吾輩は竜である   作:金欠綱渡り

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確認で一から読み直していたんですが、吾輩君殆ど描写通りイメージするとリオレイアですね…尻尾から毒、口からは炎…どうしたものか。
それと魔女から魔女殿に変更しましたが違和感無いでしょうか?
それはそれとして、読んでくださってありがとうございます。
今回もお楽しみください、吾輩君挫折回です。


5話 オーク再び

 吾輩は竜である。名は、いまだ無い。

 

 魚も食うようになって暫くしたころ、吾輩の鱗を首に括りつけた者たちが、魔女殿を訪ねて来るようになった。

 親に手を引かれた体調の悪そうな子供、以前も来た軍人、さらには護衛を連れた金属臭い商人までやって来る始末である。

 

 魔女殿、意外と有名人であったのか。

 領主の屋敷などでは見たことがないから、吾輩はもっと世捨て人の類と思っていたのだが。

 

 訪問者どもはまず吾輩を見て仰天し、しかし鱗の色を見て「なるほど」といった顔で魔女殿の家へ入っていく。

 その際、吾輩は決まって霜で追い払われるのである。

 

 こちらが先に居たというのに、理不尽な話である。

 

 ◆

 

 ある日、狩りに出かけ熊を倒したとき。

 目元に石が飛んできた。

 何事かと見ると、オークどもであった。血気盛んに襲いかかってくる。

 

 驚いた吾輩は尻尾で薙ぎ払った。何匹かは転がったが、運よく避けた一匹が吾輩の尻尾に手に持っていたものを突き立ててきた。

 

 鱗を破られたのは生まれて初めてである。

 痛みに思わず声を上げた。

 

 そしてその瞬間、吾輩は気づいた。

 

 前に襲ってきたオークどもは、棒や骨を削ったような貧相な武器しか持たなかった。

 だが今襲っている連中は、手入れはされていないとはいえ、金属の輝きを残す刃物を握っている。

 

 吾輩は痛みに耐えかね、倒れ込むふりをして地に伏した。

 するとオークどもは勝ち誇り、倒した熊を奪おうと群がり始めた。

 

 その塊へ、吾輩は全力の尻尾の薙ぎ払いをくれてやった。

 

 オークはおろか、せっかく狩った熊まで一緒くたにミンチになってしまった。

 最悪である。

 だが背に腹は代えられぬ。吾輩はそのまま痛む尻尾を引きずり、逃げ帰った。

 

 吾輩の姿を見た魔女殿は、珍しく目を見張った。

 そして家から鳥を飛ばし、どこぞへ送ったようであった。

 

 

 

 傷ついた吾輩は、しばらく大人しく寝転がっていた。

 別に動けないわけではないし、オークが怖くて震えているわけでもない。

 ただ――あれだ。

 舐めてかかっていたオークに一杯食わされたショックで、心の方にダメージを受けているのである。

 

 こういう時は「ふて寝」に限る。

 幸い、腹もそこまで減っていない。

 

 ◆

 

 夢の中で吾輩は、勇ましくオークどもと戦っていた。

 尻尾を振り回し、顔に迫る者は噛みちぎり、地は血の海。

 

 ――強い。我ながら強すぎる。

 

 粗方殺し終えて地に立ち、勝利の余韻に浸っていた時である。

 

 ずきん。

 

 尻尾に鋭い痛み。振り返ると、醜悪な笑みのオークどもが刃物を突き立てているではないか。

 

 なん、だと……!?

 吾輩の鱗を、また突破……だと!?

 

 驚愕と怒りで思わず、尻尾を全力スイングした。

 

 ――が。

 

 ぶつかった感触は、肉ではなく、何か固いもの。

 直後、尻尾に走る激痛。

 

 吾輩はそこで目を覚ました。

 

 ◆

 

 吾輩が居たのは血の海のど真ん中ではない。

 そこは木陰の寝床。夢で振った尾が現実でも振られており、そばにあった木を全力で打ちつけたらしい。

 

 そりゃ痛いわけである。青々とした葉がハラハラと落ちる中、じんじんする痛みに耐えられず、「ピィ……」と情けない声が漏れた。

 

 轟音を聞いたのか、魔女殿が家から飛び出してくる。

 

 が、鳴いている吾輩の姿を見るや、

 

「……はぁ」

 

 と呆れ顔をし、くるりと戻っていった。

 

 何たる無礼。

 吾輩は負傷中の可哀想な竜であるぞ。

 

 なお、その数秒後――。

 

 びゅん。

 

 霜が飛んできた。

「うるさいから寝てろ」という魔女殿なりの叱責らしい。

 

 吾輩は大人しく寝ることにした。

 全く、理不尽な世界である。

 

 




初めての吾輩君挫折回です。ここから成長するでしょうか?
まだ私にも分かりません。今の所私の頭の中でもふて寝してピィピィ鳴いています。次回は魔女殿視点です。
感想評価いただけると嬉しいです。
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