元々の作品の案だったために本編よりもある程度の構想はしやすいのは自分でもダメだと思います
ギルガメッシュの放った一撃に
元々がイレギュラーだったためか
「…あれ?どうしてなのははたおれていたの?」
少女もまた先程までの出来事を忘れ、眼前に転がるジュエルシードを首を傾げながら拾い上げる。
何はともあれジュエルシードを封印することに成功したことには変わりないと少女は息をはいた
「何か変な気もするけど、気にしないでいいよね、ユーノ君」
「う、うん。僕もそう思うよ」
少女の肩に乗る小動物も戸惑いながらではあるが、ジュエルシードの封印が成功したことに安堵の息を漏らし、少女に同意した
と、ここで彼女たちは気づいた。目の前に少年が倒れていることを
「だ、大丈夫!?」
少女はジュエルシードの戦闘に巻き込まれてしまったのではないかと考え、少年に駆け寄る。
見たところ外傷は無く、ただ気を失っているだけであったのだが、少女にはそんな事がわかる筈もなく、小動物へ助けを求めた
「大丈夫だよ、少し気を失ってるだけみたいだし、安全な場所に連れて行って目が覚めるまで待とう」
少女は頭を縦に振ると、少年の両脇を抱えて歩き出す
「お、重いぃぃ」
しかし、少女の力では運ぶことは出来ず、結局少女は、その場に少年を寝かせ、自分も地面に座って少年が目をさますのを待った。
◇
数分後、少年は目を覚ました。
虚ろな目で周囲を見渡すその様子に少女は安堵し、その場で立ち上がり少年へと手を伸ばす。
「大丈夫?」
少年は少女の事をぼーっと見つめると、自分の手に視線を移し何かを確かめるかのように両手を握ったり開いたりし始めた。
少女は少し困惑し差し出した手を引っ込めると、少年は両手を上に掲げて呟いた
「生きてる。僕生きてる」
瞳から涙をポロポロと流しだした少年を見て少女は慌てる。何処か痛い所でもあるのか、何か自分が悪いことでもしてしまったのか
『落ち着いてなのは』
オロオロとしている少女に小動物が念話で話しかける。
少年が起きたために、不用意に話すことは出来ずに念話にしたようだが、頭に直接響くその言葉が幸を成し、少女は驚くほどあっさりと落ち着いた。
再度少年の方を見ると少年はプルプルと足を震わせながら立ち上がろうとしている
「生きてるんだ、俺、僕生きてるんだ」
呟きながら立ち上がろうとする姿は少しだけ不気味に見えて、少女は気負いしてしまう。
一体この少年は何者なのだろうか。そんな疑問が少女の中を駆けまわる
「っ危ない!」
思考に意識を向けすぎたのか、バランスを崩した少年に気付くのが一歩遅れて倒れる少年に手が届かなかった。
顔から豪快に転けてしまった少年に少女は恐る恐る近付き安否を確認する
「…痛い」
両手を地面につけ、顔をあげた少年は、鼻をうったのか血がぽたぽたと流れている。
「だ、大丈夫?」
少女が再度心配そうに聞くが、少年には全く聞こえていないようで、その鼻をおさえて嬉しそうに生きてる、生きてると呟いている。
等々少女も少年に何かを言うのを諦めて見守っていると、少年は立ち上がり、覚束ない足取りで歩き出した。
少女は家に帰るのだろうと思い、そのまま少年が歩いて行く姿を見守る。
あれだけ話しかけても反応してくれない不気味な相手を追いかけるのは少女には出来なかったのだ。
小動物も同じようで、特に少女に何も言わずに少年が歩いて行く姿を見送った
◇
少年は記憶にある道を歩く。
自分ではない者が歩いた道。
見慣れていないけど見慣れたそこを歩き少年が向かうのは自分の家
自分が見たことが有り、ずっと見させられていた家に辿り着いた少年はインターホンを鳴らして両親が出るのを待つ
一体何時ぶりに会うのだろうか。少年はそう思いながらウキウキと気分を高揚させてドアが開くのを待つ。
ガチャリと音が立ち、ドアが開かれる。
開けたのは一人の少年だった
少年はこちらを不思議そうな顔で見てくる
少年は声を震えさせて問う
「君は誰?」
ドアを開けた少年は不思議そうに答える
「僕は藤崎優だよ?君は?」
少し顔が似ている自分を見て、少年は駈け出した。
どうして、どうして、どうして
どうして
◇
ーーーイレギュラーを消した影響か、本来の人格者も忘却され修正として新たな藤崎優が誕生するとはな
黄金を纏った王はつまらなそうに片手に持つワイングラスを傾け、涙を流しながら転んでは立ち上がり駆け出してボロボロになっていく少年を見守る
ーーーこれではまるで道化としか言いようが無いな。道化ならばそこいらのワカメにでも任せればいいものを。童子には童子らしくさせるべきであろう
手に持ったワイングラスはその握力により割れてしまい、中身のワインが手にかかってしまう。それに機嫌を悪くした王は眼前に立つ者へと視線を向けた
ーーー奇しくも同じ状況。どう思っているのだ?
その者は少年を見つめかつての自身を思い浮かべる。
誘拐され、抜け出し、家にたどり着くと待っていたのは、別の自分を息子と言う両親だった
ーーー特に思うことなどはない
赤い髪を翻してその者は奥へと消えていった
ーーーつまらん
王もまた、その様子に落胆の声をあげ奥へと消えていった