吾輩は竜である   作:金欠綱渡り

4 / 24
視点を変えるのもありかと思ったので。
ページを開いてくれただけでもありがとうございます。
良ければ楽しんでください。


魔女の日記

■1:いつだったかの日のこと

 

まったく、あたしは何を思ってあの竜なんぞ拾ったんだかねぇ。

猫くらいのサイズでヨレヨレしてたから、つい情けをかけたのが間違いだったよ。

あれよあれよという間に大きくなっちまって、今じゃ鹿を咥えたまま空を飛ぶ始末。

育ち盛りにもほどがあるよ。

 

しかも炎を吐く種だってのに、本人はさっぱり自覚なし。

聞いても首をかしげるだけでねぇ。

あたしのほうが恥ずかしくなるよ、ほんと。

 

 

---

 

■2:一度襲われかけた日のこと

 

そうだ、一度だけあの子に襲われかけたんだった。

あたしの背中を見て、何を思ったのやら。

 

けど鼻先に霜をふらせてやったら、そりゃあ見事に怯みやがってね。

あれ以来、二度と噛みつこうとはしなくなったよ。

ふん、竜のくせに根性がないんだか、分別があるんだか。

 

 

---

 

■3:オークの来た日のこと

 

オークが来た時なんざ、あたしよりも早く動いてさっくり仕留めちまった。

普段は寝るか飛ぶかで、脳味噌まで休ませてるんじゃないかと思ってたけどねぇ。

やっぱり野生の勘ってやつは侮れないよ。

あたしが呪文を構えるよりもあっという間だったよ、まったく。

 

 

---

 

■4:小屋を壊された日

 

今日の朝だよ。

あの子が何をしたのか、あたしの薬草干しに使っていた小屋を思いっきり崩壊させていた。

屋根は落ちるし、庭は瓦礫まみれだしで、もうどうにもならん。

 

でもねぇ……

瓦礫に埋もれて鳴いてるあの子を見ると腹が立つ前に笑いが出ちまったよ。

「やれやれ、またかい」ってね。

これも長生きすると感情が鈍ってくるってやつかねぇ。

 

 

---

 

■5:尻尾から採取した日のこと

 

前々から尻尾の先に変な匂いがあってね。

どうも気になって仕方なかったから、寝てる間にちょいと拝借させてもらった。

瓶に詰めるくらい、別に文句も言わんだろうと思ったら、案の定だよ。

 

あたしが採ってるそばで、ウサギを放ってやったら、もごもご食べながらまた寝ちまった。

あれだけ大きい図体して、神経の細かいのか太いのか分からん子だよ、ほんと。

 

 

---

 

■6:毒薬ができた日のこと

 

日記:今日の夕方

 

尻尾から採れたあの変な成分、試しに薬瓶にして使ってみたらね、

鹿が一息でくたばっちまったよ。

あたしゃ驚くより先に「これは使える」と思ったねぇ。

 

これ、村に売り込めばちょっとした金にもなるし、

あの子が炎でも吐くようになれば、魔術師が百年かけてひねり出す術を、一吹きで再現してくれるかもしれない。

 

長く生きてると楽がしたくなるんだよ。

あとはどうやって協力させるかだねぇ。

ふふ、考えただけで前向きになるってもんさ。

 




短いですが楽しんでいただけましたか?ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。