くために少年を自分たちの本拠へ連れ帰った。
その様子を見ていたのは王だけだった。
王は改変された世界を確認すると意識を少年の奥底へと沈ませた。
【少年はまだ目覚めない】
凄い短いですがこれにて外伝無印編は終了です。
外伝の続きはA's編にて