憑依拒否   作:茶ゴス

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第10話「選ばれた者達」

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 ここは静かだ。

 ここは平穏だ。

 

 木漏れ日が差し込む中、彼は風を肌に感じその手に持っているものを口に運ぶ。

 酷く青臭い味。とてもではないが調理もせずに食べるものではないそれを彼は口にする。

 何故口にするのか彼自身もわかってはいないが、それでもそれをやめることはなく、むしゃむしゃと擬音を立てながら食べていた。

 

 

『ゆ、優?』

 

 

 ふと、彼の中の者の一人、ジュード・マティスの困惑した声が聴こえる。

 それに彼は自身の置かれた状況を改めて理解した。

 

 ここは竹林。どこの山かはわからないが、人の気配なども感じることの出来ない場所に彼は座り込んでいた。

 

 

『飲み込まれたけど、取り敢えず脱出する方法考えない?』

 

 

 それを聞いて彼は手に持っている物を持ったまま立ち上がった。

 長い間夢を見ていたような感覚。いや、実際に彼は夢を見ていた。彼自身が転生者に身体を乗っ取られてしまった世界の夢を…

 

 彼の中に住まう王により見せられた可能性。それを彼は見た。

 

 酷く、苦しい世界の自分だった。信じる者は誰もいずにただ、生きているだけの世界。

 

 

 それでも、その世界に住まう彼自身に彼は告げられた。

 

 

 ーー幸せになれ、と

 

 

 故に彼は立ち上がる。正気を戻し、手に持った物を地面へと叩きつけて宣言した。

 

 

「笹食ってる場合じゃない!!!」

 

 

 パンダ姿の彼は次元の壁を打ち砕いた。

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 闇の書が起動した。いや、起動させられたといったほうが正しいか…

 藤崎優と謎の男を取り込んだ事により闇の書は許容量以上の魔力を取得し、結果暴走した。

 

 それにより闇の書の主である八神はやてにも多大な負荷がかかり、危険だと判断した闇の書本体が起動させたのだ。

 

 そして現れたのは闇の書のもう一人の騎士、銀髪の女性だった筈なのだが、何故かその姿は取り込んだ少年に酷似していた。

 体の色は黒で塗りつぶされたように色の変化は見られず、ひと目で見てもそれが藤崎優ではないと彼を知る人物たちは理解できた。

 

 

 一方、高町なのはは困惑していた。あまりにも夢で見た展開とは違いすぎる現実。藤崎優というイレギュラーを考えても改変されすぎたシナリオ。

 故に彼女は不安に思う。もしかしたら夢のように最高とはいえないながらも良かったと言える終わりを迎えることは出来ないのかもしれないと…

 

 彼女の夢で見たものとは違う事は大まかに3つ。まず一つは彼女とフェイトの実力。コレに関してはプラスに働くものであり、特に困るものでもない。

 次は闇の書本体の姿形。恐らくは少年の影響を受けてしまった闇の書のものであり、彼女にとっては非情にまずい展開となった。

 次は他の戦力。闇の書の騎士達は全員取り込まれておらず、仮面の男達、リーゼ姉妹もプランとは違う展開に困惑していた。

 

 

「かっ」

 

 

 闇の書の本体は言葉を漏らす。何かを喜んでいるかのように笑う闇の書にその場にいる全員が身構える。

 

 

「やっぱ、神様が作った身体だ。まるで性能が違う」

 

 

 闇の書は自身の両手を見ながら嗤う。

 まるで与えられた玩具に喜ぶかのように笑う闇の書に全員が不気味に思った。

 

 

「まあ、ここでこいつらを殺したら怒られるし、誰かいい的はいないものか…」

 

 

 それを聞いて高町なのははふと夢での出来事を思い出す。

 そう、結界内にはここにいる人達以外にも2人いることに…

 

 

「いい的発見」

 

 

 そしてその場所へ急ぐ。闇の書の言う的とはつまり、迷い込んだ一般人。月村すずかとアリサ・バニングスの事だった。

 闇の書は手のひらを彼女たちに向けて膨大な魔力を溜めだす。

 

 

「させない!!!」

 

