憑依拒否   作:茶ゴス

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夢想編第5話「蒼光」

 意識が浮上する。もう何度も経験したお陰か感覚的にわかる。まだ夢の世界だと。

 僕はどうやら地面に横になっていたようで頭に固い感覚がしている。取り敢えず眼を開いてみた。視界に入るのは満天の夜空、端に映る赤く照らされた木の葉。

 

 横に視線を移すと焚き火がパチパチといいながら燃えているのが見えた。

 

 

「ん?目を覚ましたのか、坊主」

 

 

 火の向こう側。倒れた木に腰掛けている人がいた。アロハシャツに黒色のズボン。青色の髪の毛に赤色の目と槍。何処かで聞いたことのある声。

 そんな特徴を持った男の人が僕を見て笑っていた。

 

 

「ゲイ、ボル、カー」

 

 

 そうだ、あのイメージが流れた時に聞こえた声の人だ。確かカーブで差を付けるとか言ってたような…

 

 

「何だそれ。この槍はゲイ・ボルクだぞ」

 

 

 違ったようだ。少し恥ずかしく感じながら身体を起こして頭についた土を払う。

 目の前の焚き火の近くには棒に刺さった魚が並べられているのがわかった。

 

 

「食えよ。腹減ってるだろ」

 

 

 そう言って男の人は魚にかぶり付く。見た感じ川魚みたいだね。僕も結構山に篭ったりするからわかるんだよね。

 と少し得意気に魚を手に持って頬張る。

 

 美味しい。夢の中のはずなのに感じられる味。今思えばおかしな話だよね。夢の中で痛みなんかも感じるのは。

 

 

「まったく、お前には驚かされたぜ。いきなりやってきたかと思えば気絶してるんだからな。」

 

 

 僕は気絶していたみたいだ。多分前の世界のせいなのだろう。イマイチわからなかったけど、あの世界はあまり居たいとは思えなかったな。

 

 魚を食べる。よく噛めば魚は骨まで食べれるんだよね。前に鯛を食べてた時はびっくりされたけど…

 

 

「いい食べっぷりだな。じゃあそのまま聞きな」

 

 

 僕はその言葉に頷いて2匹目に手を出す。塩振っていないのに美味しいなぁ。

 

 

「俺の名前はクーフーリン。お前に貸せる力って言ったらこの槍かルーンの魔術くらいしか思い浮かんでねえ。それに無料で貸すつもりはねえしな。」

 

 

 3匹目

 

 

「だがまあ、まだ子供のお前にそこまで酷い事を言うつもりはねぇ。なに、簡単だ。俺と戦え」

 

 

 5匹目

 

 

「だけどお前と俺じゃあ力の差があるのは否めない。だけど俺は全力で戦いたい。そこで俺は考えた。お前は俺に片膝をつかせたら勝ち。俺はお前を気絶させたら勝ちって事だ。って話を聞け!」

 

「ひいふぇはす!!!」

 

「……まあいいか。じゃあ、準備が出来たら言いな。」

 

「りょーかいです」

 

 

 取り敢えず目の前の魚を全て口に放り込む。そして、立ち上がって土を払ってから屈伸する。

 身体の感覚に問題はないみたい。今度は王様の蔵を開いて時計を取り出す。うん、ここなら使えるみたいだ。

 

 

「問題無いです」

 

「わかった。じゃあ、始めるか」

 

 

 少し場所を移動する。あたりは月明かりが少しだけ差し込んでいる森のなか。

 そこで槍を構えてこちらを見てくるクーフーリンさん。その構えにとんでも無い人だというのがわかった。

 やっぱり英雄と呼ばれた人達は一味ちがうみたいだ。気を引き締めて右手にエターナルソードを取り出し、左手にエターナルソードを投影させて逆手に持つ。

 

 

「行くぞ!!」

 

 

 クーフーリンさんが突っ込んできた。そして槍を突き刺してくる。速度も士郎さん以上。目で見るのがやっとと言った所。

 

 

「甘い!!」

 

 

 集中回避してクーフーリンさんの後ろに回り込む。槍っていうのは懐に入り込まれないかぎり接近戦では無類の力を持つって言われてるけど、逆を言えば懐にさえ入れば。

 

 

「あめぇよ!」

 

 

 僕の集中回避に反応してかクーフーリンさんの槍の柄の部分が迫ってくる。

 それに反射的に集中回避を発動させる。今度は横に回り込む。

 

 この人、とんでもなく速い。エミヤさん以上の判断速度だ。

 接近戦を挑むのがそもそもの間違いかもしれない。でも、ここは引かない!

