気になっていた方申し訳ないです。
これからもそうしたミス多いと思いますが是非指摘いただけると助かります。
魔女殿視点
寝床に戻った竜を見て、思わず目を細める。
傷だらけで、羽も尾もボロボロ、鼻息からも血の匂いが立ち上る。
――ああ、これは酷い。けれど、どれもが致命傷にはならないだろう。あの傷を負って寝床まで帰ってこれたくらいなのだからと冷静に観察する。
遠くから聞こえた轟音と咆哮で戦いが終わり、竜が勝利したことは容易に察せられた。
一体何をやらかしたのか――いや、知る必要はない。
今はただ、ここで大人しく横になっている。
兵士たちに無駄に近寄らせないため、目配せして大盾使いに指示を送る。
これで余計な騒ぎは防げる。瀕死とは言え竜は竜だ、最後の足掻きで炎なんて吐かれたら終の棲家が更地になっちまう。
傷だらけの姿を見ると、ボロ雑巾みたいになっていたこいつを拾った頃作ったスープが頭をよぎった。
そうだ、あれを作ってやろう。
鍋を取り出し、材料を煮込み、温かい香りが立つころにそっと寝床へ運ぶ。
「ほら、これで少しは落ち着くだろうさ」
匂いを嗅ぐ竜の横に置くと、大人しく鍋に顔を突っ込んで舐め始めた。
勝利を確かめ、戦いの後の安堵を味わう――そんな竜の姿を、静かに見守る私は、どちらの味方なのだろうか。
寝床に倒れ込み、体中の痛みと疲労でぐったりとする。翼を広げるのも痛く、尾を動かすたびに傷口がずきりと疼く。砂埃や血が入り込んで、嗚咽を漏らしながら悶絶する。
「ぐぇっ……や、やめ……痛ぇ……」
口の中は昨日の戦闘の痕で妙に味が悪く、吐きそうになる。空吐きを何度も繰り返しながら狩りに行こうと悶えていると、魔女殿の家から嗅いだ覚えのある鍋の香りが鼻をくすぐる。
顔を上げるとふんわり温かい香りが漂う鍋が置かれていた。
――え、これ、なに、女神か?
血と傷でボロボロの体に、温かいスープの湯気が染み渡る。
行儀が悪いとは思いながら顔の突っ込み、ゆっくり口に運ぶ。
熱い、でも痛む体に優しい。懐かしい味が胃袋に沁みて、心までほぐれるようだ。
気が抜けたのか、食べながら意識がふっと遠のく。
気絶しかけるが、定期的にふらふらと目を覚まし、残ったスープを一口ずつ飲み干していく。
気づけば鍋は空っぽ。
回収され、補充された鍋を見て、ふと思う。
――この魔女殿、第二の母上かもしれぬ。
母上も吾輩たちが寝ているうちに狩りに出かけ、新しいご飯を求めてピィピィ鳴いていたらすぐに食べさせてくれたものである。
すきっ腹は多少満たされ、体は痛むが心は少しだけ温かい。
生き延びて良かった――そんな気持ちが、ふわりと胸に広がった。
家に魔女殿と兵士いたのにボロボロ状態の竜トドメ刺そうとかしなかったの?に対する一応のアンサーです。
短いですが読んでくださった方ありがとうございました。
次のストーリーは大まかな所だけ決まっているので、ゆっくりお待ちください。