吾輩は竜である   作:金欠綱渡り

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おはようございます。短編が多くなってきましたがこれからは増やします。今回までは勘弁してくださいまし。


14話 鱗

怪我が少しずつ治ってきて、吾輩は川へ向かい魚を食べながら静かに傷を癒す日々に入った。

 

 ……まさかこれを見越して魚の捕り方を教えてくれたのだろうか?

 魔女殿、恐ろしいっ!未来視でもしているのかあの御方は。

 …いや流石に持ち上げ過ぎか、あの御仁わりと適当なとこあるしな…いやでもな…まあよしである。

 

 肉も食べたいが、今の体では無理だ。

 木にぶつかったら間違いなく泣くし、ドラゴンダイブなどしようものなら、衝撃が痛すぎて墓標になる未来が見える。

 

 ――さて。

 

 あのオーク共が妙に気になり、吾輩は戦った跡地に戻ってみることにした。

 まだふらつくが、どうにか辿り着くと、死体が吾輩に蹴散らされたまま残っている。

 

 ……なぜだ?

 

 本来なら、この森は死肉漁りが山ほどいるというのに。

 首を傾げていると――洞窟。

 オークを葬りに来たときは頭に血が上っていて気付かなかったが、今見ると、入口から凄まじい気配が漂っている。

 

 オークが子どもを隠しているような巣穴のはずなのに……

 この気配はどう考えても、そんな可愛げのあるものではない。

 そりゃあ、死肉漁りが寄ってこないわけだ。

 

 吾輩は窮屈な入り口に首をねじ込み、中を覗いた。

 

 そして、見つけた。

 

 ――鱗。

 

 洞窟の奥、ボロボロの地面に、血なまぐさい巨大な鱗が落ちていた。

 

 「い、いいいやいや!? な、なんだこれ!? なんで気付かなかった!?」

 

 驚きすぎて首を跳ね上げようとした結果――洞窟の天井を盛大に掘ってしまった。

 

 「うおお!? ちょ、ちょっと待っ……あっぶな!!」

 

 どうにか首を引っこ抜き、砂埃まみれで咳き込みながら鱗を見下ろす。

 

 

 

 これ……散々避けてきた、あの強い気配の主のものではないか。

 しかも……くさっ! 血なまぐさいっ!

 これほど巨大な鱗を、竜からオークごときが剥がせるとは思えん。

 一体何があった? 誰が? 何を?

 

 ……しかし、見つけてしまった以上仕方あるまい。

 

 吾輩の先達の物である可能性があるなら、こんなところに埋もれたままでは不憫だ。

 持って帰って丁重に扱っておくのが仁義というものである。

 

 持ち主がキレて襲ってくる?

 まあ、会話は通じるだろう。

 竜だしな。大丈夫だろう、多分。

 

 

 

 しかし……結構デカいぞ、これ。

 舌に乗せるのは嫌だし、かといって首をこれ以上ねじ込むのも――

 

 「……うおおおお!!?」

 

 無理やり咥え、ずるずる引きずり出して、どうにか洞窟から持ち出すことに成功した。

 

 吾輩、土まみれである。川で洗ってから帰るしかあるまい、いやあ災難であった。

 




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