 

 

「そこ!!」

 

 

 槍を横薙ぎに振るってくる。地面にへばりつくように伏せて回避する。頭の上を槍が通過したのがわかった。

 

 

「次元斬!!」

 

 

 クーフーリンさんの足元を崩すように次元を斬る。その瞬間に停止する空間。

 いや、もう動いてしまう!!

 

 次元斬を物ともせずにそのまま回転して2度目の横薙ぎをしてくる。

 

 恐ろしく速い。僕は地面にエターナルソードを刺して柄を持ったまま跳ぶ。

 槍の横薙ぎを受けてエターナルソードは地面から抜ける。その力は手で持っていた僕にも伝わり、回転する力になる。

 クーフーリンさんの顔に回転した力を乗せた蹴りを放つ。丁度上から叩き込むように。

 

 それにクーフーリンさんは槍を左手に持ち右手で防いでくる。なんて反応速度なんだ。

 

 

「はっ!いいねえ。思ったよりやるじゃねえか!坊主!!」

 

 

 僕は飛びのき距離を取る。本当にとんでも無い人だ。

 蹴りの影響か少し地面が陥没しているのがわかった。あれだけの威力を乗せたのに手を振るうだけで済んでるところを見ても異常だってのはわかる。

 

 

「おらぁ!!行くぜ!!」

 

 

 肩の力を抜く。そうだ、僕の腕は剣。力は振る力だけでいい。

 見るのは迫ってくる敵。槍をしならせて振り下ろしてくるのをしっかりと見る。

 

 右手の剣で受ける。この剣が壊れる事は心配しなくていい。投影で作ったものならまだしもこの剣は間違いなく本物の聖剣だ。

 

 後は、僕がこの力に打ち勝たないといけない。

 

 衝撃が全身を襲う。腕を通して肩、腹、足に槍の力が伝わってくる。

 なんて重い一撃なんだろうか…だけど、打ち勝つ!

 

 思いっきり、力任せに槍を弾く。僕の人間離れした筋力でも押し返すのがやっと。それに右手が痺れてエターナルソードを落としてしまう。

 

 

「まだまだぁ!!」

 

 

 僕に弾かれた力を利用して遠心力を掛けた一撃。今度は左手に持つ剣で受ける。さっきよりも重い一撃。なんとか耐える。

 くっ、ヒビが入ってきた。魔力で投影を重ねがけしつつ左腕に力を乗せる。

 

 

「ぐ、あぁぁぁぁ!!!」

 

 

 弾いた。同時に剣は壊れてしまったけど問題はない。今度は予想外だったのかクーフーリンさんの体勢が崩れている。叩き込む!!

 右手に気をためて一歩踏み込んで放つ。

 

 

「幻竜拳!!」

 

 

 丁度腹部に叩きこむ。撃ち上げるように放った攻撃。地面に衝撃を逃すことなんて出来ない一撃をぶつけた。

 衝撃でクーフーリンさんがわずかに空中に浮く。

 でも、あまり浮いてないところを見て衝撃の殆どが伝わったようだ。

 

 

「がっ!!」

 

 

 少し血を吐いたのがわかった。流石にダメージはあるみたいだ。これで片膝が着けば…

 

 

「まだ、だぁ!!」

 

 

 体勢を立てなおして槍を振るってくる。防ぐものがない!

 

 がむしゃらにクーフーリンさんの足を掴む。

 

 

 突然身体が勝手に動き出した。逆の手もクーフーリンさんの足を掴む。

 

 

 

「えっ?ちょ、おま!」

 

 

 足を思いっきり踏ん張ってクーフーリンさんをぶん投げた。

 

 

「あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 蒼い光を放ち回転しながら木々をなぎ倒してクーフーリンさんは吹っ飛んでいった。




対軍宝具

回転して突撃する蒼い槍兵(ブーメランサー)
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