憑依拒否   作:茶ゴス

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数年後

 少し肌寒くなってきたな……やっぱり着込んできたほうが良かったかな。

 

 

「目標の鎮圧に成功」

 

「了解。ゆっくり帰って来るんだ。今日は君の好きなチーズハンバーグだ」

 

 

 念話通信を終え、立ち上がる。

 眼前に広がるのは既に意識を失った動物。肩に担いで、歩く。

 

 これで今日の仕事は終わり……っと。

 

 

 明日は確か小テストがあったかな。早めに帰ってゆっくり休んだほうが良さそうだ。

 

 闇の書事件から5年が経ち、僕も中学生になった。今は中学生に通いながら管理局の仕事をこなしている。

 と言っても別に管理局に所属しているわけではない。どちらかと言えば同盟のようなもの。つい2年ほど前に夢の世界で皆と王様の蔵にあった人生ゲームをしてた時に、それを傍観していた王様がいきなり会社を設立すると宣言し、次の日の朝に王の軍勢の効果で出てきた王様が、一日で会社を立ち上げてしまった。

 

 名目は警備会社。名前はGILSOCK。会社の警備員はクーフーリンさん。いつも会社の傍らにある警備員室(いぬごや)の前でイライラして立っている。王様と賭け事をして負けたらしい。

 まとめ役は主にエミヤさん。さっきの通信もエミヤさんだ。時々仕事終わりにご飯を作ってくれる。凄く美味しい……

 で、管理局からの依頼を僕とスタンさん達がこなしている。何故管理局から依頼が来るのかが不思議に思うかもしれないけど、クロノ君の話によると、この会社の人員はとんでも無い人での構成で、潰しが利かないからだと言っていた。だから、敵対よりも同盟という形を取ったのだろう。意外だったのは王様が同盟の件を承諾したことだ。

 

 まあ、ここまで言っておいてだけどもう一つ不可解なことがあると思う。社員が僕に宿っている人達だってことだけど、別に受肉したわけではないと言っている。王の軍勢とはまた別口から僕とのパスを繋いで、僕の魔力を消費して現界するのだという。流石にあまりに宝具を使われると少し疲れるけど、普通に戦うくらいなら僕は同時に30人程なら現界出来るらしい。しかも、魔力源は僕だけど、媒体を他に置くことで、本来なら僕の近くでしか活動できないのを普通に活動できるようにしたらしい。

 

 これを承諾した人達はみんな会社内で各々好き勝手しながら仕事をしている。僕も無理にならない程度に仕事をしているよ。

 

 

 なのはちゃん達は管理局に入った。はやてちゃんは半強制的なのだけど、なのはちゃんは前に言っていた夢での事に関係があるらしい。

 よりよい未来を手に入れたいと言っていた。

 フェイトちゃんは既に管理局に入っていた為、今はその3人とヴォルケンリッターの皆でミッドチルダで頑張ってるらしい。

 

 ああ、プレシアさんはこの会社にいます。管理局に関わってはいるけれど、他の所にいるよりは管理局の権力に対抗できるとの事で王様から説明を受けていた。

 それに納得してプレシアさんは主に魔法関係の管理を行っています。

 一部の営業先、名前を言ってしまえばバニングス家と月村家に高町家なのだけど、魔法を知っている家の警備にプレシアさんの魔法や、玉藻さんの呪符を使っている。

 

 アリシアちゃんは魔法が使えないながらも強くなりたいらしく、色々な人に戦い方を教わっていた。フェイトちゃんもよくなのはちゃんに追い付きたいと言っていたので似た者姉妹って言えるのかな。

 

 

 両親には既に僕の事を話した。母さんは驚いていたけど父さんは何故か驚いてなかった。

 理由を聞いたら、僕のことは変わっていると感づいていたらしい。だけど、どんな人間でも自分の息子だと心構えをしていたらしく、驚きを外に出すほどじゃなかったらしい。

 そして、この会社で手伝いという名目で働くことを許してもらった。僕の好きに生きていいと母さんに撫でられながら言われた時は嬉しかった。

 

 

 

 みんなが現界するようになって僕の修行も進んでいる。この前はカルナさんと戦った。呼んだら出てきてくれるんだけど、カルナさんは自分の考えを伝えるのが苦手みたいで、いつも修行では模擬戦だけになっちゃうんだよね。

 まあ戦い方はあまり参考にはならないけれど、物凄く強いから、その分対策とかを考える等の修行ができている。

 

 

 

 

 

 管理局員に討伐した動物を渡して一息つく。

 管理局員は一言礼をいうと転移していった。僕も直ぐ様会社のエントランスに転移した。

 次元世界間を超える転移はプレシアさんと一緒に開発して編み出した。これによって、色々と行動できる範囲が増えたのは嬉しい。色々な世界はいい刺激になるし、きれいな所も多いので僕自身心が安らぐ。

 

 実は給料もしっかりと貰っている。あまり確認してないけれど、王様が会社にいるだけでお金が向こうからやってくる不思議には驚いたなぁ。だって、お金を落としていたのを交番に届けたらそれの1割、100万円とかいうとんでもない金額がやってきたり。クーフーリンさんが宝くじ勝ったら2等が当たったりしてた。まあ、クーフーリンさんの方はアルトリアさんの食事代で消えたけど……

 

 

 エレベーターで事務室の階まで上がる。このビルは王様が買い取ったビルで広々としたものになっています。

 最上階は全部打ち抜かれて王様の私室みたいなものになっているけど、一応は社長室扱いだ。

 

 もう少しで事務室につくというところで、エレベーターは加速した。

 ああ、王様のお呼びかというのを理解した。このように度々僕がエレベーターにのるタイミングで王様はどうやってかわからないけどエレベーターを最上階まで動かして僕を呼ぶ。

 

 今度は一体何の用事なのだろうか……

 

 

 

「おお、きたようだな。喜べ、もう少しで管理局とか言う我等に張り合っている畜生共を掌握出来るぞ」

 

「……同盟相手だった筈なんだけど」

 

「知らぬな、我がただそのような契約を結ぶと思うか?安心しきっている輩をどん底に叩き落す位の事はするに決まっておろう」

 

 

 なんという酷い言い分。流石王様

 

 

「しかし、未だに全てを掌握するというのは困難だ。割合的には7割ほどしか掌握しておらぬ」

 

「その割合はどうやって算出したの?」

 

「簡単だ。システム面での掌握は貴様に先日やらせたことだが……株を手放さないのだ」

 

 

 ちょっと待って、僕そんなこと聞いてないんだけど

 

 

「言っておらぬからな。先日ゲームをやらせただろう?」

 

「それってマインスイーパーだったけど……」

 

「それこそがハッキングよ。システムのセキュリティという地雷を踏まずに最深部まで到達し、クリアという掌握を貴様が行ったのだ」

 

 

 ……ごめんなのはちゃん達。僕君達の職場にとんでもないことしちゃったみたい。

 

 

「ふはははははは!まあよい。今は完全掌握とはいっておらぬがこのまま着々と嬲り殺しにしてやろうぞ」

 


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