 

 なのはの向かった先を見たフェイト・テスタロッサは直ぐ様闇の書へと斬りかかる。

 攻撃を中断させなければ彼女の友人がどうなるかは目に見えているため、一段と力を込めた一閃を放った。

 

 

「加勢するぞ!!」

 

 

 シグナムもまた、突然現れ、主を取り込んだ闇の書をどうにかすべく斬りかかる。

 それに誘発され、その場にいた全員。仮面の男達も闇の書を止めるために動き出した。

 

 

「なんだ、俺の邪魔をするつもりか?お前たち」

 

 

 しかし。突然襲われた圧力に地面にたたきつけられてしまった。

 フェイトは以前にも感じたその圧力。それによって彼女はこの闇の書がどんな人物であるかを理解した。

 

 突然現れ、突然消えた男。

 以前は優によって退けられた存在が優を乗っ取り現れた。

 

 

「ま、俺もそこまで鬼じゃない。ここは俺じゃなくこいつらの相手でもしておきな」

 

 

 闇の書はそう言い指を鳴らす。その途端に地面から7人の影が現れた。

 

 一人は剣を携えた女性形

 一人は双剣を携えた男性型

 一人は槍を携えた男性型

 一人は巨剣を携えた巨人型

 一人は刀を携えた男性型

 一人は短剣を携えた女性形

 一人はローブに身を包んだ女性形

 

 人影は闇の書を守るかのように出現し、フェイト達へと威圧感を放っていた。

 

 

「ここまで再現出来るなんてな。闇の書も存外馬鹿には出来ないらしいな。まあいい、これで邪魔は入らない」

 

 

 闇の書は周囲の魔力を集め、前方に形成しだす。

 それは魔法。ある少女によって編み出された収束砲撃魔法。

 その場にいる者達の中には直撃を受けた者達もいる魔法。

 

 色はピンクとは違い、黒だが紛れも無く同質であるその砲撃を闇の書はアリサとすずかのいる方向へと向けていた。

 

 

「ま、散ってくれや」

 

 

 砲撃は放たれた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

「させない!!!」

 

 

 高町なのははありったけの魔力を込めたディバインバスターで迎え撃つ。スターライトブレイカーを溜める時間は無かった。それ故に収束砲撃魔法よりも砲撃魔法へ全力で魔力を注ぎうちはなった。

 出来るだけ威力を落とすため…目の前の敵、闇の書は紛れも無く藤崎優を取り込んだ。故に魔力量で圧倒することはなのはにとって不可能であった。

 

 彼女に出来る事は威力を減らし、すずか達を助けることだけ

 

 

 

「ぐぐぐ…!!!」

 

 

 デバイスがギシギシと震えるのがわかる。砲撃が押されているのがわかる。

 

 それでも彼女は引くことは出来なかった…

 

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 彼女は全身の魔力を放出し、砲撃を逸らした。

 それを見た闇の書は面白い、と内心で言い、もう一度砲撃の準備へととりかかる。

 

 力を確かめる。これを持って面白可笑しくこの世界を改編するために…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 影が現れた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 数は3つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程現れた7つの影とは違う…

 

 黒ではない。はっきりと色を持った影

 

 

 

 

 

 

 一つは、白と黒の体毛を持ったモフモフとした身体を持った影

 

 

 一つは、赤い仮面に赤と紺のスーツ、背中に剣を携えた影

 

 

 一つは、全身を黒の靄で覆われた鎧を纏った影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇の書は困惑する。

 

 

 こんなもの、自分で出してはいない、と。

 

 こんなもの、自分は知らない、と

 

 

 

 

 現れた3人は闇の書に立ちふさがるように顕現した。




おまけ




「ふむ、2人しかでれないみたいだな」

「行きたい奴手上げてみて」





「多いな。よし、じゃんけんで決めるか」












じゃんけん後


「んじゃあ、身体の構成も難しそうだし、俺はこれで行かせて貰うよ」

「ちょっと待て、俺のこれは納得出来ないぞ」

「我慢しろ。ああ、あとお前はあれかしてやってやれ。」

「ああ、別に構わんよ」
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